観戦記
2012/2/6 リバプール 0-0 トットナム |
最後アルバート・ドック
さて、いよいよ最終戦となりました。アンフィールドでのトットナム戦です。
気合を入れて出かけました。リバプール市内に着いたのは4時ちょっと前で、まずは伝統踏襲でアルバート・ドックへ行きました。この時間だというのに既にリバプールのシャツを着た人々がたくさん出ていました。
最後アルバート・ドックの写真を数枚撮って、うす暗くなってきたアルバート・ドックをいつものルートで一周した後で、バスステーションに向かいました。
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試合前の街中
バスステーションへの順路である、リバプール・ワンのリバプールFCのクラブショップの前を通ったところで、不思議な列を発見しました。なんと、エバトン・ツー(エバトンFCのクラブショップ)の前にすごい列ができているのです。青いシャツを着た人々の列です。リバプールの試合の日に、なんでこんなに大量のエバトン・ファンが...と思い、好奇心から列の人に理由を尋ねました。すると、列の先頭にいた男の子が元気いっぱいで「ランドン・ドノバンのサイン会」と教えてくれました。なるほど。
しかし、リバプールの試合の日にアンフィールドより先にエバトン・ファンを見るのは縁起が悪いかもしれない、とふと気づいて、心の中で冷や汗が流れるのを感じました。
気のせいであってくれればよいのだけど...それにしても、リバプールの試合の日にわざわざ選手のサイン会を行うとはなんとも、さすがビターズ、と苦笑してしまいました。
最初に大量のエバトン・ファンを見たのは2009年のブリタニア・スタジアムでした。その時には、本当に大量のエバトン・ファンを一挙に見て、驚いたというか、エバトン・ファンという人々の集団の存在に圧倒されました。でも、さすがに今回は数えきれないほどの数のエバトン・ファンを、日常的に見てきたので、すっかり慣れました。
さて、エバトン・ファンを見た後は、目を直すために、リバプールのクラブショップを通ることにしました。
リバプール・ワンを過ぎて、クイーンズ・スクエアのクラブショップにたどり着きました。ショーウィンドウに「カーリング・カップ・ファイナル特集」と書かれたシャツやオフィシャル・グッズが飾られていました。なんと...さすがウェンブリー、と思い、写真を撮りました。
その頃には、だんだん霧が深くなってきました。リバプール市内も霧で先が見えなくなっています。17番のバスに乗ると、アンフィールドまでの道もずっと霧に包まれていました。アンフィールドそのものも、霧の中にすっぽり入っている、という感じでした。
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最後のアンフィールド
アンフィールドに着いたのは試合開始2時間前でしたが、その時間から既に多くの人で混雑していた上に、バス停の前の道路は出店がにぎわっていました。前回はマンU戦、その前はウェンブリーを賭けた準決勝(シティ戦)だったのでそれまでよりも賑わっていたような印象でしたが、今日もその2戦に負けないにぎわい方でした。これぞアンフィールドのマッチディ、と感激。
ぐるっと出店を見て回ったところ、やはりスアレスTシャツが人気がありました。かなり多くの出店で売っています。価格も、他に比べると高かったという印象です。ちなみに、1枚、買ってきました。
ケムリン・ロードの入り口付近に出ていたTシャツ・ショップはなかなか面白いパロディ・シャツがたくさん置いてありました。表がスカーフ売り場で、裏がTシャツ売り場になっていました。スタッフに聞くと、表と裏では別々の人が店を出しているとのことでした。
「Donor Card」Tシャツが笑えました。買おうと思ったのですが、たまたまスタッフがいなかったのでちょっと待った末に、断念しました。
駐車場を横切ってアンフィールド・ロードの方に向かうと、ますます霧が激しくなってきました。2メートル先が見えない、くらいに(ちょっと大げさかな)深くなっています。霧のアンフィールドの写真を何枚か撮りました。ただ、残念ながら霧のため手ぶれが激しく、使い物になる写真はあまり多くなかったです。
アンフィールド・ロードの「Welcome Tottenham Fans」の標識を撮って、それからスタンリー・パークに向かいました。
ふと見ると、やはり、ヒルズバラ・メモリアルではリバプール・ファンに混じってアウェイ・サポーターが黙とうをささげる姿が見えました。トットナムとは特に仲が良いというわけではないけれども、悪いわけではありません。要は、ニュートラルな関係のチームと言う感じですが、やはり黙とうしてくれるのが本来の姿なのだ、としんみりしました。
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試合前のパブ
シャンクリー・ゲートを過ぎてスタンリー・パークに入りました。霧のスタンリー・パークを歩くのは非常に不気味でした。おばけでも出そうな様相です。霧が有名と言えばロンドンですが、イングランドでは他の都市でもそんなに珍しくはないそうで、地元の人は平気で歩いていました。
いつものパブに入り、まだ時間があったので店内をふらふらと見ていたら、なんとエバトンのノリッジ戦アウェイのコーチ・ツアーの案内ポスターが貼ってありました。うむ、このパブはエバトン・ファンの本拠地であることは前回のグッディソン・パークで確認できたので驚かなかったのですが、しかし、往復のコーチ、ホテル、食事付きで£75とは安い。よく見るとポスターの下に「満員」と手書きで書かれていました。
まもなく友人が来て、ハリー・レッドナップが霧のためロンドンに足止めとなったという話を教えてくれました。例の裁判のため直前に飛行機でリバプール入りする予定だったのが、飛行機が霧のためキャンセルとなったとのことでした。試合はその時点では決行の予定でした。ただし、霧が深くなれば中止の可能性もある、ということで気にはなりましたが...結果的には、試合時間が近づくと霧はかなり薄くなりました。
ちなみにリバプール・ファンの試合前の会話は、ウェンブリーのチケットの話が最も盛り上がりました。友人一行はみなシーズン・チケット・ホルダーなので入手できるだろうけれども、さすがに久々のウェンブリーなのでシーズン・チケット・ホルダーでない家族や同僚など行きたい人がたくさんいるのだそうです。このような地元のファンが、少しでも多くチケットが確保できればよいのに、としみじみ感じました。
更に、ウルブス戦で自信を取り戻したチームは今日は快勝してくれるだろう、と期待がこもった会話を交わしながらスタンドへと向かいました。
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試合中&スタンドの風景
今日の私の席はアンフィールド・ロードの2階席です。センテナリー・スタンド寄りで、アウェイ・スタンドからはどちらかと言えば遠かったのですが、久々のアンフィールド・ロードは雰囲気も格段でした。何と言っても、コップが向かいにあるので、コップが開始した歌を拾って一緒に歌う、という風景が続きました。
試合内容に関して言えば、前半はリバプールが圧倒的な優位に立ちながらも得点ならず、なかなかしびれる行方になりました。しかし、この調子で攻撃すればきっと実るだろうと気合が入る前半でした。
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アンフィールド・キャット登場!
10分頃だったと思いますが、我々のアンフィールド・ロード・スタンドの前で、ちょうどブラッド・フリーデルのゴール前に、いきなり猫が登場するというハプニングが発生しました。プレイはコップ側に移っていたのですが、猫の登場にレフリーが笛を吹きました。猫は気持ちよさそうにゴール前を走りまわっています。スタンドは爆笑、大きな拍手が続きました。ふと、スタンドからの注目に気づいたらしく(?)猫は満足したのか、足早にピッチの外へと逃げて行きました。猫が消えた後も拍手は続きました。アウェイ・スタンドも含めてみんな、心から笑っていました。とても和やかなシーンでした。
猫が去ってプレイが再開した後で、コップはさっそく猫の歌を始めしました。最近の定番「我々は人種差別主義者ではない」(We only hate mancs, we're not racists)の、「マンクス」を「猫」にすり替えて「我々が嫌いなのは猫だけ」(We only hate cats...)と歌ったのです。これがまた大ウケ、アウェイ・スタンドも含めてスタジアム中が爆笑に包まれました。
アウェイ・スタンドと言えば、この日は妙に静かで、あまり声は聞こえませんでした。人種差別主義者!野次も聞こえませんでした。ホーム・スタンドの声が大きすぎて聞こえなかっただけかもしれませんが...でも私の席(アンフィールド・ロード)で木粉得勝ったのだから、たぶんなかったのだろうと思います。トットナム・ファンに対する評価がまた上がりました..
ちなみに、前半、ルイス・スアレスがウォームアップし始めた姿に、スタンド中から大きな拍手が飛びました。続いてスアレスの歌が繰り返し繰り返し、わきました。後半、スアレスが登場することが分かった時には、スタンド中が立ち上がって拍手を送りました。
ハーフタイムには、トイレの列が珍しく空いていたため早く席に戻ることができて、ブラッド・フリーデルがコップに向かって走って行く場面を最初から最後までくっきりと見ることができました。コップが大きな拍手を送り、フリーデルが拍手を返す。コップは更に大きな拍手。有名な「コップと相手キーパーのご挨拶シーン」です。このやりとりに、全スタンドから拍手。長年続いている伝統行事ですが、何度見てもいい感じです。
加えて、両チームの選手入場の時には、ホーム、アウェイ、両スタンドから相手チームに対して大きな拍手が送られました。
残念ながら試合は0-0で終わりましたが、ファイナル・ホイッスルの後にはホーム・アウェイ両スタンドから大きな拍手。選手もスタンドに向かって挨拶の拍手を返しました。
アンフィールドでは、よほどの例外でない限りはこれが通常の姿です。
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アンフィールド・キャットがブームに
試合後、自分の席から外に出るまでの道のりの長さには、さすがにアンフィールドの通常の姿とは言え、他のスタジアムを回った後では一層厳しく感じました。この混雑は、他のどのスタジアムとも比べようがない程です。更に、スタジアムの外に出てからアンフィールド・ロードを通り過ぎるのもまた一苦労です。ものすごい人ごみが、さまざまな方向に向かって散って行く...のですが、「散る」流れになるまで満員電車のような混雑がかなり続くのです。
スタンリー・パークの入り口まで至るまでに20分以上かかって、やっと人の流れが文字通り流れるところまでたどり着きました。そこからスタンリー・パークを突っ切るのに10分足らずかかります。そこが電車の連絡バス乗り場になっています。グッディソン・パークからの帰途とアンフィールドからの帰途とでは大きな差があることを、改めて実感しました。
さて友人一行と落ち合って、帰途に向かいました。一行のうち半分が同じ方向に帰るので、途中駅まで車に乗せてもらいました。その車中で、ラジオでトーク・スポーツがかかっていました。
ふと車中の会話が途切れた時に、トーク・スポーツがあの猫の話になったのが聞こえてきました。なんと、あの猫はさっそく「アンフィールド・キャット」という名前が付けられたようです。続いて「アンフィールド・キャットはチャーリー・アダムより足が速い、ということで高い評価額がつきました」という解説に、更に爆笑。
しばらくアンフィールド・キャットがブームを呼びそうな感じです。
トーク・スポーツは続いて今日の試合の分析に移りました。アンディ・キャロルが今季最高のプレイをした、という評価と、リバプールにとっては「2ポイント失った試合」というのが結論でした。キャロルについては、友人一行やそのほかの多くのファンの見解も一致していました。「これからキャロルが本領を発揮してくれるだろう」と期待を語り合いました。
スアレスが戻ってきて、キャロルが調子を上げれば...という期待は久々のウェンブリー行きと共に大きな希望になるでしょう。シーズンもいよいよ大詰めです。
以上、リバプール対トットナムの観戦記です。
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