天使で悪魔
タムリエル
タムリエル。
それは帝国が支配する大陸。全土は帝国の統治の下、管理下に置かれていた。
表向きは平穏そのもの。
しかし裏では……。
タムリエルは九つの地域から成り立っている。
大陸の中央部であり帝都があるシロディール、エルスウェーア、ハンマーフェル、スカイリム、ハイ・ロック、ヴァレンウッド、
ブラックマーシュ、モロウウィンド、サマーセット島。
九つで成り立っている。
物語の舞台となるのはシロディール。
そのシロディールも九つの都市から成り立っている。この世界において九は尊い数。国民は九の数字から九大神をイメージする。
九大神。
それは帝国の主神であるアカトシュを筆頭にした、九体の神々。
それゆえに帝国は九に拘る。
シロディールが九つの都市で形成されているのも、その為だ。
帝都、スキングラード、クヴァッチ、アンヴィル、コロール、ブルーマ、ブラヴィル、シェイディンハル、レヤウィン。
それが九つの都市。
帝都には皇帝ユリエル・セプティムが君臨している。
元老院、王侯貴族や帝都市民からは絶大な支持を得ているものの、それはあくまで帝国側の視点であり、各地方は侵略された者とし
ての視点を持っている。
帝国軍は精強で精鋭。
帝都には首都防衛の要である帝都軍、各都市には領主直轄の都市軍。各地方には皇帝に任命された将軍が軍団を率いて駐屯し、
地方を掌握している。皇帝はその半生の大半を戦争に費やし、各地方を平定した。
しかし反逆の炎は今だ確実に灯っていた。
それでも。
それでも、シロディールでは表面的な平穏が横たわっていた。
……表面的な……。
国が乱立するからこそ争いが生じる。
その理論の元に帝国は権勢を振るい、版図を拡大して来た。そしてそれはタムリエル全土を掌握した。
しかし争いは止まらない。
連鎖は確実に、連鎖する。どこかで止めない限りは、争いの連鎖は続く。
アカトシュ433年。第三紀の末期。
運命の年。
この年、全てが動き出す。
大地に住まう者全ての存亡を賭けた戦いは迫りつつある。
その事を誰一人まだ気付いてすらいなかった。
そして見る。
深紅に燃える天空と大地から侵略してきた軍勢を阻む四人の存在を。
その者達の名は……。