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La rose   Op.51-4  
  Quatre mélodies
バラ  
     4つのメロディ

詩: ルコント・ド=リル (Charles-Marie-René Leconte de Lisle,1818-1894) フランス
    Poèmes antiques - Odes anacréontiques  La rose

曲: フォーレ (Gabriel Fauré,1845-1924) フランス   歌詞言語: フランス語


Je dirai la Rose aux plis gracieux.
La Rose est le souffle embaumé des Dieux,
Le plus cher souci des Muses divines!
Je dirai ta gloire,ô charme des yeux,
Ô fleur de Kypris,reine des collines!

Tu t'épanouis entre les beaux doigts
De l'Aube écartant les ombres moroses;
L'air bleu devient rose et rose les bois;
La bouche et le sein des vierges sont roses!

Heureuse la vierge aux bras arrondis
Qui dans les halliers humides te cueille!
Heureux le front jeune où tu resplendis!
Heureus la coupe où nage ta feuille!

Ruisselante encor du flot paternel,
Quand de la mer bleue Aphrodite éclose
Étincela nue aux clartés du ciel,
La terre jalouse enfanta la rose;
Et l'Olympe entier,d'amour transporté,
Salua la fleur avec la Beauté!


私は語ろう 優美な花びらのバラの花のことを
バラこそは神々のかぐわしい吐息
ミューズの女神たちにこの上なく愛された花
私はその栄光を語ろう、おお眼を楽しませるものよ
おお キュプリスの花、丘の女王よ!

おまえは咲く 愛らしい指の間で
暗い闇夜を打ち破る あかつきの指の間で
そのとき蒼い空はバラ色に染まる、森も染まる
娘たちの唇も胸もバラ色だ!

なんと幸せな乙女だろう ほっそりした両腕で
湿った茂みの中でおまえたちを集める乙女は
なんと幸せそうなその若い顔だろう、おまえが光り輝かせると
なんと幸せな杯だろう、おまえの葉を浮かべているとは

父なる海のしずくをしたたらせながら
青い海より女神アフロディテが現れたとき
光り輝く空のもと その裸身の美しさに
大地が嫉妬して バラを生み出したのだ
オリンポス全体が愛に感動し
この花と美の女神に挨拶を送る


「イスファハンのバラ」がペルシャのバラなら、こちらは古代ギリシャの神話を織り込んだ美しいバラの情景です。美の女神アフロディテ(ヴィーナス)が海の中から誕生してくるシーンはボッティチェリの有名な絵「ヴィーナスの誕生」でおなじみのところですが、あの絵でもバラの花がさりげなく散りばめられていますのでぜひ良く見てみてください。そしてこの詩もまた「イスファハンのバラ」と同じくフランスの高踏派詩人ルコント・ド・リールによるものです。ちなみに1連目にある「キュプリス」というのもアフロディテ(ヴィーナス)の別名です。

きらめくピアノのアルペジオに乗って爽やかなメロディが歌われますが、アフロディテの登場のところではぐっと落ち着いた雰囲気に変わりこの神話に語られた情景を歌っていきます。このあたりの急な曲想の変化が歌う方には難しいかも。最後は堂々と盛り上がって終わります。

( 2006.03.05 藤井宏行 )


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