Landlocked Column

コラム:アングラーの視点と大学入試センター試験

2007.1.22


先日、1月20〜21日の2日間、大学入試センター試験が行われた。以下は、公開されている理科総合 B の問題からの抜粋である。理科総合 B の第4問の問題は、おもしろい。何が面白いかというと、アングラーとして問題を見ると間違うはずはない。が、引っかけ問題もあり、突っ込みたくなる選択肢もある。それでは、以下を御覧ください。理科総合 B の第4問の問題の B である。河川の水質を示す目安が説明されている。Landlocked life で紹介している渓流は、一番きれい階級 I がほとんどである。特に、ヘビトンボをよく渓流で目にする。ヘビトンボはグロテスクな形をしている。ヘビトンボの幼虫(マゴタロウムシ)はデカい岩魚の好物である。薫製にするために持ち帰った尺岩魚の腹から7-8 cm ほどのマゴタロウムシが4尾も出てきたことがある。この虫は漢方で重宝されているらしい。



トビゲラもよく見かけるが、ナガレトビゲラとオオシマトビゲラの画像が頭に浮かばない。ここに示された虫、フライマンにとっては、全部鮮明に頭に浮かぶんでしょうね。フライの巻方、英名、学名まで浮かぶ方までいるんではないでしょうか。あなたのよく行く川は、階級はいくつでしょうか?なんて考えていると次の設問が来ます。問3、(水質判断の)指標生物の調査方法として適当でないものを (1)~(5) から1つ選べ。 わかりますか?(5) が正しくありません。アングラーなら分るでしょう。だって、川の石をひっくり返さないで餌となる虫をとることはできません。つまり、川に主に生息する多くの水棲昆虫は石の裏に隠れています。石を動かさないと採取できませんね。「川底を乱さないよに」って、川底を乱さないで採取できるわけがありません。一見、環境に配慮しているような文言の選択肢です。一種のひっかけなのかどうか。アングラーはひっかかりません。でも、受験生はみんな釣り人ではないでしょうから、ひっかかった人もいるのかな?
そして問4、先の表の河川の地点 A-C の階級の決め方です。最も個体数の多い生物に注目しますと、二重丸 ◎ のつている階級にしてしまえば良いのです。正解は、(1) でしょう。あなたの釣り場の階級は?しかし、釣りを考えると、A-C で対象魚も変わってくるはずですね。「地点 A で釣れる可能性の高い魚は次のどれですか」ような設問があれば楽しいのに。



次に、問5である。これは、釣り人として突っ込みたいことがあるでしょう。正解は、(3) である。間違わないであろう。選択肢 (1)、(2)、(5) をやり、正解 (3) をやらずにどれだけの自然が壊され、釣り場が潰れたことか。そういう観点から見ると、もう一つ選択肢を増やしてみたくなる。

(6) ダムを作る。


ただこの選択肢は際どい。


(4) は適度な数であれば良いストラクチャーになるはずである。これらの問題を見ながら、アングラーは何を思うかである。
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