観戦記
2009/08/23 マンチェスターシティ 1-0 ウルブス |
日本からリバプールに行く時には、いつもマンチェスター空港で発着します。この時は、リバプール市に行く前にマンチェスター空港近くのホテルに1泊し、翌日にシティの試合を見て、その後でリバプール入りするというルートでした。ちなみに、今回はアンフィールドでアストンビラ戦を見るために来たのでした。
■8月22日、マンチェスター。
8:00起床、したくをして朝食へ。朝食のレストランに入ると、10CCが流れていた。さすがマンチェスターだ。朝食はおいしかったし、満足して部屋に戻った。1泊でチェックアウトしてすぐ次のホテルに、というのはあまり好まないので、通常はマンチェスター空港からリバプール市まで行き、リバフールのホテルに全日程、滞在する。リバプールでの試合の前の日にシティに試合を見に来ることも何度かあったが、そのような場合でも同じで、到着した翌日にリバプールからマンチェスターまでまた電車で戻るという、一見無駄な往復をするような動きをする。それでもホテルを1泊でバタバタと動くよりはましだと思う。今回、例外になったのは実はハプニングで、リバプールのホテルの予約の日程を1日間違えたことを直前になって気付き、その時にはそのホテルはもう満室になっていたため、マンチェスター空港のホテルを取った、という理由だった。
チェックアウトのため再び荷物を全てスーツケースに詰め、出発のしたくをする。ふと、今日の予定は全く考えていなかったことに気付いた。試合は午後なので、10時にチェックアウトしてからは無駄な時間が出来ることになる。早めに市内に出て、そこで試合前の時間の過ごし方を考えよう。
よく考えると、今回イングランドに入ってからペットボトルの水(59ペンス)をマンチェスター空港で買った以外は一切お金を使っていない。というのも、マンチェスター空港からこのホテルまではホテルの無料送迎バスに乗ってきたからであり、昨夜の夕食はヒースローのラウンジで済ませた。なんだか非常に効率的でラクな旅行になっている。この調子でこれからも進めばよいのだがと思った。
9:40部屋を出て市内へ向かう。荷物をどうしようかも考えてなかったのでホテルに預けることにした。シティでの試合の後、面倒だが再びここに戻ってきて、リバプールへはマンチェスター空港から向かおう。
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■マンチェスター市内へ
マンチェスター空港駅から「ピカデリーへの往復」切符を買う。空港線というのに妙に安かったような気がする。残念ながら価格は忘れてしまった...
電車はすぐ来て、30分程度でマンチェスター・ピカデリーに着いた。ホームに降り立って、最初に目に入ったのがLiverpoolのシャツを着た男の子だった。良い前兆だ。いい気もちになって駅を出て市内へ向かう。
ピカデリー駅から大きな通りに出る。なんとも見慣れた風景で、この感じだと自力でタウン・ホール&ツーリスト・インフォメーションにたどりつけると思った。案の定、全く迷わずにまっすぐツーリスト・インフォメーションに着いた。マンチェスター市を訪れるのはこれで10回目以上だと思う。さすがに道を覚えたかと苦笑しながらツーリスト・インフォメーションに入る。
案内のカウンターに行くと、列についてすぐに順が来て、相変わらず親切な係員にCity of Manchester stadiumへの道のりを聞く。バスの番号と乗り場(覚えているとは思ったが念のため)、所要時間を聞く。20分程度と言われたので、ではその前に市内観光でもしたいのだが、と言うと、そのスタッフは地図にいくつかの観光場所をマーキングしてくれた。いずれも徒歩15分以内で行きつける場所ということだった。親切な人だった。その中で、以前に訪れて非常に気に入ったMusium of Science and Industryがあった。入場料金はいくらと聞くと、なんと無料だとのこと。「今、国を上げて文化を奨励しているため、市内の全ミュージアムが入場無料になっている」と言われた。以前に来た時には£10とかそのくらいの金額を払って、複数のミュージアムに入れるチケットがあったような記憶がある。無料だと市民はもっと気軽に行けるようになり、文化に親しむ機会が増えて良いことだと思った。
無料だから、という理由で決めたわけではないが、MOSIに再び行こうと決めて、お礼を言ってインフォメーション・センターを辞去した。歩きながら、これなら地図を見ながら無理なく自力で行けそうだ、と思った。すっかり慣れた市となってしまったものだ。
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■MOSI
歩くこと15分、迷うことなくMOSI(Musium of Science and Industry)に着いた。無料の効果もあるのだろう、なかなか多くの人がいた。途中、スカイブルーのシャツを着た家族連れもいた。これはいかにもマッチ・ディだ。いつからシティがこんなにファンが増えたのだろう(=これまで訪れた時にはほとんど見なかった人々が、これまでどこに隠れていたのだろう)と苦笑しながらMOSIに入った。
入口で案内文書を貰って、さっそく織物博物館に入った。このMOSIは5つの建物に分かれている大きな博物館で、前に来たのは20年前になると思う。その時にとても気に入って何時間でもじっくり見たかったのだが、時間がなかったため途中で切り上げた。そもそも私は産業革命の故郷を訪れるために最初にイングランドに来たくらいなので、このような歴史をつづる博物館には非常に興味がある。Liverpool市内の産業史の博物館もしかりだが、マンチェスターの方も同じだ。特に綿織物工場は大学時代の専門でもあり、格別な興味がある。今回は、無料になったというのに、ガイド付きの19世紀の綿織物工場の案内があり、心の底から満足した。
綿織物工場を出るとすでに12:20になっていた。急ぎ足で他の建物を回った。12:45、そろそろ時間だと思って見物を終えることにした。今回も時間が足りなかった。また次来なければ。
ふと、のどが渇いたことに気付き、一回のミュージアム・カフェでコーヒーを飲むことにした。カウンターで順番待ちしていると、私の前にいた家族連れの客がフランス語で注文の品を決めていた。店のお兄さんが、その客にフランス語で話しかけ(あまり上手ではなかったが、客には通じた)、にっこり笑っていた。その客を見送ったお兄さん、私に向かってなんとなく照れくさそうに注文を訪ねた。(私も笑っていたのがわかったのだろうと思う)。いい感じだ。なんとなくマンチェスターが好きになってゆくのを感じた。
急いでコーヒーを飲みほして(外に出て一服して)、さっきのお兄さんにカップを返して博物館のカフェを出た。急ぎ足でバス乗り場に向かう。だんだん暑くなってきた。
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■シティ・オブ・マンチェスター・スタジアム
ピカデリーのバスの乗り場に行くと、すでに216のバスがたくさん出ていた。マッチ・ディなので増便されているのだろう。そのうちの一台に乗ってシティ・オブ・マンチェスター・スタジアムと言って£1.35払ってバスに乗った。(帰りは£1.00だった。同じ区間なのに、乗る時間によって値段が違うのはマンチェスターも同じだった)、この試合は、朝刊でチケット売り切れと書かれていたが、それは嘘ではなかった。これまでシティ・オブ・マンチェスター・スタジアムに来て、こんなに人出が多かったのは初めてだった。
今季初のホームの試合だから、ということは勿論あるだろう。それにしても、多かった。行くまでの道がこんなに混んでいたのも初めてだった。凄い交通渋滞の中、のろのろとスタジアムに向かった。シティの試合はここ4年間で3度目だ。前回、チケットを買った時にはチップ入りの紙のチケットが送られてきたのだが、今回はアクセス・カードが送られてきた。自分のアカウントにアクセスし、購入履歴を見るとロイヤリティ・ポイントも着いていた。うむ。これは、これからもシティの試合を見にゆかねばならないということだろうか、と心の中で苦笑した。
スタジアムに着いて、まずはチケットの有効性を確認する作業をする。ゲートの係員にメールの控えを見せてカードを見せるとOKとのこと。安心して買い物に行くことにした。クラブショップでお土産でも買おうと思ったところ、なんと超満員で身動きが取れないほどの混雑。前回は、試合前にゆっくり買い物が出来たような記憶がある。何から何までシティは変わった、と改めて驚いた。
買い物を諦めて店を出た。朝食はたっぷり食べたので、昼抜きでリバプールに着いてからゆっくり夕食を取ろうと思っていたのに、ハンバーガーショップの前を通るとビネガーの良いにおいがして、急に空腹を感じた。誘惑に負けてしまい、ハンバーガーショップでチップスと水を買ってしまった。さすがに、ハンバーガーとかホットドッグを買う気にはなれなかった...。でもチップスは、スタジアムの屋台でもそこそこの味のものが当たる(価格はさておき)。
腰かけてチップスを食べられる場所まで歩く途中、プログラムを買った。プログラムを読みながらチップスを食べ、水を飲んでぼーっとしていると、なんとなんと。ファンの数はどんどん増えて行く。以前は、人も少なくて単にだだっ広いスタジアムだと思っていたのに、今回はちょうどいい感じで人が詰まっていて、いかにもマッチ・デイのスタジアムという感じでスタジアムがファンで埋め尽くされた。
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■シティ対ウルブス
14:15、中に入る。今回はチケット購入のタイミングを逃し、発売日からかなり経過してから慌てて買ったので、良い席が残っていなかった。かなりピッチに近い場所だと思ったが、他の席は全て売り切れになっていたので選択肢がなかったのだった。
座ってみると、なんと私の席はアンフィールドで言えばKopの前から2列目。これは、最悪の場合は試合が全く見れない席だと思った。アンフィールドでは「試合を見て楽しむ」というよりは、周囲のファンと一緒にチームを応援することが目的のため、視界が悪くても全然気にしないのだが、人さまの試合を見に行く時には「試合をじっくり見て、楽しみたい」という気持ちがある。
実際には「最悪の場合」となってしまった。不運なことに攻撃は殆どが逆端の方で行われた。前半はシティが圧倒的優位に立ち、後半はウルブスがどちらかと言えば押していたのだった。唯一の得点も逆端の方で決まったため、場内アナウンスで名前を聞いて初めて得点者を知った次第だった。ファンならばこのような経過でもチームが勝てば万々歳だろうが、第三者にとってはたまらない。などと勝手なことを考えた。そもそも「第三者」がこんな席で見ていることが良くないことなのだとじゅうじゅう知っていたので、文句を言わずにおとなしく周囲のファンと一緒に拍手した。
ちなみに、ファンの人気は圧倒的にスティーブン・アイルランドだった。スタンドに大きくIreland is supermanの垂れ幕があったが、途中でそのチャントがガンガン飛んだ。次に人気は(これも当たり前だが)ショーン・ライト・フィリップスだった。なんと、その次くらいに人気があるのはガレス・バリーだった。この人に対してはさすがに複雑な気持ちで拍手を送った。まあ、しいて言えば、この試合もバリーは非常に出来が良かった。シティ入りは正解だったのだろうか、惜しいことをしたと悔しがるべきか、なんとも複雑だった。
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■マンチェスターからリバプールへ
16:50、試合が終わって帰途に着く。帰りのバスは相当待つだろうと覚悟していたのだが、バス停に着いてみると、案外簡単にバスに乗れた。帰りの便も増便されていたのだった。なかなか良いシステムだと感心した。道路の渋滞も行きと大差なく、40分程度でピカデリーに着いた。バス停からピカデリー駅に向かい、17:54の電車でマンチェスター空港に向かう。空港駅に着いて、預けていたスーツケースを取りにホテルに戻るのもまた無料送迎バスを利用した。空港近辺のホテルというのはこういうところが便利だ、としみじみ思った。
ホテルに戻って荷物を受け取り、再びホテルのバスで空港の駅に向かう。空港駅に着くと、惜しくもLiverpool行きの18:41の列車を逃し、19:41まで待つことにした。ひょっとして、そろそろ運が付きたのだろうか?仕方なく、駅の待合室の中にあるカフェで夕食を取ることにした。チーズサンドイッチと紅茶を注文すると、チーズサンドイッチは温めて欲しいかと聞かれる。温めてもらうことにした。チーズがとろけておいしい。ヨーロッパのチーズは本当に、美味しいとしみじみ思った。フランスほど専門的でない国でも、おいしくないチーズに出会ったことはない。満足して食事を終えた。
スーツケースを抱えながら電車が来るまで時間つぶしをするのはやや疲れたが、その疲れのせいか、電車の中では居眠りしてしまった。目覚めたらLime Stに着いていた。さてやっとリバプールに到着。ホテルのチェックインも珍しく何も問題なく済んだ。(アンフィールドの観戦記は割愛)
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■8/25 リバプールから帰途へ
ロンドンから成田までの飛行機の中でぐっすり眠るために、あまり睡眠を取り過ぎないようにと思って出発の朝は早起きすることにした。6:00に起きて、余裕を持ってしたくを済ませ、たっぷり朝食を取って、スーツケースを詰めた。
10:13の直行のマンチェスター空港行きの列車に乗った。片道料金は£11.80。直行だったが、しかし電車はManchester Oxfordで15分停車したので結局空港に着いたのは11:25ころだった。
マンチェスター空港に着いて、ターミナル4まで歩いた。マンチェスター空港はターミナル間バスに乗るより徒歩で建物間を突き抜ける方が早いしわかりやすいし便利だ。ヒースローは通り抜けができないようになっているのでバスに乗らねばならないが。ターミナル4に行き、BMIで自動チェックインというのをやらされ、搭乗券を手にして荷物を預ける。
ロンドン行きの便に乗るまで時間があったので、搭乗口に行く前に空港ビルでうろうろすることにした。今回はマンチェスター空港に一泊したこともあり、リバプール市内よりこの風景の方が「見慣れた」風景に思えた。まあ、今後もここから出入りするから覚えるのは悪いことではないが。空港近辺には不思議とシティのスカイブルーのシャツを着ている人が多数見えた。「不思議と」などと言っては失礼かもしれない。ひょっとして、マンチェスター市は今後もこんな感じになって行くのかもしれない、と思った。
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■マンチェスターからロンドンへ
14:00発のBMI(ブリティッシュ・ミッドランド)のヒースロー行きは、搭乗券にはゲート18と刻印されていたが掲示板では13:35までゲートの表示がなく、25分前になっていきなり141と表示が出てきた。保安検査場からの岐路の逆側にあるゲートに変更(?)されたわけだ。イングランドではこういうことが頻繁にあるので気が抜けない。ともあれ、141ゲートに行き搭乗した。
座席はガラガラで、1/3くらいしか埋まっていなかった。空いていたことが幸いして、飛行機は定刻に飛び定刻に着いた。ヒースローではBMIは虐げられているようで、ターミナル1の最も端のゲートに着いた。バスでなかったのは幸いだったがターミナル3までは相当遠い。できれば少しでも早くJALのラウンジに入りインターネットアクセスをしようと思っていたので、私は急ぎ足で歩いた。ターミナル1の逆はしにバス乗り場があり、そこに行き着くまでに15分以上たっぷりかかった。それも、至る所で空いていたので列に並ぶ必要がなく順調に進んだのにこの時間だ。次回は乗り継ぎ便を選ぶのはもう少し慎重になる必要があると頭に入れた。
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■ヒースロー空港
バスに乗ってターミナル3に着くと、保安検査場でそれなりに列ができていた。その列の選択を誤ったことに気付いたのだが、私の前にいたアラブ系の女性2人(親子と思われる)が、コートを脱ぐことを拒否しボディチェックも拒否し、レーザーは鳴りっぱなしで保安検査の係員も困惑し果てていた。これはまずい、と思ったが別の列には既に長い列になっており、列を変えることもできなかった。しばらくして係員が(さすがにほかの客をこれ以上とどめることはまずいと思ったか)、私を先に通してくれた。問題なく通過でき、JALのカウンターを目指して急いだ。
エスカレーターを上って航空会社のカウンターのフロアに着くと、今度はものすごい列ができていた。JALのカウンタが見当たらず探し回った末に、フィンエアかどこかのカウンタ(人がいなかったカウンタ)で質問してやっと見つけた。隣のアメリカン・エアラインがカウンタが4-5か所あったがそこがものすごい人が並んでいた。そのうちの一人にこの列はJALの列ではないですか、と質問すると「アメリカン・エアラインの便の一つが欠航になったのですごい列ができている」と説明された。私が同情を表明すると、その人は周りの人に私を通すよう働きかけてくれた。お礼を言ってJALのカウンタに行くと、1組のグループがいただけで、すぐに自分の番になった。
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■帰国
JAL404成田行きは定刻より5分前に出発の支度が整った、とのことで離陸に入った。それから水とスナック菓子をぼりぼり食べて2時間後に夕食を取って、その間、KOP誌と機内サービスのデイリー・ミラーを読んで過ごした。いつの間にか眠ってしまったらしく、目覚めたら既に到着の1時間20分前になっていた。
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