WEB上の『介石記』諸本

田中光郎

 近年はデジタル化された古典籍の公開が進んできており、かつては図書館等に行かなければならなかった現物の画像が、居ながらにして見られるようになってきた。もとより実物を手にするのと同じではないが、たいへんな進歩には違いない。
 試みに。赤穂事件に関する著作物の中でも最も早い時期に成立したとみられる『介石記』を検索してみると、全文の画像がオープンで見られるものを9種挙げることができた。URLともども紹介しておこう。

 国文学研究資料館のデータベースに独立した『介石記』として載せられているのが
①北海道大学附属図書館所蔵の『介石記』(北大本と仮称) http://base1.nijl.ac.jp/iview/Frame.jsp?DB_ID=G0003917KTM&C_CODE=HOKU-00089
②肥前松平文庫の『介石記』(島原本と仮称) https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100277703/

 同じ国文研のデータベースに『赤城介石記』として載っているのが
③北海道大学図書館蔵で『赤穂塩竃 義[ 判読不能 ]』の題箋のある https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100260147/
である。旧蔵者は紫野の船本氏らしい(北大船本本と仮称)

 またARCのデータベースには
④中井文庫の『水哉叢書』所収の『介石記』(水哉叢書本と仮称) https://www.dh-jac.net/db1/books/results1024.php?f1=nakai0642&f12#
 愛知県立図書館には
⑤『塵点録』所収『春窓随筆』付録の『介石記』(春窓随筆本と仮称) https://websv.aichi-pref-library.jp/wahon/pdf/1103280520-001.pdf
がある。

 『遺老物語』は2種あって
⑥静岡県立図書館葵文庫のもの(葵遺老本と仮称) https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100065354/viewer/679
⑦酒田市立光丘文庫のもの(光丘遺老本と仮称)  https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100202760/viewer/659
が確認できる。

 ほかに国文研に
⑧『助石記』と題されたもの(国文本助石記) https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/200005850/
⑨『介石忠功記』と題されたもの国文本忠功記と仮称) https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/200010116/
があるが、これは別物と見なしたほうがよいかも知れない。

 WEB上に公開されるのは所蔵者の事情によるので、必ずしも価値の高いものが選ばれる訳ではないが、数が増えてくれば在宅でテキストクリティクが可能になってくる。研究が大いに進むことも期待できるのである。