Ich stand in dunkeln Träumen Op.13-1 Sechs Lieder |
僕は暗い夢の中にいた 6つの歌 |
Ich stand in dunkeln Träumen Und starrte ihr Bildnis an, Und das geliebte Antlitz Heimlich zu leben begann. Um ihre Lippen zog sich Ein Lächeln wunderbar, Und wie von Wehmutstränen Erglänzte ihr Augenpaar. Auch meine Tränen flossen Mir von den Wangen herab - Und ach,ich kann's nicht glauben, Daß ich dich verloren hab! |
僕は暗い夢の中にいた 彼女の肖像画を見つめていた するとその愛らしい顔立ちは ひそやかに息づき始めた 唇のまわりが動いて 素晴らしい微笑が現れた そして対の瞳には 悲哀の涙がきらめいた 僕も涙を流し 頬を伝って滴り落ちた ああ、僕は信じることが出来なかった 君を失ってしまったことを! |
シューベルトの『白鳥の歌』で名高い「彼女の絵姿”Ihr Bild”」と同じ詩による作品ですが、シューベルトやグリーグとは全く様相を異にし、穏やかで暖かみのある歌曲です。愛の苦しみはより回顧的に美化されているといった感じですが、第二節の彼女の表情の描写の感動にも不足はなく、旋律の美しさから見てももっと演奏されて良い作品だと思います。
録音にはボニーがアシュケナージの伴奏で入れたものがあり、期待以上の素晴らしさに聞き惚れてしまうほど。上記の感想はこの演奏の素晴らしさに負うところもあるでしょう。もうひとつ、中国のソプラノ、ラン・ラオによるC.シューマンの歌曲全集(アルテ・ノヴァ)も美しい声と素直な歌唱で大変楽しめます。
( 2006.02.17 甲斐貴也 )