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詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ
    Buch der Lieder - Lyrisches Intermezzo(歌の本-抒情小曲集 1827) 42 Mein Liebchen,wir saßen beisammen

曲: メンデルスゾーン (Jakob Ludwig Felix Mendelssohn,1809-1847) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


Mein Liebchen,wir saßen beisammen,
Traulich im leichten Kahn.
Die Nacht war still und wir schwammen
Auf weiter Wasserbahn.

Die Geisterinsel,die schöne,
Lag dämm'rig im Mondenglanz;
Dort klangen liebe Töne,
Und wogte der Nebeltanz.

Dort klang es lieb und lieber,
Und wogt' es hin und her;
Wir aber schwammen vorüber,
Trostlos auf weitem Meer.

恋人よ、僕らは一緒に座っていたね
軽やかな小舟でくつろいで
静かな夜、僕らは
水路を先へと進んでいった

美しい精霊の島が
月光におぼろに照らされていた
そこでは愛らしい楽の音が響き
霧が舞い踊り揺れていた

響きは愛らしく、さらに愛らしく
そこここに霧の舞いは揺れる
だが僕らは通り過ぎ
望みもなしに沖へと進んでいった


 この詩は人気が高いようで、他にブラームス、フランツ、マクダウェル、そして若き日のヴォルフも作曲しています(「恋人よ、僕らは一緒に座っていたね」)。メンデルスゾーンのはヴォルフのと似ており、波の動きを描写するピアノのアルペジオに乗った明るい曲調です。わたしはこの詩には神秘的な雰囲気を感じますが、メンデルゾーンの作にはそういう所は全くありません。まるで神話的題材の擬古典的絵画のような、精霊など珍しくも不思議でもないといった感覚です。
 演奏はフィッシャー=ディースカウが活動の晩年にヘルと組んでクラーベスに録音したCDに入っていますが、彼は同じ顔合わせでヴォルフの同じ詩の歌曲も録音しているのは興味深いところです。また彼はブラームスの同じ詩の作品を得意としており、何種もの録音があります。

( 2006.02.17 甲斐貴也 )


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