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An eine Aolsharfe   Op.19-5  
  Fünf Gedichte
エオリアン・ハープに寄す  
     5つの歌

詩: メーリケ (Eduard Friedrich Mörike,1804-1875) ドイツ
    Gedichte  An eine Äolsharfe

曲: ブラームス (Johannes Brahms,1833-1897) ドイツ   歌詞言語: ドイツ語


    Tu semper urges flebilibus modis
    Mysten ademptum: nec tibi Vespero
    Surgente decedunt amores,
    Nec rapidum fugiente Solem.
                    Horaz

Angelehnt an die Efeuwand
Dieser alten Terrasse,
Du,einer luftgebornen Muse
Geheimnisvolles Saitenspiel,
Fang an,
Fange wieder an
Deine melodische Klage!

Ihr kommet,Winde,fern herüber,
Ach! von des Knaben,
Der mir so lieb war,
Frisch grünendem Hügel.
Und Frühlingsblüten unterweges streifend,
Übersättigt mit Wohlgerüchen,
Wie süß bedrängt ihr dies Herz!
Und säuselt her in die Saiten,
Angezogen von wohllautender Wehmut,
Wachsend im Zug meiner Sehnsucht,
Und hinsterbend wieder.

Aber auf einmal,
Wie der Wind heftiger herstößt,
Ein holder Schrei der Harfe
Wiederholt,mir zu süßem Erschrecken,
Meiner Seele plötzliche Regung;
Und hier ? die volle Rose streut,geschüttelt,
All ihre Blätter vor meine Füße!
「お前が嘆きの調べにのせて歌うは
亡きミステのことばかり
宵の明星が現れる時も 昇る太陽に彼が追われる時も
お前の心に思いの果てることはない」
ホラチウス(*)


この古びたテラスのつたの絡まる壁にもたれ
そよ風が生んだ詩神の弦よ
今一度奏でておくれ
お前の憂いに満ちた調べを...

遠くのほうからかすかな風がそよいでくる
ああ、私の愛したあの少年の眠る
新緑に輝く丘から吹く風よ
それは春の花々に触れて香りにあふれ
この胸を何と甘く締め付けることか
そしてハープの弦をかき鳴らし去ってゆく
私の心もたかぶり、また鎮まってゆく

突然に風がひときわ激しく吹き
ハープはやさしい叫び声をあげ
私の魂を不意に揺り動かして
甘美な戦慄でとらえる
あたりの満開のバラの花が揺すられ
いっぱいの花びらが
私の足元に散りそめていた







(注)

1:ホラチウス=メーリケが好んだローマの詩人。
  ギリシャ神話のエーオルスを詠ったこの詩が、メーリケの詩の冒頭(ヴォルフの楽譜にも)に掲載さ れている。
2:エーオルス=ギリシャ神話の風の神。失った恋人ミステを嘆き続けたという。
3:エオリアン・ハープ=ヨーロッパでかつて愛好された風で鳴るハープ。
4:「あの少年」=若くして亡くなった、メーリケのお気に入りだった弟のこと。


同じ詩に作曲されたヴォルフの霊感あふれる傑作にはやや及ばないと思いますが、前半部の美しさは劣らないし、後半もより穏やかで暖かい味わいがあります。

演奏:
1:フィッシャー=ディースカウ&バレンボイム(DG)
2:シュトゥッツマン&セーデルグレン(BMG)

この曲もやはりフィッシャー=ディースカウです。完璧無類です。女性ではつい最近発売されたばかりのナタリー・シュトゥッツマンが素晴らしい。深いコントラルトの響きが曲にぴったりです。96年の来日公演でも歌ってくれました。

( 1998.08.02 甲斐貴也 )


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