日本旅行医学会で、会員以外にも向けて「旅行医学木曜セミナー」なるものを開催しているとの事、せっかくの機会なので話を聞きに行ってきました。 ちなみに日本旅行医学会とは、海外旅行をする人が増えている中、旅先で脳血管障害、心筋梗塞、感染症などを発症しても、適切な治療を受けられないケースもあり、旅行医学に興味を持つ医学関係者を中心に、旅行に関わる様々な業者も含め、昨年3月に設立されたそうです。
参加者は10名程度とちょっと寂しかったのですが (^^;;、時間をオーバーするほど色々と専門的な話が聞けて、なかなか興味深かったです。 残念ながら最近、減圧症をはじめとする潜水病にかかるダイバーも増えてるそうですが、時にはこういう話を聞いて、ふんどしを締めなおすのも必要ではないでしょうか?
なお、最終の4回目は12/11日の予定だそうで、興味のある方はぜひ日本旅行医学会のHPをご覧下さい。
日 時 2003年11月13日(木) 18:30〜20:00 場 所 西新宿アイランドウィング 近畿日本ツーリストクラブツーリズム 参加費 無料 主 催 日本旅行医学会 講 師 順天堂大学循環器内科 河合祥雄氏
三菱ハンドドライヤー「ジェットタオル」商品説明 18:35〜19:00
- 安全な旅行に役立つ製品紹介をするプレレクチャー。
- 空港や公共施設などのトイレに最近増えてきている、空気の勢いで水を弾き飛ばして手を乾かすもの。
- 風速何m以上なら水滴を飛ばせるのか、目標の乾燥時間にするためにどんな工夫があるのかなどの開発秘話、実際の導入事例などを紹介。
- ちなみにペーパータオルは1枚1円位、ジェットタオルの電気代は1回0.03円位。ゴミを出さないし、手を触れないので衛生的、本体償却費を含めてもかなりのコストダウンなのだとか。
レクチャー「マリンスポーツ」 19:00〜20:20
- DAN America の 2000年の統計によると、潜水死亡事故の原因は、溺死、エア切れ、心臓病、動脈ガス塞栓の順となっている。エア切れは技術的な問題だが、他は医学的見地から考える必要がある。
- 事故後、1日内に死亡した場合は「溺死」、1日以上生存した場合は「溺水」と分類されている。肺に水が入ってるかどうかで Wet/Dry に分類されるが、Wetが8割。Dry の場合、人工呼吸で助かる率が高い。
- 溺れてる人と言えば水面でバシャバシャもがいてるイメージが強いが、実際には急に静かになる事が多く、水泳大会などでの実例あり。回りの人は十分に注意しなくてはならない。
- 潜水病は減圧症だけでなく、圧外傷、空気塞栓症など、様々なものがある。
- 卵円孔開存とは、肺呼吸しない胎児では右心房から左心房へ通じる穴があり、殆ど肺を通さずに脳や全身に血液を送っているのが、成人になっても完全に塞がらないもの。ダイビング中に発生したマイクロバブルは通常は肺胞から排出されるが、いきんだ時などの圧で卵円孔が開くと、バブルがそのまま脳や全身に流れてしまい、障害を起こす恐れがある。
- 成人の1/3がそうだと言われているが、日常生活には支障なく、検査はかなり大変である。気を付けるべき事は、急激な浮上、ダイビングの合間のスキンダイビング、深く長く潜る事、潜水後16時間以内の飛行機搭乗、箱根など400m以上の高所移動、熱い風呂、屈伸運動、咳、排便も (^^;; つまりは減圧症予防と同じである。
- その他のリスクとしては、体調不良、飛行機から海へ直行(乾燥から脱水している)、冷たい海、アルコールや喫煙、高齢、肥満などなど。
- ちなみに水分補給のためには、胃の排出が遅いアイソトニック飲料よりも、真水の方がよい。