ミリアリアはディアッカから視線を外して、少し言い難そうに口篭った。
「私達、今はなんでもないのよ」
(何でもない、か)
シンプルでありながら、男の期待を打ち砕く言葉だ。だがディアッカは違った。
「そうだな。まだ、とりあえずはな」
「?」
言葉の意味を図りかねたのだろう。こちらを見るミリアリアの眉が微かに顰められる。彼女が口を開く前に、ディアッカはその腕を捉えてぐいっと引き寄せた。そのまま背中に回した手で抱き締め、もう片方の手で顎を捉えた。突然のことに体を強張らせたまま、抵抗一つできずにいるミリアリアの唇を己のそれで強引に塞ぐ。

*中略*

「こんなつもりじゃなかったんだけど。お前があんまり可愛いから」
耳元に口を寄せて囁かれると、ぞくりと背筋に震えが走った。彼がこれから何かをしようとしているのをうっすらと理解する。
「ディアッカ」
名を呼んだ己の声は懇願するような響きを帯びていて、その先の行動を止めようとしているのか、それとも誘っているのか、自分でも良く分からなかった。
再び抱き締められて口づけられて、夢中になって応えて、気づいたときには背中に柔らかなクッションの感触があった。ソファに座らされた状態のミリアリアに覆いかぶさるようにして、ディアッカの手が素早くバックルを外した。
「えっ」
そのまま軍服の上着を広げ、インナーをたくし上げる。驚きのあまり瞬時に頭がクリアになる。ディアッカの行為はミリアリアの予想を超えていた。
「ちょっと!こんなところで、何を」