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Bal v pol'zu guvernantok   Op.146-3  
  Chetyrekh stikhotvorenijakh kapitana Lebjadkina
家庭教師嬢のための舞踏会  
     レビャートキン大尉の4つの詩

詩: ドストエフスキー (Fyodor Mikhailovich Dostoyevsky,1821-1881) ロシア
    Besy(悪霊) 第3部第1章 

曲: ショスタコーヴィチ (Dimitry Shostakovich,1906-1975) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Zdravstvuj,zdravstvuj,guvernantka!
Veselis’ i torzhestvuj.
Retrogradka il’ Zhorzh-Zandka,
Vse ravno teper’ likuj!

Uchish’ ty detej soplivykh
Po-frantsuzski bukvarju
I podmigivat’ gotova,
Chtoby vzjal,khot’ ponmarju!

No v nash vek reform velikikh
Ne voz’met i ponomar’;
Nado,baryshnja,”tolikikh”,
Ili snova za bukvar’.

No teper’,kogda,piruja,
My sobrali kapital,
I pridanoe,tantsuja,
Shlem tebe iz etikh zal,-

Retrogradka il’ Zhorzh-Zandka,
Vse ravno,teper’ likuj!
Ty s pridanym guvernantka,
Pljuj na vse i torzhestvuj!

ようこそ ようこそ 家庭教師のお嬢さんたち
陽気に、お祝いしようじゃないか
堅物さんも、ジョルジュ・サンド派も
どちらも浮かれて騒ぎたまえ

青っ洟たらしたガキどもに
フランス語の本を読んでやるが
早く嫁入りするためには
教会の男共にさえ色目を使う

だがこの改革のご時世だ
男共も簡単にゃ結婚しない
先立つものがたくさんいるのだ
それがなければまた本読みだ

そこで今日はお祝いの中
資金をどっさり集めたぞ
この場でダンスを踊りながら
そいつをあんたたちにさしあげよう

堅物さんもジョルジュ・サンド派も
どちらも浮かれて騒ぎたまえ
いまや持参金付きの令嬢だ
ツバつけようぜあらゆるものに、盛大に!


これはこの長編小説「悪霊」も後半、第3部第1章で出てきます。レビャートキンはちらっと登場しますがこの詩は読まず、リプーチンという県の小役人が読みます。祝宴の下劣な座興のようなこの詩はしかし、これから起こる惨劇の前のちょっとした喜劇的な描写。
あまりの品のなさに居合わせたご婦人方の中には気絶してしまう人も出てきたのだとか。最後のところは正確には「唾吐け」のようなのですが激しすぎるので私もぼかしてしまいました。私の読んだ「悪霊」の邦訳(池田健太郎訳)ではこの「唾吐け」のところは完全に省略されていましたし...(DelosのCDの英訳でも「唾吐け」とは訳してなかったのでもしかしたら私の誤解かも知れません)

内容は特にストーリー本筋に関係あるというわけでもなく、とにかく馬鹿馬鹿しい題材を馬鹿馬鹿しく表現するところに本領があるのでしょう。音楽も傍若無人さがよく出ていて面白いです。最後に浮かれ騒ぐ無礼講みたいなモチーフが出てきて大変けばけばしく終わります。

( 2006.03.24 藤井宏行 )


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