TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ


Ich stand in dunkeln Träumen   Op.2-3  
  Vier Lieder
僕は暗い夢の中にいた  
     4つの歌

詩: ハイネ (Heinrich Heine,1797-1856) ドイツ
    Buch der Lieder - Die Heimkehr(歌の本〜帰郷 1827) 23 Ich stand in dunkeln Träumen

曲: グリーグ (Edvard Grieg,1843-1907) ノルウェー   歌詞言語: ドイツ語


Ich stand in dunkeln Träumen
Und starrte ihr Bildnis an,
Und das geliebte Antlitz
Heimlich zu leben begann.

Um ihre Lippen zog sich
Ein Lächeln wunderbar,
Und wie von Wehmutstränen
Erglänzte ihr Augenpaar.

Auch meine Tränen flossen
Mir von den Wangen herab -
Und ach,ich kann's nicht glauben,
Daß ich dich verloren hab!

僕は暗い夢の中にいた
彼女の肖像画を見つめていた
するとその愛らしい顔立ちは
ひそやかに息づき始めた

唇のまわりが動いて
素晴らしい微笑が現れた
そして対の瞳には
悲哀の涙がきらめいた

僕も涙を流し
頬を伝って滴り落ちた
ああ、僕は信じることが出来なかった
君を失ってしまったことを!


 シューベルトの『白鳥の歌』で名高い「彼女の絵姿”Ihr Bild”」と同じ詩です。グリーグの曲は第一行を物憂く始め、夢の情景を感動を込めてドラマティックに盛り上げ、”Und ach,ich kann's nicht glauben”に冒頭と同じ旋律を回帰させて、夢から覚めた寂しさを表現するという構成になっており、なかなか聞き応えがあります。この詩には他にクララ・シューマンや、ヴォルフも最初期に作曲しています。
 演奏はフィッシャー=ディースカウ&ヘル(エンジェル)、Monica Groop&Ilmo Ranta(BIS)。フィッシャー=ディースカウの活動晩年の録音は最近「ペール・ギュント」組曲、ピアノ協奏曲と組んだ廉価盤でひっそりと初CD化されています。彼が同じ頃にヘルと組んで録音したヴォルフの初期歌曲集やメンデルスゾーンの歌曲集に、ハイネの同じ詩を用いたものがいくつか入っているのは興味深いです。

( 2006.02.17 甲斐貴也 )


TOPページへ  更新情報へ  作曲者一覧へ