プレミアリーグ観戦ガイド

観戦記
1996/12/26 リバプール 1-1 レスターシティ

12月25日にロンドン着の便で出発し、リバプールのホテルにチェックインする。12月26日にアンフィールドでレスターシティ戦を見て、翌日はアンフィールドでスタジアム・ツアーに参加する。翌日28日にサザンプトンに移動し、ホテルにチェックインする。29日にサザンプトンでサザンプトン対リバプールを見る。30日にロンドンに移動して、ホテルにチェックイン、翌31日にはウェンブリーのスタジアム見学をして、翌1月1日はチェルシー対リバプールを見て、翌2日には日本への帰途に着く。このようなハードな日程で出かけました。

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 ■ロンドンからリバプールに行けない?

飛行機の予約も完了した後で、調べた結果、12月25日はクリスマスのため、英国内の列車は全て運休ということが判明、急遽ヒースロー空港からリバプールまでチャーター便を頼むことになった。さすがに今はクリスマスの日でも電車は動いているが、この時には都市間列車がすべて運休すると言う状態だった。

そんなこんなで、ロンドンからリバプールまで高い運賃にて移動すると言う、高いレッスンとなった。この後しばらくはクリスマスの日は絶対にイングランド入りしないよう気を付けたというのは言うまでもない。

ちなみに、ロンドンからリバプールまでのチャーター車は、リバプールまでの道は(道路も空いていて)快適だったが、リバプール市内に入ったとたんに難点が露呈。というのは、当時はまだナビもなかったし、ロンドンの運転手さんはリバプール市内の地理を知らない。ライム・ストリート駅から徒歩10分程度の大きなホテルだというのに、リバプール市内に入ってからホテルにたどり着くまでに市内を一周する羽目に陥った。

そのようなハプニングはあり、ホテル到着は夜中になってしまったが、とりあえず無事チェックインを済ませた。

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 ■マッチデイ

12月26日、ボクシング・デイ。イングランドはまだクリスマス休暇中だ。ただしクリスマスよりは遥かにましだろうという期待と共に、一日を開始した。

早速最初のマッチデイ。朝9時過ぎにホテルを出発する。途中、ウィリアム・ヒルズが近くにあったので入ってみた。「開店は9時15分なのだけど」と言いながら、やさしそうな女性がドアを開けてくれた。店内には他に誰もいない。今日のプレミアリーグのベットはやっているかと尋くと、やっているという。「やったことないので」と仕組を尋ねると、丁寧に説明してくれた。シーズンを通して(優勝チームなど)順位をベットするものや、その日の勝敗をベットするものなどいろいろあるとのこと。最も簡単なのは、チームを決めてそのチームの勝敗もしくは勝敗と点数を当てるものだった。「お目当てのチームはあるの?」と聞かれたので、私は「はい。リバプールです」。女性(パッと顔を明るくして)「最高のチームね」。

我々は日本からリバプールの試合を見に来たのだと説明すると、一層やさしく笑って「コーヒーでもいかが?」。なんとも...ありがたくいただく。この女性は、生まれつき赤いのだと誇らしく言う。3人で相談した結果、「リバプール勝2−0」に£13ベットすることにした。オッズは7−1。単に「リバプール勝」は1−3だった。(当たっても損をすることになる。)

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 ■アンフィールドへ

パス・ステーションに行き、アンフィールド行きのバスの時間を調べる。インフォメーション窓口が閉まっていたので、パス・ステーションの付近を歩いていた係員に尋ねる。アンフィールド行きは7番から出るどのバスでも大丈夫、今日は30分おきに出ている、とのこと。1時のバスでアンフィールドへ。 

アンフィールドに帰ってきた!我々の席はKop Grandstandだった。暫くスタジアム近辺を歩いた後で、早々に中に入ることにした。

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 ■コップ

さて、試合のレビューを少し。朝のニュースでロビー・ファウラーが負傷してレスター戦は出られないとの話は読んでいた。しかし、チーム状況はさておき、さすがコップ。凄い声援がひっきりなしに続いた。ピッチの上では情けないプレイをしているのに、スタンドでは黄金時代と同じ超一流の応援が繰り広げられた。

後半、依然としてレスターの方が動きが良い。コップの我々の席のちょうど真正面にある、アンフィールド・ロード・スタンドの一角を占めていた青のアウェイ・サポーターの騒音もずっとピークを維持していた。それに応ずるように、相手スティーブ・クラリッジがクリア・チャンスを得る。マーク・ライトの下を抜けて先制ゴールがネットに。

コップは、一瞬動揺したが、すぐに立ち直って再び応援が激化。スタン・コリモーがうまい同点ゴールを決めてくれた時にはコップが万歳の手で埋め尽くされた。コリモーの歌が続く…。さて挽回かと期待も虚しく、引き分けで終わった。しかしひどい内容のプレイで、引き分けは試合内容を反映していたと思う。それでもファイナル・ホイッスルの後は、やはりコップからは大きな拍手。 

さて、試合は終わったが、コップは動かない。場内アナウンスの「他スタジアムの結果」をじっと聞いているのだった。アーセナル、マンUの結果に一喜一憂した後で、いよいよクライマックス、コップ中が息を飲んだ。場内アナウンス「ミドルスブラ 4」。コップは小さな歓声。場内アナウンス「エバートン 2」。「おお〜っ!」と、割れんばかりの拍手、喜びの笑顔がコップの中で飛び交った。それから、安心したようにコップは出口に向かって解散した。

コップは変わってなかった。 

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 ■マッチデイでないアンフィールドへ

翌12月27日、アンフィールドに行き、スタジアム・ツアーした後で、アウェイの2戦のチケットを受け取ることになっていた。朝、バスに乗ってアンフィールドに向かう。

ここでふと気付いたのだが、試合日以外にアンフィールドに行くのはこれが初めてだった。それまでは赤い人に付いて行けばスタジアムに辿り着けたので、降りるバス停を気にしたことなどなかったが、今日はそうは行かない。運転手さんに、アンフィールドで降ろしてくれるように頼む。

バス停に着くと、運転手さんは、(指差しながら)この道を右に入ってゆけば突き当たりがスタジアムだ、と教えてくれる(バス停からはスタジアムは見えなかった)。お礼を言って下りる。

バス通りを渡ろうとして振り返ると、何故かバスは発車せずに止まっている。教えて貰った道を右に入る。スタジアムが見えた!振り返ると、バスはやっと発車した。きっと運転手さんは、我々が正しい道を行くまで見守ってくれていたのだろうと思い、感激しながら運転手さんに向かって手を振った。運転手さんもニコニコ笑いながら手を振ってくれた。この運転手さんは赤いんだろうと思った。 

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 ■アンフィールドのスタジアム・ツアー

スタジアム・ツアーは1時間程度だった。開始までに時間があったので、新しく出来たばかりのクラブショップ(リバー・ワールド)で買い物をする。特売品コーナーを何気なく見ていると、背番号付きの長袖のシャツがいくつかあった。マッカティーアが最も多い…その中に、なんと「DALGLISH 7」というのがあった。サイズが大き過ぎて自分では着られそうにないが、構わず買うことにした。

ツアー・ガイドのデビッド

さて、スタジアム・ツアーは以下のような感じだった。

1.キャビネット・ルームで10分ほどのビデオを見た後で、写真撮影の時間を貰う。案内人のデビットは面白い人で、「この中でリバプール・ファンじゃない人がいたら、今のうちに正直に申告してください」。一同、爆笑。我々も写真を取る。 

2.選手専用のバー。リバプールの慣習として、主将(今季はジョン・バーンズ)が相手主将を招待することになっているのだそうだ。ただし、エバートンとマンチェスターユナイテッドだけは例外なのだそうです。 

3.ホーム・チームの更衣室。入口から、GKとDF、MF、FWと3角に別れているのだそうです。デビットいわく「ジェイミー・レッドナップは何故か必ずヘア・ドライアーの下に位置する。理由は不明ですが」。一同爆笑。 

4.トンネルへ。有名なThis is Anfieldをバックに、記念写真を取る。デビットさんが希望者の写真を取ってくれたので、我々も頼んで4人揃った写真を取ってもらった。 

5.トンネルからピッチへ。デビットが「芝の上に入らないようにお願いします」。この美しい芝を維持するために、スタッフが相当な苦労をしているのだそうだ。ホーム側ベンチに座り、最後の説明を聞く。各スタンドの名前を教えてくれた後で、メイン・スタンド側とアンフィールド・ロード側は近々2階建てにする予定であることを説明される。全部完了した時には収容人数5万人弱の予定とのこと(現在は41,000)。 

ちなみに、私は今回Kop Grandstansに入れたので、残るはアンフィールド・ロードだけが入ったことないスタンドとなった。

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 ■グッディソン・パーク

翌12月28日。コーチ・ステーションから出ている都市間バス(コーチ)、ナショナル・エクスプレスのバスでサザンプトンへ移動することになった。片道£34.75、11:40発で19:00着、7時間の長旅となる。

ホテルを10時前にチェックインしたので、サザンプトン行きのコーチまで2時間近くある。みんなで相談した結果、リバプールを出る前に、グッディソン・パークを外からチラッとだけ見ることにした。ホテルでタクシーを頼んで貰う。間もなくタクシーが来た。

運転手さんに行く先を尋かれ「グッディソン・パーク」と答える。運転手さん、バックミラー越しに私の顔を凝視し、凍り付いている。あれ、私の発音が悪過ぎて通じなかったのだろうか、と不安になったくらいに長い沈黙の後で、答えが帰ってきた。「俺はリバプール・ファンだから、チップを貰わなければエバトンには行けない!」。 

爆笑の後で、和やかな会話が始まった。我々は日本からリバプールまで試合を見に来た、と言う。ひとしきり一昨日の試合のことで再び文句を言い合った後で、「昨年も見にきた」と言うと「真のサポーターだ」と誉められる。

赤い運転手さんは、日本から来た「サポーター」の我々に、とても親切にしてくれた。これからサザンプトンに行くことを説明し、バスの時間を告げると「その時間までに回れるところに連れて行ってあげよう」と言ってくれた。

まず第一に、我々のリクエストのグッディソン・パークに行く。アンフィールドからすぐ近くだから、途中までは同じ道を走る。途中から違う道に入ったところで、すぐにスタジアムが見えてきた。

エバトンのクラブショップ(その先がスタジアム)

車を降りて、運転手さんも一緒に暫く外側を見て歩く。我々は、クラブ・ショップに入る、というと運転手さんは、「ここで待ってるから、好きなように見て回りなさい。でも、ショップで買い物してお金をドブに捨てないように」と言って笑う。我々は頷いて、中に入る。

運転手さんのアドバイス通り、「あまりお金をどぶに捨てずに」車に戻った。買い物の中身について運転手さんと会話をした後で、運転手さんは「良いスタジアムだよ。ただ、カラーが悪い」と言って、また笑う。典型的なリバプール市民だ。エバトンのことは徹底的に悪口を言うけれども、心の中では良いクラブであることを認めているのだ。

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 ■メルウッド

さて、グッディソン・パークが終わって、サザンプトン行きのバスまでまだ時間があったので、運転手さんはメルウッドに連れて行ってくれるという。我々は大喜びでお願いした。

メルウッドの前に、ビル・シャンクリー・プレイグラウンドで止まる。グラウンドには誰もいなかった。運転手さんは、ビル・シャンクリーがこのグラウンドでプレイしたので、名前が付いたのだと説明してくれた。

再び車に戻って、いよいよメルウッドへ。正門に付けて、運転手さんも一緒に降りて、門番の人に我々のことを説明してくれた。門番の人は、にっこり笑って我々を中に入れてくれた。なんと。この時期はこのようなサービスをしてくれたのだった。

我々が入ったあたりには、既にリバプール・ファンが集まっていた。10:30にトレーニング開始だと教えて貰う。ユース・チームとファースト・チームがそれぞれ、時間通りにトレーニング開始となる。

ロビー・ファウラーが走って我々(見学のファン)の前を通り過ぎる。我々が「ロピー」と言うと、ロビー・ファウラーが手を振ってくれた。いい感じだった。

残念なことに、そろそろバスの時間が近付いてきたので、しかたなくメルウッドを離れる。時間があったらもっと残っていて、トレーニング後の選手達にサインや写真がもらえただろうと思った。そんな感じの気さくな場所だった。

コーチ・ステーションに着く。運転手さんにお礼を言って、ちょっと多めのチップを差し上げた。運転手さんは(すごく嬉しそうに)何度もお礼を言ってくれた。「サザンプトンでは、頑張って応援するように」と激励され、別れた。

さて、一路、サザンプトンへ。 


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