私は天使なんかじゃない








リベットシティ







  パパを探して私は旅をする。
  様々な痕跡を辿ってその後を追う。
  そもそも私がボルト101を脱走したのもパパを追ってだ。
  それが全ての始まり。
  それが……。






  リベットシティ。
  キャピタルウェイストランドでもっとも栄えている文明都市。ただ、都市と表現されてはいるものの建物が立ち並んでいる街という意味ではない。
  空母。
  リベットシティは巨大な空母の残骸を利用した街だ。
  甲板には戦闘機があるみたいだけどそれらも残骸に過ぎない。
  完全に攻撃能力がない空母。
  だけど安全な都市だ。
  何故?
  唯一の出入り口は陸とリベットシティを結ぶ橋だけ。
  そこさえ死守すれば問題ないからだ。
  リベットシティを陥落させる事は白兵戦による内部制圧しかいない。遠距離攻撃はまず届かない。陸から遥かに離れているからだ。さらにいうならミサイル
  攻撃も無意味だろう。空母に携帯用銃火器では歯が立たない。ミサイルランチャー程度では沈没は不可能だ。
  実質的にリベットシティは無敵な都市。
  メガトンとは異なり固有兵力であるセキュリティ隊もリベットシティを防衛している。
  攻守共に完璧な布陣の都市。
  自給自足も出来ている。
  レイダーの貧弱な武力ではどうにもならない。タロン社でも多分無理だろう。スーパーミュータントでもだ。……ジェネラル死んだしねー。
  人類最後の砦。
  それがリベットシティ。



  「ウルフギャング……つまり君らはキャラバンの関係者というわけか。今、橋を架ける。待っててくれ」
  「了解」
  インターホンはそう語る。
  リベットシティは水の上に浮かぶ空母。陸とは隔離されている。唯一繋ぐのは橋だけだ。その橋も空母から、リベットシティから制御されている橋であり有事
  の際には橋をスライドさせて陸から切り離す。そうする事で完全なる孤島となり難攻不落の都市と化すのだ。
  ガチャン。
  橋が架かる。
  私達は渡ろうとするもののクレイジー・ウルフギャングが手で制した。
  「まだだ」
  「何で?」
  「俺は顔パスだがあんたらは新参者だ。チェックがあるんだ。街のセキュリティの為にな」
  「時間掛かる?」
  「いいや。俺が友達だと言えばそれで終わる」
  「分かった。任せる」
  「ああ」
  橋を3名が渡ってくる。
  アサルトライフルを手にした2人、それを従える形に向ってくる男。計3名だ。
  あれがセキュリティか。
  ボルト101のセキリュティを思い出すのはヘルメットが同じだからかな。ただ2人を従えている男性はヘルメットは被っていない。仕官だろうか?
  リベットシティの指揮系統や名称が分からないから仕官という固有名詞が正しいかは分からない。
  ただし兵士2人の上司なのは確かだろう。
  さて。
  「俺はハークネス。リベットシティのセキュリティ主任だ。昼間は市場を見回っている。俺に逮捕されないようにしてくれ」
  「よう。久し振りだなハークネス」
  「クレイジー・ウルフギャング。この4名は君の知り合いか?」
  「ああ。古い友人だ」
  「……」
  「……なんだよ?」
  「醜いグールに友人がいるとは知らなかったな」
  カロンは何も言わずにクリスの側に控えている。
  ハークネスの言葉はある意味でカロンには面白くない発言であり差別的な口調の響きがあったものの、カロンは黙っている。
  思慮深い?
  我慢強い?
  いいえ。
  それ以前にクリスの命令がないからだ。
  さて。
  「俺が保障するよ、ハークネス」
  「分かった。……すまんな。最近妙な連中が入り込んでいるのでピリピリしているだけだ。すまなかった」
  私達に軽く会釈する。
  あくまで儀礼的にだけど。
  それにしても妙な連中ね。セキュリティは完璧なのにそんな事があるのだろうか。リベットシティはセキュリティ的に都市への立ち入りは制限しやすい。にも
  拘らず妙な連中が入り込んでいるとはどういう事だろう。
  気になる。
  聞いてみよう。
  「何か問題があるの?」
  「問題はないが予備軍ではあるかもしれないな。……連邦からある一団が来た。断るわけにはいかんから一行を迎え入れた」
  連邦?
  まさか……。
  「Drジマー?」
  「何故知ってる?」
  「ここに来るまでに聞いたから」
  「……まあいい。どうも俺は奴が気に食わん。生理的に駄目だ。それに奴は同じ顔ばっかり引き連れているのも嫌だな」
  「同じ顔?」
  何だそりゃ?
  ハークネスはうんざりしたような顔で言った。
  「量産タイプのアンドロイド部隊だ」



  完全なるセキュリティかとも思ったけど意外に穴があるらしい。
  まあそりゃそうか。
  完全なんかこの世にはないのだから。
  私達はリベットシティの立ち入りが許可された。
  ただ、ここで別行動。

  「悪いな。俺は商売だ。あんたの成功を祈ってるぜ。……またどこかで会えたらいいな。またな」
  クレイジー・ウルフギャングと護衛兼助手、ここでバイバイ。

  「私は飲んでいる。バーにいる。用件が終わったら迎えに来てくれ一兵卒。カロン、行くわよ」
  「御意のままに。クリスティーナ様」
  クリス、カロン。
  2人とも飲みに行った。
  まあ別にいいですけどね。
  ただ最近クリスは別行動が多いなぁと思う。
  気のせいかな?



  研究ラボにDrリーはいるらしい。
  グリン・フィスを従えて私はリベットシティを歩く。
  ……。
  ……確かに広大だ。メガトンの人々よりはお上品な連中が多い。生活レベルもだ。ただ船の中だからどうしても窮屈に感じる。
  天井があるからかな?
  うーん。
  こりゃボルト101にはもう生理的に住めないな。今さらボルトに暮らしたら閉所恐怖症になりそう。
  それに。
  それにリベットシティは空母の都市だからどこか錆びっぽい。
  ここには住めないなぁ。
  「主」
  「何?」
  リベットシティの通路を歩きながら彼は囁く。
  「クリスの事ですが」
  「彼女が何?」
  「危険ではないですか」
  「危険?」
  「カロンという武人を仲間にしました。もしかしたら主に対抗するつもりでは。アンドロイド、とかいうのにも熱心ですし。あくまで自分の直感に過ぎませんが」
  「杞憂よ。彼女は仲間。……風変わりだけどね。疑っちゃ駄目」
  「御意。ただ、主」
  「何?」
  「私見ですがクリスは主に取って代わる気なのではないですか?」
  「どういう事?」
  「自分と同じようなタイプのキャラ性のカロンを仲間にした、これはつまり次回から主役の座を奪う気でいるからではないでしょうか?」
  「はっ?」
  「すいません。ただのユーモアです」
  「……」
  グリン・フィス、侮れん。
  てか意味不明なんですけど気のせいでしょうか?
  おおぅ。
  その時、誰かがぶつかった。
  女性だ。
  頭に白いバンダナを巻いた女性だ。どこか怯える顔。……追われてる?
  「どうしたの?」
  多分相手は年上だろう。
  幾分か私は丁寧に接する。
  「シスターが、シスターが来たのよっ! 手下を引き連れてっ! きっと脱走の罪で私はあいつらに酷い目に合わされるっ!」

  「シスター? 修道女って事?」
  「い、いえ。そういう名前の奴なの。わ、私は元奴隷商人と……じゃない、と、ともかく、友人と一緒に逃げたの。きっとシスターは私達を追ってきたのよっ!」
  「ふぅん。つまり貴女は?」
  「だ、脱走奴隷」
  「それで友人は元奴隷商人?」
  「そ、そうよ」
  元奴隷商人の友人ね。
  そいつは罪悪感を覚えて奴隷商人をやめて奴隷の彼女と逃げたのだろうか?
  ……。
  ……まあ、意味は分かる。
  普通の感性があればまず潰れる職業だろう。
  人に首輪をつけて売買する。
  まともな奴なら罪悪感に押し潰されるは必至だ。もちろん、だからといって奴隷商人を捨てたそいつが正しいとは言わない。その職業をやめるまでは人を狩り、
  捕え、売り払っていたのだからそれを許すつもりはない。
  射殺する?
  相手の出方次第ではそれもありえるけど、まあ、とりあえずはそいつと遭遇しても白い目で見るかなぁ。
  好きになれるはずがないでしょうよ。
  ともかく。
  ともかくガクブルする彼女をそのままにはしておけない。
  「グリン・フィス」
  「はい」
  「私はラボに入る。ここで彼女と共に待ってて」
  「……」
  研究ラボは眼と鼻の先。
  危険はないだろう。表面的とはいえ完璧なセキュリティの街だし。研究ラボに入ったら殺されるってわけでもない。万が一面倒が起きてもこの距離だ、完全に眼
  と鼻の先だから何かあったらグリン・フィスがすぐに飛んで来れる。分かれても問題あるまい。
  「すぐに戻る。待ってて」
  「御意」
  元奴隷の彼女の身の振り方は後で考えよう。というかシスターの身の振り方を考えてあげないとねー。
  お節介?
  いえいえ。
  私はレギュレーター。
  奴隷商人は始末する対象でしかない。……まあ、彼女は元奴隷商人に関しては信頼しているようだからそいつはスルーするとしよう。
  さて。
  「ここで待っててね。グリン・フィス」
  「御意」
  私は研究ラボに足を踏み入れた。
  バタン。
  研究ラボに入ると鋼鉄の扉が自動で閉じる。ラボはなかなかの規模だと思った。
  「へぇ」
  感嘆。
  ボルト101には及ばないものの最先端の技術がここにはあった。
  何の研究をしているかまでは分からないけど研究員達は実験を繰り返している。
  その実験を護る為か研究員を護る為かは知らない……まあ、多分両方だろう。セキュリティ達が何名か配置されていた。要所要所にね。
  「ちょっとそこの人っ!」
  「……?」
  見咎められたのだろう。
  1人の女性がツンツンしながら私の元に来る。白衣の女性だから博士だろう。

  「ここは立ち入り禁止区域よ。色んな人に何度も言ってるの。もううんざり。……連邦のDrジマーもしつこいしね」
  「連邦?」
  「あなたには関係ないわ。さっさと出ていって頂戴。ここは機密エリアなのよ。観光客が入っていい場所じゃないわ」
  「実は人を探しているんです」
  「人を?」
  「はい。名前は……」
  「ティリアス?」
  「はっ?」
  その名は私の本名だ。
  ミスティは愛称でしかない。
  「あなた、本当にそっくりね」
  「誰に?」
  「あなたのお母さんによ。大きくなったわね。あなたはティリアスでしょう?」
  「えっ?」
  私の本名だ。
  愛称ではなくその名で呼ぶのはパパだけ。
  「ジェームスの娘さんでしょ? ここで何してるの?」
  「私を知ってるの?」
  「小さ過ぎて覚えてないでしょうね。ジェームスから私の事は聞いてないんでしょうし。彼らしいわね」
  「あの、貴女は?」
  「Drマジソン・リーよ。ずっと前、あなたの両親と働いてたの。こことは別の場所でね。今はここリベットシティの研究ラボを統括しているわ」
  「そうですか。貴女がDrリー」
  「私に何か用なの?」
  「はい」
  運命?
  これって運命?
  なかなか運が向いているらしい。訪ねて回って出会えたとしても相手が見向きもしてくれない場合だったあったのだ。私にママの面影を見つけ、興味を持ち、
  会話に発展したのはラッキーとしか言いようがない。
  よかったよかった。
  さて。
  「研究を改めて見て来るように言われたのね?」
  「……?」
  「残ったのは研究成果はここにあるだけよ。あなたの母親が亡くなって彼はあなたを連れて去る事にしたわ。仕事を捨ててね。私達は選択の余地もなく今
  まで通り研究を続けたわ。……それでここには何しに?」
  「パパの居場所を探しに」
  「……会ってないの?お父さんのお使いだとばかり思ったわ。じゃあ早くボルトに戻りなさい。そこにあなたを残したってジェームスは言ってたわ」
  「私はパパを追ってボルトを出たの」
  「そうなの? あなたはお父さんの希望と正反対の事をしているのね。……ここにはいないわ。もう彼はどこかに行ってしまった。冷たい響きがあるとしたら
  ごめんなさいね。彼は自ら捨てた浄化プロジェクトを今さら再起動させようと言いにここに来たのよ。自分勝手よ。都合が良過ぎるわよ」
  「……」
  「もう遅過ぎるのよ。絶対無理よ」
  「あの」
  「ともかく帰りなさい。それがお父さんの意思なのよ」
  「それは……」
  無理だ。
  パパが脱走したから戻れない、という状況ではない。
  私自身もボルト101の規律を破った。正確には監督官の暴走のとばっちりを受けただけなんだけど……もう戻れない。あのおっさんは私の首に賞金を懸けた
  しね。タロン社に付け狙われている以上、今さら戻れるわけがない。
  それをDrリーに告げた。
  「まったく」
  「……」
  「ジェームカは相変わらずね。周囲を振り回すのが得意なのね。……彼はね。ここに、というか私に昔のプロジェクトを再起動しないかって持ち掛けに来た
  のよ。だから言ってやった。もう無理だってね。状況は既に昔と一緒じゃないって言ってやった」
  「パパはどこに?」
  「想像してたけどやっぱり彼は忠告を無視したわ。証明してみせるって、昔のラボに向ったわ」
  「それはどこ?」
  「ジェファーソン記念館にあるわ。ここから北西にあるところよ。向ったのは2日前。まだ間に合うかもしれない」
  「2日前」
  「だけど忠告するわ。後は追わないで。お父さんも1人で行こうとするなんて馬鹿よっ!」
  彼女はそう断言した。
  そこには。
  そこには長い付き合いのある者にしか出せない感情が込められていた。私の両親とは長いのだろうか?
  「両親とは……その、長いの?」
  「あなたの両親とは数年一緒に働いていたの。……お母さんが亡くなるまでね。その時、お父さんは去る事を決心したの」
  「……」
  「ジェームスは偉大だったわ。やる気満々で世界を変えようと一生懸命だった。まあ、皆も同じだけど。私達は世界を救おうとしてた」
  「世界を救う?」
  話が大きいな。
  浄化プロジェクトって何?
  「あなたのお父さん気にしていたのは2つだけ。浄化プロジェクトの成功とあなたのお母さんよ。……あなたのお母さんが亡くなった時、彼は諦めたんだと思う
  わ。あなたを無事なところに連れて行きたい気持ちは分かるけど、彼は私達や研究を捨てて逃げ出してしまった」
  「……」
  「でもあの案を捨てきれないみたい」
  「案?」
  「長年ほったらかしにしておきながらまた試したいだなんて……ハッキリ言って信じられないけどね」
  「母は、その、どんな人でした?」
  正直ママの事を私はあまり知らない。
  パパも話したがらなかったし。
  気になる。
  「あなたのお母さんは素敵な女性だった。とても研究熱心な科学者。お父さんに深く愛されていたわ、亡くなったのは残念ね。あなたを抱くのを楽しみにしてた」
  「どうして母は?」
  「複雑なお産だったの。誰も想像してなかったから、出来るはずの準備が出来ていなかったわ」
  「……」
  「廃棄処分された装置で苦労したのよ。……分かって頂戴。出来るだけの事はしたのよ」
  「はい」
  私は頷くと彼女は溜息を吐いた。深い深い溜息だった。そこにある感情は安堵。
  おそらくずっと罪悪感として彼女の心に残っていたのだろう。
  「私を助けてくれてありがとうございます」
  「……良い子に育ったのね。2人が羨ましいわ」
  「2人?」
  「あなたの両親よ」
  その時、ふと思った。
  この人もしかしてパパの事を好きだったんじゃないだろうか?
  確信?
  そんなモノはないけどそんな気がした。
  「両親とはどんな研究してたんです?」
  「あなたのお父さんと私は長年一緒に仕事をしてお互いの事はよく知ってるわ。……でも色々と複雑な事情でプロジェクトは放棄、そして彼は姿を消した。私
  はリベットシティに戻ってこのラボを設立したの」
  「そうなんですか」
  複雑な事情。
  私のお産や母の死、父の挫折。……複雑ね。
  「浄化プロジェクトってなんですか?」
  「そもそもの発想はごく些細な事なのよ。要は『皆に新鮮で綺麗な水を』。……そんな簡単な事でも実現は不可能だった。タイダルベイスンの水を瞬時に浄化す
  る施設を作る計画だった。放射能も泥も含まない純粋な水を作るの。ただ予想より困難だった」
  「困難?」
  「基本原理は確立出来ているの。その辺は科学で解明されているからね。でもあそこの放射能は広範囲に渡っていてね。小範囲の浄化なら問題はないんだけ
  ど規模が大きくなるとまったく手に負えなかった。もっと時間や設備があれば上手く行ったんだけど……」
  「時間は私が潰したんですか?」
  「お産の事?」
  「はい」
  「いえ。そうじゃないのよ。対処し切れない問題だらけだった。我々を支援していたBOSはもうこの計画は不可能だと断定したわ。支援なしでは計画は進められ
  なかった。あなたのお父さんも去った後だったしね。結局残った私達もプロジェクトを捨てるしかなかった」
  「BOSがどうして支援を?」
  「エルダー・リオンズは私達の研究を、ジェームズが立ち上げたプロジェクトに期待していたわ。水さえ綺麗ならどうにでもなるからね」
  「そうですか?」
  「確かに土壌の放射能も問題よ。だけど私達は水に含まれた放射能を取り除く事を目指した。そこのテーブルの上を見てごらんなさい」
  「テーブル?」
  指差された方を見る。
  テーブルには果実があった。それは図鑑で見た果実だ。
  「これって伝説のリンゴ? ナシもある。……ええーっ!」
  「水さえ正常なら何とかなるのよ。特別な栽培法で栽培しているからね。ともかく水は全ての生命の要。ジェームスの理論はそこにあった。誰もが奪い合う必要
  すらないほどの大量の真水があればこの世界は大きく変わるのよ」
  「成功しているんじゃないですか?」
  「失敗よ」
  「でも……」
  果実がここにある。
  これが成功の証拠ではないのだろうか?
  「ボルトで暮らしていたあなたは綺麗な水に困った事はないでしょう?」
  「ええ、まあ」
  「都市に住まう者達を支える程度の真水の精製は出来るのよ。ここでもその技術を使ってる。だけどキャピタルウェイストランドの人々が飲んでもなくならない
  ふんだんな水を浄化する事は出来なかった。いいえ少なくとも私には出来なかった。ジェームスがあの時、逃げなければどうなったか分からなかったけど」
  「……」
  「ごめんなさいね。あなたはお父さんを探しに来ただけなのに妙な昔話をしてしまって」
  「いえ」
  「お父さんを見つけられるといいわね」


  足跡を見つけた。
  すぐそこにパパがいる。
  すぐそこに……。