恋慕



アークエンジェルの前でミリアリアにデートを申し込んだら、嬉しいと笑顔を見せてくれた。
彼女とこうして話すのは二年ぶりだ。
「あんた、いい歳して彼女の一人もいないわけ?」
いたらオマエをデートに誘ったりなんかしない。
「そうゆうミリアリアこそ、軍人になんか戻ったりして、嫁の貰い手なくなっぞ!」
「あ、それマードックさんにも言われたー」
腕組みをして、派手に溜め息をついてみせた。
見た目はオンナっぽくなっても、中身は昔のまま。変わらない彼女。
つい顔がニヤついてしまう。
ミリアリアに見られないよう口元を拳で隠すが、すっかりバレてしまっていた。
なによと睨みつけてくる彼女の手を取り、辺りを見回しながら歩き出す。
「ちょっ、ど、どこ行くの?そっちは許可されてるエリアじゃないんだけど」
細い通路を見つけると、すかさずそこへ入り込んだ。
「もう!なに・・・」
抗議の声をあげる彼女を壁に押し付け、唇を塞いだ。
しばらく体をバタつかせ暴れていたが、スグに抵抗しなくなった。
会いたかった。ずっと、会いたいと思っていた。
何かあるごとに彼女の事を思い出し、力ずくでも首に縄をつけて傍に置いていけば良かったと何度思ったことか。
あの時、手を放さなければ良かったと。
けれどそんなことをしたところで、きっと彼女は出て行く。
自分に力がないと分かっていても、自分の身をもって誰かを守ろうとする。
無鉄砲でも正しい事を貫き通す勇気のあるそんなミリアリアが今でも好きだ。
何度も角度を変えて、彼女の唇を味わう。
自分がここまでしつこい男とは、思いもよらなかった。
彼女を傍に置いておきたいのではなく、俺が彼女の傍にいたかったんだ。
「ミリアリア」
唇を離し、力を込めて抱きしめる。
あの頃の今にも折れてしまいそうだった細い体に比べ、今、この腕の中にある彼女の体は柔らかく、少しふっくらしている。
女らしくなった背中や腰周りの感触を確かめるようにゆっくりと撫でまわした。
「ちょ、ちょっと・・・」
くすぐったいのか身を捩じらせながら、彼女なりに力を込めて胸を押してくる。
そんなことをしたって放してなんかやらない。
ふと、すぐ脇に目をやるとドアが一つあった。
彼女を抱きしめる腕の力を緩め、胸元のポケットからIDカードを出し、
ドアの横のスキャナーを通してロックを解除すると、エアの音とともにドアが開いた。
呆然とする彼女の手を取り、ダウンライトが一つ二つ点いた薄暗い小さなその部屋へ入る。
機器類の火は入ってるものの、案の定誰もいなかった。
「何?ココ」
「サブ」
ドアが閉まり彼女をドアと自分の間に挟みこむと再び口付けた。
重なり合う自分たちの頭スグ横のパネルに手を伸ばし、
彼女が読み取れないよう手早くキーを押すとピーという音が鳴り、key lockの文字が表示された。
彼女は何か言いたげに大きく目を見開いているが、かまわず更に深く深く口付けた。
パネルから手を移動させ、制服の上から膨らみに触れる。
彼女の喉が鳴り、体が強張った。
(今から何しようとしてるかなんて、分かるよな)
硬く力が入った体を解きほぐすように、激しく舌を絡め、胸の丘をゆっくりと円を描くように撫でた。
「んふ・・・」
唇の端からから声が漏れ、腕を握り締めてくる。
もう放さない。
胸から手を動かし、ベルトを外す。床でゴトっという音がなり、彼女の制服の前がはだけた。
アンダーシャツを捲り上げ、ブラのホックも外した。
目を開いたままの彼女の唇だけを開放してやる。
大きく上半身を捻らせやめてと声をあげたが、すぐに声色が変わった。
胸の頂にあるそれを舐めまわしながら、両手でスカートを捲り上げ、尻肉を揉み解す。
「ちょ、こんなところで・・・ん」
「メインデッキが故障でもしなきゃ、誰も来ないよ」
彼女の股の間に足を入れ、自分の硬くなった部分を押し付ける。
「ディアッカ・・・、でも」
「黙って」
尻から下着の中へ手を入れると、既に辺り一帯水びだしになっていた。
指を全部使ってソコをいじりたてるが、ストッキングの伸縮具合がきつくて思うように動かせない。
「ストッキング、破っちゃダメ?」
「だ、ダメに決まってるじゃない!」
「そ、残念」
なら、脱がしてしまえばいいだけのこと。
ストッキングに手を掛け下着と一緒に勢いよく膝まで下ろした。
彼女の体から溢れ出た蜜が、内股をつたい膝の辺りでクシャクシャなった下着へと続いていた。
「・・・やだっ」
膝を摺り寄せ、顔を真っ赤にさせる彼女を見たら、もう、限界だと思った。
ディアッカはベルトを外し上着を脱ぎ捨て、ズボンの中からいきり勃った自身を取り出した。
逸る気を落ち着かせながら、ゆっくりと彼女の体を反転させると、
腰を持ち上げ、キラキラと光る水滴が零れ落ちるその入り口に、自身をあてがった。
「あぁっ」
ミリアリアはドアについた手の指を大きく広げ、背中を仰け反らせた。
「くっ・・・」
いきなり締め付けられ、ディアッカは全身の毛が逆立つようだった。
ゆっくりゆっくり出し入れをする。
すると、ギチギチに狭かった内側が柔らかくなり、なんともいえない快感が訪れた。
(やば、スグいっちゃいそう・・・)
後ろから抱きしめ、腰を動かし続ける。
彼女の耳たぶに唇を寄せると、ミリアリアは自分の腕に顔を押し付け、声を殺して呻いていた。
「声、出して・・・。防音設備は整ってるから」
彼女の耳の中に舌を差し込ませると、大きく声をあげた。
力を込めて突き上げると、彼女は爪先立って逃れようともがく。
ディアッカは中に入れたまま彼女を持ち上げ、中央にある小さなテーブルに移動し手をつかせると、
その衝撃でテーブルに無造作に積まれてあったファイルや書類が、バサバサと床に飛び散った。
何が起きたのか分からなかったのだろう、精一杯首を捻らせ後ろを振り返る彼女の顔には、
恐怖の色がみえた。
「ダイジョブだよ」
その言葉を合図に腰を持ち上げ、後ろから先ほどよりも激しく突き上げる。
「ああぁっ」
体を捩じらせるが、打ち付けられる力を逃す事ができず、快楽ばかりが彼女に押し寄せた。
(堪らない。気持ちよすぎて、頭がヘンになりそうだ)
もうスグソコに限界がきていると感じたディアッカは、
彼女の体を羽交い絞めにし、暗闇に浮かび上がる白い首筋に顔を埋めると、いっそう強く腰を打ち付けた。
「もうダメ!ディアッカ!」
一気に肉壁が収縮し、彼自身を締め上げると、
ディアッカは精一杯中まで押入れ、ソコに精を放った。
抱きしめていた腕の力を緩め、ズルリと己を彼女から引きずり出すと、テーブルの上で彼女の体を仰向けにさせる。
「もう一回シテイイ?」
ミリアリアは、捲りあげられたままのアンダーシャツの胸元を握り締め、睨みつけてきた。
「イヤだって言っても、アンタ、するんでしょ?」
「可愛いよ、ミリアリア。好きだ」
また顔がにやけてしまいそうだったので、告白して誤魔化した。






「あなたたち!どうしたの?」
そろそろ朝になろうという時間、ミリアリアをアークエンジェルまで送りにきてみたら、
搭乗口付近で思わぬ人間に出くわした。
「おっさん!?」
これは夢か?彼女とのさっきまでの事も夢なのか?それとも幽霊か?
「おっさんじゃないって!久しぶりだな?ディアッカ」
背中をあぶら汗が流れ、気持ちが悪い。隣にいるミリアリアに助けを求める。
「その・・・、生きてたのよ、少佐」
気が付くと、勢いよく駆け寄り、堅く握った拳を野郎めがけて振り下ろしていた。
「こっ・・・のっ!」
「おっ、おいおい!殺す気かよ!」
両手でしつかりと拳を握られ、その温かさに幽霊じゃないと確信させられる。
「なんだよ・・・、心配させやがって!」
ガキみてぇだと思いながらも、涙が零れた。
「ディアッカ・・・」
慌てて追いかけてきたミリアリアが背中を摩る。
「ゴメンな、心配掛けて。生きてるから、ホラ」
前大戦でアークエンジェルの盾となって、ストライクと共に砕け散ったはずの英雄。
だが目の前にいる男は間違いなく鷹だった。
「ディアッカくん、ありがとう」
ラミアス艦長は相変わらず美人で、前以上に輝きを増した気がした。
「お久しぶりです、艦長」
敬礼をしたら、でかくなっただのその軍服は降格なのかだのからかわれて、そこらじゅうがくすぐったかった。
「ところであなたたち、こんなに朝早くに何してるの?」
「デート?」
違います!と顔を真っ赤にさせミリアリアは否定をした。
エッチしてましたなんて言えないし、散歩もおかしいだろう。
(デートもヘンか)
並ぶ彼女を横目で見たら、耳まで真っ赤にしたまま俯いていた。
「朝食はまだ?良かったらアークエンジェルでいかが?みんな、喜ぶわよ。艦長が許可します」
ザフト側には内緒よと、美人艦長が口元に人差し指をもっていきウィンクをした。
では、と軽く会釈をして搭乗口を目指し、数歩歩いたところで、艦長が「あ」と声をあげた。
「ミリアリアさん、後ろ伝線してるわよ?」
「えっ?」
ミリアリアは体を捻り、足元を見て顔を真っ青にさせたと思ったらみるみる真っ赤になり、
やだと声をあげ、一人艦内へ駆け込んでしまった。
慌てて彼女の後を追うが、搭乗口で二人を振り返ると、
不思議そうな顔をした艦長の後ろで、オッサンがグッと親指を立ててニヤニヤしていた。