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2012/04/19 ライバル・ファンの隠れニックネーム(その1 : マンチェスター編)

イングランドの各クラブには、自称の正式ニックネームがあります。具体的には、プレミアリーグの各クラブのニックネームをまとめた記事「クラブの通称とニックネーム」を参照ください。

しかし、この正式なニックネームとは別に、ファン同士の間で、ライバル・チームのことを隠語のようなニックネームで呼んでいるケースが非常に多い、というよりは殆どすべてのファンがやっていることです。ライバル・チームというのは基本的に、ダービーの対戦相手のチームのことです(具体的には「ダービーとは?」)。具体的な隠語ニックネームについて、公序良俗に反しない範囲内で、紹介します。

マンチェスターの2チーム
シティ・ファンがユナイテッドのチームおよびそのファンを差す時に圧倒的に多くつかわれるのが、隠語ニックネーム「ラグス(rags / ぼろ、という意味)」。

対して、ユナイテッド・ファンがシティおよびそのファンを差す時には「シッティ(Citeh)」が使われます。こちらの方はユナイテッドだけでなく、他のチームのファンもシティのことを差す隠語として使っています。

この隠語はどちらも歴史があります。

●ラグス(rags / ぼろ、という意味)
実は、このニックネームを「作った」のはユナイテッド・ファンでした。ユナイテッドが1878年に創立した直後は、しばらくは弱小チームでした。あまりにも弱かったチームの試合を見て、ある時ユナイテッド・ファンが「このチームはラグス(rags)ぞろいだ」と嘆いたことが発端でした。

ユナイテッドが強くなった後は、もちろんこの「ラグス(rags)」言葉はユナイテッド・ファンの間では使われなくなりました。そこで、隣人のシティ・ファンがそれを使い始めたそうです。そして今も、その隠語はシティ・ファンの間でバリバリ使われています。

●シッティ(Citeh / 特に意味はなし)
これは、マンチェスター市民のアクセントで「City」を発音すると「シッティ(Citeh)」となることから出来た造語です。言うまでもなく、この隠語を使い始めたのはマンチェスター市民ではなく、ロンドン市民だったそうです。つまり、ロンドン市民が、マンチェスター市民のアクセントをからかう意図で作られた言葉でした。

それを、ユナイテッド・ファンが隣人シティに対して使うことに決めたようです。もちろん、ユナイテッド・ファンだけでなくイングランド中のファンがシティのことを「シッティ(Citeh)」と呼んでいますが、これは歴史から考えると他のファンがユナイテッド・ファンをまねた、というよりはその逆というべきでしょう。

これに対して、シティ・ファンは「ラグスが我々のことをシッティ(Citeh)と呼ぶのはおかしい。なぜなら、それは由来から考えるとロンドンの人がマンチェスター市民を笑った隠語なのだから、ユナイテッドも笑われている対象に入っているはず。なのに自分たちを棚に上げて我々の隠語として使っているということは、理にかなっていない。やはりラグスは地元市民よりロンドン市民の方が多い、ということだ」と反論しています。

スタジアム名の隠語
加えて、両ファンは相手方のスタジアムの名前も隠語で呼んでいます。シティ・ファンがユナイテッドのホーム・スタジアム(オールド・トラッフォード)を差す時に「The Swamp(沼地、という意味)」と呼ぶことが多く、ユナイテッド・ファンがシティのスタジアム(2011年まではシティ・オブ・マンチェスター・スタジアム。現在はエティハド・スタジアム)を「wastelands(荒れ地、という意味)」と呼んでいます。これは、エティハド・スタジアムの所在地がイーストランズ(Eastelands)という地区にあるため、シティ・ファンや一般的なマンチェスター市民がスタジアムのことを差す名前ですが、ユナイテッド・ファンはその「イーストランズ」をパロって「ウェイストランズ」と呼んでいるというわけです。

以上、マンチェスター編でした。


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