天使で悪魔
帝都襲撃
誰の意思なのか?
誰の意思なのか?
誰の意思なのか?
私の存在は、私の今まで生きてきた意味は一体誰の意思なのか?
アイリーンは死ななければならなかった意思は、誰の意思だ?
この世界は九大神の加護の元に成り立っている。
つまりはそういう事か?
神は我々の生死を司り、運命を弄び、世界を回しているのか?
ユリエル・セプティム。
治世の名君として慕われる偉大なる皇帝陛下。
しかしその半生は侵略戦争。
セプティム一族は九大神の主神であるアカトシュの恩恵を色濃く受けた一族。奴を殺すという事は、神に対する反旗。
……それでも私は奴を殺す。
……それでも。
「何の用だ?」
「……相変わらず朴念仁な発言だね、マラカティ」
作戦実行前夜。
タイバーセプティムホテルに借りている、エルズの部屋に私は1人招かれた。既に夕食も済み、計画の最終的に打ち合わせも全て
済んだ。後は明日を挑むばかり。
これ以上話はいらない。
皇帝を暗殺する以上、明日の生命は誰にも保証できない。
各々、この時間を大切にしている。
……。
結局、アイスマンをはじめとする至門院から送られてきたエージェントの真意は分かりかねるが。
まあいいさ。
ここまで来た以上は乗るしかない。
今更回避は出来ない。
坂道を転落し行き止まりに向っているだけにしても。
走り出した以上は、止まれない。
止まれない。
「エルズ。用件がないのであれば……」
「その指輪、私の指に嵌める気はない?」
「指輪?」
「指輪」
深紅の指輪。
それは私が絶対に手放したくない指輪。……何故かは分からないが、私は誰にも渡してはいけない気がする。
それはエルズも知っている。
ヴァレンウッドで会った時から、皆知っている。
なのに何故今更?
「……朴念仁」
「はっ?」
「結局アイリーンには勝てないわけね」
「……?」
「まあ、いいわ。そんな気はしてたから」
「エルズ?」
「万が一の撤退の際には心配ない。ガストン船長に話は通してあるから。波止場地区で彼は船と一緒に待機してる」
「それは、助かる」
「……今の私には神の意思なんて分からないけど」
そこで一度彼女は言葉を詰まらせた。
エルズは信仰心の篤い女性だ。ヴァレンウッド時代も、グレイランドに住んでた時も彼女は神の教えを説いていた。
それが今揺らいでいる。
私にも、分かる気がする。
「マラカティ」
「何だ?」
「例え何があってもあんたは護るよ。それが神の教えに反する事であったとしても。……私はあんたを護る」
「ありがとう」
……夜は更けていく。
翌日。帝都は大混乱に陥った。
帝都内での犯罪行為が一気に増加したのだ。わずか半日で、半年分の犯罪行為の件数になった。帝都兵は治安維持に乗り出
すものの件数が多過ぎて対処しきれていない。
港湾貿易連盟は約束を護ったのだ。
帝都兵のほぼ治安維持に大半が出払っている。
これで王宮の護りは消えた……わけではない。王宮に至るまでの道の兵士が消えただけだ。
というのも王宮には専属の《王宮近衛兵》がいるし、皇帝が座している以上は帝国最強の《ブレイズ》も控えているはず。
しかし賞賛はあった。
王宮に入り込めさえすればいいのだ。
その為、私達は早朝から墓地の区画に身を潜めていた。すぐ隣は王宮。王宮内の一部は一般市民にも開放されている。
入り込めさえすればいい。
そして今、帝都兵は治安維持に駆り出されている。
議会場と、そこと吹き抜けになっている二階を制圧している間に帝都兵の干渉さえ阻めればそれでいい。
さらに。
ある意味で地下迷宮とも呼べる下水道に多数の反乱組織が潜伏している事を、アイスマンは帝国にリークした。
その組織は全て至門院の子飼い。
子飼いを全て帝国に売る事により、帝都の戦力をそちらに分散させた。
アイスマンのこの行動は優れた手腕と呼ぶべきか。
それとも……。
まあ、いい。
いずれにしても下水道に潜む面々の為に帝都兵は投入された。
たかが下水道と言うなかれ。
そこは地下迷宮と呼ぶにも相応しい場所なのだ。帝都兵の部隊はそこに引きずり込まれ、当分は出て来ない。まともにぶつかれば
戦力で帝国の部隊が圧倒出来るにしても、場所は迷宮だ。必ずしも帝国優勢ではない。
戦い方次第では、局地的な敗北もありえるのだ。
下水道での戦いは長引く。
港湾貿易連盟を使った陽動作戦、下水道に潜む複数の反政府組織を使った計画。アイスマンの立案した計画は帝都兵を二方面に
集中させ、帝都に分散していた戦力は霧散した。
帝都の戦力は実質、丸裸だった。
そして……。
「ぎゃあっ!」
「ぐっ!」
私のアカヴィリ刀の鋭い一閃が二階を守備していた近衛兵の生命を終わらせる。
その時、クレメンテは扉を閉じた。
これで王宮の二階は制圧終了。
今のところ音もなく……少なくとも、他の兵士が来る様な騒ぎは起こしていない。
二階を制圧したのは、一階のある場所と吹き抜けになっているからだ。
そう。
ここからなら、議会場を狙える。
一階にある扉から直接乗り込んでもよかったのだが危険過ぎる。出来れば制圧するまでは大きな騒ぎにはしたくなかった。
行動は時に大胆に、時に臆病に。
それが基本だ。
「……な、なんか拍子抜けだね」
エルズば呆然と呟く。
彼女は得物の鋼鉄製クレイモアを抜いてはいるものの、まだ振るってはいない。
血に濡れている刃物は私のアカヴィリ刀だけだ。
計画は順調だ。
……いや。
順調過ぎる。拍子抜け過ぎる。
帝都兵を二方面に分散させたのは王宮の防備を消すのが目的ではなく、より純粋に余計な介入を防ぐ為のものだった。
ここまで手薄なのはおかしい。
事前に察知された?
だが……。
「樽はあるぜ、大将」
「ああ」
そうなのだ。
カイリアスがアイスマンの襲撃計画に付け足した《魔法の粉》を満載した樽がここにある。
事前に襲撃を察知しているのであればこれを撤去するはずだ。
「クレメンテ」
「……? なんだい、兄貴?」
「樽の中身はあるか?」
「待ってくれ。……よっと……うっわ、この臭いは好きになれないぜー」
鼻を覆ってクレメンテは言う。
中身の魔法の粉はちゃんとある。事前に察知しているわけではないのか?
それとも……。
「……修正の計画を知らないのか」
私は聞えないように呟く。
修正の計画を盛り込んだカイリアスの本音は、至門院との繋ぎを担当していた貿易商フェイリアンを信用していなかったからだ。
利で転ぶ人間だと私も見ていた。
もしも帝国に情報を売ったのであれば、樽がそのまま放置なのも分かる。
この樽はカイリアスの知り合いのロルクミールという男が(おそらくはカモナ・トング)が運び込んだもの。
王宮のあちこちに運び込まれている。
偽造の運搬状を使って運び込んだらしい。まあ、そこはいい。
いずれにしてもフェイリアンの疑惑を私は避けた。確証はどこにもないし、アイスマンにしてみれば準同胞。
批判はしたくなかった。
「アイスマン、下を見てくれ。議会の進行具合はどうだ?」
「はい」
気に食わない状況ではあるが、作戦は続行する。
要は皇帝を暗殺し、元老院議員を拉致れば勝ちだ。アイスマンのその後の皮算用がどこまでうまく行くかは知らないが、ともかくは
議会の制圧が目的。雑魚の兵士が少ないならそれはそれでいい。
例え罠だろうが計画遂行すれば勝ちだ。
「これは……っ!」
アイスマンが絶句する。
何なんだ?
私も吹き抜けの下を見る。そして知る。
……やはり露見していたか。
議会場の円卓には、皇帝も、総書記官も元老院議員も座していない。いるのは銀の鎧に身を包んだ王宮近衛兵達だ。
下から弓矢を構える王宮近衛兵が10名。
ドンドンドンっ!
封鎖した扉を突破しようと兵士達が騒いでいる。集まってくる。このままでは突破されるのは時間の問題だろう。
そもそもの計画は露見していない事が前提だった。
向こうの対応が早い以上、扉は突破される。
破られるのは時間の問題だ。
「ど、どうするんだ、兄貴っ!」
戦槌を構えながらクレメンテは言う。震えている。無理もないか。帝都兵が殺到する寸前なのだ。
今は至門院の連中が扉を必至で押さえているものの破られるのにはそう時間は掛からない。
ドンドンドンっ!
「て、手を貸してくれっ!」
至門院の1人が叫ぶ。
慌ててエルズとカイリアスが扉の方に向った。
敵さんは殺到しつつある。
扉の向こうにどれだけの兵士が殺到しているかは知らないが、時間が経てば経つほど不利だろう。
有利になるはずがない。
……。
……と、帝都兵も思ってる。
アイスマンがこの間言ってた言葉がそのまま適用されるな。
兵法とは敵の常識の裏を掻く事だ。
「アイスマン、下を見てくれ」
「了解しました」
絶句し、動揺したのは最初だけだ。アイスマンの顔には微塵の懸念もない。既に頭の中で次の策を巡らせているのだろう。
その策はカイリアスのこの間の何気ない一言から始まった。
内通者は誰か?
おそらくはフェイリアンだろう。
あの貿易商は、帝国に情報を売って見返りを得たに違いない。
だからこそ露見していた。
だからこそ、ここに《樽》がある。フェイリアンのみが知らなかった、保険。王宮のあちこちに運び込まれている。
ここにもその樽の1つが、ここにある。
中には魔法の粉。
「マラカティさん。下にいた王宮近衛兵の姿はありません。おそらく扉を開けるのに加わったのでしょう」
「まさに好都合」
「確かに」
ロープを伝って議会上に降りる。
そしてそのまま敵の囲みを突破し撤退。
万が一しくじった場合は逃げるのも辞さないのが、当初の決定。
しかしここから逃げれるか?
それは問題ない。うちには優秀な軍師が2人もいるのだから。カイリアスとアイスマンの策謀があればこそ、暗殺も撤退も用意出来た。
「クレメンテ」
「お、おう」
「樽を扉の方に運べ」
「はっ?」
「運ぶんだ」
「よ、よっしゃ」
ゴロゴロ。
樽を扉の方に移動させるカジートのクレメンテ。言われるがままに、私の指示した場所に設置する。
よし。
後は議会上にロープで降りるだけだ。
「アイスマン、あれは大丈夫なんだろうな?」
樽を指差す。
「ええ。魔法で遠隔操作出来ます」
「実に結構。……他の樽を起動してくれ。もちろん、我々を巻き込まないように」
「承知しました」
瞳を閉じ、ブツブツと呟き出すアイスマン。
私には私のすべき事がある。この吹き抜けから一階にある議会場に飛び降りる為にあらかじめ用意していたロープを柱に縛り付け、
引っ張ってみる。びくともしない。よし、これで一階まで安全にロープで滑り降りれる。
もちろんロープは何本もあるわけではない。
四本。
ここにいるのは私、アイスマン、カイリアス、クレメンテ、エルズ、至門院20名。
一気に滑り降りる必要がある。
時間との勝負だ。
皇帝暗殺が叶わない以上、ここに留まる理由はない。
出直しだ。
そして……。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!
『……っ!』
一同、耳を突き抜けるほどの爆音に耳を塞ぐ。
予想していたとはいえ……これほどの音とは……。
「くっ」
一瞬、聴力が奪われる。
きーんきーん。耳の奥で鳴っている。
この爆音で腰を抜かさんばかりに驚いているのは私達だけではない。。扉をぶち破ろうとしていた兵士達も動揺している。
しかし決定的な違いがある。
兵士はこの音の正体を知らない、私達は知っている。
その差は大きい。
「行くぞっ!」
私は叫ぶ。
その声に我に返り、一斉にロープを伝って階下に降りる。
ずざざざざざっ。
一番乗りで議会場に降り立ったのは私。アカヴィリ刀を抜いて周囲を見る。確かに誰もいない。……今はな。
バタン。
その時、議会場に王宮近衛兵が再び舞い戻ってくる。
数は5名。
実戦的能力は普通の帝都兵とどの程度の差があるのかは分からないものの、王宮近衛兵は仕官クラス用の白銀の鎧を身に纏っ
ている。少なくとも防御力に関しては帝都兵よりも高い。
つまり無駄にタフというわけだ。
もっとも……。
「鬼火っ!」
ドカァァァァァァァァァァァァァンっ!
ロープで滑りながら降下してくるカイリアスの炎の魔法の前に瞬殺。
物理的な防御力では、魔法攻撃は防げない。
焼死体五つが転がるのみ。
さらに。
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!
王宮のあちこちで爆音が響く。
樽に満載の魔法の粉の威力だ。涼しい顔して二階から降下して来たアイスマンが発動させたのだ。
私達が一階の議会上に移動したのを察したのか、兵士や近衛兵が部屋に突入してくるもののカイリアスの魔法の前に薙ぎ倒される。
爆音が連中の指揮系統を麻痺させていた。
連携がまるでなっていない。
だからこそ。
だからこそ、私達は容易く蹴散らしている。
しかしいつまでも続かない。
「マラカティっ!」
しんがりを務めて最後まで二階に居残っていたエルズも降下してくる。
このまま王宮の外に撤退だっ!
その時……。
「矢を射かけよっ!」
上から誰かが叫ぶ。隊長クラスが扉を蹴破り、叫んでいるのだろう。上から狙い撃ちにされたら一網打尽なのは眼に見えている。
しかし二階にも樽が1つある。
「アイスマン」
「了解です」
ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンっ!
爆音は頭上でした。
二階に設置していた樽が大爆発を起こしたのだ。
爆炎がここにも降り注ぐ。
瓦礫、武具の欠片、帝都兵の断片。その他諸々も降り注ぐ。これで二階にいた連中は全滅したのだろう。
作戦は成功した。
カイリアスの提唱した第二プランは必要だったわけだ。
「ナイスだ、カイリアス」
「へへへ」
魔法の粉。
その正体は火薬。
古代アイレイド時代、魔法を扱えない当時の奴隷達の最大の武器。現在は魔法が普及している為、その存在そのものが忘れられ
ている。火気や衝撃で大爆発を起こす性質を持つものの、湿気などに弱く使い勝手が悪い。
そういう意味合いで今では廃れている。
王宮に密かに持ち込んだ樽には全て火薬が満載。
その樽にアイスマンが細工し、遠隔操作で発火の魔法が発動するようにしていた。アイスマンが口元で唱えていたのは発火の呪文
であり、現在王宮のあちこちで火薬は爆発している。
しかし。
しかし、決定打にはならない。
持ち込んだとはいえまさか皇帝の私室とか兵士の詰め所とかには運べていない。
今は爆音と爆炎、帝都兵にとっては理解出来ない攻撃が駆使されている……という理由で敵は混乱しているに過ぎない。
いずれ立ち直る。
時間の問題なのだ。ならば早々に脱出するに限る。
「撤退だっ!」
私は叫ぶ。
至門院の三名が議会場から出るべき扉の方に急ぐ。
「待てっ!」
それは本能的な言葉だった。
どうして『待てっ!』なのかは私にも分からなかった。ただ本能的に、殺気を感じていたからだ。扉の向こうに。
それは帝都兵や近衛兵が出せる代物ではない。
そして……。
「ぎゃっ!」
「ぐふぅっ!」
「……っ!」
三つ、悲鳴が響く。それと同時に三つの命が消えた。
血刀を下げて部屋に入ってくる、異風な武具に身を包んだ三人組。手にしている武器はアカヴィリ刀。
「……ブレイズですね。厄介な連中が出てきました」
「……だな」
軍師2人は冷静にそう判断するものの、頬を流れる汗を私は見逃さない。この三人組の戦闘能力は雑魚の兵士を遥かに超える。
ズキっ。
何故か私の頭は痛む。
……こいつらを知ってる?
「行け」
私は小さく指示。
ブレイズは皇帝直属の親衛隊であり諜報機関。帝国最強の組織。王宮近衛兵はあくまで王宮を守護する兵士に過ぎないが、
ブレイズは一騎当千の精鋭集団。この程度の数の差では、圧倒は出来ない。
死者が増えるだけだ。
「行け。私が戦う」
「兄貴っ!」
「行けっ!」
「……了解しましたマラカティさん。撤退します」
すらり。
私はアカヴィリ刀を抜く。
ブレイズ三人組の中央に立つ男はニヤリと笑った。そして扉を譲る。つまり、他の面々を逃がすべく動く。
タタタタタタタタッ。
事実、アイスマン達が走り去っていくのをブレイズ達は止めなかった。
あくまで狙いは私か?
グレイランド襲撃も私が目的だった。
私は何者だ?
議会場は私とブレイズ三人組だけになった。帝都兵も近衛兵もここには近付かない。事前にそういう取り決めになっていたのかも
しれない。ともかく兵士達はアイスマン達を追っているらしく、周囲に気配すらない。
「随分と引っかき回してくれたな、レヴァンタン」
「レヴァ……」
「ああ。今はマラカティという偽名だったな。……しかし甘いな。このキルレインから逃げられるとでも思ったか」
「キル……」
「とぼけるなっ!」
「とぼけてはいないが……」
よく分からないが私はレヴァンタンという名前らしい。
そしてキルレインは私が偽名を使い逃げ回っていると思い込んでいる。記憶がないとは思ってないようだ。
まあ、記憶があろうがなかろうが始末の対象に変更はないのだろう。
「どれだけとぼけようと構わんさレヴァンタン。お前をここで殺す」
「……何故だ?」
「そうだな。いきなり裏切られたとお前は思っているだろうな」
「……」
いきなり裏切られた?
また話が変わってくるな。つまり、私はブレイズか。なのに同僚(おそらくは)であるキルレイン達に襲われた。……そして記憶を失った?
ありえる流れだ。
だが、何故だ?
キルレインは帝国を代表するような形で私を襲っている。少なくともグレイランドで帝国の部隊を使った。
私の死はブレイズの総意なのか?
それともキルレインの謀略で、私は裏切り者に仕立て上げられたのか?
「お前は死ぬ。ここで死ぬんだよレヴァンタン」
「期待には添えないな」
「何とでも言え。お前に剣を教えたのは俺だ。一人前にしたのも俺。……正直惜しいよ、お前は使える奴だった。しかしお前がチルドレン
だと判明した以上、抹殺はブレイズの掟だ。これは皇帝陛下の勅命でもある」
「皇帝……」
「お前が生きていては帝国の治世は狂う。残念だ、チルドレンとはいえ抹殺候補でなければ殺さずに済んだものを」
「待て。私は誰だ?」
「答える義務はないな。冥土の土産に教えてやる気もない。デュオス同様に死ねっ!」