プレミアリーグ観戦ガイド

チャントと歌

プレミアリーグの各試合では、両チームのファンがスタンドで大音量の応援を繰り広げます。中でも歌やチャントが多いのがイングランドの特徴と言えるかもしれません。

チャントと歌との違い?
歌(song)とは文字通り、歌のことです。これは、有名なクラブ歌(anthem)であるYou'll Never Walk Aloneのように、あたかもオリジナル・ソングであるかのようにクラブと歌が密接に繋がっているものは勿論ですが、一般の歌を使って歌詞をチームの応援歌にしてしまう替え歌も「歌」です。例えば、同じくリバプールを例にすると、リバプール市の名手であるビートルズの曲イエロー・サブマリンのメロディに「我々はみなキャラガーのチームを夢見ている(We all dream of a team of Carragher)」と歌う「ジェイミー・キャラガーの応援歌」も「歌」です。

これに対して、チャント(chant)とは、いわゆる一般の歌のメロディにオリジナルの歌詞を乗せたものではなく、チーム名や選手や監督の名前を連呼するものや決まり文句を発する際に、ちょっとした音節を付けてあたかも歌のように合唱するものです。要は、歌のように聞こえるけれども有名な歌のメロディでないではないものが「チャント」です。

どんなチャントが多い?
多くの場合、「歌」は自分のチーム(チームそのもの、監督、特定の選手)の応援歌であるのに対して、チャントは、多くの場合、相手チームに対するヤジをユーモラスな表現にしたものが飛び交います。必然的に、このような相手チーム・ネタのチャントは試合中に両チームのファンが相手ファンのスタンドに向かって飛ばすことになります。

それに対して、やられた方のファンは、別のチャントでやり返すことで、両チームのファン同士がスタンド越しに「チャントの飛ばし合い」をすることになります。これはイングランドのスタジアムでは非常に良く見られる風景で、聞いていて笑えるような面白いチャントを飛ばせば他から誉められるというような、試合に花を添えるフットボールの風物詩となっています。

要は、「相手に対するヤジ」と言っても中傷や悪意が感じられる悪口、というものではなく、やられた側も笑ってやり返すようなユーモラスなヤジをチャントとして飛ばし合うことが、イングランドの伝統的な試合風景です。

ページの先頭へ

定番チャント
特定のチームのファンだけが飛ばす特定のチャントというものは勿論多いのですが、場面に応じてどのチームのファンも使えるようなチャントもあります。以下に、各場面ごとに有名なチャントの一部を紹介します。

ただし、定番というほどに使い古されたものは面白みがなくなってしまうので、逆に、その時々でタイムリーに飛び出すものの方が遥かに面白いチャントです。

ぼろ負けしているチームのファンの定番チャント
例えば試合が一方的になった時、イングランドでは、負けている側のファンは「負けている」ことをネタにしたジョークを飛ばすことが非常に多く見られます。自分のチームが負けている時に、怒ったり泣き出したり、という行動はファンとして恥ずかしい行為であり、負けている時にこそ盛大にジョークを言って「試合は負けているが、我々は負けていない」健全ぶりを見せつける、というのが正しい行動、ということです。

さて、例えば3-0などの大差で1点も取れずにぼろ負けしているチームの定番チャントです。
「我がチームが得点したふりをして祝おう!(Let's pretend we scored a goal)」
→せっかく応援に来てるのに、祝ゴールをしないで帰るのはしゃくだから、ゴールが出たと思って喜ぼう!

勝っている側のチームのファンの相手チームの監督に対する定番チャント
「あなたは明日の朝クビになる(You're getting sacked in the morning)」
→負けている側の監督に向かって飛びすチャントです。これは、相手チームの監督が本当にクビになりそうな状況にあるか否かに関わらず、比較的多くの場面で聞かれます。逆に、この1敗でもクビになどなる筈がないようなチームの監督に向かってこのチャントを飛ばす方がウケることになります。

ページの先頭へ

同点に追いついた時のチームのファンの相手チームのファンに対する定番チャント
「君たちはもう歌っていない(You're not singing anymore)」
→自分のチームが勝っている時は歌うけれども、勝てない時には歌うのをやめてしまう、と言って相手チームのファンをやじる、というものです。

ダービー戦で、勝っている側のチームのファンが相手チームのファンに対する定番チャント
「この町の主は我々だ!(The City's all ours)」
→ダービーですから、その市(または地区)のチーム間で勝ち負けを争っているわけで、勝った方のチームがその市を制覇する、という意味ですね。これは、この文言の前に、「君たちは■■に帰りなさい!(**** off to ■■)」という言葉が入ります。■■は地名で、ダービーによって、勝っている側のチームによって、異なります。

例えば、マンチェスター・ダービーでシティが勝っている場合■■は「ロンドン」となります(10/23に実際に飛んだチャントでした)。マージーサイド・ダービーで、リバプールが勝っている場合は「カークビー(Kirkby)」、エバトンが勝っている場合は「ノルウェー」です。※この地名の意味は別の場で...

パロディ・チャント(アーセナル対チェルシー編)
2007/08季のエミレーツでのリーグ戦で、アウェイ・スタンドのファンに向かって飛ばしたチャント
「君たちもうチャンピオンじゃない(You're not champions anymore)」
→チェルシーは2005/06季にリーグ優勝しましたが、その翌季は優勝できませんでした。最近チェルシーに対するライバル意識を強めているアーセナル・ファンが、チェルシー・ファンに対してリーグ優勝できなかったことを思い出させるチャントを飛ばしたということです。言うまでもなく、「君たちはもう歌っていない(You're not singing anymore)」のパロディです。

アンフィールドのアウェイ・スタンドの定番
「君たちの有名な雰囲気はどこへ行った(Where's your famous atmospehere)」
→アンフィールドは「最も歌やチャントが多いスタジアム」と有名ですが、アンフィールドを訪れる対戦相手のチームのファンは、必ず、リバプール・ファンの歌やチャントが途切れた時にこのチャントを飛ばします。要は、「歌やチャントで有名な君たちだが、もう歌っていないじゃないか!」ということです。

ページの先頭へ
   
Copyright 2004-2012 EPL_Guide All rights reserverd.