Kogda gljazhu tebe v glaza Op.4-3 Pjat' romansov |
おまえの瞳を覗き込むとき 5つのロマンス |
Kogda gljazhu tebe v glaza, Stikhajet na serdce groza; Kogda v usta tebja celuju, Dushoju verju v zhizn' inuju. Kogda sklonjus' na grud' tvoju, Ne na zemle ja, a v raju! Skazhi - ljublju - i sam ne znaju, Otchego tak grustno zarydaju! |
おまえの瞳を覗き込むとき それは私の心の嵐を鎮めてくれる おまえの口にくちづけをするとき 魂の底から私の人生が変わったように思えてくる おまえの胸にもたれかかると 天国の喜びに打ち震える だが、おまえが「愛してる」というと なぜわたしはこんなに悲しくなり すすり泣くのだろう |
ドイツ歌曲に詳しい方はお分かりの通り、シューマンの「詩人の恋」の第4曲に使われているハイネの詩です。
頑張ってロシア語訳(ミハイロフ:Mikhail Larionovich Mikhailov (1829-1865) 訳)から訳し戻しましたのでちょっと(かなり?)ニュアンスが違うところもあるかと思いますが、原詩とそう極端に変わっているところはないでしょう。
ハイネの詩はロシア人と相性が良いのかずいぶんたくさんの人がいろいろ取り上げており、もしかすると「詩人の恋」の全曲分の詩がロシアの作曲家の手になる作品でご紹介ができるくらいかも知れません。珍しいところではボロディンやムソルグスキーなんかもあるのですが、そんな中にロシア・ロマン派の最後の巨匠のひとり、アレクサンドル・グラズノフの名前を見つけたのは私としても嬉しい発見でした。
いまやバレエ「ライモンダ」や「四季」、それにヴァイオリン協奏曲などがごくたまに演奏されるだけの人となってしまった感のあるグラズノフですが、そのロマンティックな音楽は私も時折出会うたびに新鮮な感動を受けています。
さて、このグラズノフの歌曲、なかなか録音がなくて聴くことが叶わなかったのですが、歌曲全集のCDが出ていることを最近知りました。まだ入手には至っていないのですが新たなロシア歌曲の豊穣さを楽しめそうでわくわくしています。
ただこの曲だけは既に、セルゲイ・ラーリンのテナー、エレオノーラ・ベコヴァのピアノによる「Western Poets in Russian Music」シリーズの第1巻(現在3巻まで出ていると思います)で耳にすることができていました。彼のかなり初期の作品ということもあり、またこのCDでは原詩のドイツ語で歌われたこともあり極めてシューマネスクな味わい、「詩人の恋」の濃厚バージョンといった感じが非常に興味深いです。あんまりロシアっぽさはないですがそれもまた面白いところ。ロシア語のオリジナル版で聴いたらどんな風に聴こえるのでしょうね...
この詩、CDではロシア語詩が載っていませんでしたのでEmily EzustのLied and Song Texts Pageより原詩を使わせて頂きました。
あそこのページはロシア歌曲も大変充実していますので(詩をキリル文字で表示してくれるので訳す際に辞書を引きやすくしてくれますし)とても有難いです。
( 2006.02.16 藤井宏行 )