「針ノ木岳・マヤクボ沢BC/扇沢より」 2020年 5月 2日(土) |
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地理院地図(電子国土Web) 今回の行程のGPS軌跡をご覧いただけます。新しいウィンドゥが開きます。 |
行程概要 GPS軌跡をカシミールに取り込んでいます。![]() |
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3:05 立山黒部アルペンルート 扇沢駅付近・針ノ木岳登山口(1,420m)出発 | |
約1年ぶりにやってきた扇沢。GW連休初日なのに駐車場はほぼ人けなしで異世界に来たよう。 登山自粛の張り紙を一応は参照してから出発します。 登山口周辺の雪は去年と比べて少ないです。 登山口直近だけ除いて辿れるところは全て舗装路を歩き、右岸へ渡る手前から舗装路を外します。 ルート(無雪期には作業道)には降雪直後でない限り、スキーのシュプールやツボ足の踏み跡があって目立ちます。 早朝から冷え込みはなく、緩んで重い雪で難儀でした。 右岸のトラバースはシール歩行できそうでしたが、ここは安全確実にシートラのままで進みます。 結局、今日は山頂までスキーを担ぎ上げることになります。 |
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4:33 最終堰堤(1,680m) | 歩きやすいところから針ノ木雪渓へと下り立ちます。比較的新しいスキーのシュプールあり |
柔らかい悪雪でペースが遅いと感じましたが、昨年とほぼ同様にここまでで所要1時間半ほど。 今年の針ノ木雪渓はどうかなと思ったら、下部はやはりデブリが目立つ。 でも右岸寄りは比較的きれいで歩きやすそう。 |
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少し進むと右岸側から流れてきたデブリに埋め尽くされてました | |
針ノ木雪渓に入っても、ズボズボ踏み抜く難儀な軟雪。 そのために硬いデブリのほうが歩きやすくて助かりました。 今日の予想最高気温は30℃手前くらいだったはず。下りる頃にはデブリも含めて緩み切ってるでしょう。 |
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5:36 朝日に照らされる針ノ木雪渓を登る | |
下部のデブリ帯を抜けると、針ノ木雪渓のきれいな雪面が広がります! 朝日に照らされて荘厳な光景でした。 |
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針ノ木雪渓の東側からご来光。正面後ろの高峰は爺ヶ岳 | 正面奥には狭い急斜面のノドが見えてきました |
標高を上げてきて少しは雪が締まって歩きやすくなりました。 でも1週間ほど前の大雪が期待していたほどザラメ雪になっておらず、中途半端な状態の悪雪だということが分かってきました。 これはスキーがとられやすい、いかにも滑りにくそうな雪です。 |
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6:18 ノド(2,040m)を通過 | |
前回来た時にはほぼデブリで埋め尽くされていたノドですが、まだまだ滑って下りれる空間があります。 日当たりの良いノドの雪は早くもだいぶ重くなってきて脚力を削られます。 できるだけ硬くて歩きやすいところを探りながら登っていきます。 |
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正面にマヤクボ沢出合が見えてきます | |
ちょっと頑張りどころのノドを過ぎると、やや斜度が緩んできれいな一枚バーンに。 正面奥にはマヤクボ沢出合とその上方の世界が見えてきます。 まだまだ雪はたくさんで、ここから見る限りでは楽しく滑れそうでした。 |
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7:01 マヤクボ沢出合(2,250m)到着 | 目指す針ノ木岳山頂はまだまだ標高差600mほど見上げる先に |
出発から4時間でマヤクボ沢出合まで登ってきました。 前回は針ノ木峠を経て主稜線を通って山頂を目指しましたが、今回はマヤクボ沢を経て針ノ木の山頂手前まで直登するつもりです。 7:08 出発 |
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マヤクボ沢出合から広大なマヤクボ沢へ | |
針ノ木雪渓と針ノ木谷より、遥かに広大なマヤクボ沢。 まだ夏に来たことないけど、こちらは登山道がないので積雪期限定となります。 降雪後まもなく雨に降られた形跡。ところどころデブリが転がった跡。 念のために上方を警戒しながら、急坂をゆっくり登っていきます。 |
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8:18 マヤクボ沢中段(2,530m)到着 | |
下部の急坂を1時間ほどかけてようやく登り終えると、辿り着くのが別天地のような空間。 とにかくここまでの急登で乱れた息を整えます。見上げればだいぶ近づいてきた針ノ木岳山頂。 でもあと300mが更に急登で一番しんどいはず。気合を入れ直して登ります。 |
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マヤクボ沢の途中からでもこの絶景!今夏こそは針ノ木から爺ヶ岳まで歩いてみたいです | 蓮華岳は自分は未踏のまま。蓮華大沢へ滑り降りたく、より積雪の安定したシーズンにとっておきます |
8:30 出発 |
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いよいよマヤクボ沢の登りも後半。途中まではまだそれなりの斜度です | |
登りながら斜面を観察しますが、ちょうど滑り降りる予定のこの真上だけがきれい。 雪質はというと、これだけ標高を上げても今日の陽気で緩み切って重いです。 |
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稜線直下は今日一番の急登! | 前膝が雪面に触れる斜度です! |
稜線へ向けて次第に急斜面になるので、ポールからピッケルに持ち替えます。 小刻みに止まって息を整えつつ、一直線に稜線へ向けて登り続けます! ここが本当に頑張りどころ。 |
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9:28 主稜線に到達!(2,740mコル) | 針ノ木岳山頂へ向けてあとひと登り! |
最後は這い出るように主稜線に飛び出しました! いきなり眼前に広がる北アルプス南部の山々。槍までよく見えてます! マヤクボ沢上部の激登りで乱れた息を整えてから、主稜線上の最後の登りに挑みます。 主稜線上に出た途端、5月とは思えない冷たい強風が吹き付けてきます。 さすがにもう冬の厳しさではないけど、風であおられないように注意が必要でした。 主稜線到達点からすぐの急登は雪が緩んで、しっかりできていたステップが踏み抜きを起こし始めました。 12本爪アイゼンは蹴り込み過ぎてもダメで力加減が必要でした。 |
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急登を越えると、遂に針ノ木岳山頂が眼前に! | |
今日のヴィクトリーロード。 あと少し、あと少し、もう一歩、前へ! 5月とは思えないほど山頂までしっかりと雪が付いています。 山頂直下は痩せ尾根となっていて、時折吹き付けてくる南風にあおられないように注意が必要でした。 一歩一歩、集中して登っていきます。 |
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10:07 針ノ木岳山頂(2820.7m)到着!! | |
やりました!2年連続で2回目の針ノ木ですが、思わず感極まりました! 去年5月とは比べ物にならないほどの残雪に覆われた針ノ木岳山頂でした。 山名標はまだまだ深い雪の下です。 眼前に立山、剱。 できれば去年に剱初登頂した母にも見せてあげたい絶景でした。 |
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2回目の針ノ木岳山頂でのあおいとひなた #ヤマノススメ | 扇沢より7時間を掛けた絶景を満喫しました |
強風に気を付けながら滑降準備を整えます。 この積雪量なら山頂からスキーを履いて下りれそう。 |
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11:04 針ノ木岳山頂出発 | |
1時間ほどで山頂を辞して滑降開始! まずはトレースに沿って、稜線に到達したコルまでゆっくり下りていきます。 |
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稜線に到達したところから滑り降ります!(2,740mコル) | 滑った後からポロポロと湿雪がデブリとなって落ちてきます |
まずは息を整えつつ、今一度滑っていく斜面を観察。 自分が登ってきたトレースからスキーヤーズレフト側を狙います。 雪面はきれいですがやはりスキーが引っ掛かりそうに見える難しそうな雪質。 スピードは控えめのミドルターンで、切換は少しジャンプも入れました。 100m弱滑ったところで下方の雪面状況が悪くなったので、さらにスキーヤーズレフト側へトラバースして一旦停止。 シュプールを撮っておこうとしましたが、ポロポロと転がってくるデブリによってシュプールは掻き消されました。 滑っていこうとしてたフォールラインは荒れてしまい方針転換。 北側のマヤクボノコル寄りはきれいな斜面だったので、そちらを滑ろうとトラバースを続けます。 |
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マヤクボノコル側の雪面状況は良好! | 重たい雪ですぐに脚が疲れ、ターン毎に間延びしたシュプールに |
見た目は滑りやすそうでしたが、やはり雪が重くて切換時にすごく脚力を使います。 これは無理は禁物と、ターンを大きくして下りることにしました。 |
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11:40 マヤクボ沢中段(2,530m)到着 | 今日の雪質ではここで安全にターンをするのは自分の技術では無理と判断 |
マヤクボ沢上半分を滑っただけでだいぶ疲れました。(自撮りのせいもありますが) 岩に腰を下ろして、やや長い休憩を取っていきます。 こんなところでも電波が繋がったので、実家の母にメールを送信しておきました。 主稜線上には山頂へ向かう単独行の方が居られました。この時点で今日針ノ木に入ってるのは自分を入れて2人。 12:01 出発 だいぶ落ち着いてから再びスキーを履いて出発。 この先、マヤクボ沢下半分の急斜面は、更に雪が悪くなってるのは容易に想像が付きました。 普通に滑り降りるのは諦め、斜滑降・キックターンを繰り返してジグザグに下りていきます。 ターンを描くよりも、ケガせず無事に下山することがとにかく最優先。 |
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12:14 マヤクボ沢出合(2,230m)到着 | |
登りでは1時間ほど掛かった下半分の急斜面も、ジグザグでも下りでは10分弱でした。 針ノ木雪渓での滑りに備えて、ここでもやや長めの休憩を入れます。 12:40 出発 |
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針ノ木雪渓はちょっと滑りやすくなってきました | やや急斜面のノドは安全第一にシュテムターンで |
標高を下げてきて、今日は逆に滑りやすい雪になってきました。 マヤクボ沢出合からノドまでが今日最も快適でした。 ノドで急斜面になるので、安全第一でゆっくりと滑り降ります。 既に雪は緩み切っているので、多少雪面が荒れていても問題ありません。 休み休み下りつつも、周辺の谷からの湿雪雪崩に要警戒。 急激な昇温の影響でしょう。時折、ポロポロとデブリが落ちてきていました。 |
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デブリが目立ち始める針ノ木雪渓下部 | 水分をたっぷり含んだ重たい雪でした |
スムーズに最終堰堤横へ到達できるよう、滑っていくべきルートを観察しながら下ります。 予想どおりデブリも柔らかくなってるので、必要な場合はゆっくりと滑って越えました。 |
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13:29 最終堰堤(1,680m) | 石も出ておらず、まだまだ余裕でトラバース可能 |
針ノ木雪渓を滑り終えて最終堰堤へ。 この先、雪が付いている限りは右岸のトラバースを続けます。 蓮華大沢からのデブリによる段差以外は、順調にトラバースで下降していきます。 |
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13:45 右岸のトラバース継続を決める | 14:13 扇沢駅の少し下で無事に下山! |
積雪状況によっては、歩き覚悟で左岸からの登りのルートを辿るつもりでした。 でも充分な雪と下流側へ続くシュプールを見て、今回も右岸を下り続けることを決めました。 左岸へ渡れるポイントから、ゆっくり滑り降りること30分くらいでゴールです! 鉄の橋で最終的に左岸へ渡り、あとはスキーを担いで駐車場まで。 |
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GWなのに静寂に包まれた扇沢駅。早く大勢の人で賑わう元の光景に戻れるように願ってやみません。 | 普段は混雑する無料駐車場。自分を含めて登山関係と、山菜採り、散策の方々の車が数台のみでした |
ちょうど駐車場に戻った頃、他の車の方々と出会い情報交換しました。 山菜採りの方は腐った雪で大変だったようです。 今回は期待どおりのザラメ雪になりきっていない難しい悪雪で、スキーの修行をしたかのような滑降でした。 中途半端な時期に積もった雪の滑りづらさは何度も経験してますが、この日の長野県は真夏日続出の暑さで余計に雪が重くなったようです。 次の山スキーはGWが終わった後。時期的にもそろそろ滑り納めの行程を考えます。 最後は気持ち良くザラメ雪を滑降して締めたいものです。 充実した疲れと余韻に包まれ、1時間半ほどの帰途に就きました。 |
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行程断面図です![]() |