観戦記
2010/09/16 ブラックバーン 1-2 アーセナル |
リバプール市内のホテルに滞在中に、日帰りでブラックバーンに行き、ブラックバーン対アーセナルを見た時のレポートです。この翌日はアンフィールドでLiverpool-West Brom戦を見ることになっていました。
■出発
朝、09:57の便にてブラックバーンに行くことにした。ゆっくり支度してLime St Stationに行き、往復切符を買った。電車は、直通はなくプレストン(プレストン)で乗換だった。電車は意外に混んでいた。プレストンまで1時間くらいかかった。しかし、いくつ駅を過ぎればプレストンに行きつくのか分からずちょっと不安になる。というか、各駅停車なので長く感じただけかもしれない。
などと思いながら車内を見渡すと、アーセナルのシャツを着た男性が電車の中をふらふら歩きまわっていた。ふむ、この人について行けば大丈夫ではないだろうかと思った。10駅くらい止まったところか、もっと止まっただろうか、ウィガン(Wigan)を過ぎて、間もなくプレストンに到着する。アーセナルのシャツの人も含めて、かなり多くの人が降りた。というか、殆どの人が降りた。プレストンは大きな駅だった。
降りたホームに駅員がいて、その人にブラックバーン行きの電車を聞く。同じホームに20分後に来ると言われた。ふと見ると、ホームにはアーセナルのシャツが増えている。ブラックバーンのシャツもたくさんいる。人々は電車待ちの時間、会話をしたり歌ったりしている。だんだんフットボール列車のようになってきた。
時間どおりに電車が来て(イングランドの電車も、最近はかなり時間通りに運行する便が増えてきた。驚きだ)、電車に乗り込む。逆方向に行くと終点がブラックプール(ブラックプール)だった。なるほど。ブラックプールがプレストンと「隣人」である理由がわかったような気がした。
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■ブラックバーンへ
ブラックバーンに向かう電車は2両編成で、いかにもローカル線ぽい。私が座った席のすぐ隣のアーセナル・ファンが、前の席のブラックバーン・ファンとずーっと仲良く話し込んでいた。なんとなく会話が耳に入る。いい感じの会話だった。アーセナル・ファンがブラックバーン・ファンにシーズン・チケットを見せてもらっていた。
ちなみに、両ファンはずっとこんな感じで、この日は一日中(試合中の90分を除いて)、ファン同士が和やかに交流している風景がずっと見えた。帰りの電車の中でも(試合の後も)、両者が仲良く話し込んでいる姿があちこちで見えた。ブラックバーン・ファンがアーセナル・ファンに向かって「CL出場がうらやましい」とかいう発言もあった。いい感じだ。
さて、行きの電車の中に戻る。ブラックバーン駅のひとつ前のミル・ヒル(Mill Hill)駅に到着した時に、ブラックバーン・ファンが「この駅だよ」と教えて、アーセナル・ファンも一斉に降りた。私も降りた。車内のかなりの人がこの駅で降りた。これらの人々に着いてゆけばスタジアムにたどりつけるだろうと、ますます自信が出てきた。
ミル・ヒルは無人駅で、ホームから階段を上ると出口になっていた。出口を出るとすぐ左にバス停があったが、みんなバス停を通り越してずんずん歩いて行く。ふむ、歩いてゆけるのだろうかと思ったが、黙ってついて行くよりはまずは誰かに聞こうと思い、後ろを歩いていた男性に質問した。答えはその通り、この方向に歩いてゆけばそんなに遠くないとのこと。安心して歩いてゆく。
いかにも田舎道と言う感じの道をまっすぐ行き、2度左に曲がったところで、まっすぐ前にスタジアムが見えてきた。15分くらい歩いただろうか。これは駅からスタジアムへの距離は、ウィガンと同じくらいだという気がした。イングランドのスタジアムにしては、非常にアクセスが良いという感じだ。
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■イーウッド・パーク
12:00ちょっと過ぎにスタジアムに着いた。リバプールから2時間ちょっとでスタジアムに着いた計算になる。悪くはない。
スタジアムの正門を入ると、いきなり雨が降り出してきた。典型的イングランドの気候だ。まずは、購入しておいたチケットを受け取ろうと思い、スチュアードさんにチケットオフィスの場所を聞く。すると、最初に聞いた人がなんとわからないという。むむむ...。
あの人に聞けと言われた人に聞くと、その人は場所を知っていて、教えてくれた。だが、教えられた場所に行くとそこは当日券の販売のみで、受取の場所は別だと言われる。クラブショップの裏口に行けば受取の窓口があると言われる。なかなか難しいたらいまわしだ。
それにしても、さすがブラックバーンでは当日券も販売してるのだと知る。それもそうだ。テレビ放送された試合でも、このスタジアムが満席になった風景は記憶にない。このスタジアムならマンU戦でも楽勝でとれるんじゃないだろうかとふと思った。もしそのような機会があればぜひ、来ようと思った。
ともあれ、クラブショップの裏口に行くと、確かに「当日受け取り」と書かれた札が付いた窓口が3つあり、名字のイニシャルごとに3列に分かれていた。窓口で自分の名字を言うと、問題なく受け取れた。郵送用の封筒に入っており、封筒ごと渡された。念のため封筒を開けてチケットを確認する。問題ない。まあ、これまでの経験でも、さすがに当日受取のチケットに問題があったことはなかったが。
チケットも確保したし、まだ少し時間があったので、まずは一服し、その後でスタジアムを一周することにした。
ブラックバーンのファンにとってアーセナル戦というのは、たいした試合ではないのだろう。ビッグ・マッチの人出とは到底言えないような人ごみで、スタジアムを見回るのもすぐに終わった。
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■スタンド
12:20ころにゲートをくぐる。自分の席につくと、ピッチの上では既にウォームアップは始まっていた。私の席はアンフィールドで言うとメイン・スタンドのベンチのすぐ後ろという感じの席。イーウッド・パークでは、前オーナーのジャック・ウォーカーの名のついたスタンド名(Jack Walkerスタンド)だった。
なかなか良い席で、私の席からは、サブの選手がぞろぞろとベンチ入りする姿がはっきり見えた。試合中もアーセン・ベンゲルは常に見えていた。試合中ほとんど立ちっぱなしだったが。右側(アンフィールドで言うとKopに当たるスタンド)がアウェイスタンドで、その2階席はすべてアウェイ・サポーター用、1階は半分がアウェイ用だった。なかなか良いスタジアムだ。ピッチが非常に近いが、ボールボーイがいる。というか、近いと言ってもアンフィールドほどの近さではない。2メートルくらいはアンフィールドより離れていると言う感じか。その2メートルの差がボール・ボーイの要否の分かれ目なのだろう。
そんな感じで、席できょろきょろしながらマッチプログラムを読んでいるうちに、あっという間に試合開始の時間になった。ふと、右側に座った中年男性が、前を人が通る度に(私に向かって)「これでは試合の半分は見えないね」と囁く。こんなところで争ってもしょうがないので、そうですね、と適当に合わせた。これまで、このようなことに文句を言った人に出会ったのは初めてだった。とは言っても、その男性は特に悪い人という感じでもない。まあ、こういう人もいるということか。
試合開始前の時間、ライオンのマスコットがスタンドを回っていた。子供にサインしたり一緒に写真を撮ったりしていた。ジャイアント・スクリーンでは選手やサム・アラダイスのインタビューを流していた。ふむ。ジャイアント・スクリーンがないスタジアムというのは(ウィガンもなかったが)だんだん少なくなっている。要は、ファンができるだけ早い時間にスタンドに入って待つようにと、スタンド内にアトラクションを設置するのだろう。すると、何もないのにファンがちゃんと時間までにスタンドに入って座っているアンフィールドはすごいと、当たり前のことを何だか妙に感動した。
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■試合
さて試合開始。ブラックバーン対アーセナルは、内容的に非常に面白かった。その夜のマッチ・オブ・ザ・デイでアラン・ハンセン、ガリー・リネカー、アラン・シーラーの3人がそろって「両チームともに良いプレイで白熱した試合だった」と絶賛していたが、本当にその通りで、見にきて良かったとしみじみ思った。人さまの試合を見に行ってここまで退屈しなかったのは、一昨年のストーク同様に非常に珍しい。内容的には今回の方が上かもしれない。
ちなみに、私のカメラは試合開始のかなり前に電池切れになった。スタジアムの外側をもう少し取りたかったのだが。残念。
マッチ・オブ・ザ・デイと言えば、この日ファビオ・カッペロがブラックバーン, ブラックプール, マンUとはしごしたらしい。たしかに、この3つのスタジアムならばぎりぎりだが車なら走り回れる距離だ。この付近にクラブがたくさんあるということは良いことだと思った。ただし、後から地元の人と話をしたところ、カッペロの3試合はしごは笑い話になっていたらしい。
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■スタジアムから帰途に着く
試合が終わって、いつものようにトイレ経由で外に出る。帰りの電車に乗るには、たぶんミル・ヒルでなくブラックバーンまで行く方が良いのだろうと思いつつも、同じ駅まで戻った。ブラックバーン駅まで行く道のりが分からなかったし、地図で見ると歩いて行ける距離には見えなかったからというのが理由だった。
ともあれ、来た時と同じ駅に向かって歩いた。アーセナルのシャツを着た人がかなり、同じ道を歩いていた。駅に着くちょっと前にすごい雨が降り出した。短い距離だがスコールのような雨だったので、びしょびしょになってホームに着いた。ホームには屋根がほんの申し訳程度についていた。みんな、屋根の下へと走る。さすがのイングランド人もこの雨なら屋根が欲しくなるのも当然だと思った。
屋根の下で電車を待ち始めたのが15:00ちょっと過ぎだった。その時点で、ホームにはかなり人がいた。結果的に、それから電車が来るまで40分待った。
後から振り返れば40分待ったわけだが、待ち始めた時には「何分待てばよいのか」わからず結構不安になった。というのは、待っている人ごみの中の誰かが「ところで、誰か電車の時間知ってる?」と声を張り上げたのだ。それに対して誰も答えない。誰もが、他の人が回答を持っているだろうと期待していたらしい。誰も答えないのを見て、みんな一斉に笑って、おとなしく電車を待つことにした。
15分くらい待ったところで、我々の目の前を猛スピードで電車が通過した。この駅を通過する電車もあるのだろう。ふむ。やはりブラックバーンまで行くべきだったか。このまま待っていて果たして電車が来るのだろうか、という気も一瞬起きた。しかし、待っている人の中にはブラックバーン・ファンの人もかなりいたので、いずれ電車は来るのだろうと思って待った。こういう時に、待っているのがアウェイ・サポーターだけだとしたらもっと不安になっただろうと思う。
暫くすると、試合帰りでない地元の人らしき家族連れがホームに入ってきた。きっとこの人たちはこの周辺住民で、明らかに電車の時間を知っていて、電車に乗るために来たのだろう。つまり、電車は間もなく来るのだろうと期待した。案の定、それから5分くらいでやっと電車が到着した。待ちに待った電車の到来に、みんなで拍手をして迎えた。ははは。まったくもって、今日のファンは面白い人々が多かった。
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■ミル・ヒルからプレストンへ
ホームにあふれるくらいの人がいたが、その2両編成の電車に全員乗り込むことが出来て、無事、発車する。電車の中でも来た時と同じようにブラックバーンのファンとアーセナルのファンが仲良く会話をしていた。25分くらいでプレストンに着く。
ホームに降り立ち、その同じホームにLiverpool行きの電車が来るだろうことは想像できた。行きに時間待ちしていた時に、帰りの電車の時間を見ておいたので、Liverpool行きの直通がちょうど5分前に行ったばかりだということはわかった。1時間に1本だったので、55分待ちということになる。
ちょうど駅員がいたので質問する。「55分待てば直通が来るが、6番ホームの電車でウィガンまで行き、そこでLiverpool行きに乗り換えた方がLiverpoolには早く着く」と教えてもらった。お礼を言って6番ホームに行く。すると、ホームにはアーセナル・ファンがあふれていた。なんと...。良く見ると、6番ホームの電車というのはロンドン・ユーストン(London Euston)行きだった。プレストンが始発で、次がウィガンという便だった。ふむ、ウィガンに行くのだからこれに乗れば良いのだと思い、それに乗った。なんとなんと、アーセナルの人たちは、ミル・ヒル駅で40分待っている間、このロンドン行きの電車の時間を気にして不安になっただろうと思った。ぎりぎり間に合ったというわけだった。そのわりには、誰ひとり騒ぐでもなく、平然と待っていた。なんとなく。またアーセナル・ファンに好感を抱いてしまった。
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■プレストンからウィガンへ
電車に乗り込んで、まずはあている座席を探した。見ると、あいている席は全て指定席のチケットが立っている。長距離列車だからしかたないかもしれない。暫く探して、諦めて通路に立つことにした。1駅だけだし立ってもたかが知れている。すると、私と同じように指定をもっていない人が5人通路に立っていた。うち3人がマッチ・プログラムを持っていた。我々が立っている場所のちょうど目の前がトイレで、途中トイレに来た人が「これはトイレの列?」と我々に質問することが何度あったか。5人はその度、笑いながら「いや、違いますよ。どうぞ」と通した。
10分くらいでウィガンに着き、通路に立っていた人が全員降りた。前回来たのでウィガンには見覚えがあった。時刻表を見ると、Liverpool行きは15分後に来る。前回来た時と同じ電車だったか?前回はもっと駅を飛ばしたような気がした。ともあれ、45分くらいでLiverpoolに着いた。
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■リバプール帰着
さすがに、行き帰り各駅で、これだけ乗換があって、途中ほとんど立ちだったので、リバプールに着いた時にはでろでろに疲れていた。それ以上歩く気がしなかったので、ホテルのレストランで夕食を取った。食事を終えるとそれなりの時間になっていた。部屋に戻ってシャワーを浴びて、PCを見ているとすぐにマッチ・オブ・ザ・デイの時間になった。
この日のマッチ・オブ・ザ・デイは結構面白かった。先週(?)、アラン・ハンセンがTheo Walcottを「フットボールの頭脳を持っていない」と言ったことが、すごい反響を呼んだことが話題になっていた。この日はTheoが鮮やかなゴールを決めたので、アラン・シーラーが「私はTheoは頭脳を持っていると思う」と、くすくす笑って言った。
Theoの話とは別だが、アラン・ハンセンがマンUが勝ったことを気に入らないと言う表情で「マンUはいつもこんな勝ち方をする。こんな試合はこの先ずっと続くだろう」と吐き捨てるように言って、ぶすっとしていた姿には笑えた。Legend!!!
寝る前にPCを開きメールを見ると、マイクからメールが届いていた。明日、13:30にホテルまで迎えに来てくれると言う。なんとありがたいことだろう。そのような次第で、今回のアンフィールドは、行きも帰りも車で送ってもらい、全くラクな往復となった。(アンフィールドの観戦記は割愛)
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