Der Gang zum Liebchen Op.48-1 Sieben Lieder |
恋人のところへ行く道 7つの歌曲 |
Es glänzt der Mond nieder, Ich sollte doch wieder zu meinem Liebchen, Wie mag es ihr geh'n? Ach weh',sie verzaget und klaget,und klaget, Daß sie mich nimmer im Leben wird seh'n! Es ging der Mond unter, Ich eilte doch munter, Und eilte daß keiner mein Liebchen entführt. Ihr Täubchen,o girret, Ihr Lüftchen,o schwirret, Daß keiner mein Liebchen,mein Liebchen entführt! |
月が照ってきたので、 また愛するあの人のところへ行かねばならない。 あの人はどうしているだろう。 おお、もう僕に会うことが出来ないと思って、 泣いているではないか。 月が沈もうとしているので、 僕は急がなくてはならない あの人が誰かにさらわれないように。 小バトよ、クークーないてくれ、 風よ、さわさわと吹いてくれ そうすれば、誰もあの人をさらっていけないだろう。 (ボヘミヤ民謡) |
ブラームスはたくさんの美しい旋律を書いたといわれますが、この歌曲の旋律も
代表的なものでしょう。もっともこの旋律はブラームスのオリジナルでなく民謡
からとったものらしいですが。でも一度聴けば忘れない美しいメロディーです。
これはもちろん男声用に書かれた歌曲ですが、ナタリー・ストゥッツマンがブラ
ームスの歌曲を歌ったCDの中に収められており、これが素晴らしいのでお薦め
です。彼女は従来の女性歌手と違って、男声用とされる曲も区別しないでどんど
ん歌うようで面白いですね。(シューマンの歌曲全曲を一人で録音するようです
し。)
昔「レコ芸」の高名な声楽曲の月評担当者が、男がうたうべき曲,例えばマーラ
ーの「さすらう若人の歌」や「冬の旅」を女声で歌われた場合、聴く気がしない
という、偏見を述べているのを読んだことがありますが、このごろはこんなこと
いう人は少なくなりましたね。
( 1998.09.02 稲傘武雄 )