プレミアリーグ観戦ガイド

観戦記
2012/1/21 ボルトン 3-1 リバプール

ボルトンへ

前回、電車でボルトンに行ったのは2002年の夏のことでしたが、リバプールのライム・ストリート駅からマンチェスター方向に向かって乗り換えながら行きました。今回はサウスポートからだったのでリバプールとは全く異なる経路でした。通常はサウスポートからマンチェスター行きに乗って行けばボルトンは途中駅ですが、この時はたまたまボルトンを通らない電車に当たったため、ウィガンで乗り換えました。先日ウィガンのスタジアムに行った時に降りた駅です。

ウィガン駅のホーム ウィガンでの待ち時間は20分程度でしたが、ぼーっと電車の時刻表を見ていると、ウィガンからボルトンへは快速だと次の駅に当たることがわかり、この両者が(ダービーと呼ぶにはふさわしくないにせよ)「隣人」としてライバル意識を燃やす間柄であることがなんとなく解りました。


ボルトン駅の通路 ちなみに、ボルトン・ワンダラーズFCのリーボック・スタジアムはホーウィッチ・パークウェイ駅が最寄りですが、サウスポートからだとボルトンで乗り換えて2駅目になります。マンチェスター方面からだとホーウィッチ・パークウェイまでの直通が通っているので、ボルトン・ファンがマンチェスターの2チームに対してライバル意識を抱くのも、これまた理解できるような気がしました。

ボルトン駅 この日は、土曜日の遅い時間のキックオフだったのでボルトン駅で途中下車して街中をさっと見学してからホーウィッチ・パークウェイに向かうことにしました。聞いた話だと、ボルトンのタウンホールはわざわざ見に行く価値があるとのことでした。

2002年にボルトン駅で降りた時にはツーリスト・インフォメーション・センターの場所を探し当てることが出来ずに(時間もなかったし)途中で挫折しましたが、今回は発見しました。というか、タウン・ホールのすぐ裏にありました。鉄道の駅からはしばらく(5-6分)歩きます。鉄道の駅の近辺は何もない感じですが、タウン・ホールまで行くとショッピングセンターもあり、なかなか面白い風景が見えます。もちろんタウン・ホールそのものは壮大な歴史的な建物で、やはり感動しました。広場の最も端から取っても写真が切れてしまうほどの大きさでした。地元の人々がゆったりと訪れる姿が見えます。ボルトンという町もなかなかいいなあと感じました。
ボルトンのタウン・センター






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ホーウィッチ・パークウェイ

さて、街中の観光を終えて、ボルトン駅に戻ってホーウィッチ・パークウェイに向かいました。ホームには明らかに試合に行く姿をした人々がたくさんいます。私は(日頃の習慣から)ボルトンのシャツを着た人々の後をついて電車に乗り込みました。電車は二両編成で、すぐに満員になりました。席はありません。ドアのそばにボルトン・ファンに囲まれて立つことにしました。
ボルトン駅のホーム
すると、うしろの方から(立っている人が多かったため見えなかったのですが)、いきなり歌声が聞こえてきました。その歌はくずにアンフィールドでおなじみの歌になり、アウェイ・サポーターが謳っていることがすぐに分かりました。すっかりおなじみになった「We're not racist we only hate mancs」です。私の周囲のボルトン・ファンはそれを聞いてくすくす笑っています。なかなかほがらかなフットボール列車になりました。

ホーウィッチ・パークウェイに着いて、殆どの乗客が降りました。みなゾロゾロとスタジアムに向かっています。というか、この駅はスタジアムに行く人以外に利用客はいないだろう、という感じです。近くにホテルや大きなショッピング・センターがありますが、それらの利用客は大抵は車のようです。ショッピング・センターにも大きな駐車場があります。この駅を利用する乗客は、殆どが試合を見に行くファンだと思います。今日の試合はアウェイがリバプールなので、車で来る人は多いのですが、ロンドンのチームなど遠方のチームがアウェイの場合は、アウェイ・サポーターの方が利用客は多くなるくらいかもしれません。

ホーウィッチ・パークウェイ
いずれにせよ、駅を降りるとスタジアムがすぐ目の前に見えるので、絶対に道に迷う心配はありません。これほど簡単なスタジアムはイングランドでは珍しいくらいです。

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リーボック・スタジアム


リーボックスタジアム アウェイ・スタンドは6年ぶり、前回もたまたまボルトン戦で、2006年の1月でした。クラブによってはアウェイ・チケットも比較的容易に購入できることもあるのですがリバプールの場合は、シーズンチケット・ホルダーですら入手できないことがあるくらいに、不可能に近い芸当です。さすがの私も裏の手を使います。「裏の手」と言っても大げさなものではなく、友人(地元のシーズンチケット・ホルダー)に取ってもらうというだけのことですが。今回は、その友人は(およびその友人一行含めて誰も)行かない、ということだったので、一人で電車に乗ってリーボック・スタジアムに行きました。

クラブショップ ボルトンのホームの試合を一人で見に来たこともあるため(10年前のことですが)、スタジアムに行くことに関しては何の心配もありませんでした。ただ、ホーム・スタンドとアウェイ・スタンドは大きな差があります。今回は、一人だったのでましてやその差を身にしみて感じました。

まずは、ゲートをくぐる前に、その差を感じました。ボルトンのスタジアムの裏というかほとんど隣接と言ってもよい場所に大きなショッピング・モールがあります。その中も含めてスタジアム近辺にはいくつかパブがあるのですが、どのパブも「アウェイ・サポーターは入場禁止」と張り紙があります。これまで多くのスタジアムに行きましたが、アウェイ・サポーターを締め出しているのはボルトンくらいではないかと思います。たいていのスタジアム近辺のパブは、アウェイ・サポーターとホーム・サポーターが仲良く語り合い、肩を並べてジョークを言いあって笑う姿があり、とてもよい雰囲気です。ボルトンではそれが見えないのです。

スタジアム裏のショッピングセンター
残念ながらその風習は今も変わっていませんでした。


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トラベリング・コップ

アウェイ・スタンド裏のバー さて、ゲートをくぐります。スタンドの裏がパーになっていて、狭い空間にびっしりトラベリング・コップが入っていて、試合前のパブ代わりとなっていました。もちろん、あちこちで歌とチャントが飛んでいました。ただ、スペースが非常に狭いことが気になりました。案の定、ハーフタイムにトイレに行くためにここを通った時には、超満員の通勤電車なみのひどい混雑でした。

アウェイ・スタンドの座席数から考えて、果たしてこのスペースの狭さは正しいのだろうか、とふと疑問を感じてしまいました。(これもアウェイ・サポーター締め出し策のひとつ?とは考えすぎかもしれませんが)

試合風景 スタンドに入ると、なんと私の席はアウェイ・スタンドの端、ホーム・スタンドからすぐ近くの場所でした。これがまた、頭痛のタネとなりました。

試合内容は繰り返すまでもありません。一方的にボルトンが勝ったわけですが、しかし、試合内容もさることながら、すぐ隣のホーム・スタンドから飛んでくるものすごい野次に、へこたれそうになったというのは本当です。さすがにトラベリング・コップは(このようなひどい扱いに慣れているせいもあるのでしょう)、どんなひどい野次を飛ばされても挑発に乗ることなく、大声でチームを応援し、自分たちの歌を歌い続けていました。

マスコットがチームをお迎え ホーム・スタンドからアウェイ・スタンドに向けて試合を通して飛んできた野次の概要は、おおよそこんな感じでした。
・「人種差別主義者!」(残念ながら、どの対戦相手もこの野次は同じです...)
・You'll Never Walk Alonの替え歌で、sign on, sign on... という(対戦相手の定番)「リバプール市民=失業者」野次
・F***言葉とS***言葉に混じってリバプールの選手を侮辱する言葉の数々

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アウェイ・スタンド

さて、トラベリング・コップの歌です。最近の定番となったのは、相手から飛んでくる「人種差別主義者!」野次に対する防御(?)、イスタンブールで5回目のヨーロピアン・カップを取った歌と同じメロディで「We only hate Mancs. We are not racist(我々が嫌っているのはマンクスだけで、我々は人種差別主義者ではない)」です。これは、どこに行ってもリバプール・ファンが必ず歌う歌で、これには相手チームのファンも含めて誰もが爆笑します。リバプール・ファンは、人種差別主義者!という野次に対してジョークで返すことで威厳を保とうという決意を貫いているわけです。

試合開始
その他にも、定番のアンフィールド・ロードやYNWA、選手個々人の歌、などなどお馴染みの歌やチャントが続きました。

ちなみに、余談ですが、ボルトンのスタジアムではボルトンが得点すると音楽が流れます。他にもそういうスタジアムは若干ありますが、全てではありません...。まあ、その是非はさておき、ボルトンの得点音楽はなんとJust Can't Get Enough。リバプール・ファンの間でお馴染みのスアレス・ソングのもと歌です。なんとも皮肉なことでしょう。この音楽が引き金とばかりに、我々のすぐ横にいたホーム・サポーターは、自分たちの祝いゴールが終わるかどうかの時点ですぐに「人種差別主義者!」を連発してきました...。嫌がらせにしか聞こえない、というのはやはりひがみでしょうか。
ハーフタイムのエンターテインメント
もちろんトラベリング・コップは落ち着いて、ボルトンのゴールの後でもすぐに「リーーバプーール、リーーーバプーーール」という定番のチャントを開始するなど頑張りました。

あと、私が聞き逃しただけかもしれませんが、リバプールが得点した時にはその音楽はなかったのはもちろんですが、場内アナウンスすらなかったような気がするのですが...。

アウェイ・チームおよびファンに対して差別しすぎではないだろうか、とやや苦い気持ちになった、というのは本音です。

ボルトンは、ホーム・スタンドに座った時にはもっともっと良い印象でしたが。

ともあれ、アウェイ・スタンドもたまには経験することは大切だとしみじみ感じた次第です。


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夜のボルトン駅付近

さて、帰りもボルトンで乗り換えでしたが、待ち時間があったため、いったん駅の外に出て、駅前のパブに入ることにしました。The Yorkという名前のパブです。入ると、目の前にボルトン・ワンダラーズFCのクラブ・クレストが...さすがは小さな町の唯一のクラブという感じです。不況でパブは大変だと聞きましたが、そこそこに客も入っていました。きっと、試合に行かなかった人々がこのパブでボルトン対リバプールの試合を見ていたのでしょう。祝杯をあげてちょっと陽気になった感じの人々から(外国人が珍しいのでしょう)、話しかけられました。なかなかいい感じの市民でした。

ボルトン駅付近のパブ

簡単ですが、ボルトン対リバプールの観戦記は以上です。


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