プレミアリーグ観戦ガイド

観戦記
2012/1/22 マンチェスターシティ 3-2 トットナム

マンチェスターへ

サウスポートからマンチェスターまで直通の電車が出ています。これまで、ウィガン、ボルトンと次第に遠出していよいよ終着のマンチェスターまで来ました。マンチェスターに来てみると、ウィガンとボルトンがマンチェスターといかに近いかということがしみじみ実感できました。サウスポートからマンチェスターまで(ほぼ各駅停車に近い電車でも)1時間半程度です。ウィガンまでは40分、ボルトンまでは1時間です。

ビクトリア駅 別の路線になりますがウィガンはリバプールからも35分程度です。更に、ボルトンから逆方向に行くとブラックバーンやブラックプールもすぐ近くです。この近辺一帯が、本当に「お隣さん」であることは十分に実感できました。

ビクトリア駅からピカデリー・ガーデンへ さて、この日のマンチェスターです。サウスポートからの電車はこの時期は殆どがビクトリア駅に止まります。ただ、時々ピカデリーに行く電車もあります。間違えると痛い目に合います(帰りの電車の方で)...イングランドの鉄道は、まったくもって不親切です、とは地元の人も文句を言っているくらいですから、外国人観光客にとっては頭痛ものです。

ツーリスト・インフォメーション・センター ともあれ、到着する場合にはビクトリアもピカデリーも大差ありません。両駅は徒歩でもせいぜい25分、シティのスタジアムへ行くバスは更にその中間にあるピカデリー・ガーデン付近から出るので、ビクトリアからは徒歩15分程度です。トラムも通っています。歩く道は、トラムの線路に沿って歩けば(若干遠回りですが)間違えません。

さてこの日は、今回の滞在中のマンチェスター訪問初日だったので、市内の地図をもらうためにツーリスト・インフォメーション・センターに行きました。ピカデリー・ガーデンのすぐ裏にあるガラス張りのオフィスです。シティへのバスとは逆端ですが、徒歩3分くらいです。

216のバスの群れ 地図をもらうついでに、スタジアム行きのバスについて念のため確認しました。216ということは変わっていませんでした。もちろん、この時は「シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム」で十分通じました(当たり前ですが)。

日曜日のランチタイム・キックオフでしたが、11時過ぎに早々にスタジアムに行くことにしました。バス乗り場(スタンドD)に行くと、216のバスはだんごのように連なって待っていました。すばらしい...。更に、料金は£1.50でしたが、以前は乗る時間帯により料金が異なったと記憶していたのですが今回は乗る度に£1.50でした。ちなみに、アンフィールドは市内のバス停から£1.80、これも毎回同じ料金でした。

さて、バスはすぐにスタジアムに着きました。



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エティハド・スタジアム

エティハド・スタジアム シティのホームの試合は通算7回目、メイン・ロード時代が最初でしたが、最初から今回に至るまでに最も大きな変動を遂げたクラブだと思います。

ちなみに、前回はちょうど1年前のことでした。しかし、そのわずか1年間の間に、既にシティは変わりました。最も大きな変化は、スタジアムの名前が変わったことです。

試合前のジャイアントスクリーン 今回はシティ・オブ・マンチェスター・スタジアムからエティハド・スタジアムに改名して以来、初めての観戦となりました。

そもそも名前は変わっても実態は変わらないだろうと軽い気持ちでいました。行き方も変わらず、ピカデリー・ガーデンから出る216のバスに乗ってたどり着いたのは試合開始2時間ちょっと前でした。

しかし...スタジアムの敷地内に入ってからは「変わったのは名前だけではなかった」と驚いたことがいくつもありました。

トラムの駅 まず、スタジアムにトラムが通るようになるらしいことです。明らかにトラムの駅が作られていて、具体的には何年何月に開通という通知はなかったのですが、そのうち出来るだろうこと間違いないと思います。これはすごいことだと思います。隣のユナイテッドに比べてシティは(メイン・ロード時代から同じく)バスしか通っていない場所にあり、やや不便さを感じていたのですが、それも解消されます。いかに市がシティを盛り上げようとしているか、ということがわかって、ちょっと嬉しくなりました。

ちなみに、トラムは2012年春に開通という情報を後日、聞きました。具体的な日にちはまだ出ていないようですが、既に駅もできていたしいずれは開通という情報も納得できました。楽しみです。

サマビー・バー 次に変化に気づいたのは、スタジアムの敷地内(ゲートをくぐる前)に、バーやカフェができたことです。これは1年前に来た時に、バーができたことは気付いたのですが、カフェの方は、売っている食べ物の内容が非常に充実していて、これは驚きました。フットボール・スタジアムの敷地内に、まともな(と言っては失礼ですが^^;)食べ物を売るカフェがあるとは!なんと型破りなことでしょうか。ちなみに、そのカフェの名前はBlue Moon Cafe。あまりにも当たり前すぎて笑えました。

座り心地良い椅子 更に、スタンドに入った時に最後の驚きがありました。私の記憶が間違っていなければ、1年前までは座席は他のスタジアム同様に、プラスティックの硬くて冷たいシートでした。しかし、今回はなんとクッション付きの温かい座り心地の良いシートになっていたのです。

なんと!ここまでファン・サービスが向上したとは想像しませんでした。変わったのは名前だけではなかった。シティ・ファンが今季は妙に元気いっぱいな理由の一部がわかったような気がしました。(もちろんチームの成績が最高の理由でしょうけど)

クラブがファン・サービスを重視してそこにお金を使うという姿は、非常に良いことだと思います。シティの例に倣って他のクラブもファン・サービスを見直してほしいものだとしみじみ感じます。



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ブルー・ムーン

ブルー・ムーン・ライジング シティのクラブ歌がブルー・ムーン(Blue Moon)であることは有名ですが、スタジアムに来るとブルー・ムーンだらけで逆に笑えてしまいました。前のポストで、スタジアムの敷地内のカフェがブルー・ムーン・カフェという名前だったことは書きました。以下、ブルー・ムーンの一覧です。

・ブルー・ムーン・カフェ : スタジアム敷地内のカフェ
・ブルー・ムーン・ショップ: スタジアム敷地内の特設クラブショップ
・ブルー・ムーン・バー : スタンド裏のバー

ブルームーン・カフェ もちろん...
試合前に必ずかかる曲はブルー・ムーンです。更に、スタンドのホーム・サポーターは試合中に何度も何度もブルー・ムーンを歌っていました。

更に...
試合開始1時間前くらいにスタジアム敷地内を、3人のブラス・バンド(と呼んで良いのかわかりませんが)がブルー・ムーンを演奏しながら行進していました。これは、ファンがみな微笑みながら拍手を送っていました。

ゲートからスタンドへの螺旋 ブルー・ムーンとは直接関係ないのですが、スタジアム敷地内のバーやカフェがある場所に、ジャイアント・スクリーンが設置されており、バーやカフェで試合前のひとときを過ごしているファンにシティ情報を放映しています。これも、ファン・サービスの一環で、1年前に来た時にすでにできていました。とても良いことだと思います。このような施設があることで、ファンは試合開始時間より早めにスタジアムに向かうようになり、交通渋滞の解消にもなるし、ファン同士の交流にもなります。

スタンド裏 あと、今回はブルー・ムーン・パーの方に入ってみました。これはクラブが経営しているらしく、入口でチケット・チェックがありました。要は、スタンド裏のバーと同じ位置づけなのでしょう。もちろんバーにはファンで混雑していましたが、しかし入ってみるとカウンターにそんなに列ができておらず、あまり待たずに飲み物が注文できました。しかも、スタンド内ではないため煙草が吸えます。

多くのファンが、このバーに入って会話しながら煙草を吸いながらジャイアント・スクリーンを見入っていました。

返す返すも、シティがクラブとしてファン・サービスに努める姿には感銘を受けました。



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ピッチの上はつまらなかった前半

この試合は日本でもテレビ放送があったので、試合内容というよりは試合内容に合わせたスタンドの反応について、簡単にレポートします。

スタンドのジャイアントスクリーン まず、恒例のブルー・ムーンの演奏で両チームが入場します。言うまでもなく、ホーム・スタンドのファンは全員が立ち上がって合唱しました。ブルー・ムーンのシティ・バージョンで、Blue Moon, you saw me standing alone without dream in my heart without love of my ownという部分だけをずーっと繰り返すバージョンです。このシティ・バージョンのブルー・ムーンは試合中のスタンドの定番の歌です。更に、試合前には場内放送で必ず一回流されます。リバプールのYou'll Never Walk Alone程の知名度はないかもしれませんが、それに匹敵する勢いで盛り上げている数少ないクラブがこのシティのブルー・ムーンです。言うまでもなく、アウェイ・スタンドからはブルー・ムーンの演奏の最中は大きなブーが飛びます。

私の席はアウェイ・スタンドと非常に近い場所にあったので、ホーム・サポーターとアウェイ・サポーターのやり取りがかなりくっきり見えて、笑わせてもらいました。シティとトットナムとは特に仲が悪いわけではないので、典型的イングランドの試合という感じのやり取りが大多数を占めていました。

試合風景 例外として、この試合の直前に、ロベルト・マンチーニが「相手チームの反則に際して、レフリーにカードを要求するジェスチャーをする」ことでFAから警告を受けたばかりだったので、このマンチーニのカード要求ジェスチャーが焦点となりました。

加えて、ハリー・レッドナップが脱税疑惑で刑事裁判にかけられる事件が注目を集めていたこともあり、こちらも焦点になりました。

前半、第三者は眠ってしまったかもしれないような退屈な内容で、ハイライト番組はなんと、前半は10秒くらいでスキップして後半ばかりを流していたくらいでした。余談はさておき、ピッチの上は何も語ることがないのですが、ピッチの上が面白くない時にはスタンドがエンターテインメントをやってくれることがイングランドではよくある話です。この日のシティはまさにそれでした。

トットナムの反則の度に、ホーム・スタンドのファンは一斉に立ち上がって、アウェイ・スタンドに向かってカードを振るジェスチャー、つまりマンチーニのカード要求ジェスチャーのパロディをやっていました。これはアウェイ・スタンドからも笑いが出ていました。

試合中のスタジアム 更に、試合がつまらなくなった時に、私の後ろの列にいたシティ・ファンが「Arry is going down」とアウェイ・スタンドに向かって大声で叫んだのでした。私は思わず爆笑しながら振りむいてその人の方を見たところ、たまたま目があってしまい、ガッツ・ポーズを返されました。(当然、私もシティ・ファンだと思われたんだろうと思います)

その他、ピッチの上のつまらなさのカバーとして、両スタンドから歌やチャントが飛び交いました。シティ・ファンはマンチェスター・アクセントで「シティ」をCitehと発音する、というのは有名な話ですが、自分の周囲からしきりに飛ぶ「Go on Citeh」のチャントをあれだけ聞くと、さすがに「本当にcitehと発音している」ことが分かって、笑いをこらえるのに必死でした。あまり笑っているとアウェイ・サポーターではないかと疑われるかもしれないと思い、というわけではありませんが、なんとなくつられて自分もGo on Citehチャントや選手のチャントをいっしょにやってしまいました...


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問題のPKでシティが3-2で勝つ

さて、この試合のハイライトというか、第三者にとっても面白かった後半です。前半とはうってかわって、極めて面白い展開になりました。ダビド・シルバの絶妙のパスをナスリが決めて先制ゴール!これは、さすがにホーム・スタンドで見ていると喜ばざるをえません。私も立ち上がって万歳したところ、隣の人から握手を求められました。もちろん、隣近所で祝ゴールを分かち合うということはよくあることです。

試合風景 面白かったのは、その直後に、私のスタンドでもあの有名なPoznanが始まったことです。これまでテレビで見て面白がっていたのですが、自分がそれに参加することになるとは夢にも思いませんでした。隣の人から促されて、後ろ向きになって肩を組んだ瞬間にああこれはPoznanだなとピンときたのですが、案の定、そのまま肩を組んだままみんなでジャンプしてPoznanをやりました。なるほど、こんな感じで始まるのか、と感動しました。

シティの優位は続き、3分後にレスコットのゴールで2-0となった時にはもう楽勝かと思いました。しかし、あのサビッチが期待通り(?)のミスをやってくれて、トットナムがあっさり1点返します。ここでもまだシティ有利かと思いきや、トットナムのモンキーが(シティ・ファンもモンキー!と叫んでいました)、ゴール・オブ・ザ・ウィークとも言える鮮やかな同点ゴール。なんとも。ここでアウェイ・スタンドが飛びあがって喜んだ後で、アウェイ・スタンドからこちらに向かって「それみたことか」というガッツ・ポーズが飛んできました。

ちなみに、マリオ・バロテッリの例のスコット・パーカーを踏んだ事件もかなりはっきり見えました(もちろん、踏んだ瞬間までは見えませんでしたが)。シティ・ファンは明らかに、マリオが何かやったことに気づいた様子でした。トットナム・ファンがカードを要求して大騒ぎしたのに対抗するかのように(カードなしだったことを喜んで)手を振って返していました。

試合風景 さて試合は2-2のまま90分を迎えましたが、の周りのシティ・ファンは誰ひとりとして席を立つ人はなく、みんな必死に応援しています。そして、(本当は退場になっていたはずだった)バロテッリが94分にPKを得た時には、またスタンド中で立ちあがって大喜び。その直後に「どうか決まりますように!」と祈る声があちこちから飛んできたのには笑えませんでした。最初は「ミルナーが蹴るんじゃないか」という声が大きかったのですが、なんと蹴ったのは(本当は退場になっていたはずだった)バロテッリでした。無事、決めた時には大変な騒ぎでした。

ファイナル・ホイッスルがなるまで/なってもスタンドではバロテッリの歌が鳴り響きました。すごい試合だった、と評判の試合となりましたが、あの勝ち方をすればファンが感動にくれるのは当然と言えば当然です。私も周囲のファンの喜ぶ顔を見ていると嬉しくなってきました。スタンドを出て外に出るまでの道のりで、何人のシティ・ファンと握手したか(求められたのに対して握手をした、という感じです。自分から積極的にやったわけではありません)、目があった時にガッツ・ポーズをし、とかいう祝勝ポーズを繰り返しながら、帰途に着きました。



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アーセナル対マンチェスターユナイテッド

スタジアムから216のバスに乗って市内に戻ったのがまだ4時過ぎでした。時間も早かったので、ビクトリア駅近辺のカフェでお茶を飲んでから帰ることにしました。

試合風景 しばしゆっくりした後で、カフェを出てビクトリア駅に向かう途中、Norwegian Blueという名のいかにもというバーの前を通り過ぎました。なんとなく、その中をのぞいてしまったのが運のつき。なんと、そのバーの中ではテレビでアーセナル対マンチェスターユナイテッドを見ている人が満載だったのでした。あらあら、と思ったところ、テレビ画面に目が行き、ユナイテッドが2-1と勝った試合結果が見えました。げげげっと思い、立ちすくんでいると、バーの中にいた人と目が合ってしまいました(苦笑)。

それからビクトリア駅に行き、サウスポート行きの電車に乗り込みました。意外に電車は混んでいました。私は早めにホームに行き、早く来た電車に乗りこんで座れましたが、その後で発車までに乗客がどんどん乗り込んできて、席はあっという間に埋まりました。

気が付くと、昼間の疲れが出て眠気が襲ってきました。私はシティのクラブショップで買い物をした時の袋を膝の上に乗せたまま、うとうとし始めました。半分眠った頭の中で、隣に誰かが座ったのが感じられました。二人組の女の子のようでした(眠かったため確かではありませんが)。

幸せなシティ・ファン 電車が発車し、次の駅でその二人組の女の子は降りました。しかし、降りるために立ちあがった女の子のうちの一人が、明らかに驚いた感じで「あららららっ(Oh Dear!!!!)」と小声で叫びました。二人がひそひそ声で何か話しています。なんとなく、私の膝の上のシティの袋を見ているような感じです。それから、もう一人の女の子が「でもリバプールの方が嫌い!」と言い放って、二人は電車を降りて行きました。ホームに降り立ったその女の子二人組の姿が見えました。なんと、その女の子はユナイテッドのシャツを着ていたのです。なるほど、と苦笑してしまいました。

しばらくして、ボルトンから乗り込んできた中年くらいの男女5人グループ(何かのお祝い?の後らしく、陽気になっていました)がウィガンで降りたのですが、そのうちの一人(男性)が、私の膝の上のシティの袋を見てガッツ・ポーズ。ウィガンにもシティ・ファンがいるようです...。


以上、簡単ですがシティvトットナムの観戦記です。


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