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Chto v imeni tebe mojom?   Op.91-2  
  Chetyre monologa na slova A. Pushkina
あなたにとって私の名前が何だというのか?  
     プーシキンの詩による4つのモノローグ

詩: プーシキン (Aleksandr Sergeyevich Pushkin,1799-1837) ロシア
      Что в имени тебе моём? (1830)

曲: ショスタコーヴィチ (Dimitry Shostakovich,1906-1975) ロシア   歌詞言語: ロシア語


Chto v imeni tebe moem?
Ono umret,kak shum pechal’nyj
Volny,plesnuvshej v bereg dal’nyj,
Kak zvuk nochnoj v lesu glukhom.

Ono na pamjatnom listke
Ostavit mertvyj sled,podobnyj
Uzoru nadpisi nadgrobnoj
Na neponjatnom jazyke.

CHto v nem? Zabytoe davno
V volnen’jakh novykh i mjatezhnykh,
Tvoej dushe ne dast ono
Vospominanij chistykh,nezhnykh.

No v den’ pechali,v tishine,
Proiznesi ego toskuja;
Skazhi: est’ pamjat’ obo mne,
Est’ v mire serdtse,gde zhivu ja...
あなたにとって私の名前が何だというのか?
それは悲しいノイズのように消えてしまうだろう
はるかな岸辺に打ち寄せる波のように
静かな森の中の夜のこだまのように

それは思い出のアルバムの上に
命を失って跡をとどめるだけだ、ちょうど
石の上に刻み込まれた墓碑銘が
もはや読み取れなくなってしまうのと同じく

そこにあるのは何だ?久しく忘れ去られて
日々の刺激に満ちた暮らしの中では
あなたの胸の中にもよみがえりはしない
懐かしくも清らかな思い出だ

だが、もし悲しくなったときには、おだやかに
私の名を口ずさむがいい
そうだ、誰かはきっと自分のことを覚えてくれているのだ
世界にはきっとある、私がまだその中に生きている心が...


プーシキンの詩による4つのモノローグ、続いての「あなたにとって私の名前が何だ」は、そんなに政治的に意味深長なところはなく、リムスキーコルサコフなどショスタコーヴィチ以外の作曲家の歌曲もある詩ですが、興味深いのはバイロン-レールモントフでご紹介した”Lines written in an album,at Malta”との類似性。プーシキンもまたバイロンの生き方や作品から多大な影響を受けていたのだそうですが、ここでも死しても誰かが私のことを覚えてくれているだろう、という詩作と芸術の不滅を信じるかの歌を書いています。またショスタコーヴィチも時折こんな感じのメッセージを送ります。まるで「分かる人には分かるんだよ」と言いたげなメッセージを。
外の安全圏からは「権力におもねった」であるとか「芸術的良心は死んだ」など、まだヴォルコフの「ショスタコーヴィチの証言」が出る前の1960〜70年代には言いたい放題言われていた感のある彼の本心を垣間見させるような歌ではないでしょうか。
曲は悲しげに踊るワルツ。ロシア語で歌われなければまるでシャンソンみたいです。これも最後まで淡々と流れ、そして消え行くように終わります。
「世界にはきっとある、私がまだ生きている心が...」というつぶやきを繰り返しながら。

( 2006.03.11 藤井宏行 )


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