天使で悪魔






深い森





  深い森の出会い。
  運命か偶然か。






  ゴン。
  「いったぁいっ!」
  朝食を終えて宿の自分の部屋に戻ろうとして壁にぶつかって頭を打つ。
  部屋に入り損なった。
  額を摩りながら部屋に入って扉を閉じる。
  眼帯生活はまだ慣れてないから目測がおかしい。距離感が掴み辛い。なのであたしだけ宿に居残り。他の仲間は調査に出てる。
  猟奇殺人調査?
  ううん。
  あれは一応の一区切りは付いた。
  まだ解決はしていないものの犯人は外法使い<百目の綴>の仕業だと判明した。その旨を戦士ギルドとシェイディンハル衛兵隊に報告、戦士ギルドは
  コロールの本部と各地の支部に伝達し、シェイディンハルは帝都軍と各地の都市軍に警告した。
  なので一応はあたしの手を離れた。
  現在仲間が行っている調査は九大神絡み。
  そう。
  聖具の在り処の調査。
  あたし?
  あたしはまだ眼帯に慣れてないしステンダールの呪いの関係であまり動けない。なので宿に居残り。
  ……。
  ……囮、でもあるけどねー。
  ハーたんの提案であたしを出来るだけ1人にして綴を誘き出したいらしい。
  警戒して襲撃してこないにしてもあたしを休ませることが出来るという利点があると言ってたけど……襲撃してきたらどーすんの……。
  孤立してるじゃん、あたしっ!
  はぅぅぅぅぅぅぅぅっ。
  椅子に腰掛けて天井を仰ぐ。
  ぶつけた額が痛い。
  うー。
  間抜けの極みだ。
  百目の綴に左目に宿っていた<鷹の目>の力を持っていかれた。視力そのものはハーたんの力で治ったけど鷹の目の力は奪われたまま。
  結果力が暴走中。
  右目は鷹の目、左目は普通の目。
  どうも能力の釣り合いが取れないらしく右目は過負荷気味みたい。
  ハーたん曰く「いつも両眼にしているコンタクトを片眼だけしているようなもの」らしいけど……コンタクトって何?
  たまに説明の意味がよく分からない。
  まあいいけど。
  ともかく片眼だけの鷹の目はあたしの行動の妨げになってる。
  立ってられない。
  物事が考えられない。
  かなり重度の偏頭痛的な感じになっちゃう。
  だから。
  だからあたしが能力を制御できるまでは右目を封じる形で眼帯してる。能力が制御できるまでの我慢だ。もしくは綴から能力の半分を奪い返すまでのね。
  百目の綴、か。
  外法使いって強いとか弱いとかじゃなくて攻撃方法が読めない。
  それが一番の難点だ。
  「ふぅ」
  ぶつけた額の痛みも鎮まってきた。
  今からどうしようかな?
  仲間が戻るまでまんじりとここに座っているのも暇。
  体力に関してはステンダールの呪いで低下しているもののハーたんがどの程度までかは知らないけど肩代わりしてくれてる。だから動けないほどじゃない。
  ハーたんは自身の体内に呪いの一部を取り込んで浄化しようとしてくれてる。
  本来ならそれで事が終わるらしい。
  少なくともハーたん談ではね。
  問題はステンダールの呪いが桁外れでハーたんの体内から本来の呪いの対象であるあたしに戻ろうとするらしい。
  浄化する前に。
  さすが神様絡みの呪いってことなのかなぁ。
  ……。
  ……ま、まあ、あたしは呪われるようなことはしてないんだけどね。
  確かに。
  確かに危険を承知で呪いの肩代わりはしたけど……神様って無差別に人を呪っちゃうものなのかな?
  あたしの前に呪われてた人だってご先祖様の所為だったわけで、本人は無実だし。
  神様って残酷らしい。
  まあ、そもそもあたしはモロウウィンド出身でダンマー。九大神はあんまり縁がないから神様に対して懐疑的になることはない、今さらね。
  九大神の聖具を集めてはいるけど神様を崇拝しているわけではない。
  信仰心ないのに集めていいのかは分からないけど……とりあえず手に入れた聖具は纏える。シシリーさん達では無理だった。
  そういう意味では聖戦士の資格はあるのかな?
  「よっと」
  あたしは立ち上がる。
  まだ動ける。
  少なくとも夜ぐらいまでは呪いが戻って来ることはないらしい。戻って来たら戻ってきたでハーたんが魔力でまた抑えてくれるみたい。
  凄い妹に感謝感謝の日々です。
  そんなわけでちょっと都市の外に出てこよう。
  剣の練習しなきゃ。
  都市の中ではちょっとしたくない。
  何故?
  恥かしい。
  隻眼だから距離感がどうも掴めない。
  なので無様な動きになっちゃう。
  あたしは魔剣ウンブラを手にして部屋を出た。



  ……のがまずかったーっ!
  数時間後。
  「ここどこー?」
  迷子になりました。
  はぅぅぅぅぅぅぅっ。
  なんてこったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!
  シェイディンハルの外に出た。
  そう。
  都市の外に出た。
  何故?
  隻眼で思うように距離感掴めない剣術を見られるのが恥ずかしかったから。
  問題は衛兵隊が警戒態勢だったってことだ。
  都市の内外問わず巡回率高い。
  それはあたし達がシェイディンハル衛兵隊を指揮するギャラス隊長に猟奇殺人事件の詳細を、つまり百目の綴のことを報告したことに起因する。
  結局取り逃がしちゃったからまだ野放し。
  百目の綴捕殺の為に衛兵隊は躍起になっているってわけだ。
  だから。
  だから絶賛巡回中。
  ……。
  ……森になんて足を踏み込まなければよかったー。
  眼帯着用で片目だから視界が悪いし距離感が掴めない、さらに方向が分からなくなった。
  そんなわけで迷ってます。
  「はぅー」
  最悪だーっ!
  マジで最悪ですよーっ!
  うぇーんっ!
  立ち止まって周囲を見渡す。
  静寂のみ。
  耳に響くのは森の静けさだけ。
  ここでレヤウィン近郊の森なら深緑旅団の残党のトロルが徘徊している可能性が高いけどここはシェイディンハル近郊。特に危ない外敵は報告されていない。
  もちろん非武装ではない。
  現在入手にしている九大神の聖具に身を包んでるし魔剣ウンブラを背負ってる。
  装備に抜かりはない。
  装備に抜かりはないけど……体力落ちてるし眼帯だし……。
  「や、やばいかも」
  野生動物やモンスターの類はどうでもいい。
  野盗の類もだ。
  よっぽど数で押されない限りは堂にでもなる。
  慢心ではないけどそれなりあたしも死線を越えてきている。
  だから多分問題ない。
  ……。
  ……と思います。
  だけど百目の綴が出てきたらどうしよう?
  完全に危ない森に迷う込んだ子羊状態なんですけどー(泣)

  ぐぅぅぅぅぅぅぅっ。

  お腹が鳴る。
  朝食は充分食べてきたけど森を彷徨うこと数時間。
  お腹空きました。
  迷子になることは想定してないから食料もなければ水もない。何もない。
  まずいなぁ。
  動物が出てきたらとりあえず食料は確保できるのに。
  「あれ?」
  違和感。
  これだけ森の深い場所まで入り込んだのに動物が……いない……?
  少なくとも見ていない。
  森の入り口付近はシェイディンハルの市民の入植に伴い動物も森の奥に追いやられたと考えられる。それはいい。問題ない。問題は今、あたしは動物の
  領域に入り込んでいるということだ。にも拘らずここには静寂しかない。鳥の声すら聞こえない。
  何かいる?
  動物ではない、何かが……。
  「……」
  無言で立ち止まる。
  そして魔剣ウンブラの柄に手を掛けた。

  「……見つけた……見つけた……見つけた……」

  風が吹く。
  突風。
  それと同時に囁きが風に乗って周囲を包む。
  強い風だ。
  あたしは顔を手で覆った。
  風が収まるまでに数十秒掛かる。収まってからあたしは顔を覆っていた手を下ろした。
  視線を感じる。
  誰もいない。
  少なくとも視界に入ってこない。
  あるのは静寂の森だけ。
  あたしに張り付いた視線は不意に途切れた。
  再び突風。
  小石が無数に飛んでくる。
  多少痛い程度だけど目に入れば失明するだろう。
  顔を手で覆う。

  ざわっ。

  背筋に悪寒が走る。
  咄嗟に魔剣ウンブラを引き抜いてあたしは身構えた。
  「えっ!」
  驚愕。
  さっきまで森だったのに一軒の建物が現れた。森のど真ん中に怪し過ぎる一軒家が現れる。
  扉には張り紙が貼ってあった。

  <どなたもどうかお入りください。決して遠慮はいりません>

  挑戦?
  誘っているのは確かだ。
  また視線を感じる。
  建物全体が視線を向けているかのようだ。
  百目の綴?
  そうかもしれない。
  孤立無援のあたしを狙うには絶好の機会だろう。シシリーさん達を物の数にしないにしてもハーたん不在の状況は百目の綴にしてみれば絶好の機会に違いない。
  ……。
  ……わざわざ孤立無援になるあたし、間抜け?
  間抜けだなぁ。
  はぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ。
  「あれ?」
  張り紙の内容が変わる。

  <当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご遠慮ください>

  「注文の多い料理店?」
  どこかで聞いたような。
  扉に近付く。
  ゆっくり。
  ゆっくり。
  ゆっくりと。
  不意打ちに備えながらあたしは扉のノブを掴んで一気に開く。
  室内が見える。
  何もない室内だ。
  唯一あるのはテーブルだけ。
  あたしは踏み込むべきかどうか一瞬悩むものの意を決して中に入る。

  バタンっ!

  扉が背後で閉まった。
  振り返る。
  そこには扉などなかった。
  扉の痕跡が完全に消えている。窓も消える。完全に箱型の密閉された建物に閉じ込められた。
  ごぅっと部屋に飾られている燭台が灯る。
  幽霊屋敷?
  どちらにしてもこれには驚かない。
  まっとうな建物だとはそもそも思ってない。
  テーブルにはまた紙切れがある。
  読む。

  <
お客さま。ここで髪をきちんとして、それからはきものの泥を落してください>
  <武器をここへ置いてください>
  <財布、金物類、ことに尖ったものは、みんなここに置いてください
全裸になって読者サービスしてください>

  「むきーっ!」
  びりびりに紙を破り捨てる。
  読者サービスって何っ!

  フッ。

  奥へと続く扉が現れる。
  奥へと?
  まあ、多分、奥へと続く扉だろう。
  当然武装解除なんてしないし読者サービスするつもりもありませんっ!
  扉を開けて奥に進む。
  木製の廊下。
  進むとまた個室、そしてテーブルには紙切れ。
  無視して進む。
  廊下、個室、廊下、個室、廊下……が延々と続く。
  入る前から分かってるけどまともな家屋ではないだろう。ここまで長い奥行きがあるようには到底思えない。
  何らかの力が作用しているのは確かだ。
  廊下を抜けて再び個室に。
  「あっ」
  そこはやけに広い部屋だった。視界の先には大きな引き戸がある。鍵穴が二つ開いていた。
  テーブルがある。
  例の如く紙があった。
  手にとって内容を黙読する。

  <色々注文が多くてうるさかったでしょう? お気の毒でした。どうぞ中にお入りください>

  「……」
  黙読してからあたしは身構える。
  この魔力は何?
  漂っている強力な魔力を感じる。片目分とはいえ鷹の目を所持しているからか視線を超えてきてからか、それともとんでもない奴の雰囲気を感じ取っているのか。
  尋常じゃない力を感じる。
  何かいる。
  何か。
  身構えること数分……いや、数十分かもしれない。もしかしたら逆に数十秒程度かもしれない。
  異様な雰囲気を感じてあたしは動かない。
  その時視線を感じた。
  真正面から。
  どこ?
  あっ、鍵穴からだ。
  2つの鍵穴に眼が2つこちらを覗いている。目の色は双方違う。オッドアイじゃないのであれば2人いるということだ。……もしくは2匹、もしくは2体。
  扉からヒソヒソ声が聞こえてくる。

  「だめだよ、もう気がついたよ」
  「いらっしゃい、いらっしゃい。親方がもうナプキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客さまを待っていられます」

  「じょ、冗談っ!」
  あたしを食べる気らしい。
  一歩後ろに下がる。
  不意打ちに備える為だ。
  扉の向こうから陽気な声が向けられているけどいちいち聞くつもりはない。敵と断定しますっ!
  「あたしは戦士ギルドの者ですっ! 九大神の騎士団長でもありますっ!」

  「戦士ギルドだって」
  「九大神の騎士団長だって」

  扉の向こうの声がそこで止まった。
  ヒソヒソも何も聞こえない。
  ただ視線だけがあたしに釘付けだった。
  そして……。

  「おいしそうだねっ!」
  「おいしそうだねっ!」

  引き戸が引き開けられる。
  飛び掛ってきたのは2人のカジートだった。服は着ていない。小柄なのか子供なのか、どちらかは分からないけど体格は小さい。
  俊敏な動き。
  銀色に輝く短刀を手にあたしに飛び掛ってくる。

  バタン。

  自動的に引き戸が閉じる。
  だけど今はそんなことはどうでもいい。
  「やあっ!」
  魔剣ウンブラを一閃。
  カジート達は警戒して間合いを取った。
  本気で斬るつもりはない……訂正、正確には本気で殺すつもりはない。魔剣ウンブラには魂を貪り食らう。よっぽどのことがない限りはこの剣で命は奪いたくない。
  転生の機会を永遠に奪うからだ。
  ……。
  ……甘いよね、確かに甘い。
  こんなこと言ったらフィッツガルドさんに怒られそうだぁ。
  それにしても。
  「まずいかも」
  今の一閃、牽制程度。
  そこはいい。
  ただし想定していた切込みよりも甘い。隻眼だからどうも距離感が掴み辛い。
  ただここで負けたら食べられちゃう。
  過酷なリハビリだ(汗)
  カジート達は口々に言う。
  「一口だけ耳を齧らせて」
  「一口だけ鼻を齧らせて」
  「じょ、冗談っ!」
  手を相手に向ける。
  「煉獄っ!」
  フィッツガルドさんの煉獄の五分の一程度のパワー。
  それでも牽制になる。

  ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ!

  カジート達は回避。
  1人はテーブルを倒して盾にした。
  1人は大きく跳躍してあたしに襲い掛かってきた。
  「やっ!」
  隠し持っていた護身用のナイフを投げる。
  ……。
  ……は、外れたーっ!
  駄目だ。
  完全に目測が危うい。
  ニヤリと笑ってカジートはあたしに肉薄する。もう1人はまだテーブルのところ。
  「やあっ!」
  「ぎゃひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
  仕方なかった。
  言い訳だけど仕方なかった。
  魔剣ウンブラで斬り捨てる。
  「よくもぉーっ!」
  もう1人が叫ぶ。
  テーブルを押しながらこちらに突っ込んでくる。
  「煉獄っ!」

  ドカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンっ!

  テーブルに直撃。
  その瞬間、カジートはテーブルを大きく飛び越えてくる。
  あたし目掛けて。
  あたしは今度は慌てない。
  手を向ける。
  「煉獄っ!」
  「ふぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
  直撃。
  空中に飛んだら避けようがない。
  威力はフィッツガルドさんの比じゃないけどまともに受けたらまず再起不能になる。少なくとも魔法耐性が低ければ。
  どさっと床に撃墜されたカジートの体は焦げていた。
  体は動いていない。
  呼吸はしていないようだ。

  すぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ。

  「えっ?」
  カジートの肉体は黒い霧となって鍵穴に吸い込まれていった。もう1人の体もだ。
  カジートじゃない?
  扉の向こうに強大な魔力が膨れ上がった。
  真っ赤に爛々と輝く目が鍵穴からあたしを見ている。気配は1つ。

  タッ。

  迷いはなかった。
  あたしは床を蹴って一直線に扉に迫り魔剣ウンブラを横に一閃っ!
  扉を切り裂く。
  その向うにいた者も。

  「
ぐぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!
 

  あまりの声にあたしは耳を覆う。
  切り裂かれた扉の向こうの部屋には人骨が積み上げられている。
  そして黒い霧が踊り狂う。
  そして……。





  気が付けば森の中に立っていた。
  屋内じゃない。
  そもそも建物がなくなっている。
  魔剣ウンブラを手にしたままあたしは立ち尽くしていた。
  幻覚?

  「あれはこの森の化身、もしくは異界の悪魔、もしくは……いや、どちらにしても推測ですね。推測は楽しいが推測の域は超えない。つまり意味はない。いずれ
  にせよあなたに斬られた事でこの世界にはいれなくなったようですね。逃げたのか滅したのか。さてさてどちらでしょうね」

  「誰ですか?」
  静かに誰何する。
  相手の声に敵意は感じなかった。
  気配はする。
  どこにいるのだろう?
  どこに……。
  「へ、変態っ!」
  思わずあたしは叫んだ。
  全裸の男性が足首を縛られて木に逆さ釣りにされている。
  見ちゃったっ!
  まともに見てしまったーっ!
  変態キターっ!
  「まあまあ落ち着いて」
  「落ち着けませんっ!」
  「これはプレイではありません」
  プレイって何っ!
  プレイって何っ!
  プレイって何っ!
  ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ目が汚れたーっ!
  あたしの混乱をよそに男は淡々と言う。
  「その剣、魔剣ウンブラですね。じゃあ……アイリス・グラスフィルさんですね? フィッツガルド・エメラルダさんの仲間の?」
  「えっ?」
  「よかった。あなたを探していたんですよ。その最中にネコどもに食材として拉致られてこんな格好なわけです」
  「あなたは……」
  「申し遅れました。私はベルファレス。我が君……いえ、フィッツガルド・エメラルダさんの覇道に惹かれたお茶目な軍師ですよ」




  聡明の軍師、アリスと接触。