天使で悪魔






勉強会






  知識は無形の財産。





  奇妙な仲間が増えた。
  2人。
  旅は道連れ世は情け。
  ……。
  ……ついでに地獄にも道連れ?
  それは困りますな。
  ともかく。
  ともかく仲間が2人増えた。
  1人はどんな攻撃能力も無効化してしまう謎の言語を操る天音という少女。デッドアイの能力すらも殺してしまうほどの無敵ぶり。
  1人は卓越した智謀の持ち主のベルファレス。通称<聡明の軍師>。
  素性も能力もまったく異なる2人ではあるものの1つだけ共通していることがある。
  何故か私を気に入っているということだ。
  これは人望?
  これは人徳?
  まあ、そのあたりは微妙ですけど私は2人を連れて帝都に向かう。
  向かう先は帝都のアルケイン大学。
  シロディールの知識の中枢。




  3日後。
  私はアルケイン大学にいた。

  「良い備品ありがとう嬉しいわぁ」
  「いや私は備品ではないのですが……」

  神秘の書庫。
  アルケイン大学の中でももっとも知識に囲まれた場所。
  古今東西の書物が集う場所。
  万年図書委員で外にほとんど出ないトカゲのター・ミーナは私からの贈り物を大変喜んでくれている模様。
  プレゼント?
  もちろんベルファレス。
  何だかよく分からないけどベルは私を気に入ってくれているみたい。
  覇道が似合う女性だと言って同行してきた。
  どうも自分が軍師となって帝国相手に一戦したいらしい。私を担ぎ上げてね。それが至高院残党としての復讐心からなのか、それとも知識を誇示したい
  という趣味的なものなのか私にはよく分からない。まだ深い付き合いではないけどベルの性格は掴み難いのは何となく分かる。
  飄々としてる。
  悪い言い方をすればチャランポラン。
  まあ、どっちでもいいけど。
  ともかく。
  ともかく私を気に入って同行する以上、それなりに役立ってもらわないとね。
  外法使い対策を講じる為にしばらく大学に私は滞在するし。
  その間、ベルはベルでその能力を使って貰わないとね。
  彼は学術機関<至門院>の人間。
  頭に詰まっている知識はかなりのものだと思う。もちろん頭を開けて詰まっている知識は見れない。……まあ、外法使いなら出来そうだけど私は外法使えないし。
  とりあえず神秘の書庫にある本の内容全てを覚えているター・ミーナと話をさせてベルの知識の深さを知ろうとしてる途中。
  調べものがあり私は私で本を読み、その隣でター・ミーナとベルは色々と話をしているのだけどター・ミーナが押され気味であり、そして冒頭の台詞になる。
  意味?
  簡単よね。
  つまりター・ミーナがベルの知識の深さを認めたのだ。
  どうやらベルの頭の中はウィキペディア並らしい。
  「フィー」
  「何?」
  「彼は凄いわよぉ。この大学の書物全てよりも知識が深いと思うのぉ」
  「へー」
  そこまで絶賛するとは珍しい。
  本物か、ベルの知識。
  使えるな。
  うん。
  彼の能力はとても使える。
  軍師としての能力を認めてるけど私が当面欲しているのは彼の知識。今のところその知識を軍事面で使うつもりはない。
  つーか別に反乱したくないし。
  「ベル」
  「何ですか?」
  「しばらくアルケインでその知識を活かして。……私に惚れ込んでくれてるんでしょ? 役に立ってくれるわよね?」
  「いいですよ。至門院とは別系統ではありますけど知識の最高峰アルケイン、その面々を論破するのも楽しそうですしね」
  「論破」
  私は苦笑する。
  趣旨が違うんですけど(笑)
  まあいい。
  まだ完全にベルを信用しているわけじゃない。だって私を殺すべく策略練った奴だし。とりあえずアルケインに滞在させて様子を見るとしよう。
  敵なら何らかのアクションを仕掛けてくるだろうから。
  危険?
  危険かもね。
  だけど何の危険もない賭けなんて存在しない。それにここは私のホームグラウンドだ。大抵のことはどうにでもなる。
  「じゃ、よろしく」
  「仰せのままに。我が君」
  ……。
  ……我が君ねぇ……。




  執務室に私は向った。
  たまった書類をたまには私が目を通して裁可しないとね。
  机の前に立つラミナスの目が怖いし(苦笑)
  「久し振りに書類の裁可をしていただけるのですか? お忙しいのでしょう? 冒険したり遊びまわったり。大丈夫、私がいつものようにやりますので」
  「……」
  めっちゃ怒ってるっ!
  あうー。
  どっさりと書類を机の上に置く内心ではお怒り気味のラミナス・ボラス。
  まあ、仕方ないか。
  私がいない間はアークメイジ代行として雑務をこなしてたんだからね。書類の裁可もバトルマージの増員も彼が1人でこなしてたわけだし。
  私は羽ペンを手に持ち、インクを付けてサラサラと署名する。
  もちろん内容は目に通してる。
  時にサインをし、時に印鑑を押し、書類を片付けていく。室内に響く音もサインする音と印鑑を押す音だけ。
  基本的に内容は吟味された上で書類にされている。吟味して書類にするのはラミナスと彼の部署の面々。内容に問題はない、あとは裁可するだけ。
  ある意味で単純作業なので裁可はどんどん進むし時間もどんどん経っていく。
  サインしだして既に1時間弱、かな。
  休憩?
  終わるまでなさそうです。
  ラミナスが目の前で仁王立ちしてるし。
  ……。
  ……すいません私がアークメイジですよね?
  快く代行引き受けてくれたのにそんなに怒ることないじゃんかよーっ!
  おおぅ。
  「ラミナス」
  「私語は厳禁」
  「ラミナス」
  「私語は厳禁」
  「ラミナス」
  「何ですか?」
  「トイレ行きたいんですけど」
  「分かりました。責任を持って私が拝見しま……ぐはぁっ!」
  「死ねっ!」
  投げた印鑑がラミナスの頭にクリーンヒットっ!
  悪は滅びたっ!
  お父さん、私やったよぉーっ!
  「痛いじゃないかフィッツガルドっ!」
  「裁可したわ」
  額に印が押されちゃったラミナス君。
  印の意味?
  うーん。そうねぇ……あー、変態の烙印ということで(笑)
  「慰謝料を要求するぞっ! 金貨10万枚だっ!」
  「はっ?」
  何気に高っ!
  まあ、普段通りのチャラけたラミナスに戻ったからよしとしよう。
  「結構高いわね」
  「借金がある」
  「借金?」
  「お前が悪いんだっ!」
  「はっ?」
  「お前が最近大学にいないから性欲処理に風俗に通うしかなかった。そこで性悪に引っ掛かって借金してしまった。つまりお前の所為だっ!」
  「20時代に性欲処理とか風俗言うなーっ!」
  「深夜に読めば問題ないだろそこは読者の読む時間帯の問題であって私が責任を取るべきではないっ!」
  「いや意味分かんないから」
  「こ、このままで私はゲイバーで働く選択肢しかなくなるっ! お前は知らんかも知れんが帝都のゲイバーはゴルゴ13並に背後に気を付けんとやばいんだぞっ!」
  「知らんわボケーっ!」
  何なんだ。
  何なんだこいつーっ!
  おおぅ。
  「と、ところで」
  私は話題を転じる。
  ラミナスのジョークは正直どうでもいい。
  もちろん裁可のサインは続けてる。たまった仕事を片付けるのはアークメイジとしてしなければならない事だ。……まあ、不在の際にはラミナス任せだけど。
  それでもいる時だけは自分でこなしたい。
  「ところで天音の調子はどう?」
  「あの子か」
  「そう」
  ここまで付いてきた天音。
  何者かは正直不明。
  ……。
  ……いや。そもそもあの子は<人間>なのだろうか?
  それすらも不明だ。
  デッドアイの能力を殺した。普通は出来ない事だ。それに何より厄介というか不可解なのは彼女の能力。
  魔力の中和?
  まあ、それ自体はありえる。理論としては成り立ってる。
  だけど無差別に、それも広範囲に渡って発動させるのは理論上ありえない。どんだけ魔力が必要なんだよ、っていう話。
  だから。
  だから調べてもらってる。魔法医に。
  もちろん彼女の尊厳とかは守ってる。つまりモルモット扱いはしていませんので。
  「フィッツガルド、あの子は何なんだ?」
  「どういうこと?」
  「実は調査を始めてすぐに分かった事がある。ちょっとした事故があったんだ」
  「事故?」
  「魔法医の不注意であの子に辞典をぶつけてしまったんだ」
  「怪我は?」
  「ない。そもそも怪我なんてしないんだ」
  「どういうこと?」
  「触った感覚は肌なんだが……あの子は物理的な損傷はまるで受けない。どの程度までかは分からないがな。意識しているのか無意識なの
  かは知らないが……物理的な攻撃は効かない、また魔力も中和する、彼女自身に攻撃能力はないようだが防御に関しては無敵だ」
  「……それ冗談でしょ?」
  「いや」
  「無敵少女、ね」
  ますます分からんくなったな、あの子。
  ただ言えることがある。
  普通じゃない。
  多分何らかの意味があって私は出会ったんだと思う。それがこの先の展開にどう関与するかは知らないけど。
  それでも。
  それでも何らかの意味があるんだと思う。
  意味が。
  まあ、厄介に進むのかは知りませんけどね。
  「しかしなかなか可愛い子だな」
  「何よラミナス、まさかロリ?」
  「失礼な奴だな。こんなものはまだロリコンでも何でもないぞ。そんなようではいずれ現れるロリコン殿下のクオリティの高さの前に涙するだろうっ!」
  「いや意味分かんないから」

  コンコン。

  扉がノックされる。
  「入っていいわ」
  私が言うと扉が開いた。
  「失礼します」
  一礼して入ってきたのはローブを着た青年。両手には銀製の盆、その盆の上にはサンドイッチと茶器があった。
  頼んでない。
  ラミナスは微笑した。
  「喪部(ものべ)、いつも気が利くな。しかし今日は私ではなく彼女にあげてくれ。彼女がアークメイジだ」
  「お初にお目にかかります。喪部と申します。よろしくお願いします」
  深々と一礼。
  ふぅん。
  どうやらラミナスがここで書類の処理をしてる際にはいつも差し入れというか気を利かして軽くつまめる物を持ってきているらしい。
  喪部、ね。
  変わった名前だ。
  それに髪型に何らかの思い入れがあるのが知らないけど右目を髪で隠している。鬼太郎状態ですな。
  唇にはピアス。
  おー、痛そう(泣)
  ラミナスは机に銀盆ごと置いた喪部について説明する。
  「彼はイストリアから来た留学生なんです」
  「留学生?」
  「はい。アークメイジがいらっしゃらない時にアルケイン大学に来ました。身元は確かです。イストリアにある魔術師ギルドから保証されています」
  「イストリアねぇ」
  最近よく聞くなぁ。
  イストリアはハイロック地方にある小国だ。元々はハイロックの盟主的な国家らしいんだけど今はただの小国。
  あのあたりは王位継承問題で色々と小さな国が乱立しているから把握し辛い。
  まあ、何でもいいけどさ。
  「彼はよくやってくれています」
  「そうなの?」
  「実はバトルマージの武装を一新するべく動いているのですが短時間で彼がドワーフ製の武具を大量に手配してくれました。既に納品済みです」
  「武装の一新?」
  「はい」
  まあバトルマージの正式装備は鉄の鎧だしね。
  より強力な武装は必要だろう。
  虫の王マニマルコの一件もあったし。
  ただまだドワーフ製の武装は試験的な発案でありバトルマージには行き渡っていない模様。武装一新に移行するにはしばらくかかるだろう。
  喪部は恭しく頭を下げる。
  「それでは失礼します、アークメイジ」
  「差し入れありがとう」
  さて。
  差し入れもあることだし一気に書類を片付けちゃおうかな。
  「そうだ、忘れてましたアークメイジ」
  「ん?」
  「シャイア嬢がこの間来ましたよ」
  「アルラ?」
  「はい」
  「ふぅん」
  虫の王との戦いの際に共闘した精霊王主(せいれいおうしゅ)、何しに来たんだろ。
  ちなみに精霊王主とは精霊王を従える者の総称。
  もっとも総称、と言ってもそんな人物は過去何人もいないけど。
  彼女は天才。
  ……。
  ……まあ、私には劣るけどねー。
  ほほほー☆
  「何しに来たの?」
  「名もなき皇帝の遺産の情報を探しに」
  「名もなき……?」
  何じゃそりゃ。
  世の中いつも新しいイベントが始まっているらしい。私は知らないイベントだけど、まあ、知らないままでいいかな。
  わざわざ関わるつもりはない。
  そのイベント、アルラに丸投げするとします。
  私の当面の任務は……。
  「書類、今日中に片付けないと駄目よね?」
  「当然」
  はいはい。
  頑張りますとも頑張りますとも。



  5時間後。
  私は私室で神秘の書庫で借りてきた本をベッドに転がりながら読んでいた。
  既に夜間。
  帝都は闇に包まれてる。
  大学にいる限り別に問題はないんだけど、最近帝都の夜は物騒らしい。自我の崩壊した下級吸血鬼が徘徊しているようだ。
  ……。
  ……あー、そういえば私って<高潔なる血の一団>の名誉会員だった。
  今度顔だけでも出しておくべきかな?
  まあ、今度ね。
  「んー」
  私は本を読み耽る。
  ベルや天音はそれぞれ宛がわれている部屋で寛いでいるはずだ。
  つーか天音はどうしよう?
  ベルはいい。
  彼はその知識を大学で活かせれるけど……んー、天音はどうしましょうねぇ。私が養う義理は特にないような。いやまあ別に暮らしてくれても構わないけどさ。
  さて。
  勉強に専念しよう。
  読んでいるのは外法の本。
  外法とは基本的に凄惨な副作用や強力過ぎる代物を差す。ある意味で呪いに近い代物らしい。
  だけど知りたいのはそんなことじゃない。
  知りたいのは銀色の能力だ。
  あのドラゴニアンの防御力は異常だった。
  鎧はいい。
  鎧は何らかの魔力が込められていた、だから斬れなかったという理屈は成り立つ。……まあ、ブーストした私が振るうパラケルススの魔剣の一撃に耐えられる
  だけの魔力鎧が存在するとは到底思えませんけどね。だけど、それでも理屈としては成り立つ。
  私の一撃よりも強い魔力が込められていたという理屈がね。
  だけど2撃目は奴の顔に叩き込んだ。
  なのに無傷。
  というか剣が弾かれた。
  あれはありえない。
  私は<竜皮>という魔法を習得している。一時的にドラゴニアンの防御力を得る魔法だ。
  だから知っている。
  ドラゴニアンの防御力を。
  銀色はそれを遥かに超えていた。ブーストした私が振るうパラケルススの魔剣の一撃に生身で耐えるなんてありえない。
  外法の力?
  そうかもしれない。
  「……ハーマンかぁ」
  謎のダンマー少女は銀色の防御力の正体を知っていた節がある。
  その鎧は脱げるのかと言っていたな、確か。
  「鎧」
  つまり鎧に何か意味があるのか?
  魔力鎧?
  うん。
  多分それは間違いない。
  「あー、確か……」
  昔、鎧のことで面白い記述を本で見た気がする。
  私はベッドを降りる。
  私室にある本棚に近づいて私は本を一冊取り出し、それを床に落として別の一冊を取り出す。違うこれじゃない。……あー、これか。
  ドレモラの生態が記された本。
  別にこの本自体は珍しい本ではない。ドレモラの階級とかが記されている、悪魔関係の本の中ではポピュラーな部類だ。
  立ったままページをめくる。
  前に気になる記述を昔読んだ気がする。
  「どこだったかなぁ」
  ペラペラとページをめくりながら呟く。
  ある程度の力量を持った戦士や魔術師ならドレモラを倒す事は容易。相手のランクにもよるけど、ドレモラだからといって勝つのが難しいわけではない。
  チャール級は駆け出しより多少強い程度。
  だけど誰もが不思議に思う。
  何を?
  武装を剥げないことだ。
  「あった」
  記述を見つけた。
  そう。
  これが見たかった。
  記されているのは下級ドレモラが能力の向上の為に呪法を使っているということだった。特にチャールは最下級の下っ端で使い捨てのような存在。
  故にわずかでも能力を向上させる為に<鎧化の呪法>が施されているらしい。
  鎧化の呪法、それは鎧と一体化するというもの。
  効力は鎧と一体化することによりその防御力を全身に得るというもの。つまり指先だろうが顔だろうが同等の鎧の防御力が反映される。それプラス魔法の
  効果により多少防御力が上昇するらしい。ハーマンが言った台詞は多分これを指しているのだろう。
  「鎧は脱げるのか、か」
  なるほど。
  理屈としてはこれで成り立った。
  だけどそれでも防御力が高過ぎる。銀製の鎧に何らかの魔力が施されているにしても高過ぎる。ドラゴニアンとしての防御力と鎧の防御力を足したところで
  あんなにも堅くないはずだ。まだ何かトリックがあるのか。しかし、まあ、そこはどうでもいい。
  「対処策が分かったしね」
  奴は鎧と一体化してる。
  これは間違いない。
  だったらどんだけ堅かろうが問題はない。
  魔道の天才を舐めるなよー?
  「よし」
  これで明日からするべきことが決まった。
  魔法開発だ。
  銀色は今まで負けなしだった。少なくとも奴と対峙して生き延びた奴はいないという定説だった。故に奴の種族も誰も知らなかったし伝わってなかった。
  でも今はそうじゃない。
  私は生き延びた。
  色々な要素が重なった結果だけど私は生きている。そして生きているからこそ容易に対抗策が講じれたってわけだ。
  そう。
  今まで銀色と戦った者達はその場で死んだからこそ対抗策が作れなかった。
  生き延びれば次は勝てる?
  さあ、それはどうかな。
  少なくとも私以外なら勝てないのかもしれない。
  でも私は勝てる。
  何故?
  奴の本質が何となく分かってきたからだ。
  まあ、分かったと言っても奴の異常に高い防御力の意味までは分からない。
  でも<鎧化の呪法>が使われているのだけは確かだ。
  奴はドラゴニアンの形をした鎧だと考えればいい。そうすれば対抗策は実に簡単だ。

  コンコン。

  「ん?」
  扉がノックされた。
  こんな時間に誰だ?
  「誰?」
  「喪部です。夜分すいません、アークメイジ」
  扉の向こうからはイストリアから来た留学生の喪部の声。
  何だろ、こんな時間に。
  「どうかしたの?」
  「アークメイジ、今どんな格好をしてますか?」
  「はっ?」
  何だ、この質問。
  ……。
  ……ま、まさか「アークメイジたん、下着の色は何かな? かな? ハアハア☆」的な変態トークの始まりなのかっ!
  私の出会う男はまともなのいないからなぁ。
  ありえそう(泣)
  「アークメイジ」
  「寝巻きよ」
  「つまり無防備なんですね?」
  「あのね、いきなり夜中に……」
  「アークメイジ早く武器を手にしてください敵……っ!」

  ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!

  突然扉が弾け飛ぶ。
  床にぶちまけられた木片。扉の残骸。
  そして倒れこむ喪部。背中には深々とナイフが突き立てられていた。
  扉付近に立つ3人の男達。
  皮鎧を纏ったインペリアルの3人組。30代後半らしき奴がリーダー格らしい。残りは20代前半かそのあたりの2人。腰にはそれぞれロングソード。
  侵入者か。
  どこから入り込んだ?
  私は動かない喪部に視線を移し、それから3人組に視線を移した。今はこいつらを蹴散らすのが先決だ。そうしないことには喪部を助けることも
  出来ない。しかしたかだか3人でここまで入り込んでいる以上、それなりの遣い手と見るべきだろう。
  リーダーは口髭を撫でながら笑う。
  「子豚ちゃん子豚ちゃん、狼が来たよ」