最近では、メガピクセル(100万画素)クラスのデジカメが続々と誕生し、画質的になんとか銀塩写真と比べられる位にまで成長してきてるようです。そこで、水中写真向きのデジカメについてちょっと考えてみました。
最近でそろった、130万画素クラスの COOLPIX900、FinePix 700、C-840L、自分の使ってる今となっては化石デジカメの QV-100、これらのスペックを比較してみました。
メーカー Nikon FUJI FILM OLYMPUS CASIO 製品名 COOLPIX900 FinePix 700 C-840L QV-100 自分の(^^;; 定価 110,000円 99,800円 84,800円 63,000円 CCD画素数 ◎ 130万 ◎ 150万 ◎ 131万 × 36万 実効画素数 ◎ 1280×960 ◎ 1280×1024 ◎ 1280×960 × 640×480 ◎ 122.9万 ◎ 131.1万 ◎ 122.9万 × 30.7万 本体サイズ △ 幅157高75奥35mm ◎ 幅80mm高101mm奥33mm ○ 幅128高65奥45mm ○ 幅139高66奥40mm 本体のみの重量 △ 360g ○ 245g ○ 245g ◎ 180g 液晶モニター ◎ 2.0in (P/TFT) ◎ 2.0in (P/TFT) ◎ 2.0in (P/TFT) ○ 1.8in (TFT) 追従性 ◎ 30コマ/秒 ○ 15コマ/秒 ◎ 30コマ/秒 × 2〜3コマ/秒 メモリー ◎ CF ○ SM ○ SM × 内蔵(4MB) フォーカス △ オート
(暗さに弱い?)○ オート ○ オート × 固定焦点 撮影距離 ◎ 50cm〜∞ ◎ 9cm〜∞ ◎ 50cm〜∞ ○ 50cm〜∞ マクロ ○ 20〜50cm ◎ 9cm〜 ◎ 10〜50cm △ 14〜18cm 焦点距離 ○ 38〜115mm △ 35mm △ 36mm × 40.5mm レンズ ◎ F2.4〜3.6 △ F3.2 ○ F2.8 ○ F2.8 立上がり時間 × 8.8秒 × 約8秒 ◎ 1.4秒 △ 約4秒 画像記録時間 × 7.8秒 × 約9秒 × 約7秒 × 約6秒 フラッシュ充電時間 ? ? × 約8秒 − フラッシュなし 連続再生時間 △ 約60分 ? ? ○ 約150分 連続撮影枚数 ○ 約100枚 ○ 約80枚(専用充電池) ○ 約100枚 ○ 約96枚
どちらかと言えば、というか当然ながら、カメラメーカーの方がレンズ性能や画質にこだわっています。しかし、時にはそのこだわりが仇となり、操作性に支障をきたしたりする事もあります。例えば、液晶モニターで見ながら撮れる事がデジカメの最大のメリットなのに、手ブレの原因になるから、とかいって撮影時に液晶モニターが使えないとか。価 格
一方、家電メーカーの方は画質は今一つですが、使いやすさ、操作性、デザインなど、製品としてはよくまとまっています。
画質的にはまだまだなのに、価格はコンパクトカメラよりはるかに、はたまた一眼レフカメラよりも高いです(もちろん、画質以外のところにメリットのあるデジカメなのですが)。発売直後は値引き率はさほどでもないのですが、何せ発達途上のサイクルの早い商品なので、後継機種が発売されると、旧機種はあっという間に値崩れします。パソコン以上に、非常に買い時の難しい商品でもあります。画素数
また同梱されてるのもありますが、パソコンとの接続キット、交換用メモリーカード、バッテリー関係、などが別途必要になります。もちろんパソコンと、膨大なデータを保存する外部記憶装置も。画素数や圧縮率にもよりますが、メガピクセルカメラで最高画質で撮影すると、1枚あたりのデータ量は、700〜800KBにもなります。
ハウジングは、D.I.V.(手作りアクリル製ハウジングメーカー)で作ってもらう場合、基本的には、電源・シャッタースイッチ付きのコンパクトカメラサイズの小型の直方体のタイプで5万円前後、操作スイッチ追加は1箇所につき約5千円です。サイズが大きくなったり、形状が複雑になればなるほど、当然価格はアップします。
「ホームページに張り付けるくらいなら40万画素で十分」とかよく聞きますが、個人的にはそうは思いません。当然、縮小して使うとはいえ、元の絵が甘ければ、いくらあとから処理しても、出来上がりは全然違ってきます。最近の40万画素クラスのデジカメは出来がよくなってきてるとはいえ、やはり最低でも80万画素以上のものを選んだ方が後々後悔しなくてすむと思います。本体サイズ・形状・重量
もちろん、画質=画素数ではありません。圧縮率や、圧縮アルゴリズム、そしてレンズ性能などカメラとしての基本的な性能も重要な要素です。現在、1つの画素でRGBの3色分を処理している事を考えると、今後はビデオカメラのように、3CCDデジカメの時代が来る事でしょう。
また、現状でのプリントアウトを考えると、130万画素で葉書サイズ、80万画素で銀塩写真のサービス版サイズ、40万画素で名詞サイズまでが実用サイズだそうです。
ちなみに銀塩写真は 1,000万画素相当だとか。1,000万画素と聞くと、げぇーっと思ってしまいますが、縦横比を3:4で計算すると 2,740×3,650 pixel 位。これなら近い将来実現しそうな感じもしますね。
液晶モニターハウジングに入れる事を考えると、できるだけコンパクトで、単純な直方体がベストです。コンパクトな直方体タイプのハウジングなら、5万円前後で作ってもらえますが、RICOH DC2L など、液晶モニターを起こすようなタイプは、その分形状が複雑になり、3〜4万円追加になってしまいます。また、OLYMPUS C-1400 など、大きくて複雑な形状のは10万円以上もかかってしまいます。
あったら面白い「腕ジカメ」(^^ゞ
ダイコン内蔵なら、ちょーGood!
今回比較した機種のうち、3機種はほぼ直方体で問題ありません。問題なのは COOLPIX900で、撮影時はレンズ部を回転させて使うようになっているため、どうハウジングを作るか、悩んでしまいます。液晶モニタがちょっと見にくいのは我慢して、ちょっとだけレンズ部をひねった状態で、多少分厚くしたハウジングに収めるのか、いっそうのこと、レンズ部を回転させないフラットな状態で収め、撮影時は上からモニタを覗き込むようにして使うのがいいのか、難しい問題です。
今後のデジカメは、高画質化・ズーム化が進むにつれて、レンズ部の奥行きはますます長くなるでしょう。となると、一眼レフカメラのような形状になるのか、あるいは液晶モニターを引き起こして使うビデオカメラのような形状になるのか、いずれにしろ、ハウジングには収まりにくくなってしまいそうです。
重量は、もちろん軽いにこしたことはありません。日常にしろ、旅行に行くにしろ、持ち歩きやすいのが何よりです。また、バッテリー、メモリーカード、接続ケーブルなどかさばるし、あとハウジングが10mm厚のアクリル製なので結構重たいです。
最近の液晶モニターは、どれも明るくきれいなので、TFTであれば問題ないと思います。(ちなみに「低温ポリシリコン(P/TFT)だから明るくてきれい」という事はなく、単に新しいものほど性能が良くなってるそうです)追従性
ただ、よく晴れた日の水深の浅いところでは、ほとんど見えませんので、その場合は手で覆うなどする必要があります。将来的には、明るければ明るいほど見やすくなる反射型の液晶(暗い時はバックライトを使用する)が使われるようになるでしょう。
サイズは、本体の大きさとのバランスにもよりますが、やはり1.8inでは小さいです。ほとんどの機種は2.0inですが、できれば2.5〜3.0in欲しいところです。
で、液晶モニターで一番大切なのが追従性です。カクカクした動きに見える、いわゆるコマ落ちする液晶モニターでは、動いているお魚を撮ることは至難の技です。テレビと同じ30コマ/秒あればベストです。メモリー
私の使ってる QV-100 の場合、2〜3コマ/秒とコマ落ちが激しく、一昔前のテレビ電話みたいな感じで、動いてるお魚をフレーミングするのは至難の技です。ふつうに陸上で人物を撮影する場合でも、息を飲むような感じになってしまいます。
ちなみに光学ファインダーは、ただでさえ全フレームが見えるわけでなく、またハウジング、水中マスクなどで視距離が遠くなるので、水中ではほとんど使えません。
内蔵式はケーブルや赤外線などで転送しなくてはならず、時間がかなりかかるし、ましてや旅行中など出先では、携帯パソコン等がないとバックアップできないため、お勧め出来ません。また、万一の水没の時、内蔵式は全データおだぶつですが、交換式なら前のデータだけは生き残ります。フォーカス
私の使ってる QV-100 は内蔵式で、64枚まで撮影できます。しかし、携帯用のバックアップ装置を持っていない為、旅行に行った時など、3〜4日でいっぱいになってしまいます。また、帰ってきてからのバックアップも一苦労です。RS-232C ケーブルで転送して、1枚あたり約30秒、全部転送すると30分もかかります。しかも通信速度を最速にすると、転送エラーとかよく起こるし...。
ましてや高解像度化が進み、データ量が増大している現在、CF(コンパクトフラッシュ)やSM(スマートメディア)などの交換式メモリーカードは必須です。バックアップもほんの数分で、あっという間です。ただSMは、接点が露出している為かエラーが起こりやすい(らしい)のと、大容量タイプのないのが難点です。ただしSMには、容量あたりの価格が安いのと、フラッシュパスを使えばFDD経由でパソコンに取り込める、というメリットはあります。
ダイビングの合間にハウジングを開けてデジカメを取り出し、メモリーカードを交換するのは面倒だし、水没の危険性も増すし、やりたくありません。そこで撮影可能枚数は、最低でも2DIV分、フィルムで言えば2本分、枚数で言えば60枚分以上は、撮れて欲しいものです。大容量カード1枚を買った方が当然、安くすみますが、万一の水没の事を考えると、何枚かに分けた方が良さそうです。
フォーカスには、オートフォーカス式と、固定焦点式(パンフォーカス)の2種類があります。出来の悪い(なかなかピントが合焦しない)オートフォーカスよりは固定焦点の方がいい、という話もありますが、もちろんオートフォーカスの方がいいでしょう。撮影距離・マクロ
固定焦点式は、ピントを合わせる必要が無く、ピントが合わなくてシャッターチャンスを逃す、といった事はないのですが、言い換えれば、どこにもピントが合ってない、つまりピンボケの写真しか撮れません。(写ルンです等の使い切りカメラがそう)
理論上はオートフォーカスであれば、レンズ前0cmから無限大までピントが合うはずなのですが、どのデジカメもなぜかマクロ切り換えがついています。難しい話は良く分からないのでパスするとして、とりあえず近くで撮れる程、小さな魚も大きく写す事が可能です。焦点距離
私の使ってる QV-100 の場合、なんかややこしくて、絞りがf2.5の時のマクロの撮影距離は、14〜18cm、絞りがf8の時のマクロの撮影距離は、11〜27cm、しかも標準の撮影距離は50cmから、となっていて、撮影距離27〜50cmの時は、もっと近づくか離れるかしてやらないとピントは合いません。当然、水中でこんな面倒な事を考えてる余裕はなく、まして液晶モニターではピントの具合までは分かりません。そこで、カメラの前に手のひらを伸ばして、ちょうど手首から指先までの16cm位の場合はマクロで、そうでなければ標準で、と適当に撮り、後でTVにつないだり、パソコンに取り込んでみて初めて結果が分かるのです。
どの機種かは忘れましたが、マクロの場合、画面の一部がクローズアップされて、ピントが分かりやすくなってるデジカメもあるようです。
という事で、マクロと標準の撮影距離の間に、ピントの合わない隔たりがあるのはいけません。できれば、ビデオカメラのように、マクロ切り換えなんてなしに、最低でも10cmから、できればレンズ前0cmから無限大までピントが合って欲しいものです。
焦点距離はすべてフィルムの35mmに換算した値です。ここら辺の詳しい話は良く理解できてないので、間違ってるとこがありましたら、詳しい方、ぜひ『分かりやすく』教えて下さい (^^ゞ立上がり時間
「水中では物が約1.4倍大きく見える」とOW講習で習ったのを覚えていらっしゃいますでしょうか? という事は、35mmのカメラを水中に持ち込めば、およそ50mm相当(?)になってしまい、28mmなら35mm相当(?)、つまり風景写真を撮るなら、よりワイドな方がいいという事で、できれば24mm位まで対応して欲しいものです。24mmなら、水中マスクを通したダイバーの視野にほぼ等しくなるとか。純正や関連メーカーから、ワイドコンバージョンレンズも売られてますが、出っ張る分ハウジングも複雑になり、余計な出費がかさんでしまいます。
また水中では、水の透明度の問題があり、ちょっと遠くなるとすぐかすんで見えなくなってしまい、あまり高倍率のズームは無意味ですが、自由に移動のできない水中では、数倍のズームはとても便利です。ただしデジタルズームは、後でいくらでもパソコン上で拡大できるし、ただでさえ良くないデジカメの画質がより悪くなるだけなのでまったく無意味です。
電源を入れて、撮影スタンバイの状態になるまでの時間です。私の使ってる QV-100 では約4秒ですが、これでもいらいらします。特にウミガメなど見つけて、あわてて電源を入れた時など、デジカメがスタンバイになる頃には、ウミガメはもうはるか彼方。へたすりゃ、ウミガメでなくデジカメしか見てなかった (^^;;、何てことも有りえます。出来れば1秒以内でスタンバイになるのが望ましいです。画像記録時間
最高画質で1枚撮った後、次の写真が撮れる状態になるまでの時間です。最近の40万画素クラスのデジカメでは、1秒未満のタイプが出てきてますが、この位だと快適に撮れます。当然、フラッシュを使った場合は、充電時間が数秒前後かかりますが。電 源
デジカメは現像代はいりませんが、撮影時にバッテリーを大食らいします。普通は、単三アルカリ電池4本を使いますが、充電池の使える方が経済的です。充電池は、予備バッテリーや充電器など、イニシャルコストは高いのですが、300〜500回は使えるので、コジマ電機で売ってる激安アルカリ電池(単三×4本)100円×300〜500回=3〜5万円よりも安くあがります。勝手にランキング
また最近では、小型化の為に「使いきり」のリチウム電池を使うものも出てますが、これは特に高くつくので注意が必要です。
私の使っている QV-100 は、単三×4本ですが、充電池は使用不可です。環境問題や経済性を考えると心が痛むのですが、コジマの激安アルカリ電池をバンバン使ってます (^^;;。あまりに安いので最初は心配だったのですが、何の問題もないです。また、カタログ値では 150分、96枚撮れるのですが、余裕を持たせて2DIV毎に交換し、後は陸上で使ってます。水中で電池切れしたカメラほど虚しいものはないですから...。
連続再生時間・連続撮影枚数は、FinePix700以外はアルカリ電池でのカタログ値です。ダイビング中、細めに電源をON/OFFすれば、1DIVあたりの再生時間はせいぜい10〜15分程度でしょう。撮影枚数は1DIVあたり20〜30枚位とすれば、私の QV-100 でも電池交換なしで1日3DIV分位は撮れます。ただし、水温が低い場合、バッテリー性能は当然悪くなります。
あくまで、カタログスペック上の比較、雑誌やインターネットでの情報、店頭でちょっといじった程度なのですが、自分なりにランキングしてみました。
第1位 COOLPIX900
◎ 画質はピカイチ。画素数ではFinePix700に劣るのだが、よりシャープに写る。 ◎ 3倍ズームはとにかく便利。 ○ フィッシュアイコンバーターが発売される予定。 △ 本体がやや大きく、レンズ部を回転させる形状なので、ハウジングへの収まりが悪い。 △ 撮影モードでのオートパワーオフが30秒で固定で、フレーミング中に勝手に切れてしまう。 × 立上がりや画像記録が8〜9秒と、時間がかかる。
第2位 C-840L
◎ 立上がりが1.4秒と圧倒的に早く、シャッターチャンスを逃さない。 ○ シャッターを押してから、実際の画像が取り込まれるまでのタイムラグが0.7秒と短い。
第3位 FinePix700
◎ とにかく本体が小さく、ハウジングもBCのポケットに入りそうな位である。 △ 画素数が一番多いのに、画像が今一つシャープさに欠ける。 △ 液晶モニターの追従性が、15コマ/秒とやや悪く、ややカクカクした動きに見え、早い魚の動きについていけないかも知れない。 △ シャッターを押してから、実際の画像が取り込まれるまでのタイムラグが1.6秒と長い。
評価は人それぞれだとは思いますが、個人的には、液晶モニターの追従性・画質の甘さで FinePix700 はまず3位になります。C-840L は、立上がりが早くて快適に使える点では断突なのですが、画質の良さ・ズーム付という事で、COOLPIX900 が1位となりました。
しかし、こうやってまとめている内にも、FinePix500、RICOH DC-4、EPSON CP-600 などなど新製品が続出です。けど、「これだ!」と言えるデジカメはまだまだのようですね。
いや〜、しかし随分と長々と書いてしまったもんだ.....