観戦記
2010/05/03 ウィガン 2-2 ハル・シティ |
ウィガンへ
さて、5月3日はウィガンに行きハル・シティ戦を見ることにしていた。インターネットで電車の時間を調べたところ、リバプールからウィガンというのは非常に近くて、電車もかなり頻繁に出ていることが判明する。
ただし、スタジアムが初めての訪問となるため、念のためちょっと早めに行くことにした。ライム・ストリート駅を11:20に発車する電車に乗ってウィガンへ向かう。
電車は予定通り30分そこそこでウィガンに到着する。マンチェスターへは1時間くらいなので、所要時間は半分だ。非常に便が良い。チケットの購入も(相手がハル・シティだからということもあるとは思ったが)、相当な楽勝で簡単に入手できた。スタジアムも、地図で調べたところ鉄道の駅からそんなに遠くなさそうだ。ストークよりは大きな町だろうから、万が一迷っても、街中には人がいるだろうから質問すれば大丈夫ではないか、と思った。
ともあれ、駅を出て、まずはスタジアムへ向かう方向だけでも聞こうと、切符売り場に行く。ツーリスト・インフォメーション・センターらしきものは駅の中にはなかったので、とりあえずそこで聞いてみよう、くらいの気持ちだった。
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■ウィガン駅からDWスタジアムへ
窓口の女性に「フットボール・スタジアムに行きたいのだが、どう行けば良いか教えて頂けますか」と尋ねる。このような小さな町ではスタジアムの名前を言わなくても'フットボール・スタジアム'で大抵は通じる。ここでもやはり、問題なく通じた。しかも、駅の切符売り場だというのに、スタジアムへの行き方の案内もしてくれたのだった。なんとラッキーなことか。
窓口の女性は「歩いてゆくの?それとも、バス?」と言う。あれ、では歩いて行けるのか、と思ったが、とりあえずバスとタクシーの乗り方を聞いた。バスは駅を出た道にバス停があり、60番のバスに乗ればスタジアムに着く。タクシー乗り場はバス停の手前にある、とのこと。なんとも簡単そうだ。お礼を言って外に出た。
時間もたっぷりあるし歩いて行ってみようかということになった。ちなみに、私は日本で印刷してきたgoogle mapを持っていたので、その略図を手に、道の名前をチェックしながら歩いてゆくことにした。結果的にほとんど迷わずに最短距離と思える道を通ってスタジアムに着けた。
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■DWスタジアム
スタジアムに到着し、まずはチケットオフィスに行って、購入しておいたチケットを受け取った。
時間は12:10、まだまだ時間はたっぷりあった。まずは、スタジアムを一周することにした。小さなスタジアムなのですぐに一周歩き終わった。途中、アウェイ・サポーター・スタンドの入り口の付近で、ハル・シティのマスコット(トラの縫いぐるみを着た人間)がいて、周囲のファンと喋っている姿が見えた。なんと。アウェイのチームのマスコットまで登場する試合は、これまで見たことがなかった。たぶん、ハルにとっては最後のプレミアリーグのアウェイ戦になるかもしれない、ということで、わざわざハルから来たのだろう。ハルからウィガンまでというと、そんなに遠いとは言えない距離でもあったことだし。
続いて、メインスタンドの入り口の前に戻ってきたところで、ハル・シティのチーム一行のバスがちょうど到着したところだった。ファンがバスの周りに集まり、声援や拍手を送っていた。なんとなく二人でその人だかりに加わって、ハル一行の到着を迎えた。ウィガンの方はもう来てしまっているらしく、ハルのバスが終わったらみんな散って行った。
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■スタンドへ
そうこうしているうちに試合開始が近付いて来た。我々が来た道と逆側の入り口からも人々がぞろぞろと詰めかけて来る姿が見えた。家族連れが多く、なかなか良い雰囲気だ。Bさんと私の席は全く逆側と言ってよい程離れたスタンドだったので、試合開始45分くらい前に、例のごとく試合後の待ち合わせ場所を決めて分かれた。
それから私はゆっくり歩いて自分の席のゲートに行き、一服した後で早々にスタンド入りした。私の席は2階席だったので、階段を上ると、パブやカフェがある場所に着いた。私は何も買わなかったが、既に数人のファンがテレビを見ながらわいわいやっていた。トイレに入って少しうろうろした後で席に行く。ちょうど両チームのウォームアップが開始したばかりの時間だった。
アウェイ・サポーター・スタンドを見ると、ハルのファンがゴール裏のスタンドを占有していた。アンフィールドで言えばアンフィールド・ロードが全部アウェイ席になったようなものだ。アウェイ・スタンドの方は非常に活気があった。彼らにとっては、この試合が降格決定の可能性を持つ重要な試合だったから、気合が入るのも当然かもしれない。
対照的に、ホーム・サポーター・スタンドはがらがらに近かった。まだ時間が早いせいかもしれないが、なんとも...と苦笑。
暫くマッチプログラムに没頭しているうちに、私の両隣りの席が埋まった。隣は女性で、座る時に私にこんにちわ、と声をかけてくれた。私もこんにちわ、と返す。いい感じだ。いかにも小さな都市の唯一のクラブの試合っぽい感じだ。
ふと見ると、ホームスタンドも70%くらいは埋まっていた。それでも両端は空席が目立った。ホーム最後の試合はシーズン中で最も入場が多い試合の一つのはずなのに、と再度、苦笑する。
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■試合
さて試合開始。ハルはなにしろこの試合に勝てなければ降格が決まるとあって、最初から攻めていた。ところが先制ゴールは(何も賭けていない)ウィガンだった。
驚いたのは、ウィガンの先制ゴールの直後に、場内アナウンスで音楽が鳴ったことだった。なんと!しかし、もっと驚いたのは、アウェイ・スタンドのハルのファンが音楽に合わせて踊っていたことだった。このゴールで降格に片足を踏み入れたというのに、なんと明るいことかと感激する。
それからゴールもそこそこ出て、ハルが2-1と逆転した。
試合終了5分前、私の右隣の女性が一人で帰ってしまった。うむむ...たしかに、ウィガンは負けていた。しかしアーセナル戦の後でも、ファイナル・ホイッスルの前に帰る人がいるとは、と驚いた。そんなことを考えていると、なんと試合はアーセナル戦を彷彿させるインジャリー・タイムの同点ゴールが出た。
試合結果は2-2、気の毒にハルの降格が決定した。アウェイ・スタンドからは盛大な拍手が飛んだ。これも典型的なイングランドのチームのファンの姿だった。
試合終了の後、選手達が出て行ってしまった後も、スタンドのファンはまだ帰らずにいた(私の隣の人のようなアーリー・リーバーは別だが)。この後、チーム一行が戻ってきて、ファンへの挨拶があるのだろうと思った。
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■スタジアムから帰途へ
外に出ると、雨が降っていた。気温もぐっと下がり、急に寒くなっていた。試合前は暑いくらいだったのに。典型的なイングランドの気候だと苦笑する。
雨を避けるために木の下で待っていると、暫くしてBさんが出てきて、落ち合う。二人とも傘を持ってないし、バスに乗ろうかどうしようか、と相談したが結局、歩いて駅に向かうことにした。帰りは道がわかっていた分、来た時よりも順調に進み、15分そこそこで駅に着いた。近道もありそうに見えた。返す返すも便利なスタジアムで、チケットはいくらでも入手できそうだし、ウィガンはマンチェスターシティよりも来やすいねとBさんとうなづき合った。
駅に着いて、リバプール行きの電車も間もなく到着し、問題なくホテルに帰着した。なんともラクな日帰り旅行だった。
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