プレミアリーグ観戦ガイド

アウェイ・サポーターが元気な理由

プレミアリーグの試合を見ていると、たいていの試合でアウェイ・サポーター・スタンドの方が盛況ですね。(テレビ画面から出てくる音声だけに頼っていると、スタンドの声援がアウェイ・サポーターなのかホーム・サポーターなのか判明が付かないことがあるかと思いますが、スタジアム観戦の際にはどちらのスタンドからの音声なのかは歴然です。)

基本的に、プレミアリーグの試合は、ホーム側のクラブが、アウェイ・チームに対してチケットを割り当てます。試合によってその割合は全く異なりますが、おおむね1,000枚〜4,000枚程度がアウェイ・サポーター用に割り当てられます。例外的に、ブラックバーンは最大で7,000枚を割り当てることもありますが、これはかなり「太っ腹なクラブ」と言われています。

各クラブのホーム・スタジアムの収容人数は、これまた全く異なりますが、20,000人程度のスタジアムからオールド・トラッフォードのように76,000人入るスタジアムもあります。差が大きいため、話を進めるために平均的に40,000程度だとします。

その40,000人(平均)のうち10%未満の3,000人(平均)程度のアウェイ・サポーターが、90%以上のホーム・サポーターよりも大きな声を出すことが圧倒的に多い、というのが現状です。これは、どうしてなのでしょう?

理由は、アウェイ・サポーターの方が基本的に「熱烈なファンが多い」ためです。

もちろん、これも状況により差は出ます。アウェイの試合というのは基本的に「遠い都市まで旅行しなければならない」ため、チケット代金に加えて高額の旅費という出費が伴います。更に、試合が月曜日の夜にシフトされた場合には、離れた都市での試合ならば仕事(や学校)を休まなければ行けません。それほど離れた都市でないにせよ、平日の夜の試合は終了時間が22:00というのが一般的ですので、それから電車に乗って帰宅する、というのは無理な場合もあります。そうなると、翌日も休まなければなりません。

そのような事情も踏まえた上で、概して、アウェイ・サポーターは「大変な状況の試合に駆けつける程の熱心なファン」ということが言えるでしょう。

勿論、殆どのクラブでは、アウェイの試合のチケットというのはホームの試合に比べて絶対数が少ないため、チケットを購入すること自体代が激戦となります。

通常、アウェイのチケットはまずは優先販売から開始します。最初にシーズン・チケット・ホルダーに対して販売が行われます。そこで売れ残りがあれば、クラブのオフィシャル・メンバーに対して販売が行われます。そこで万が一売れ残りがあれば、一般販売が行われます。

ビッグ・クラブでは、殆どのケースで、アウェイ・チケットはシーズンチケット・ホルダーへの販売だけで売り切れになってしまいます。

これは、そのアウェイ戦がどの程度離れた距離のスタジアムで行われるか、もしくはそのアウェイ戦がビッグ・マッチであるか否か、という要素によっても若干異なります。

当然のことながら、近場で行われる試合ならばファンの足はより運びます。具体的に言うと、例えばイングランドの北端にあるニューカッスルとかサンダーランドのファンにとって、ロンドンまで出かけるのは大変な旅行です(逆も真なり、です)。でも、例えば、(ダービー戦は勿論全て該当しますが)、10キロ程度の距離にあるリバプールからウィガンまで出かけるのは、さほどの苦痛ではありません(逆も真なり、です)。リバプール市内のファンにとっては、マンチェスターやボルトン、ブラックバーンなども近場になります。行きやすいスタジアムでのアウェイ戦ですから、チケットの需要は高まります。

仮に遠い場所で行われる試合でも、自分のチームが例えば優勝だとか降格だとか、その他大きなものを賭けている試合の場合は、財政的な無理を承知の上で行きたいというファンも増えます。

ますます、アウェイ・チケットの確保は激戦になりますから、シーズンチケット・ホルダーの中でも優先販売が適用されます。具体的には「昨季のアウェイ戦に10試合以上購入した履歴のあるシーズン・チケット・ホルダーのみの優先販売」という具合に、優先販売が行われます。シーズンチケット・ホルダーというのは、大抵はホーム・スタンドの収容人数の半分程度の数ですので、数字上でアウェイ・チケットはシーズンチケット・ホルダー全員には行き渡りません。従って、シーズンチケット・ホルダーの中でも特に熱烈なファンだけがアウェイ・チケットを購入できることになります。

要は、アウェイのチケットを購入できるファンというのはそのクラブのファンの中でもコア中のコア、という人々だけとなります。

つまり、アウェイの試合に行くファンというのはほぼ100%が熱心なシーズン・チケット・ホルダーなのです。ホームの試合に応援に駆け付けるファンの中でも最も熱心なファンがシーズン・チケット・ホルダーですから、そのような熱心な人々だけが3,000人集まったスタンドは、例えば当日券を買って入る家族連れとかのんびりとしたファンが少なくないホーム・スタンドの40,000人に比べて、遥かに大きな応援をする、という理由は納得できるかと思います。

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