天使で悪魔





ギルドマスターの息子





  戦士ギルド。
  自警団的な側面を持つ組織。
  帝国元老院からも特権を与えられ、あらゆる事件の独自解決権を有している。

  ブラックウッド団。
  元々はアルゴニアン達の故郷ブラックマーシュ地方にあるアルゴニアン王国から派遣された傭兵団。
  それがいつからかレヤウィンに基盤を築き、亜人版戦士ギルドを創設した。
  レヤウィンでの勢力を盤石な物にしたブラックウッド団は戦士ギルドの地盤を脅かしつつ、確実に勢力を伸ばしている。
  既にレヤウィン支部は閉鎖。
  各地も次第に旗色が塗り替えられかねない。
  そして……。





  「ありがとうございましたー」
  深々とあたしは買い物を終えたお客さんに頭を下げた。
  客商売は愛想がウリです。
  ……。
  ……はぁ。
  今回の依頼はノーザン・グッズでの手伝い。
  そう。
  つまりはあたしの大親友ダル・マに依頼されて店番を頼まれただけ。
  まあ、依頼だからしっかりやるけどね。
  「ご苦労様。戦士ギルドのエージェントさん」
  「……」
  「あらあら怖い顔」
  「……」
  「戦士ギルドは笑顔でお仕事引き受けるって聞いたけどなぁ。……報告しちゃおうかなぁ」
  「ご依頼ありがとうございまぁす♪」
  「うっわ媚びてる。……プライドないなぁ」
  「殺すわよっ!」
  ムカツクっ!
  ムカツクよーっ!
  コロールのアイドルと称されるダルだけど、親友のあたしにしてみれば色々と実態を知ってる。とっても良い子なんだけど、さすがに
  親友にまでは愛想振りまかないもんなぁ。
  まあ、別にいいけど。
  親友なんだら、気を使わない間柄なのは当然の事だ。
  さて。
  「ダル」
  「何?」
  「最近、その、ヴィラヌスってどんな感じ?」
  ヴィラヌス・ドントン。
  戦士ギルドマスターであるヴィレナ・ドントンの次男で、あたしとダルの幼友達。昔はよく3人で遊んだけど、最近は疎遠。
  まあ、お互いにいい歳だから仕方ないかな。
  ヴィラヌスも女の子と遊ぶ歳じゃないだろうし仕方ない。
  「なになに気になるの? アリスもしかして異性として?」
  「ち、違うわよ」
  「あっははははっ。冗談よ」
  「はぁ」
  幼馴染として心配なだけだ。
  あとは……そう、戦士ギルドのメンバーとして心配。
  ヴィラヌスのお兄さんも戦士ギルドに属していた。あまり会った事はない。記憶にも乏しい。既にエリートだったし。遠い存在。
  そのお兄さんが任務で戦死した。
  それ以来ヴィレナおば様はヴィラヌスを前線から遠ざけた。
  だから腐っている。
  ……心配。
  「じゃあ、あたし帰るね。今度はマシな依頼にしてよ、ダル」
  「ハックダートへの配達とか?」
  「……それはマジで勘弁して」


  ダルからの依頼を完了。
  あたしはその後、ギルド会館で任務の調整をしている叔父さんに事の顛末を報告。余った時間は剣の修行に費やした。
  最近強くなった気がしてるけど、大体はフィッツガルドさんにもらった魔力剣のお陰だ。
  腕が剣の威力に伴っていない。
  もっと強くならなきゃ。
  せっかく凄い魔力剣を貰って、魔法まで教えて貰ったのだから期待に応えなきゃ。
  実力が伴ってこその実力だ。
  剣と魔法のおんぶで抱っこの状態では強いとは言えない。
  頑張らなきゃ。
  ……。
  そんなこんなで、2時間ほど自主練。
  剣の修行に、走りこみ、反射神経の向上の為に色々と鍛錬した。
  現在は家に帰り夕飯。
  食事中。
  「どうだ。今日のスープは?」
  「おいしい」
  「そうか」
  叔父さんは今日のスープの出来が良いので、機嫌が良い。
  家事はあたしがやってるけど、食事は叔父さんもする。意外に繊細な神経らしく、食事も丁寧で、丹精。おいしい。
  ……。
  元々、あたしはモロウウィンドに住んでいた。
  両親に反発を抱き、12の時に故郷を飛び出してコロールの叔父さんの家に転がり込んだ。
  叔父さんはあたしを拒まなかった。
  それどころか両親を説得してくれ、あたしの面倒を見てくれている。
  とっても感謝している。
  「お前レヤウィンに出向する気はあるか?」
  「レヤウィン?」
  深緑旅団で荒らされた街だ。
  まだ復興出来ていない。
  「戦士ギルドのメンバーであるシンゴールが自警団を立ち上げた。表向きは街の復興が目的。しかしそれは建前であり本当の目的
  はブラックウッド団の監視だ。どうだ、お前も合流しないか?」
  「はっ?」
  あたしは元白馬騎士団だ。
  レヤウィン復興の名目で解雇された。一応、退職金代わりに《流浪の騎士》という称号はもらったけど、ある意味で厄介払いだ。
  戦士ギルドの人間だという素性はばれてはないだろうけど、白馬騎士団の人間としては顔が売れてる。
  今更レヤウィンの復興に舞い戻る。
  ……ないなぁ。
  「あたしきっと顔が売れてるよ?」
  「そうか。そうだったな。腐っても白馬騎士様だったな。……ちっ。使えん奴だ。そろそろ捨てるか」
  「……」
  こんな言動ですが人情味溢れる素晴らしい叔父さんです。
  はぁ。
  「アリス」
  「何?」

  「お前に内密で頼みたい事がある」
  「内密?」
  「そうだ」
  あたしはスプーンを置いた。
  内密か。
  ……何なんだろ……?
  「緊張して聞け」
  「うん」
  「今回の任務はヴィラヌス・ドントンと一緒に進めてくれ。……そうだ、ギルドマスターの息子だ。説明するまでもないがな」
  「えっ? で、でも」
  暗黙の了解のはずだ。
  ヴィラヌスは一線から外す。
  それがギルドマスターであるヴィレナおば様の方針。もちろん口にはしないものの、メンバー達もそれは知っている。
  ヴィラヌスに仕事を回す?
  ……。
  おば様が承知するわけない。
  内密と叔父さんは言った。つまりは……。
  「叔父さん。それは……」
  「お前はまず黙って聞け。さもなきゃ今夜から路上生活に追い込むぞ。がっはっはっはっはっ!」
  「……」
  感謝してるけど、結構横暴な人。
  「アリス。お前はそこそこ使えるようになって来た。経験の面では、戦士ギルドでも敵う相手は限られている。レヤウィンでの深緑
  旅団戦争に関わった事や任務の達成率からも分かる。お前は強くなった」
  「……」
  褒められてる。
  嬉しい。
  思えば最近はかなり難しい任務もこなしてきてる。
  ……。
  まあ、フィッツガルドさんの助力の賜物だけど。
  それでも、死線は超えてる。
  「その経験を生かしてヴィラヌスを導いてやって欲しい。あいつの自信をつけさせる為にもな」
  「でも叔父さん、いいの?」
  「このままではあいつは立ち枯れだ。いつまで経っても一人前になれん。そういう意味ではヴィレナのやり方は間違っている」
  「そう、かな。やっぱり」
  間違ってるかは分からない。
  それでもヴィラヌスが可哀想なのは確かだ。それはあたしも思う。
  戦士ギルドを辞めさせるのではない。
  ただ、任務に出さないだけ。
  ……。
  飼い殺しだと思う。
  「ヴィレナは息子を前線から遠ざけている。……ヴィテラスの事を考えれば無理もないが」
  「そうだよね」
  お兄さんについてはあまり記憶がない。
  凄すぎる人。それだけだ。
  ……。
  ああ。
  近寄りがたかった雰囲気はあったかな。
  既に英雄だったし。
  「ヴィテラスは良い奴だった。そして最高の仲間達。……あの任務で皆死んでしまった。もちろんお前はこのヴィテラス最後の任務
  を知らない。だから警告しておく。ヴィレナにはタブーだ。いずれは俺が話す。それまでは聞くな。いいな」
  「はい」
  「さて。話を戻そう」
  少し、あたしは身を乗り出す。
  任務かぁ。
  ヴィラヌス喜ぶだろうなぁ。
  それに叔父さんがあたしの能力を評価してくれているのが嬉しい。
  そうでなければあたしに頼まないだろう。
  「ヴィラヌスと一緒にノンウィル洞穴に行ってくれ。そこで消息を絶ったギャルタス・ブレヴィアを探すんだ」
  「ノンウィル洞穴?」
  確かコロールの北にある洞穴だ。
  すぐ近くだ。
  野生の動物は住んでるみたいだけど、モンスターはいない。何度か修行で行ったし。
  動物のランクも弱い部類のばっかだ。
  武器さえ持ってれば民間人でも対応できるはずだ。
  さて。
  「先に言っておくぞ。この件は俺しか知らない。いいな、俺しか知らない。それを忘れるな」
  「うん」
  ヴィレナおば様は知らないから言うな、というわけか。
  あたしは頷く。
  「そのギャルタスという人って誰なの?」
  「何かの石を探しにノンウィル洞穴に行ったらしい。詳しくは知らん。依頼人はその人物の祖母だ。そう問題ない任務だと俺は思って
  いる。ヴィラヌスにしてみれば良い足慣らしになるだろう。では、頼んだぞ」
  「い、今から?」
  「当然だ」
  「で、でも」
  「嫌なら路上生活者だぞ? がっはっはっはっはっ!」
  「……」


  コロールでも有数の大邸宅。
  ここがギルドマスターのヴィレナ・ドントンの自宅だった。おば様はまだギルド会館で仕事をしていると叔父さんが言ってた。
  戻る前に連れ出さなきゃ。
  ……。
  連れ出せば特に問題はない。
  よく気分転換に剣の鍛錬をしに街の外に出る事は多々あるからだ。
  今なら剣術の修行に出た、という理由が成り立つ。
  「何か用か?」
  ヴィラヌスは訪ねたあたしをあまり歓迎していないみたいだ。
  最近すれ違い。
  前は仲良かったんだけどなぁ。
  ともかく叔父さんの話をする事にした。概要を話し終えると、ヴィラヌスは瞳を輝かした。
  「任務?」
  「うん。都合が悪い?」
  「ま、まさかっ!」
  ヴィラヌスは舞い上がっている。
  最近はいつもトゲトゲしていて感じ悪かった。
  もちろん意味は分かる。
  同じ戦士ギルド有力者の子供(あたしの場合は叔父&姪の間柄だけど)なのにあたしはどんどん前線に出るのを楽しく思っていな
  かったらしい。つまり嫉妬していた。
  長男の死以来、ヴィレナおば様の命令でヴィラヌスは任務から遠ざけられていた。
  腐るのも分かる。
  「叔父さんが仕事を持って来たの」
  「オレインが? ……一応、母さんに話を通しておいた方が……」
  それは困る。
  「時間がないの」
  「……」
  「早く探さなきゃ。……生きてるうちに」
  「……そう、だな。母さんに言う必要はないか。よし、行こう」




  ノンウィル洞穴。
  コロールの北に位置する洞穴。
  コロールからそれほど遠くではない。歩いて一時間の距離だ。
  野生の動物はいるものの、モンスターはいない。あたし自身が足を何度も運んだ事があるし、それは断言できる。
  捜索すべき人物は何かの石を探しに行ったらしいけど、それは頷ける。
  この洞穴にモンスターがいないのは誰もが知っているからだ。
  初心者向けの洞穴。
  ……のはずでした(過去形)っ!
  「たぁっ!」
  飛び掛って襲ってくる緑色の化け物を一閃。
  剣に秘められた雷の力に焼き切れるモンスターの体。レヤウィンでの深緑旅団戦争でお馴染みのトロルだ。
  もちろん深緑旅団が率いたトロルじゃない。
  どこから流れてきたのだろう?
  大量のトロルが洞穴内に巣食っていた。
  ガァァァァァァァンっ!
  「くっ!」
  ヴィラヌスは鋼鉄の盾で、突然闇の中から猛威を振るった敵の一撃を受け止める。
  苦悶の声。
  まともに受けた事で腕が折れそうに痛むのだろう。
  「う、嘘っ!」
  ミノタウロスだ。手には鉄の戦槌。
  ただでさえ痛い武器なのに、ミノタウロスの腕力の相乗効果で即死系の武器だ。
  さらにミノタウロスの背後からはオーガ、トロルの群れ。
  「お、叔父さんの嘘吐き」
  「こ、こりゃなかなかに厳しいリハビリの任務だな」
  武器を構え、敵を見据えるあたし達。
  敵の数は総勢で20を超える。
  シロディールでも強力な部類に入るモンスター達のオンパレードだ。殲滅は容易ではない。
  ……ならば。
  「煉獄っ!」
  ドカァァァァン。
  フィッツガルドさん直伝の炎の魔法を放つ。
  ……威力は小規模だけど。
  完全に対個人用の魔法。フィッツガルドさんの煉獄みたく広範囲にはならない。
  それでも直撃を受けたトロルは燃え尽きた。
  元々炎に弱いし。
  損害を無視して波状攻撃してくるほどモンスター達の知能は低くはない。魔法に一瞬たじろぐ。
  「よし、退くぞっ!」
  「うんっ!」
  戦略的撤退っ!


  ガァァァァァァァァァァ。
  断末魔を上げて死体は崩れ落ちた。オーガの死体だ。
  パワフルなモンスターではあるものの、パワフルオンリーな感はある。……ああ。タフさも凄いかな。
  それでも。
  「……凄い剣だな」
  「えへへ」
  フィッツガルドさんのくれた魔力剣の切れ味さえあれば恐れるほどでもない。
  筋肉も脂肪も骨もあっさり切り裂ける。
  昔の武人に《人間無骨》と剣に刻んで戦場を駆け巡った、という故事がある。鋭利過ぎる剣の前に骨など簡単に斬れるのだ。
  ……。
  もちろん、ここで好い気になるとあたしはきっと破滅する。
  今の力はあくまで剣の力。
  実力ではない。
  実際問題、剣術の腕を比べるならあたしはフィッツガルドさんに遠く及ばない。
  戦士ギルドでも10指にも入らないだろう。
  精進精進。
  精進あるのみだー。
  さて。
  「もう、追って来ない?」
  「とりあえずはいないようだな。……とりあえずはな」
  「ふぅ」
  ホッと一息。
  戦力的撤退をし、あたし達は洞穴内を逃げ回った。
  数で圧されれば分が悪いと判断したからだ。
  力押しされたら、波状攻撃されたら全滅するのは明白だ。
  あたしもヴィラヌスもそれなりに腕が立つものの、ミノタウロス&オーガ&トロルの混成軍団を相手に勝てる見込みは乏しい。
  だから、戦略的撤退。
  撤退し、迎え撃ち、撤退し、迎え撃ち。
  それを繰り返す事で相手側の戦力を減らしていくのが狙いだ。
  それにしてもここはどの辺だろう?
  そんなに深い洞穴ではないから出られなくなる可能性はないだろうけど……。
  少し休憩。
  「ヴィラヌス。少し休もうよ」
  「ああ」
  腰を下ろす。
  モンスターの友好関係はよく分からない。どうして一緒になって攻撃してくるんだろ?
  多種族同士なんだから《あの人間は俺様の餌だー》《馬鹿言え。俺のだよー》とばかりに殺し合ってくれればいいのに。厄介。
  「ヴィラヌス。どうしてここにモンスターいるのかな?」
  「世情不安定だからじゃないのか」
  「……モンスターに関係ある?」
  「俺が知るか」
  「……あはははは」
  素っ気ない。
  トゲトゲさはないけど、荒々しさはある。まあ、男の子だしね。
  別にモンスターがどこにいようと問題はない。
  どっかから流れて来て、ここに住み着いただけなんだろうけど……厄介だなぁ……。
  捜索している人はきっともう死んでる。
  それは断言できる。
  この洞穴に現在巣食っている連中は、素人冒険者が相手できるモンスターではないからだ。
  民間人にはなおさら無理。
  少なくとも中級以上の冒険者でなければきつい。
  あたしには魔力剣があるから、不足分の実力は何とか補えてるけど。
  「兄貴もこんな感じだったのかな」
  「えっ?」
  「追い詰められた時さ」
  「……」

  「……兄貴は勇敢に戦って死んだ。皆の予想を裏切る事なく、戦士らしく死んだ。……俺も……」
  「……」
  「母にとって兄貴は自慢の息子だった。今でもな」
  寂しそうに言葉を終えた。
  ヴィラヌスにとっての葛藤は、任務を与えられない事ではない。
  もちろんそれもある。
  それもあるけど、それ以上に母親から戦士として見られない事に劣等感を抱いているのだ。
  偉大な兄。
  必死で追い付こうとし、必死で母親の心の支えになろうとしているのに見向きもされない。
  それが彼の苛立ちであり悲しみ。
  「……ヴィラヌス」
  「行くぞアリス。戦士ギルドの力を見せてやろうぜ」
  洞穴の奥から咆哮。
  洞穴の奥から足音。
  モンスター軍団がこちらを発見し、迫ってくるのだ。
  「行こう、ヴィラヌス」
  「レヤウィンで白馬騎士になったからって俺に勝てるか? 撃墜数は俺の方がきっと上になるぜ?」
  「言ったなぁ? 後悔しても遅いよ」
  「ははは。……行くぞっ!」
  そして……。





  「戻って来たか。それで? ギャルタス・ブレヴィアの消息は分かったか?」
  任務終了。
  あたし達はモンスター軍団を切り伏せて突破。
  ボス的に立場にあったミノタウロスはヴィラヌスとの一騎打ちの末に、血煙を上げて盛大に倒れた。脳天を叩き割られて。
  ヴィラヌス強いっ!
  ……。
  ただ、撃墜数はあたしの方が2体上。
  ふふーん♪
  「叔父さん。報告します」
  「ああ」
  コロール。
  戦士ギルドの会館ではなく、自宅だ。叔父であるモドリン・オレインは悠然と椅子に座って報告を待っている。
  自宅での報告の意味。
  要は今回の任務は内密だからだ。
  おば様がいるギルド会館で報告すべき内容ではない。
  それにあたしの隣には今回の任務に参加したヴィラヌスもいる。ギルド会館では報告できないのは当然だ。
  さて。
  「捜索していた人物は死亡していました」
  「死んでるって? 一体誰にやられたんだ?」
  「オーガとトロルとミノタウロスがいた。だから、きっとそいつらに」
  「……どっかからノンウィル洞穴に流れてきたのか」
  「多分」
  「そうか。それならば仕方ないな。これは報酬だ、受け取れ」
  金貨の袋をあたしとヴィラヌスに渡してくれる。
  かなりの量だ。
  口止め料もあるのだろう。……気を遣ってくれなくてもいいのになぁ。
  「叔父さん、少し多い……」
  「そいつは旅費だ」
  「旅費?」
  「さて戦士ギルドの期待の新人達。次の任務を受ける心構えはあるかな?」