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ふるみち    
  5つの抒情歌 その1
 
    

詩: 三木露風 (Miki Rofuu,1889-1964) 日本
      

曲: 大中恩 (Oonaka Megumi,1924-2018) 日本   歌詞言語: 日本語


古径(ふるみち)は 我胸のごと
月光(つきかげ)の 下(もと)に照され
春の暮 山のあなたに
影くらく 長につゞけり

いつの日か 深くも路を
石喰(は)みて 車過ぎけむ
二すぢに 軋めるわだち
痕のみぞ 黒くのこれる

追憶(おもいで)の あゝ いたましきあとを見よ
日々に壊(く)えつゝ
ほろびゆく 愛の胸には 
非愁(かなしび)の 小草ぞしげる

月青み 夕となれば
また想ふ 山のふるみち



大中の若き日の傑作。露風の詩は古い語彙に溢れていまひとつ現代人には意味が取り難いところはありますが、大中の古い欧州映画の主題歌のようなメロディによくマッチして、実に味わい深い歌になりました。リリックなテノールが歌うと本当にいい味の佳曲です。往年のマコーマックとかタウバーがもし歌っていたら最高でしたが、さすがに無理ですね。私は大中作品の中で一番この曲が好きです。

( 2018.12.10 藤井宏行 )


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