KRITIKU Op.109-1 Rjat Satiry |
評論家に チョールヌイの詩による5つの風刺 |
KRITIKU Kogda poet,opisyvaja damu, Nachnet: “Ja shla po ulitse. V boka vpilsja korset”, Zdes’“ja” ne ponimaj, konechno, prjamo - Chto,mol,pod damoju skryvaetsja poet. Ja istinu tebe po-druzheski otkroju: Poet - muzhchina. Dazhe s borodoju. |
評論家に とある詩人がひとりの女性を描写するのに 「あたしは通りを歩いていた、あたしのコルセットが腰を締め付けた」と書いても この「あたし」を文字通りには取らないでくれ この女性は詩人のことではないのだから 君に本当のことを教えよう、友人として 詩人は男だ、しかもヒゲもじゃの... |
サーシャ・チョールヌイ(1880-1932)はロシア革命後は外国に亡命していますから、ショスタコーヴィチが1960年にこのような歌曲集のテキストとして革命後のソヴィエトで取り上げられたのもひとえにフルシチョフ政権下の雪解け政策のおかげでしょうか。ですが詩をよくよく読んでみるとけっこう過激です。それもあって初演の大成功にも関わらず長らくソヴィエトで演奏の機会はなかったといいます。
音楽はいろいろなパロディっぽいキッチュさがあって彼の歌曲の中では聴きやすい方ではないかと思います。クラシック音楽に詳しい人ほど楽しめるかも。私も気付いた限りのもとネタ(とおぼしきもの)は挙げてみようと思いますが、なにせそんなに多彩なクラシック音楽を聴き込んでいるわけではありませんので、私の知らない音楽の引用が隠されているのかも...ご存知の方はご教示くださると有難いです。
さて、第一曲目、ありがちのネタですね。私もこのサイトでのコメントでそんな馬鹿げた批評をしないように心しなければ(すでに一杯してるような...)
皮肉っぽくつぶやく声にぽつぽつとなるピアノ、最後は伴奏がうきうきとポルカのリズムを奏でて終わるあたり、ヴォルフのメーリケ歌曲集の最後の「お別れ」を思わせます。実際あちらも批評家に対する痛烈な一撃でしたね。非常に短い曲ですがこの皮肉に満ちた歌曲集最初のパンチとしては十分な効き具合です。
( 2006.04.02 藤井宏行 )