天使で悪魔







監獄からの脱出









  謎の集団による王宮襲撃の一週間前。

  アダマス・フィリダ、帝都軍を騙る『偽衛兵』を逮捕した。その者は現在、帝都獄舎に拘束中。

  囚人は女性。囚人番号223番。
  偽証罪により軽犯罪房に閉じ込めてあるものの、帝都軍総司令官による『帝都軍の威信の問題』に関わるとこの
  囚人を長期囚人用の地下監獄への幽閉を現在討論中。
  なおそれまでの間は軽犯罪房にて拘留する事。



  殺してやる。
  殺してやる。
  殺してやる。
  「……殺してやる、絶対にね……」
  喧嘩を売られたのだ。
  それもかなり因縁めいた喧嘩を、私に非のない喧嘩を吹っ掛けられた。
  必ず報復してやる。
  利子を何倍にも加算してね。
  この私、フィッツガルド・エメラルダの名に誓い報復してやるわ。

  あの後。
  アダマス直属の衛兵で後ろから殴られ意識を失い、気付いた時には監獄の中……つまり檻の中だ。
  誰が脱がしたかは知らんけど下着姿。まぁ囚人服置いてあったから即効で着替えたけど……女に飢えた囚人達に檻越しに見られるわで最悪だ。
  一番の最悪は私の財産の没収。
  家も武器も資産全てが取り上げられた。完全に一番の最悪だ。
  ……。
  ……ああ、いや。
  一番の最悪は汚職衛兵隊長は逮捕されたのだ、私のすぐ後に。
  オーデンス、だっけ?
  向かいの檻の中にいる奴が汚職衛兵隊長。私を先程から睨んでいるものの、逆恨みもいいとこだ。お前のせいで私
  が犯罪者に仕立てられたんだからね。あいつもいつか殺してやる。
  ……皮肉ねぇ。
  私が逮捕されてから被害者一同が訴え出たらしい。
  別に私の逮捕は関係ない。捕まった事も商業地区一同や被害者達は知らないだろうけどもう少し早く勇気出してくれたら私が捕まる事はなかった。
  あれから三日経ってる。
  既に汚職衛兵長が捕まったにも拘らず私が解放されない所を見るとこのままうやむやにする気か。
  ……ちくしょう。
  人の人生なんだと思ってる。
  帝都軍に対しての忠誠なんかないしある種の軽蔑も持ってたけど……ここまで腐ってるとは思わなかった。
  帝都軍総司令官?
  はっ、ただの狭量なおっさんかよ。いずれ借りは返すわ。必ずね。
  コツコツコツ。
  「君、面会人だ」
  「……」
  「……何も力になれないが、私は君の権利を最大限尊重するよ」
  「……ありがと」
  看守は膝を抱えてうずくまっている私に気休め……だけど、優しく言った。
  この間、闇の一党に依頼して逮捕された男を見学に来た時、一緒に立ち会った看守さんだ。
  まっ、看守による迫害がないだけまだ暮らしやすいかな。
  ……まぁ。
  何度か試したけど魔法を封じられるような、妙な細工はされていない。手には炎も宿ったし鍵開けの魔法もちゃんと発動している。
  逃げようと思えば逃げられるし帝都軍と張り合う事も出来る。
  だから落ち着いていられる。
  看守は私が凹んでいるように見えるらしいけど、逆に復讐に燃えているのだ、私は。
  ……どこまで残酷になれるか、試す良い機会かな。くすくす……。
  コツコツコツ。
  「フィツガルド」
  「ラミナス」
  面会人はラミナス・ボラス。アルケイン大学の玄関口ともいえる男性。
  檻の中の私を見て一言こう言った。
  「あー。よーやく清々した。これで大学の風紀は護られたな。ぐっじょぶ♪」
  「泣くわよ私もっ!」
  「はっはっはっ。バナナが欲しいのかい? お利口さんなお猿さんだなぁ♪」
  「お、おのれはぁーっ!」
  「……元気出たか。よかった、フィッツガルド。君らしく振舞えるならまずは安心だ」
  「じゃ、じゃあわざと……?」
  「なわけあるかこの犯罪娘」
  「うがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
  こ、こいついつでもこんな奴か?
  ……ちくしょう。
  ひとしきり笑った後、ラミナスはその笑顔のままで周囲を見渡した。親切な看守は気を利かしたのかこの場に立ち
  会っていない。
  「何故逃げない?」
  「えっ?」
  「魔法が使えるのであればこんな檻など意味などなさないはずだ。何故留まる? 何故?」
  「ラミナス?」
  「帝都軍は君の除籍を大学に申し付けてきた。が、マスター・トレイブンがそれを蹴った。大学に戻れ」
  「そんな事したら迷惑……」
  「大学の研究員にいる限りは……つまり大学内に留まる以上は帝都軍も強行には出られない。知っての通り大学内は帝都軍ですら入る事が出来
  ない。元老院の裁可がない限りはな。大学に戻れフィッツガルド」
  「……」
  「大学の外がどんな場所かもう分かったはずだ。充分だろう。戻れ、マスターもそれを望んでいる」
  「ラミナスー♪ ラブー♪」
  別に外の世界が怖くなったとか、大学で生きていけばよかったのに私の馬鹿……とは思わない。
  こんなものだろうと思う。
  元々そんなに理想を持ってたわけじゃない。かなり醒めた目で見ていたつもりだ。
  だから逮捕されても怖くもないし哀しくもない。
  ただあるのは報復の楽しみだけだ。
  「甘えるな。そんなお前は殺したいほどキモイだけだ♪」
  「言いたい事言いやがって。でも、今は戻れないわ」
  「何故? そりゃ確かにお前がここで看守に迫害されようが囚人達の玩具になろうと知った事ではないしむしろ酷い眼に合っていてくれた方が枕を高
  くして眠れるというものだ。しかし汚点とはいえ一応は知り合いだしな」
  「鬼かお前は」
  「フィッツガルド」
  「何?」
  「殺すなら魔法は使うな使えば特定され易いぞ脱獄したお前がまず最有力人物となるだろう。そうなると大学も庇い切れなくなる。不本意だが切り捨
  てる事になる。魔法以外で殺せ。それから戻ってくればいい」
  「……何の話?」
  「隠すな。そして特に何も言うな。……私は何も知らないよ、ただの独り言だ」
  私の眼を見て悟ったらしい。
  それだけで私の感情を読み取るとはラミナスも侮れない。付き合い長いもんねぇ。
  「ラミナス、ありがとう」

  「気にするな。一夜の遊びとはいえ肌を重ねた仲だ。それゆえの、感傷だ」
  「いつそんな関係になったの一体いつっ!」
  「看守。私は帰る。あの者の世話をよろしく頼む」
  ……ふん。ラミナスの馬鹿。
  粗末なベッドに身を横たえた。ここにいても特にやる事はない。起きてても囚人達の騒ぐ声やら私をからかう卑猥な言葉がうざい。
  さすがに一緒の檻の中、ではないけど男女別の房にした方がいいんじゃないの。
  「ふぅ。寝るかなぁ」
  オブリビオンで悪魔に殺されそうになりながら生きたあの頃に比べればここは楽園だ。
  何という事もない。
  ただ、ラミナスやハンぞぅの心遣いを考えると眠れなかった。






  謎の集団による王宮襲撃の当日。





  偽帝都兵に対する最終的な決断。
  帝都軍総司令官アダマス・フィリダによる度重なる主張により、囚人223番を長期囚人とし地下監獄へと正式に移送す
  る事が決定した。
罪状は以下の通り。
  偽証罪。懲役7年。
  不敬罪。懲役3年。
  反逆罪。懲役20年。

  当囚人は合計懲役30年を科され、帝都憲法の名の元に地下監獄へ拘束される事となる。
  30年の拘束の為に特別憲法が適応され、一時接収されていた全ての資産の所有権は帝都軍に委譲される。
  また危険な囚人と見なされ仮釈放の撤廃、面会人の拒絶、運動の禁止、全ての人間的権利を剥奪される事となる。




  「手錠はいいの?」
  「逃げる気なんかないだろう?」
  「さてねぇ」
  私の最終的な処分が決まったらしい。懲役30年。……はっ、楽しいわねぇ。
  50になるまで地下の牢獄に繋がれたまま枯れるのが私の定めとは、いやいや世の中ぶっ飛んでるわー。
  看守は特に私を拘束しなかった。
  そういう風に全面的に信じられると、私としてもあまり強くは出れない。
  いつだって逃げれたけど……ちょっとは期待してたのよね。アダマス・フィリダが非を認めて私を釈放するのを。
  そしたら私だって彼と握手して、頭を下げる彼の肩をポンポンと叩いて『気にしない気にしない』と笑顔で別れた後に弓矢で狙撃して全身ハリネズミ
  にしてやるんだけど、あの爺、来なかったわねぇ。
  許さないのかって?
  ふん、許すもんか。貴重な一週間を潰されたんだ。
  こうなったら脱獄しよう。
  脱獄囚のレッテル張られるけど、どっちにしろ塀の外に出てまずする事はアダマスを惨殺する事だ。
  大して変わらない。
  ……しかし、今はやめておこう。移送されるまではこの看守の責任の範囲。
  この人は良い人だ。
  少なくとも、それが飴と鞭の一環だとしてもアダマスとは天と地がある。
  帝都軍の将校の汚職を隠す為に告発した私を逮捕?
  結局は揉み消した汚職が公になってもまだ私を拘留?
  挙句その非を認めずに私を長期犯罪者に仕立て上げて30年、地下に口封じとは……あのおっさん、噂ほど大した爺じゃなかったわね。
  私は扉の前に来た。鉄の扉。
  この先に叩き込まれれば、太陽の光すら届かない地下監獄。次に太陽が見られるのは30年後だ。
  看守を見る。
  申し訳なさそうな顔をしていた。私は偽衛兵と仕立て上げられてるけど、看守は私が本物の衛兵だと知っている。
  罪悪感もあるだろう。
  私は笑顔で看守に言った。
  「親切にしてくれてありがとう」
  「……お嬢ちゃんは無実なのに……」
  「いいのよ。自分の仕事をあなたはしただけ。それだけの事よ。それに優しくしてくれて、嬉しかった」
  「……」
  「だから、あなたは殺さないわ」
  殺すのはアダマス・フィリダとその子飼いのクソども。
  安心して。
  優しくしてくれたご恩に、あなたは対象に入っていないから。



  「ほら、入れ」
  「はいはい。んー、新しい我が家かぁ。……まっ、オーガに非常食として飼われるよりはマシかな」
  帝都の地下監獄。
  百年以上、脱獄されていないという実績を持つ場所。どんな極悪人もここに入れられると知ると泣き叫び許しを乞うという。
  私もそうすれば、看守から私を引き継いだ衛兵も喜んだのかもしれない。
  しかし私は鼻歌交じりで入牢した。
  魔法は、うん、使える。
  たまに鍵開けの魔法が通じない、魔法で処理された扉の類もあるけれどもこの鉄格子はそうではなさそうだ。
  まっ、鍵開かなければ吹き飛ばすまでだ。
  暗い。
  檻の向こう、つまり通路にランタンがいくつか置いてあるだけで太陽の光は届かない。というか天窓がない。
  空気は淀むし陽はない。
  脱獄不可能、というより基本的にはここで皆衰えて死ぬのだ。
  または発狂して。
  精神を保つのも容易ではないだろう。こう暗くては、ね。
  太陽浴びれない以前に外の様子が分からない閉塞的な閉鎖空間だから時間的な概念が分からなくなってくる。神経も麻痺するだろうよ。
  でも私は無実なんですけど?
  「おぅおぅおぅっ! そこのブレトン娘っ!」
  「私?」
  お向かいさんの囚人が私に声を掛けてくる。暗くてよく見えないけど……ダークエルフ、ダンマーか。
  目が慣れてきた。
  私を見てニヤニヤと笑っているように、見える。
  「看守に頼んで俺と相部屋にしてもらえよ。どうせお前はそこから何十年も出られない女だ。どうせ売春か何かで捕まったあばずれなんだろ。俺と
  これから毎日一緒に楽しもうぜぇーっ!」
  「間に合ってるわ」
  何が哀しくてあんなダンマーなんかと。
  別に種族的な偏見は私、持っていないつもりだけどダンマーを恋愛対象に見る性癖はないなぁ。
  まあ、恋愛なんかした事ないし仕方も分からないけど。
  「つれなくするなよブレトンっ!」
  「うるさい黙れ」
  「ヴァレン・ドレスの女になれば天国気分は保障するぜぇーっ! うひゃひゃひゃひゃーっ!」
  「頭痛くなってきた」
  発狂する理由をもう一つ追加。
  あんなアホがいるからこちらまだ精神を害されるのはまず間違いない。
  これも全部アダマス・フィリダのせいだ。あの爺もここに叩き込んでやる。殺すより楽しいかも。くすくす。
  「ブレトンっ!」
  「……」
  「ブレトンっ!」
  「……何よ、黙りなさい」
  「お前らブレトンは魔法が得意なんだろう? なのにどうして逃げないんだ? お得意の手品もこんな暗闇の監獄に叩き込まれたら出来ないってか。
  うひゃひゃひゃひゃっ! 初日から絶望して泣くにはまだ早いぜぇっ!」
  こいつは何して捕まったんだろう?
  口は達者だから詐欺か何かかな。それとも騒音罪?
  「ブレトンっ!」
  「今度は何?」
  「初日だから看守も大目に見てくれてるがこれから毎日可愛がってくれるぜ色々な意味でよぉっ! お前さんみたいな別嬪は念入りに二度と犯罪起
  こす気が起きないように教育してもらうるぜぇっ!」
  「その下品な言葉やめないと舌を切り落とすわよ二枚舌め」
  ガチャン。
  鉄の扉が、外界に唯一通じている扉が開いた音がした。看守?
  ヴァンスの哄笑がひときわ高くなる。
  「うひゃひゃひゃひゃひゃっ! ブレトン、看守が帝都市民の面汚しのお前を殺しに来たぜぇっ!」
  ゴロゴロゴロゴロ。
  ……?
  上から、地上へと通じる階段から何かが転がり、そして叩きつけられた。
  そして聞えるのは、剣戟っ!
  「た、たすけ……っ!」
  聞えたのは私をこの牢獄に押し込めた衛兵の声。次の瞬間、切り裂く音と血の吹き出す音、絶命する声。
  反乱?
  争う音は次第に近くなってくる。
  近づくにつれてヴァレンは落ち着きを失い、自分の房の中でひっくり返った。
  気絶したか。小心者め。
  「何なの?」
  戦闘は次第に間近で、展開されつつある。扉の閉まる音。
  バタァァァァァァァンっ!
  「ボーラスっ! 扉をっ!」
  「施錠しましたっ!」
  男の声と女の声。そして檻の外で、私の房の前で争う見た事ない黒い鎧の騎士と真紅のローブの人物。
  強いっ!
  黒い方が格段に強い。真紅のローブの人物は電撃魔法を放つものの間合いを詰められ、斬られた。
  喧騒は収まった。
  少なくとも監獄の中では。扉の向こう、施錠された扉の向こうではまだ争い戦う音が響いている。
  「陛下、まずは一安心でございます」
  「レノルト、息子達はどうなった? 無事に脱出をしたのか?」
  「分かりません。最初の伝令の報告しか。……ともかく陛下、ここを抜けて……」
  「ちくしょうっ! どうしてここに囚人がいるっ! ここは使用禁止にしてあったはずだっ!」

  声が無数に響く。
  そして真紅の人物を斬り殺した男が私を睨みつけていた。
  その声を聞き、おそらくは『ボーラス』と呼ばれた人物が駆けて来る。
  「アダマス・フィリダの一存で入れられたと……」

  「ちっ。帝都軍総司令官は我々の命令をまるで聞いていないようだぜ。ちくしょう」
  我々の命令?
  女性と老人も私の檻の前に来た。女は『レノルト』と呼ばれていた女性だ。
  老人は豪奢な服装、この場には相応しくない高貴な恰好で胸元には真紅の首飾りが輝いていた。
  ルビーだろうか?

  「どうしますか、レノルト指揮官」
  「予定と違うが、支障はない。囚人、下がれ。妙な真似をしない限りは危害は加えない」
  黙って従う。
  何となく見当がついてきた。
  帝都軍の司令官を下に見る、という事はこいつらが噂の『ブレイズ』なのだろう。
  皇帝直属の親衛隊であり諜報機関。
  じゃあこの老人は?

  檻の鍵を開け、四人は中に入ってくる。そしてご丁寧に鍵を閉じた。
  うにゅー。
  なかなかうまくいかないものだ。
  「動くなよ囚人。すぐに我々は去る。……ボーラス」
  「はい」
  石造りの壁を叩く、ボーラスと呼ばれたレッドガードの親衛隊員。
  コンコン。コン、ココン。
  何して遊んでいるのだろう。叩き方に何か意味があるのだろうか?
  「……お前、見た事がある。夢の中で」
  「はっ?」
  「私はこの帝国の皇帝。そしてお前がここにいるという事は……私は今日、やはり死ぬのだろう」
  「頭打ったのおっさん」
  レノルトと名の知らぬ横柄親衛隊員が私の口の悪さに食って掛かろうとするものの、皇帝はそれを制した。
  まっ、恐れ敬えと言われても、出来ませんって。
  帝国の法律で誤認逮捕ながらも人生の大半をここで暮らすことを宣告されんだからねぇ。
  すぐにでも脱獄するけどさ。
  「これが運命なのだ」
  「悪いけど私は運命も神も信じない。……帝国も皇帝もね」
  「私は今日ここで死ぬ。息子達も殺された。真紅のローブの集団は私を殺すだろう」
  「勝手に死ねばいいじゃない」
  「それが運命だから、私は受け入れる。しかし君は君の運命がある。……私には見えるのだ。君は破滅の王の侵攻を食い止めなければならない。
  そして私の後を継ぐ者を探し出し、オブリビオンの門を閉じなければならない

  「勝手に決め付けるなっ!」
  イライラする。
  何なの帝国の皇帝は電波系か。付き合っていられない。
  ゴゴゴゴゴゴゴゴッ。
  その時、壁がせり上がった。なーるほど。ここは秘密の抜け道のある牢獄か。だから使用禁止だった。
  アダマスは無視したけど。
  「陛下。このような囚人と口を聞くのも穢れます。我々が必ずやお守りします」
  レノルト指揮官達に促されて皇帝は抜け道から去った。
  ……。
  ……何、これってまさか好都合なわけ?
  謎の襲撃者のお陰で衛兵は死ぬわ今も上では戦闘中……まさに好都合じゃん♪
  これも日頃の行いの結果よねぇ♪
  「……あー、でも……」
  牢屋開けて扉開けて逃げると……修羅場に出くわす……ならば……。
  私は皇帝達の抜け道に足を踏み入れた。