プレミアリーグ観戦ガイド

ブリタニア・スタジアム (ストークシティ)

「チケット入手は簡単」で、例外的に苦労した話を紹介していますが、スタジアムに行くにも非常に苦労しました。実は、アンフィールドよりもたどり着くのに難しいスタジアムと言って真っ先に思い浮かぶのがブリタニア・スタジアムです。というのが私の経験談ですが、実に、イングランドのフットボール・ファンの間では「平日の夜のブリタニア」という言葉が「寒い」という意味をあらわす表現になっているそうです。これは、気温が低いという意味よりはむしろ、「陸の孤島とも言うべく不便なスタジアム」という意味を含んでいる、というのがイングランド人ファンの間で語られている話です。

私がブリタニア・スタジアムに行ったのは2008年9月のことでしたので、寒くはなかったのですが、今後また行く機会がある時には非常に注意が必要だという印象をしっかり抱きました。ホーム・サポーターも周辺住民も親切な人々が多く、人間的には良い印象を抱きました。問題があったのは人間面ではなく、設備面でした。

私はリバプール市内のホテルに滞在して日帰り旅行でしたので、リバプール市からストークまでの往復という不利はありました。行く前に、リバプール市在住の知人にブリタニア・スタジアムへの行き方を尋ねたところ、「不便なところだよ」と笑われた上で、まずはエバトンのアウェイ・サポーター・バスを勧められました(対戦相手がエバトンだったので)。残念ながら、サポーター・バスは満席だったので一般の公共交通機関を利用することになりました。知人の勧めでコーチ(都市間バスのこと)で行くことにしました。鉄道で行く場合には、何度も乗換がありしかもコーチよりも高くついてしまうからです。それに比べてコーチは直通がありました。ということで、リバプール市からストークのコーチ・ステーションまではらくに行けました。
試合前のブリタニア・スタジアム
問題は、コーチ・ステーションからブリタニア・スタジアムへの往復でした。コーチ・ステーションで窓口に行き、スタジアムへの行き方を尋ねると、バスで行くように言われました。その時に、「運転手にブリタニア・スタジアムと言うように」と念を押されました。バス停はコーチ・ステーションの中にあり、そのバスに乗ることそのものは特に問題ではなく、コーチ・ステーションから最寄りのバス停まで15分くらいの距離だったのですが、最大の困難はその後でした。

ページ先頭へ


「ブリタニア・スタジアムの最寄りのバス停」からスタジアムへの道が大変でした。運転手は親切な人で、本来のバス停よりもスタジアム寄りの場所まで乗せてくれたのです。バスを下ろしてくれた時に、運転手さんが「この道をまっすぐ行けばスタジアムが見えるから」と教えてくれました。運転手さんが指した道というのは、森の中の細道という感じの道で、まさに「森の中」をえんえんと歩いて行きました。周囲にはストークの赤白のシャツを着たサポーターどころか、人っ子一人いません。30分くらい歩いたところで、さすがに不安を感じたところで、ホテルらしき建物が見えてきました。そこには人がいることが見えたので、まずはホッとしました。「人がいるので、これで道が聞ける」と思ったのです。と思ったところで、そのホテルの先にスタジアムが見えました。それがブリタニア・スタジアムだったのでした。

ということで、なんとかたどり着けました。帰りは、同じバス停まで歩く気力はなかったのですが、スタジアムの係員に尋ねると、「鉄道の駅まで歩くしかない」と言われました。周囲のサポーターは勝手知ったる、という感じで躊躇もせずにずんずん歩いています。しかたなく、私も歩くことにしました。鉄道の駅まで結局、歩いたわけですが、その距離というか、1時間近く歩き続けたことになります。歩くのは嫌いな方ではないのですが、さすがに疲れてぐってりしました。

しかも、手ごわかったのは、スタジアムから鉄道駅まで歩く道中、赤と白のシャツを着たサポーターの後を、単純に着いて行くだけではだめだったのです。何故なら、多くの人々が地元の住民で、鉄道の駅に向かう前に自宅がある人が多かった様子で、交差点の度に歩く人の数はずんずん減って行きます。単純に後を着いて行くのは危険だ(=目的地以外に行ってしまう)と気付いて、近くにいた女性に「鉄道の駅まで行きたいのですが」と道を尋ねることにした。その女性は親切で、駅が見えるところまで連れて行ってくれたのでした。

ページ先頭へ


1時間近く歩いて鉄道の駅までたどり着き、その女性にお礼を言って分かれた後で、次に別の人に「コーチ・ステーション間で行くには」と質問したところ、バスで行くしかないという回答でした。たまたまラッキーだったことに、その人もコーチ・ステーションに行くからということで、最終目的地まで連れて行ってくれたわけです。結論から言うと、暫く待ってやっと来たバスは本来のバス停とは違う場所から乗らねばならず、その「連れて行ってくれる」と言ってくれた親切な地元の人がいなければ、永遠にバスに乗れなかったかもしれません。

地元住民の親切のお陰で、めでたくコーチ・ステーションにたどり着いたところで、「ブリタニア逸話」は終わりません。リバプール行きのコーチの時間まで40分程度あったのですが、そこでもうひとつ大きな問題に遭遇しました。なんと、トイレがどこにもないのです。コーチ・ステーションにはコインを入れるタイプの有料トイレがいくつかあったのですが、全て故障中(?)で、コインを失っただけでトイレには入れずに終わりました。一軒カフェがあったのですが、トイレはないと言われました。更に、周囲にパブはないかと探したところ、どのパブも(日曜日だったため)閉まっていました。
ストークのコーチ・ステーション
どうにもならず、結局、コーチ・ステーションの脇で客待ちをしていたタクシーに飛び込んで、事情を話して「どこでもいいから、トイレに入れるところに連れて行って」とお願いしました。運転手さんは同情的な口調で「この町の問題点なんだ」と説明してくれました。しかし街中の有料コイン・トイレはいずれもコーチ・ステーションのトイレと同じ状態でした(故障中?)。なんと...。結果的に、運転手さんの知り合いのレストランに連れて行ってくれて、そこでトイレを借用して、コーチ・ステーションまで戻ったという次第でした。

ページ先頭へ


ちなみに、ゲートをくぐってスタジアムの中に入ってしまえばトイレはありましたが、しかし入る前にはトイレはありませんでした。たとえば、アンフィールド(Liverpoolのホーム)には、スタジアムの外に無料のトイレがあり、スタジアムを訪れる人は1ペニーも支払わなくともトイレを利用できます。それがブリタニアではなかったという次第です。

ただ、スタジアム係員の人に「トイレはありませんか」と尋ねると、スタジアムの会員専用のパブ(一般の人はアクセスできない場所)に入れてくれました。
ブリタニア・スタジアム
イングランド人にも評判の「ブリタニア」は、かくして、人々は親切な人ばかりでしたが、アクセスは悪く、トイレに苦労するという、設備的に大変なスタジアムでした。

尚、スタジアムの近くのホテルにパブがあり、アウェイ・サポーターも含めて多くのサポーターがそのパブで試合前の時間を過ごしていました。軽食も買えるようでした。

ページの先頭へ
   
Copyright 2004-2012 EPL_Guide All rights reserverd.