正義の巨大ヒロイン
雄一の彼女
AKAFUJI



 雄一には付き合って二ヶ月になる彼女がいた。長身でグラマー、可愛らしく利発な顔立ちで良く笑い、会う度に楽しい一時。しかし、今日の彼女は雰囲気が尋常ではない。
「あのね、雄一さん。今日あなたの部屋に行っていい?」
キャッホー!
と心の中で叫んだ雄一。日頃から屈託なくアブノーマルセックスの話題で盛り上がったりする二人であったが、いざとなるとお互いに一線は越えられない。特に 彼女の性格がつかみきれない雄一は、お互いの距離を詰めるリーダーシップをとれず、彼女への感情が鬱積し続けていた。そんな中での彼女の一言はなんと有り 難いことか。しかし、顔には出さず、
「ああ。いいよ。でも汚いよ。」
などと短く承諾した。
夕食を済ませて早々にマンションに向かい、男の部屋にしても散らかっている部屋を披露した。理学系雑誌のライターをしている雄一は部屋の片づけなどあまり しない。しかし、書斎以外は雑誌編集者用の応接スペースが多少あり、崩れそうな本のや資料や機械や衣類ので出来た塔の真ん中に据えられたソファーに彼女を 座らせた。ワインを勧めながら部屋の言い訳をする雄一に微笑みながら頷く彼女。自分の部屋に綺麗な彼女が座っているというだけで倒錯的な喜びを感じてしま う。そして、雄一の性的期待が最大の盛り上がりを迎えた頃、ソファーに座っていた彼女がぽつりとぽつりと語りはじめた。
「ここに来た一番の理由はね、雄一さんの部屋が、どの場所にあるか、どの建物か知りたかったの。」
「え?」
雄一の脳内は複雑な計算を繰り返すが、彼女の言葉を今の状況に当てはめることが出来ない。
「バショ?」
「、、、」
「建物って言うと、このマンションだけど、それがどうしたんでしょ」
いきなり立ち上がって雄一に一歩近づく彼女。
「あのね、今から言うことを絶対に秘密にして。そして私のことを嫌いにならないって約束して!」
いきなり凄い勢いで迫られて、びっくりして姿勢をのばす雄一。危うくソファーの上に正座しかけた。
「や、約束しましょう。、、爆弾でも作ってるの?」
「ふふ、私、テロリストじゃないわ。正義の味方よ。時々町を壊しちゃうけど、それは仕方ないんだもの。私、ジャイアントウーマンなの。」
「な、なに、、、、なに?」
「巨大化して戦うと沢山の犠牲が出るわ。でもそんな事を気にしてる余裕はないの、敵と戦うことで精一杯なんだから。もし敵を倒せなかったら、この星全体が 酷い事になるんだもの。でも、あなただけは守りたいの。どんなに強い敵が来てもあなたの家だけは壊さないように気を付けたいの。」
「ジャ、ジャイアントウーーーーーマンさんでしたか、あなたは。」
「やだ、、もしかして、恐がってる?、嫌いになった?」
「いやーー、そういえばあなただ。君の顔だよ。ジャイアントウーマンは。僕は君の大ファンだよ。!」
ワインを一気に一瓶あおって彼女のも飲み干して、ソファーから飛び上がると喜びのあまり気を失った。


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