プレミアリーグ観戦ガイド

記念試合(Testimonial)

イングランドで時々耳にする「記念試合(Testimonial)」とは、簡単に言うと、一つのクラブで10年間プレイした選手に与えられる功労賞の一環として行われる試合のことです。最近では、かつて程に頻繁に行われなくなりましたが、この記念試合(Testimonial)について、経緯をかねて簡単に説明したいと思います。

試合目的
最近では変わってきましたが、80年代頃までは、その功労賞を与えられる10年選手の財政的補助という目的でした。10年間一つのクラブに在籍した選手というのは、多くの場合では引退間近という年齢になっています。昔は現在のように高給取りでなかった選手達にとって、記念試合(Testimonial)というのは引退後の資金にするための、いわば勤続10年に対するボーナスのような位置付けでした。

試合内容
その10年選手が主催者となり、試合内容を決めます。通常は所属クラブのホームスタジアムを使いますが、それ以外のあらゆる要素は選手自身が決めます。つまり、試合日程は勿論、自分のチームの出場選手、対戦相手、レフリー、記念品などの物品販売や広報活動に到るまで、全て選手本人が企画します。もちろん、チケットの価格や出場者に対するお礼(試合に出場してもらうための報酬)も、選手本人が決めます。収益は全て、選手本人に行きます。

ページの先頭へ

対戦相手
自分のチームとしては、多くの場合には自分のクラブに所属している現役選手や、10年間の選手生活中にお世話になった先輩(既に引退している選手や監督)という選択肢が好まれるようです。
いっぽう対戦相手としては、基本的にはどのチームでも良いわけですが、「出場をお願いする」のも自分ですから、当然のことながら、話を持って行きやすい相手ということになります。
例えば、2010年に記念試合(Testimonial)を実施したリバプールのジェイミー・キャラガーの場合は、隣人であり自らが少年時代に熱烈なファンだったエバトンが対戦相手となりました。理由として「出来るだけ多くの収益金を出すために、なるべく交通費のかからない近場のチームにしたかった」と説明しました。

キャラの記念試合。両チームのマスコットが多数参加しました。和やかな雰囲気で試合開始です。

ページの先頭へ

試合が行われる時期
もちろん例外はありますが、開催時期として圧倒的に多いのが、シーズン終了直後の5月末か、シーズン開始直前の8月初旬です。当然のことながら、出場する選手達の中には現役選手もいますから、それら選手達が無理なく都合が付けやすい日程が多くなります。
例外としては、上述のキャラガーの場合はシーズン中のインターナショナル・ウィーク(2010年9月4日)に行われました。

収益金の行方
上述の通り、昔は選手の引退後の資金となりましたが、現役時代の収入が飛躍的に増大している最近の選手は、かなり多くのケースで、チャリティに寄付されています。上述のキャラガーの場合は、自ら主催しているチャリティ(23 Foundation)に半分、残り半分を対戦相手であるエバトンが指定するチャリティに寄贈されました。

試合を見るには
通常は、主催者である選手の所属クラブのチケットオフィスで前売り券が販売されることが多いようです。また、よほど例外的なケースでない限りは、チケット発売と同時に売り切れになるようなことはありませんので、記念試合のチケットは非常に入手しやすくなっています。また、できるだけ多くのファンに来てもらうため、価格もリーグ戦などに比べて安価に設定されていることが多いようです。

ページの先頭へ

10年選手は必ず開催する?
昔はほぼ「必ず」と言って良い程に開催されていましたが、最近では、記念試合(Testimonial)の資格を得ながらも開催していないという選手が多くなってきました。これは、上述の通り、財政面では昔に比べて記念試合の必然性が減少してきていることも関係あるかもしれません。
例えば、リバプールではスティーブン・ジェラードは1998年からリバプールのファーストチームでプレイしているため、2008年に資格を得ていますが、今だに開催していません。また、2011年夏に記念試合を行った元マンチェスターユナイテッドのガリー・ネビルも、2002年には資格を得ていましたが、引退後の2011年5月24日に実施しました。

キャラの記念試合。スタンドもかなり埋まっていました。35,000人超のファンがキャラの記念試合に駆けつけました。

ページの先頭へ
   
Copyright 2004-2012 EPL_Guide All rights reserverd.