プレミアリーグ観戦ガイド

観戦記
2008/01/01 アストンビラ 2-1 トットナム

リバプール市内のホテルに滞在中に、日帰りでバーミンガムに行き、アストンビラ対トットナムを見た時のレポートです。この翌日はアンフィールドでLiverpool-West Brom戦を見ることになっていました。



 ■リバプール市での2008年の幕開け

朝、5:00に廊下の騒音で目が覚めた。昨夜からパーティをやっていたらしい人々の騒音だったと思う。ともあれ、これをきっかけに起床してシャワーを浴びた。それから朝食の10:00までの間、昨夜まったく書けなかったツアーレポートを書くことにした。その後で、今日のバーミンガム行きの切符を発券機から受け取ってこようと思い、Lime Street Stまで出かけることにした。キオスクが開いていたらミルクを買ってきたいという気もあった。残念ながらキオスクは閉まっていた。朝8:20頃だったが駅は閑散としていた。今日この日のこの時間に旅行する人は少ないのだろう。ホテルの朝食も10:00からというくらいだから、ほとんどの人がまだ寝ているということは想像できた。

駅員のお兄さんに聞いて、切符発券機の場所を発見し、なんとか発券できた。駅の中にガラス張りの部屋ができていて、その中にカウンターと発券機があった。万が一、操作がわからない場合でも聞く相手がいるというのは心強い。ただ、発券機の操作は全く簡単で(日本の空港の国内線のチェックイン機に似ていた)、ガイドに従って操作したらあっさり予約しておいたチケットが出てきた。ソファに座ってチケットを確認している最中にスタッフらしき人が入ってきて、スタッフ間で新年の挨拶をし始めた。いやでもその会話が聞こえたのだが、一人の人が「今日の予定は」と聞かれて笑って「Football」と答えていた。他の人がオールド・トラッフォード云々と言った声も聞こえた。新年早々、リバプール市の中心駅でマンチェスターユナイテッド・ファンを見るとは。

ホテルに戻り、再びツアーレポートを書き続けた。さて、今日はバーミンガムまでの小旅行。試合は17:20開始のテレビ放送戦だった。バーミンガムへの列車は11:37発で13:25着。帰りは21:30発22:55着。イングランドの列車が時間通り運行するわけがないので、帰りは何時になることか。また疲れてすぐに眠るという日程になりそうだ。しかし、明日は試合は20:00開始だから朝はゆっくり寝ていても良い。無事、今日中に戻ってこれることを祈ろう。

ホテルの朝食でばったりBさんと会う。なんと、12/29から同じホテルに泊まっていたのだそうだ。偶然とは恐ろしい。一緒に朝食をとりながらこれまでの道のりのことやチケットのこと、今日の予定のことを話し合った。Bさんはオールド・トラッフォードに行くのだそうだ。我々の列車の時間が迫っていたので、挨拶をして別れた。急いでLime Streetまでゆき、列車に乗り込んだ。

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 ■バーミンガム

行きの列車は順調に進んだ。ほとんど定刻とも言える時間に、バーミンガム・ニューストリート駅に着く。そこで電車を降りて、まずは駅の外に出た。てっとり早く駅の案内所に行き、ビラパークに行く足を訪ねることにした。チケットオフィスから送られてきた「アクセス案内」の紙を差し出して「ビラ・パークに行きたいのですが」と質問すると、窓口の人はじーっと紙を見て「ああ、Wittonか」と納得し、「今日行くんですか」と質問。そうだと答えると「往復が良いか片道か」。往復を欲しいのだが、(帰りのLiverpool行きの電車の時刻を提示して)この列車に接続できる列車はありますか、と質問する。窓口の人は親切に調べてくれた上で、「往復£1.3です」と言って時刻表を印刷して渡してくれた。2人分の往復を買い、お礼を言って辞去した。ふむ。次の列車は10分後に発車だ。そのまま列車に乗り込むことにした。

まだ時間が早いかと思っていたところに、すでに観戦スタイルの人が乗り込んできた。トットナムのファンのようだ。発車して、次にAstonという駅に止まった。ビラのシャツを着ていた(地元の人らしい)乗客が降りた。トットナムの人々は乗っていた。我々も予定通りWittonまで行くつもりで乗っていた。列車が発車し、明らかにスタジアムと思える建物を通り過ぎた。なんと簡単だろう。これでは人に道を聞く必要もなかった。

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 ■ビラ・パーク

Witton駅を出て、迷うことなくスタジアムにたどり着いた。スタジアムが見えているので、それを目指して歩けば良かったのだ。ここで迷うことはあり得ない。なんと簡単なスタジアムだろう。

ビラ・パークにたどり着いのが3時間前だった。時間が早いので、まだ誰もいないのでは、と思ったところ、すでにそれなりに人並みがあり、クラブショップにも結構客が入っていた。我々もクラブショップに入り、一通り眺めた。スタジアムとは別棟の大きなショップで、レディスウェアもある。なかなか大きなクラブっぽい。需要はあるのだろうかと気になったが、売っているのだから採算は取れているのだろう。選手の写真コーナーで、アンディ・タウンゼント、ポール・マグラー、スティーブ・ストーントンという懐かしい顔を見た後で、現役選手のコーナーでスコット・カーソンの写真を買うことにした。あといくつか小物を買って合計£11を払って買い物を終えた。Villastoreの透明な袋に入れてくれた。それを持ち歩くとすっかりホーム・サポーターらしく見えるようになった。

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 ■試合開始前

まだまだ時間は余るほどあったのでスタジアムを一周しようということになった。ふと、人ごみができている一角に至った。選手の入口だとわかり、選手が入ってくることがわかった。我々も列について待つことにした。すぐにダグ・エリスが車に乗って登場。ファンの反応がない中を、さっさとスタジアムの中に入って行った。そのあと40分くらい待ったところでまずはトットナムのバスが入ってきた。次にビラのバスが入ってきたときはファンから拍手で迎えられた。一番最初に降りたのはマーティン・オニールで、ファンの拍手に手を振ってこたえていた。

時間があり過ぎて困るかと思ったところ、両チームのバスを見ているうちに時間はちょうどいい感じになってきた。バスが終わって、オフィシャルのハンバーガーショップでバーガーを買い、食べてから入ろうということになる。でもバーガーはまずかった。

食べ終わった後、スタジアムを一周して、いよいよ中に入る。ゲートを抜けると、荷物チェックのスタッフが私のVillastoreの透明な袋を見てにっこり笑って、そのまま通してくれた。Aさんは大きなバッグを持っていたのでチェックされたがあっさり解放された。やはりホームサポーター・スタンドだと簡単なのだろうか。席に着くと選手が既にウォームアップしていた。

選手紹介で、スコット・カーソンには大きな拍手が(自発的に)出た。ここまで来ると素直にホーム・サポーターと同期をとることができた。

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 ■ビラ対トットナム

試合開始。ビラのチャンスに拍手をする。ビラが1-0で迎えた後半、トットナムの方が攻撃を激化した。ふと見るとビラ・ファンのスタンドの前に立っていたポール・ロビンソンがポールを蹴るタイミングで、スタンドから大きなブーが飛んだ。それに刺激されたか(?)今度はトットナム・ファンが真似してスコット・カーソンが蹴るタイミングで同じ調子でブーを飛ばす。典型的イングランドのファンのやり取りだった。

試合はトットナムがジャーメイン・ジェナスの素晴らしいゴールに同点とする。しかしビラも負けておらず、88分にマーティン・ローセンがヘッダーで勝ち越しゴール得た。我々も立ち上がって拍手した。選手たちがマーティン・オニールのところに走って行って祝ゴールをした様子が見えた。なかなかいい感じだった。拍手の後、ビラ・ファンがトットナム・ファンに向かってWho are you?と仕返しをした。試合はめでたくホーム側が勝った。この運が明日も続きますようにと祈った。人波に沿ってスタジアムの外に出た。

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 ■アン・オフィシャルショップ

帰りの電車までにまだ時間があったので、スタジアムを出てすぐのところにあったアン・オフィシャルショップに立ち寄り、ブルース(バーミンガム・シティ)ネタのTシャツを買うことにした。陳列されている中で気に入ったシャツは、商品の中に見当たらなかったので、売り場のお姉さんに「Keep Britain tidyのシャツはないの」と質問する。お姉さんはその上の(イラストの内容を説明するのはちょっと躊躇われる)シャツを指さして「これと表裏になっている」と説明。なるほど。納得して1枚買うことにした。すると「サイズは?」と聞かれた。なんと、サイズまで取りそろえているのか。ということは、このシャツ、町中を着て歩くんだろうか。と思うとバーミンガム市内の2チームの激しいライバル意識が改めて確認された気がした。価格は£7。ここでしか買えないシャツであることは間違いない。

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 ■Witton

買い物を済ませてWitton駅に向かった。時間はたっぷりあるが、うろうろせずにそのままホームに立って待つことにした。もう周囲は真っ暗だったので、ぶらぶら歩く気にもなれなかった。

ふと気付くと、Wittonで電車を待っているのは過半数がトットナム・ファンで、ビラのシャツを着ているファンも地元の人ではなかったのかもしれない。遠方のファンが知らずに電車待ちしていた感じだ。45分の待ち時間の間に、ちょっと青っぽい服装のお兄さんが私の隣に来て立った。その青いお兄さんは、トットナムのグループに「試合はどっちが勝ったの」と質問している。ビラが2-1と答えると、青いお兄さんが残念そうに首を振る。なんともこの町の2チームのライバル意識は凄い、と改めて感じた。

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 ■電車の中での会話

暫くして、やっと電車がきてみんなぞろぞろ乗り込んだ。電車の中で、われわれの前後で会話が始まった。後ろに座っていた人がアバディーン出身のビラファンで、前に座っていた人がダブリン出身のビラ・ファンだった。会話は、アバディーンとアイルランドの比較(人口はコークより大きい、などなど)で花が咲いた。

それから、どのチームを応援しているかという話に発展した時に、後ろの左側に座っていた、明らかにロンドンの人と思えるお兄さんが会話に参加した。「僕はトットナム・ファン」。ふむふむ。三国代表者会談みたいだ。

今季の優勝の行方の話になった時、ロンドンのお兄さんが「マンUは我慢できる。でもチェルシーは許せない」。ちなみに、その時点の首位はアーセナルだった(もっと上にいるチームがいるだろう、と思ったが、名前を出したくないくらい許せないのだろうと思い苦笑した)。ビラの方のお兄さんは「マンUは大嫌いだ。許せない」。トットナムのお兄さん「僕だってマンUは大嫌いだ。」なんという典型的な会話だろうと笑いをこらえるのに必死だった。

続いてビラのお兄さんが「本音を言うとLiverpoolに勝ってほしいんだけどね」トットナムのお兄さん「うん。Liverpoolは常に許せるチームだ」。でも優勝はないだろう、というのが両者の一致した意見だった。ふむふむ。これも典型的会話だと思った。会話に花が咲いたときに列車はバーミンガムニューストリートに着いた。

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 ■バーミンガムからリバプールへ

帰りの電車は21:16のはずで、 バーミンガム・ニューストリート発Liverpool Lime St行き(22:55着予定の直行便)だった。しかし、電車の時間を示す掲示板を見ると、その電車が、何故かスクリーンから消えており、代わりに21:21発の列車に変更していた。

おかしいと思って案内窓口に行き、質問すると「変更した」とのこと。しかたなくその21:21発の列車の4cのホームに向かう。すると、そのホームには電車が止まっていたのだが、電車には別の行く先が書かれていた。これの次にくるのだろうと思い、残り20分程度を待合室でつぶすことにした。

発車5分前にホームに戻ると、不思議なことにスクリーンがCrew行きの列車にすれ変わっていた。止まっている列車はCrew行きですらなく、さっきと同じ(?)聞いたことがない地名を行く先として表示していた。なんとも典型的なイングランドの鉄道事情だった。

それにしても、この怪奇現象はどうしたものかと困って、ホームに立っていた乗客らしい女性にLiverpool行きの列車は?と尋ねた。その女性は「この列車に乗ってクルーまで行って乗り換えるしかない」と説明してくれた。あらら、なんということだ。列車が変更になったらしいのにスクリーンと列車が矛盾した表示をしている。ともあれその女性の言葉を信じて列車に乗り込んだ。

すると列車の中のアナウンスは「この列車はLiverpool Lime St行きです。途中止まる駅は...」と直行便のアナウンスをしていた。むむむ。何が何だかわからない。車掌が来たら聞くしかないか、と思い座っていると、うとうとと眠りこんでしまった。

暫くして待ちに待った車掌が来た。切符を見せて、この列車はLiverpool行きかと尋ねる。すると、「いや、この列車はクルー行き。アナウンスは間違って放送しているけれどLiverpoolにはゆきませんから。クルーで降りて23:02の列車に乗ってください」。えっ!社内アナウンスが間違っている?そんなの、ありか!と思いつつも、車掌の方が正しいのだろう。全く、イングランドの鉄道は複雑だ。

クルーまであと3駅くらいあった(と思う)。それからトイレに行って戻ってきた時には、なんとアナウンスは「この列車はクルー止まりです」に変わった。

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 ■クルーからリバプールへ

クルーに着いたのが22:20。リバプール行きまで待ち時間は40分ある。しびれる寒さですっかり目が覚めてしまった。6番のホームにLiverpool Lime St行きが来るらしいが、いつ電車が来るのかわからない。リバプール行きの電車を待っている人は、ホームにたくさんいた。なんとなく心強かった。

22:45頃に、そのホームに長い列車が止まった。電車の中から車掌さんがホームに降りてきて、われわれと同様にLiverpool Lime St行きを待っていた乗客の質問に答えていた。何回も同じ質問をされているのだろうと思いながら、Liverpool Lime St行きの列車ですかと質問する。違うという答えが返ってきた。このホームに次に着く列車はLiverpool Lime St行きのはずなのに、またしても駅の表示と真相が異なるというわけだ。

駅の表示や列車の表示は一切信用してはいけなくて、車掌さんや乗客(で正確な情報を持っている人)の言うことをしっかり聞いて行動するしかなさそうだ。心強いことに、バーミンガムニューストリートからクルーで下された客はたくさん(20人くらい)いて、みんなLiverpool Lime Stに行く人々のように見えた。23:00直前にやっとそれらしき列車が来る。安心してみんな乗り込んだ。私は座ると同時に再び居眠りに入った。目覚めるとLiverpool Lime Stだった。

23:50 ホテルに着いた。バーミンガム行きは楽しかったが、帰りの電車の奇怪な運行状況はなかなかスリルに溢れていた。今度バーミンガムに日帰りする時には、遅い時間の試合は避けることにしようと思った。


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