「火打山・黒沢岳BC/笹ヶ峰キャンプ場より」 2020年 4月25日(土)

地理院地図(電子国土Web) 今回の行程のGPS軌跡をご覧いただけます。新しいウィンドゥが開きます。










 行程概要  GPS軌跡をカシミールに取り込んでいます。



  
笹ヶ峰登山口(1,310m) 

 昨年5月上旬以来の火打。2週間前も池ノ峰まで運転した林道ですが、今回は積雪、凍結もほぼ無し。
今年は少雪だからか既に登山口前の最寄りの駐車場まで除雪が終わっていました。
駐車中の車は数台程度でした。本来なら今が火打で山スキーを楽しむ絶好のシーズンなんですが。








 4:07 笹ヶ峰登山口(1,310m)出発  

 残雪期の火打は2回目です。今回も火打までの長丁場を頑張ります!
登山口の灯りに照らされて出発。

 積もってしばらく経った古い雪に薄っすら新雪が乗った状態。
トレース無しでスタートしましたが、とにかく北を目指して進んでいけば黒沢橋へ辿り着きます。
4月に入って戻り寒波と低温傾向だったからか、登山口からしっかりとした積雪でヤブがうるさいところは殆どなし!








 5:10 黒沢橋(1,570m)到着  

 薄明るくなった頃に黒沢橋に到着。
いつものように橋を渡る手前でシートラに換装。12本爪アイゼン+ピッケルを装備します。今日最初の換装。
積雪豊富な年なら黒沢を詰めることもできるようで、いずれは狙ってみたいです。




 5:25 黒沢橋出発

 出発する頃にボードを背負った2人パーティーの方が追いついてこられました。
一時的に自分が先行しましたが、上記の方々はスノーシュー装備で十二曲りをスピーディーに登られていきました。








毎度苦しい十二曲りの急登   

 標高差は200mに満たないけど、ここは本当に急登。
 部分的にスノーシューのトレースも活用できて助かりました。
この辺りは予想以上に雪が柔らかく、少しでも硬そうなところを選んで歩きました。








 6:13 十二曲りを登り切る(1,780m)   

 ようやく十二曲りを登り終えると、眼前に三田原山が大きく見えてきます!




 6:23 出発








ここからは尾根筋を登ります  短いけどここも急登

 しっかり息を整えてから尾根を登っていきます。

 富士見平の手前までは短いながらも痩せ尾根の急登。
今回の下りは西側の谷を下りることでここを回避します。








 7:08 だいぶ開けてきた(1,960m)  

 急登が緩んだ頃に、シートラからシール登行にチェンジ。(2回目の換装)
新雪が次第に厚みを増し、シールを進ませる感触も羽毛の上を進ませているようで気持ち良い。
尾根は次第に広がってきて、木々も疎らになってきます。
この辺りは夏道に比べるとずっと歩きやすいです。
富士見平までもうすぐ!








 7:30 富士見平(2,080m) 火打山が見えてきました!

 広大な雪原の富士見平に到着!
4月も下旬になってきて、また新雪を踏めるとは幸運でした。

 往く手には新雪に覆われた斜面が楽しそうな黒沢岳。
今回は下りで立ち寄ってみる予定です。








富士見平を振り返って。近くは高妻、乙妻、遠くには北アルプスまで見えています。  目指す火打山。まだまだ遠い。




 7:47 黒沢岳南麓(2,100m)

 登りの行程はここまででほぼ半ば。
この先は要注意箇所と思われる黒沢岳西山腹のトラバースが控えているので、再びシートラへと換装します。(3回目の換装)




 8:02 出発








ほどほどの新雪に覆われた黒沢岳西山腹を進みます。スノーシューのトレースを追います。  新雪が薄くて硬い雪面がむき出しのところもあり。やはりシートラが正解でした。

 新雪のところも膝下くらいで済み、スノーシューのトレースのおかげで調子良く進めました。
アイスバーンのところではアイゼンとピッケルをしっかり活用して慎重に進みます。








傾斜が緩んでくるとまもなく黒沢岳のトラバースが終わり。高谷池ヒュッテが見えてきました。 疎林帯の向こうに火打、影火打、そして焼山。ここの光景がすごく良いです!

 下りの下調べのため、スノーシューのトレースを外れて少し遠回りしてみました。
ツボ足はしんどそうでも、スキーならサクサク進めそう。




 高谷池ヒュッテへ向けて登り返す手前で、シール登行にチェンジ。(4回目の換装)








 8:46 高谷池ヒュッテ(2,100m)通過   

 高谷池ヒュッテの少し北側を通過。
ヒュッテには寄らずに火打へ向かって直進します。








高谷池を横切って天狗ノ庭へ   

 無雪期なら高谷池の周りを木道で回り込むところですが、今なら広大な雪原を横切れます。
山スキーでは毎回のことながら、この開放感と自由感が病みつきになります。








 9:04 天狗ノ庭(2,120m)  天狗ノ庭でのあおいとひなた   #ヤマノススメ 

 高谷池から少し登り返すと、今度は天狗ノ庭へ。
無雪期ならば火打山の姿を映す池塘の絶景が見られますが、こちらもまだまだ大雪原。

 天狗ノ庭でやや長めの休憩を入れました。








 9:18 天狗ノ庭出発   

 天狗ノ庭周辺ではアイスバーンと新雪のミックス。
アイスバーンだとシールで滑らず、新雪のところを選んで下りました。

 この先、前回はトラバースのトレースが火打の手前まで続いてましたが今回は無し。
南斜面は新雪が飛ばされるのか、ほぼ硬い雪面でした。
今回は尾根直上を辿るほうが良いと判断しました。
先行のスノーシューの方々も同じ判断をしたようで、続けてスノーシューのトレースを追いました。








 9:44 雷菱付近にてスキーを担ぐ   

 この先、硬い斜面の急坂が予想されたので、ここで再びシートラへ換装。(5回目の換装)
雷菱の断崖絶壁を見やりつつ登っていきます。








 9:51 夏道に合流(2,230m)  硬い雪面の急登

 少し南側に進路を修正すると夏道に合流。部分的には夏道が出ていました。
ここからの急坂はほぼ硬い雪面で終始しました。
アイゼンの前爪をしっかりと利かせて、一歩一歩集中して登りました。
ここの急登はなかなかしんどく、可能ならば南斜面を斜上するほうが得策です。








10:06 急登を越える(2,300m)   

 ようやく急登を終えましたが、ここはもちろん偽ピーク。
目指す火打山が本当に遠く感じました。昨年5月に来た時はほぼザラメ雪で、今回よりずっと易しい状況でした。
今回は新雪、アイスバーンとなかなか手強くて、予想以上に時間が掛かっています。








一旦、少しだけ下ると、いよいよ火打へ向けて最後の登り   

 このあと、ポールをピッケルに持ち替えて、最後の登りに挑みました。
やはり硬い雪面で、アイゼンの爪は深くは刺さりません。
しかも強い南風が横から当たってくる格好となり、しばしば耐風姿勢をとる必要がありました。
山頂に辿り着くまで写真を撮ってる余裕は全くありませんでした。








10:47 火打山山頂(2461.7m)到着!   

 強風に晒された最後の急登を耐え、ようやく待望の火打山山頂に立ちました!
笹ヶ峰登山口を出発してから7時間弱。無雪期を含めると3度目の火打ですが、今回はなかなか手強かったです!

 山頂は烈風が吹き付け、悠々と長居できる状況ではありませんでした。
一とおり撮影を済ませると、僅かな窪みを見つけてシールを剥がして滑降準備に取り掛かります。

 山頂滞在中に数人のスキーヤーの方々が登ってこられました。
今日は入山者のほぼ全員が滑走系の方々でした。








強風に耐えながら、7時間を要した絶景を焼き付けておきました。 そろそろ山スキーシーズンも終盤へ。今年も白馬まで行って締めれるといいけど…。 








昨秋に登った焼山。次回は積雪期にあの北面台地を登って滑ってみたい。   

 やや春霞な光景でしたが、日本海まで見えました。








11:40 滑降開始!   

 強風の中でシールを剥がすのに手間取りましたがようやく準備完了!
登りのルートよりやや北寄りに雪が溜まっていそうに見えましたが、実際に滑ってみるとガリガリでした。
数ターンゆっくりめに大回りで落としましたが、最後のターンでスキーが雪面に叩かれた拍子に転倒。
ポジションが内に寄って、外足の荷重が甘くなって外スキーが軽くなったんでしょう。
これが検定ならば72点とか出てそう。(合格点は75点)




 1回転倒したけど気を取り直して、前回と同じく尾根直上を戻っていきます。
少し登り返しがあるけど、できるだけ勢いを殺さずに直滑降で登りの距離を短縮。








ここは程好く緩んでやはり最高でした!   

 山頂直下から標高を少し下げただけなのに、ここは気持ち良く滑れました!








12:00 雷菱付近(2,170m)   

 雷菱を振り返って休憩。








12:07 天狗ノ庭(2,110m)  

 あっという間に天狗ノ庭まで下りてきました。
ここからは登り返しになるので、またシールを貼りつつお昼の休憩。(6回目の換装)




12:30 天狗ノ庭出発








高谷池へシール滑走。行く手にはこのあと目指す黒沢岳。 12:44 高谷池ヒュッテ。増築したようです。 

 高谷池へはシール滑走で滑り込み。
池の水面上へ下りると風も無くなり、一気に体感温度が上昇。
山頂では強風で凍えてたのに、ここでハードシェルのベンチレーターを全開に。




 今回は高谷池ヒュッテを素通りして、そのまま黒沢岳へ急ぎます。
時間はまだゆとりはあるけど、予想より1時間程度遅れていました。








高谷池ヒュッテからは緩やかな斜面を斜上しつつ、黒沢岳北側のコルへ  朝方出会った方のツボ足のトレースを追います。

 黒沢岳西斜面は急坂なので、コルへ回り込んで緩やかな稜線を狙います。
疎林帯なので見通しが利くうえに、コルを目指すトレースがあったので追いました。








13:06 2,140mコル到着   

 黒沢岳へ続く稜線に乗った途端、大きく見えてくる三田原山と妙高山!
黒沢岳に隠れていた光景でまた感動です。




13:17 2,140mコル出発








 黒沢岳へ伸びる稜線 黒沢岳東面にはこのような素晴らしい斜面がありました

 黒沢岳へは10〜20mのアップダウンが2ヶ所。
やや重くなった新雪の稜線を進みます。シールはよく利いていました。

 三田原山から見て気になっていましたが、やはり黒沢岳東側はスキー向きの良い斜面です。
いずれ三田原山、黒沢岳周辺を滑走ついでに周回してみます。








一つミニピークを越えて、山頂へ続く2つめの登りへ  

 2つめの登りでスキーでは越えられない大きな段差があってまたもやシートラへ。(7回目の換装)
黒沢岳までもう僅かの距離なので、しんどくてもツボ足アイゼンでそのまま向かいます。








13:55 黒沢岳山頂(2212.3m)到着 浅間山と前掛山の組み合わせと同様に、仲良く並んで見えています。 

 傍目どおりに稜線上に緩やかに伸びる山頂でした。
火打への行き帰りにいつも気になっていましたが、長丁場の火打ピストンにここに寄るのを加えるのはちょっとしんどいかなと思っていました。
山スキーの機動力をモノにしたことが大きいです。








黒沢岳山頂にて   

 だいぶ午後遅い時間になってきましたが、できるだけ長く黒沢岳山頂で滞在しました。
それなりに風はありましたが、火打山頂よりはずっと気温も高くて過ごしやすかった。
ここから先は登山口までほぼ下り一辺倒なので、行動時間は相当に短縮できるでしょう。

 山頂でシールを剥がして今日最後の滑降準備をします。(8回目の換装)




14:45 黒沢岳山頂出発




黒沢岳南斜面を滑降 短いけど程好く緩んだ雪で最高でした!

 山頂から少し南下したところから滑降開始!
小さな雪庇の向こう側に疎林帯の素晴らしい斜面が続いています。








富士見平より黒沢岳を振り返る しばらくは緩斜面で重い雪との格闘 

 東側の黒沢に向けて素晴らしい斜面が続いていましたが、富士見平までで滑降終了。
黒沢岳南斜面はもう雪が腐っているかもとみてましたが、ずっと滑っていたいと思うような良い雪でした。








15:03 芭蕉谷へ   

 富士見平から少し下で、初めて芭蕉谷へ入っていきます。
前回は完全にピストンしたものの、今回は十二曲り上の急坂を避けたく思います。

 芭蕉谷上部はかなりの急斜面でしたが、程好く緩んだ雪でなかなか良かったです。
ターンの切換で谷側への積極的な重心移動を意識、少しジャンプすることでスキーの角を外しやすくしました。

 芭蕉谷下部のコンディションが読めなかったので、少し落としたところから十二曲りへ向けてトラバースしていきます。








藪がひどいところはほぼ無く、トラバースは順調  十二曲りの重い雪を滑降

 時折、GPSで現在地を確認しながらトラバースしていきました。




15:27 十二曲り上端(1,780m)

 十二曲り上端に着いたので、結果的にはあと100〜200mほど標高を下げても良かったかもしれないです。




15:33 十二曲りを滑降

 だいぶ標高を下げてきて、雪が重くなってきました。
登りのトレースに沿って、木がやや疎らなところを狙いました。








15:44 黒沢橋付近(1,580m)到着   

 登りのトレースに沿って下り続けて黒沢橋まで下りてきました。
黒沢岳山頂を出発してからほぼ一時間。芭蕉谷を下りる選択は良かったです。

 今朝から同行程で何度か出会った2人パーティーの方々も下りてこられ軽く山談義。

 黒沢橋はすっかり乗ってた雪が融けています。








16:11 黒沢橋左岸(1,580m)より滑降再開   

 スキーを履き直して、登山口まであと一息。
麓の雪もしっかりとスキーが走って楽しく滑れました。








16:26 笹ヶ峰登山口(1,310m)に無事下山!   

 登りでは1時間掛かった黒沢橋から15分の滑走で懐かしい登山口へ。

 火打山頂直下だけガリガリだったものの、なかなか良い雪で楽しめた1日でした。
充実した疲れと余韻に包まれ、家まで1時間の帰途に就きました。








行程断面図です




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