| 2012/04/19 ライバル・ファンの隠れニックネーム(その2 : リバプール編) |
イングランドの隠語ニックネームの第二弾はリバプール市の2チームです。
リバプール市の2チーム
リバプール・ファンは、エバトンのチームおよびそのファンを差す時に、隠語ニックネームである「ビターズ(bitters / 悔しがる、という意味)」もしくは、「ブルーノーズ(bluenoses / 青い鼻、という意味)」を使います。後者の方は、エバトンのチーム・カラーである青にちなんだ隠語です。
対して、エバトン・ファンがリバプールのチームおよびそのファンを差す時に、隠語ニックネームである「レッド・シット (Red Sh** / 赤いXX)」と呼んでいます。メールやフォーラムなど文章で表現する時には「RS」と略語表記の方が多用されています。これは、リバプールのチーム・カラーである赤にちなんだ隠語です。
尚、エバトン・ファンによるリバプールの隠語である「シット」は、イングランドでは印刷禁止用語であるため、正式なメディア上では「Sh**」と伏字になって表記され、BBCなどの正式な放送媒体では、その発音が「プップッ」という音に置き換えられます。つまり、テレビでエバトン・ファンがしゃべっている時に、「プップッ」という音が鳴ったら、リバプール(もしくはそのファン)のことを語っているのだな、とピンとくる、という次第です。
リバプール・ファンがエバトン・ファンのことを「ブルー・ノーズ」より「ビターズ」の方が多用されている理由は、(リバプール・ファンいわく)エバトン・ファンは自分のチーム(=エバトン)のことよりリバプールのことの方が重要だから、とのことです。「ビターズ」の語源である「ビター(bitter)」は、イングランドのビールの中で苦い味のものを「ビター」と呼びますが、人がビターだ、という表現は、その人が嫉妬深い・ライバルのことを過剰に意識する、という意味を持っています。そのような次第で、エバトン・ファンは「ビター」な人々であることから「ビターズ」と呼ばれるに至りました。
具体的には、(リバプール・ファンいわく)エバトン・ファンは、「エバトンがチームとして良い成績を残すことよりもリバプールより良い成績を残すこと」の方を重要視している、と言われています。つまり、たとえばエバトンがリーグ2位で終わったとしても、リバプールが1位だった場合には、エバトン・ファンにとっては「失敗」です。逆に、エバトンがリーグ17位(降格ゾーンのひとつ上)で終わったとしても、リバプールの方がエバトンより下ならば、「成功」とみなします。
スタジアム名の隠語
リバプール・ファンは、エバトンのホーム・スタジアムであるグッディソン・パーク(Goodison Park)を隠語で「ウッディソン・パーク(Woodison Park / Woodは木のこと)」と呼んでいます。これは、グッディソン・パークが古いスタジアムであり、木造だという意味で呼ばれています。
ノルウェー人
エバトン・ファンは、自分たちが市内の唯一のチームである、と主張し、「リバプール・ファンは全員がノルウェー人」と言っています。もちろん、これは真相ではありませんし、エバトン・ファンも真相ではないということを知っているにも関わらず、敢えて「リバプール・ファン=ノルウェー人」と言い続けています。
ファンがジョークで言うのはさておき、一時、エバトンFCがオフィシャル製品の「マージーサイドの地図にエバトン、ノルウェーの国旗にリバプール」というデザインのTシャツを発売したことがありました。これは、すぐに取り下げとなりました。その理由は、エバトンFCのオフィシャル・サポーターズクラブのノルウェー支部から苦情がきたためだそうです。
市外の人々による両チームの隠語
市内のライバル同士の隠語は以上です。ちなみにリバプール市は歴史的に、イングランドで最も失業率の高い市です。現在もそれは変わりません。そのような経済的な理由から、市外の他チームのファンがリバプール市の2チームのことを呼ぶときに、「失業者=貧乏人」にちなんだ言葉を隠語として使うことが今も多く見られます。
その例として、リバプールFCのクラブ歌であるYou'll Never Walk Aloneの替え歌で「Walk On」を「Sign On」に変えて、失業者の歌にした替え歌が、今でも多くのチームがリバプール戦で歌います。
また、リバプールの2チームのことを「ビン・ディッパーズ (bin dippers / ゴミ箱あさり)、または短縮してディッパーズ(dippers)」と呼んでいます。これは、「失業者=貧乏人=ゴミ箱あさり」という経済事情ネタの隠語です。一般的には、「ディッパーズ」というとリバプール・ファンのことを差すことが多いようですが、中には正確さを尊重し、エバトン・ファンを「ブルー・ディッパーズ」、リバプール・ファンを「レッド・ディッパーズ」と識別する人もいます。
以上、リバプール編でした。
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