ボール |
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芝生のかげに棄てられて 破れたボールはただひとり 秋の小雨にしくしくと 皮の痛みに泣いてゐる 枯れゆく草を見詰めては 小さいお手に跳ね飛んだ 春のむかしを思ひ出し 風の吹く夜に泣いてゐる |
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( 2019.01.14 藤井宏行 )