正義の巨大ヒロイン
「レオナ」
催眠術の恐怖
その3


 3 さらに工作員

マンションに帰り着いた。悪い汗で体は汚れ、初敗北で気分も最悪であった。ブーツを脱ぐとその蒸れた匂いが玄関に充満し、つくずく自己嫌悪を感じる。居間のテーブルにジャケットを放り投げると、ポケットに入れていた変身ライトがカタンと鳴った。あんなモノ故障してしまえ。
「ふう…」
落ちこんで半ば自暴自棄になっているのを自覚したときは、まず体を洗え。というセオリーが彼女にはあり、バスルームにむかった。入浴の準備をしながら平静 を取り戻す工夫を凝らす。静かに湯が溜まってゆく音に耳を傾ける。それまで耳の奥に残っていた犠牲者達の断末魔が、徐々に薄らいでゆく。
「ん?」
湯の音に交じって何かが聞こえる。バフウ、という聞き覚えのある、ソファーに人が座った音。居間だ。濃厚な侵入者の気配。
幸運にもまだ服は脱いでいない。すぐに居間に向かった。
「誰?」
そこには一人の男性がいた。彼女の変身ライトを手にとって、にやにや笑っている。
「突然上がり込んですみません。入浴前でしょうが、お時間いいですか?まあ座って」
「だから、誰?」
「私は、緊急時の連絡員です。宇宙本部から来ました。ささ、座って」
不法侵入し彼女の変身ライトを勝手に取り出している不審きわまりない男の言い分をすぐに信用するわけにはいかないが、対面式のソファーにリラックスして腰掛けるその男の屈託の無い笑み見ると、彼女の警戒体勢が混乱し、妙な親近感さえ覚えてしまう。
「座ればいいの?」
緊張しつつも不思議と従ってしまう。座るとレザーのミニスカートが引き上がる。対面の男性の視線を気にしてスカートの隙間を手で隠しながらながら座る。そ う言えば懐かしい。地球の若い男性とこうして対面するのは何年ぶりか。この男性は自分よりも年下だろう。通常の男女関係なら、性活動の主導権は年上女性の こちら側にあろうという状況だろうか。だが、正義のヒロインたる彼女のメンタルはそんなことに左右されてはいけない。警戒心を解かずこの男性の目的を探 る。たぶん敵の刺客だろう。変身ライトを盗られたが、格闘術で何とか撃退できるだろう。危険なのは未知の兵器だ。
「何か臭いません?」
男が言った。
「何も匂いなんか無いわ」
「ほらこの匂い。花かな。この部屋に何か花はありますか?薔薇のような、いい匂いだ」
花の匂いを口にしながらも、彼女の体を見ている。
「あの、これ返します。変身するやつですよね」
変身ライトを手渡そうと腕を伸ばしてきた。
「え?返してくれるの?」
それを受け取るときに少し指が触れあった。心に最大級の警戒心が満ちて身をこわばらせる。が、変身ライトを返してくれている事で、敵という確証が揺らいでいる。
「今日は大失敗でしたね。僕はその後始末に来たんです。緊張しないで、味方ですよ。」
「信じるわけないでしょう。敵に決まっているわ。味方という証拠は何?」
「証拠といわれても、思いつかないなあ。ああでも、もし敵だとわかったら、すぐに巨大化変身して僕を退治できるでしょう?さあ、僕のこの体、その手でにぎり潰してみますか?」
証拠も無く殺すことなど出来ない。悩む彼女に追い打ちをかけるように、心理的効果のありそうなな言葉を重ねる。この男はやはり敵であった。が、巧みなメン タルコントロールによって彼女は確信が持てず、行動に出られない。怪しいとは思っているのだが動けない。そのジレンマを利用されて、さらに心を支配されて ゆく。
「そちらに行っていいですか?」
「だめ、来ないで」
「止められますか?僕を、その脚で踏み潰して…ブーツを履いていたその足で…」
男はまんまと彼女の隣に座り込み、深く鼻で息をする。
「ああこの匂い。あなただ」
それから5分後、二人はキスをしていた。
「なによ、キスなんかして。私を懐柔するつもり?それとも敵を裏切ったの?」
「だから、敵じゃあないですよ」
彼女の耳元で彼女の匂いを音を立てて嗅ぐ。
「だめ、汗臭いでしょう?体が汚れているんだもん」
「キミの匂いをもっと嗅ぎたい。ほら、腕を上げて、脇の下の臭いを嗅がせちゃえば?簡単でしょう僕を匂いで懲らしめると思って」
「イヤらしいわね。匂いフェチなの?」
抵抗しながらも腕を上げ、頭に組む。脇の下が露わになる。
「ああ、すごい、とても健康な匂いだ。とてもいいですよ。セクシーな匂い。ワキの毛も、こうして剃らないのが正解ですよ。」
「ああん!」
脇の下の臭いを嗅がれているこの時、レオナはすでに深い心理誘導に陥っていた。
「立って、僕に、とっても嗅がせたいところがあるでしょう?汗で汚れている匂いがたっぷりなところ」
「とっても嗅いでもらいたいわ。セクシーな私の匂い」
ソファーから立ち上がると、ソファーに座る男の前に移動する。そして片脚を上げると男の顔の前に爪先を突き出した。
「うう、思った通り。素晴らしい強さ。破壊力抜群の媚臭です」
「ブーツの中、すごく蒸れるから。それに戦いの最中は足に負担がかかって、余計に臭い汗をかくの。だから、こ〜んなに!」
小指の間の最高濃度の部分を鼻に近づける。
「僕を殺す気ですか!これは強い!うあああ最高だ!すばらしいい!」
「ああ、嬉しい!」
頭を股間に挟み込むようにソファーの背もたれに足を置いた。
「ああ、太腿の付けのがすごい、汗の臭いがすごい!」
「うーンッ嗅いで…もっともっと息をして私の匂いを吸い込んで!」
汚れたパンティー越しに男の顔を股間に押し付け、陰部の匂いを嗅がせた。
「ああ、おしっこの匂い。酸っぱい汚れた粘膜の分泌液の臭い。キミのスカートの中は凄い臭いだよ。強烈な悪臭だよ!もう僕は気を失いそうだ!もっと嗅いでいたいのに!」
「ダメヨ!次はお尻よ!」
男の体をソファーの上に引き倒して、顔の上に後ろ向きに跨がった。男の顔がレザースカートの中に隠れる。中にはTバックの黒いパンティーが細く食い込んでいた。
「お尻の割れ目に鼻を挟み込んであげるわ!」
「うわあ!肛門の臭いが!尻の割れ目全体に浸み広がって!猛烈だ!」
「ああん!逃がさないわよ」
暴れる男の鼻を尻の割れ目で押さえ込んで、ついには口に股間を擦りつけてオナニーを始めた。
「アアアン!気持ちいい!すごい快感よ!アアン!もっと鼻で、擦って!」
「キミに押し潰されたビルの人達もこの匂いを嗅がされたのだね」
「そうだわ!私の汚れたお尻で、押し潰されて、可愛そう!」
その後、さらに足の臭い、胸の谷間の汗の臭い、口の臭い、耳の臭い。と全身嗅がれ、ついには腕に何かを注射されている。
「さあ、これは催眠薬だ。これでキミは我々の命令で働くのだよ」
「え?そうなのかしら?」
ぼーっとして従順で、目がうつろ。薬物が脳に染み込んでゆく過程が順調に進み、彼女の良心も正義感も、根拠を解体されてゆく。
「目を覚ませ巨大戦士。おまえはこの悪の町を破壊しなければならない。」
「はい。もちろん、破壊します。悪は許せません!」
うつろだった目がだんだんと光を帯びてくる。怒りの炎だ。
「怒りにまかせ、跡形もなく破壊するのだ」
「跡形も無く、メチャメチャに破壊してやるわ!私、怒ってます!」
瞳は怒りの炎に赤く輝き、眉間に皺を寄せ、美しい顔に冷たい暴力の凄みが表れる。
「何か武器は必要かな?何でも用意するよ」
「武器なんか必要ないわ、この体で十分。人間の建物なんかこの体重で押し潰してやる」
「本当に破壊できるか?大丈夫か?」
「まかせて!私の力を見せつけてあげるわ。全力で思いっきり戦う。無抵抗でも容赦しないわ」
「ほほう、すごいね。でも町には女も子供も居るよ。どうする?」
「可愛そうだけど、許してはダメ。私、相手が誰であろうと手を抜かないわ」
「それは何故だね?」
「この町の者達は滅ぼさねばならないからよ」
「そうか、頑張って!」
「はい。頑張ります!」
「そうだ、どうせなら屈辱的な方法で破壊して、思い知らせてやりなさい」
「え?たとえば、今日みたいに、お尻で押し潰すとかかしら?」
「そうそう!それじゃあ、もっと汚しておかなくっちゃな。さあ、変身後のコスチュームはどこだい?今から身に着けていれば適度に汚れて、たっぷりと匂いを付けられる。明日は破壊を楽しもうじゃないか」
「はい。そうします」
変身ライトを少し光らせると、スッとレザースーツが消えて、巨大化変身コスチュームとなった。薄く光沢のあるタイトなハイレグTバックレオタード。黒地に シルバーの流線が体の線を強調する。サイズは小さめで豊満な体に食い込んで、引っ張られ、各所に細い引き皺が走り、グラマーな体に布が悲鳴を上げている。 股間部は特に引きつれて、陰核の形がはっきりと浮き出ている。ガンメタルのニーハイブーツは履き口がシルバーで縁取られサイドのジップラインに金属の帯が 内股からソールまで走っている。ピンヒールにポインテッドトウ。美しいブーツに踏まれたくて、その下に駆け込んでしまいそうだ。長手袋も、美しい彼女の指 先までピッチリと形に添って作られている。薄手でタイトでヘビーなそれは、敵を握りつぶすためのデザインだ。先日は、彼女に車ごと握り潰されたいと思うド ライバーが、彼女の目の前に並ぶよう橋に行列を作っていたという。シルバーの細いチョーカーと、同色の細いアイマスクにもキラキラと複雑に輝き、さらに、 ゴージャスにウェーブのかけられた黒髪も、その中に散りばめられたダイヤ粒子がまるで星空のように輝いた。昨日まで無敵の女神であった彼女は、この国の全 てのアイドルを凌駕して絶大な人気者となっており、誰もが彼女を見たいと求め、そのコスチュームも憧れの的となっていた。
「さあ、君はもっと興奮して体液をたくさん分泌させるんだ!僕が手伝ってあげるよ」
「ああん!コスチュームが汚れちゃうわあ!」
コスチューム越しに執拗に匂いを嗅がれては何度も絶頂を迎える。大量の愛液を股間の布に溢れさせ、少量の尿を何度も漏らしては布を汚し、布越しに陰部を激 しく擦り上げる。陰唇の中に布ごと指を突き入れてかき回し、恥垢をべっとりとこすり出す。特殊な光沢布はラバーのような滑らかな光沢があるが汗も吸い、黒 々と濡れたシミを現す。脇の下や股の付け根、乳房の谷間には、楕円形の汗染みがクッキリと出てきた。
「君は汗っかきだなあ」
「恥ずかしい!運動ばかりしているとこうなっちゃうの」
良識ある美しい正義の味方は、悪星人の催眠作戦で完全に乗っ取られ、その体は、自らの性的興奮の分泌物によって、激しく汚れていった。
「このブーツも、もうすごいね。ここからでも臭うよ」
「この中は蒸れて、グチャグチャです。もともと私の足の臭いも強烈ですから」
足にピッタリとフィットして脹ら脛には皺一つない。膝と足首には複雑な動き皺が入ってセクシーな強弱となる。太い太腿を強調するように履き口は剣のように 尖っている。薄い上質な革で出来たそれは鋭いピンヒールに尖ったトウ。成熟したセクシーな女性が履くデザインだ。薄い皮を通して強烈な足の臭いが漏れてい る。
「ああ…私のブーツ…こんなに綺麗なブーツなのに!すごく臭いなんて!興奮しちゃう!」
「匂いを嗅いであげるよ!」
男がブーツにしがみついて、革から染み出てくる匂いを嗅ぎ上げる。大きく脚を開き、男が下半身で動き回るのを眺めながら股間を掌で擦る。
「ああ、臭いでしょう?」
股間を擦っていた指先を鼻にあて、匂いを吸い込む。
「あああ!たまんないわぁ!」
彼女は一夜にして、臭気フェチの変態となった。
「もっとエッチな匂いを溜めて!臭いレオタードで巨大化するわ!臭いブーツで高級車を踏み潰してあげる!」
夜明け頃まで続いた臭気プレイによって汗だくになった。正義のコスチュームは極限まで汚されていた。その匂いは強烈なフェロモンとなって彼女自身の鼻腔に 作用し、催淫効果を発現する。敵星人による催眠改造は最終段階に入った。眠りによってこの状態を定着させるのだ。成功すれば、彼女は敵星人の奴隷となって 働くだろう。
「さあ疲れたろう。もう休みなさい。我々が合図を送るまで眠るのだ。」
「はい。おやすみなさい」
彼女はぱたりと横になって眠ってしまった。


続く