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Pesnja Ofelii   Op.127-1  
  7 Stikhi Aleksandr Bloka
オフィーリアの歌  
     アレクサンデル・ブロークの詩による7つのロマンス

詩: ブローク (Aleksandr Aleksandrovich Blok,1880-1921) ロシア
      Песня Офелии

曲: ショスタコーヴィチ (Dimitry Shostakovich,1906-1975) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Razluchajas' s devoj miloj,drug,
Ty kljalsja mne ljubit'!...
Ujezzhaja v kraj postylyj,
Kljatvu dannuju khranit'!...

Tam,za Danijej schastlivoj,
Berega tvoji vo mgle...
Val serdityj,govorlivyj
Mojet sljozy na skale...

Milyj voin ne vernjotsja,
Ves' odetyj v serebro...
V grobe tjazhko vskolykhnjotsja
Bant i chjornoje pero...

愛らしい乙女と別れるときに、愛しい人よ、
あなたは私を愛してくれるといった
遠くの国へ行ってしまっても
約束は守ると誓った

幸せな地、デンマークの
岸辺は暗い霧にかげる
怒りの荒波が声を上げて洗う
岩の上の涙を

私の愛しい騎士は帰らない
銀色の鎧を着て眠る
墓の中では絶え間なく揺れている
リボンと黒い羽根が


シェイクスピアのハムレットの悲劇のヒロイン、オフィーリアの悲しい歌です。
戯曲ではこんなうたも歌っていたりするのですけれども、ここでは凍りつくような
寒々とした心象風景を歌っていてとても痛々しいです。

ブロークの手になる詩がまたこれに輪をかけて暗い、といいますか含意に深いものが
あるようなので(とても訳すのが難しいのです)、一層味わい深いものになりました。
ショスタコーヴィチはこのアレクサンデル・ブロークの詩を愛読していたようですが、
音楽にしたのはこの「7つのロマンス」だけのようです。
ブロークの詩の中でも初期のものばかり取り上げたようですが、音楽的にも極めて美しく
響く詩ばかりを選んでいるように原詩を眺めていても思いました。
そして7つの詩それぞれに、ソプラノの独唱とピアノ、ヴァイオリン、チェロの伴奏が、
あるときは単独で、あるときは2重奏でという具合に、詩の内容に合った伴奏形態で付けられて
いるので一層印象深いものになりました。

ショスタコーヴィチには「ハムレット」の劇音楽と映画音楽(両者は全く別の作品です)もあり、
またもうひとつの晩年の傑作歌曲集「マリーナ・ツヴェタエワの詩による歌曲集」でもハムレットを
題材とした詩をひとつ取り上げています。けっこうこだわりを持った戯曲作品なのでしょうか。

「アレクサンデル・ブロークの詩による7つのロマンス」
最初のこの曲はチェロ独奏による美しい伴奏とソプラノの声の掛け合い。
しみじみとした情感が心をうちます。

初演者のヴィシネフスカヤに、ロストロポーヴィチのチェロという組み合わせに演奏は止めをさすでしょうか。
EMIから出ている1974年の録音が今でも容易に手に入るのではないかと思います。

( 2006.03.12 藤井宏行 )


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