等時性
とうじせい isochronism


等時性という概念は、何らかの音声的な単位(counting unit)が、時間的にほぼ等間隔に現れる性質をいう。等時性が、言語の「リズム」を形成する。

では、人はことばの中の何によって、リズムを感じるのだろうか? それは言語ごとにさまざまである。

たとえば日本語は、モーラという概念が時間的に等間隔に並ぶので、モーラについて等時性をなす言語であると言える。このような言語をモーラ拍(mora-timed)の言語という。

同様に、英語、ドイツ語、ロシア語などは強勢が等時性を示す単位であり、強勢拍(stress-timed)の言語と言える。

フランス語では音節が等時性を示す単位だ。これを音節拍(stress-timed)の言語という。

等時性は、言語学のキーワードのうちかなり興味深いものの一つだと私は考えているが、あまり研究にお目にかかったことがない。言語学というよりも音声学寄りの内容かもしれない。しかし、言語変化をもたらしうる、言語の根底に流れる重要な原理・原則の一つである。


参考文献
言語学大辞典 術語編

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