天使で悪魔





生き別れの兄弟




  ハックダート。
  そこは悪魔崇拝の村。
  あたしは、フィッツガルド・エメラルダさんと協力して親友のダル・マを救出した。
  その時気付いた。
  大切な誰かを護る力を、何よりも欲している事に。
  その力を得る為には何をすればいいか。
  それを見極めなくちゃ。

  何もなくさない為に。
  そして自分自身の夢を叶える為に、英雄になる為に。
  ……強くならなきゃ……。
  ……強く……。







  コロールには宿屋兼酒場が二軒ある。
  観光客用の綺麗な宿がカジートの淑女が経営する《オーク・アンド・クロージャー亭》。
  コロールの住人がよく出入りするのが《グレイ・メア亭》。
  後述の場所は外観からして不衛生そうではあるものの、実は隠れた名所(男の人にしてみれば)。
  女将のエンフリッドさんはコロール美人と呼ばれ、酒飲みのアイドルだからだ。
  ここには今まで来た事がない。
  ビールは好きだけど、別にお店でわざわざ飲みたいほどのピール好きではないし。
  大抵は食料品買うついでに購入し、家で飲む程度だ。
  「あのー、すいません」
  私は一番奥のテーブルで飲んだくれている、ブレトンの若い男性に声をかけた。
  今回の依頼人。
  名前はレイナルド・ジェメインさん。
  「おれぁ何度も言ったぞ。シェイディンハルには行った事がねぇって……ああー、違う奴かぁ……」
  「……」
  完全に酔っ払い。
  酔眼だし。
  「あの、あたしは戦士ギルドの……」
  「おお、おお、知ってるぞ」
  「そうですよね。依頼したの、あなたですもんね。それで依頼の内容は……」
  「俺はシェイディンハルには行ってないっ!」
  「はい?」
  「なのにどいつもこいつも、シェイディンハルで会った時どうして無視するだ、なんて言いやがる。俺は知らんのだー」
  「はあ?」
  つまり……えっと……どういう事?
  依頼の内容は……えっ?
  「俺は同じ事を繰り返して言うのがもううんざりだ。うんのざりの、ざりのうんだ」
  「……」
  酔っ払いの言う事はよく分からない。
  叔父さんもあまり酔わない人だし。
  酔っ払いの相手、あんまりした事ないし……はぅぅぅぅぅぅっ。こんな仕事ばっかだー。
  「あんたこれからシェイディンハルに行ってくれ。そこで俺の振りをしている奴を見つけるんだ。偽者探しって奴?」
  「……」
  この人の偽者って……それって需要、あるのかな?
  「見つけたら必ずこう言え。俺の評判を落とすな、評判を落とすのは俺だけで間に合ってるから余計な事はするなってな」
  「あっ、それうまいですね」
  「だろ? あっははははー。……じゃ、行ってらっさい」
  「それで報酬の方は……」
  「よぉ可愛い子ちゃん。ワインをボトルで頼むぜ。もう5回も頼んでるのに、遅いぜマジで」
  「……」
  だ、駄目だ、こいつ完全に酔ってるよー。自我なくなるぐらいに酔ってるよー。
  はぅぅぅぅぅぅぅぅっ。






  今回の仕事は、フィッツガルドさんも同行する。
  叔父さんが無理に彼女をあたしの後見役にしてしまったのだ。
  あたしは、嬉しい。
  誰よりも尊敬しているから。
  いつかあんな人になりたい、あたしは常々そう思ってるし叔父さんやダルにもそう公言している。
  任務の舞台はシェイディンハル。
  あたしとフィッツガルドさんは、馬でシェイディンハルを目指した。





  数日後。シェイディンハルに到着。
  特に問題はなかった。
  旅は順調。

  「シェイディンハル随一の酒場へようこそ。デルヴェラ・ロマレンです」
  ニューランド山荘。
  デルヴェラ・ロマレンというダンマーの女性が経営する宿。
  しかしどちらかというと、酒場の側面の方が強いみたい。
  少し早めの夕食をカウンターで取りながら、あたし達は旅の疲れを癒す一時を堪能。
  フィッツガルドさんが注文したのはベーコンとチーズを豪快に挟んだサンドイッチ。魚介類のスープ。ハチミツ酒。
  あたしはカレーに舌鼓を打ってる。
  程よい辛さがとても美味。
  んー、おいしいー♪
  レイナルド・ジェメインさんのそっくりさんを探しにシェイディンハルにやって来た。
  今回はあたしの後見役にフィッツガルドさんが同行。
  ……。
  だけど今回の依頼、結末どうすればいいんだろ?
  そっくりさんを見つける。それが任務。
  レイナルドさんは年中酔っ払いの人みたい。叔父さんに確認したら、そう言われた。どうしたらいいんだろ?
  別にレイナルドさんの評判を落とす為に、そっくりなわけじゃない。たまたま顔が似てるだけ。あたしはそう見てる。
  ……どうしたらいいんだろー……?
  「はぁ」
  溜息を吐いたのは、フィッツガルドさん。
  色々と疲れてるのだろうか?
  「お疲れですか、フィッツガルドさん」
  「色々とね」
  「ところで明日はどうしましょうか?」
  「とりあえず歩きましょう」
  「聞き込みはしないんですか?」
  「無意味」
  「そう、なんですか?」
  「いい、アリス。レイナルド・ジェメインの偽者、まあ、そっくりさんでもいいわ。その人を見ませんでしたか、なんて聞いて回って
  も意味はないでしょうよ。ただ似てるだけ、それだけよ。聞き込みは無意味」
  「なるほど。……確かにレイナルドさん、ただの酔っ払いみたいですし偽者なんていないのかもしれませんね」
  「いっその事、調査終了する? 報告の内容はアリスが考えればいいじゃない。その方が楽だし」
  「それは駄目です。仕事は仕事、ちゃんとこなさなくては意味がありませんっ!」
  「……変なところで堅いのね、アリスって」
  ごくごく。ぷはぁー。
  ハチミツ酒を飲み干すフィッツガルドさん。
  「あっ、お代わり注文しましょうか?」
  「やめとく。一本超えると私、記憶飛ぶみたいだから」
  「へー。なんか意外ですね」
  「どんなところが?」
  「フィッツガルドさんってどんな時でも冷静に見えますし」
  「んー、一緒に飲んでた人が言うにはね、私ってば冷静に暴れてるみたい。……アリスも経験しておく?」
  「……で、出来れば遠慮の方向で」
  「何よそれ」
  くすくすと笑い、それから弾ける様に2人で笑った。
  あたしはフィッツガルドさんを尊敬している。
  剣術。
  魔法。
  すべてに置いてあたしを超えている。
  ……ま、まあ、あたしはそもそも魔法は使えないけど。
  経験も知識も全てに置いて叶わない。
  あたしは自分が弱いのを知っている。だからこそ、フィッツガルドさんの強さを素直に認め、憧れる事が出来る。
  弱さを認める事は強くなれる可能性もあるという事だ。
  あたしは、そう思う。
  「お客さん、どうぞ。私の奢り」
  女将がフィッツガルドさんのコップにハチミツ酒を満たした。
  注文はしてない。
  奢りって気風がいい……あっ、この人どこか酒臭い。
  女将さん、酔ってる?
  フィッツガルドさんは手を振りながら、笑う。
  「いやあんまり飲むと私暴れるから」

  「ここはダークエルフである私が経営する酒場。嘘泣きに唾吐きに罵詈雑言、何でもご自由にどうぞ」
  「はっ?」

  「喧嘩もどうぞご自由に。文句を言う客は誰もいませんよ、私もそうです。まあ、衛兵が駆けつけてくると牢獄行きか罰金で
  しょうけど、そこは私の知った事ではありません」
  「……」
  黙り込む、あたし達。
  フィッツガルドさんの沈黙の理由は分からないけど、あたしの沈黙の理由は《ダンマーの性格》をまざまざと見せ付けられた
  からだ。ダンマーって口悪い。あまりそれを見せ付けられるのは、好きじゃない。
  あたしは礼儀正しいダンマー目指して頑張ろう♪
  さて、性格の論評は後でいいよね。
  まずは仕事だ。
  酒場の女将なら、必然的に情報通になる。何か知っているかもしれない。
  「あの」
  「どうしたの同族のお嬢さん」
  「あの、聞きたい事があるんですけど」
  「力になれる事なら」
  「レイナルド・ジェメインという名をご存知でしょうか?」
  「レイナルド・ジェメイン?」
  女将は首をかしげ、それから頭を振った。
  知らないみたい。
  「そんな奴知らないね。ギルバート・ジェメインなら常連客だけどね」
  「ギル……えっ?」
  「ああ丁度いいよ。今、来た奴がそうさ」
  振り返る。
  ……あっ……。
  思わず言葉を失った。レイナルドさん?
  ……これが、噂のそっくりさんか。凄い、まるで瓜二つだ。本当に、凄い。
  女将は彼に言葉を掛ける。
  「丁度よかったよギルバート。この人達が用があるってさ。用は……逆ナン?」
  「違いますっ!」
  力一杯否定。
  剣一筋に生きてるあたしに、そんなふしだらな趣味はない。……い、今のところは。
  柔和な微笑を浮かべるギルバートさん。
  同じ顔とはいえ……レイナルドさんとはまるで正反対だ。まあ、別の人間だから当然だけど。
  「私に何か御用ですか」
  「えっと、ギルバート・ジェメインさん……でしたっけ?」
  「ええ、そうです」
  何て言おう?
  コロールにそっくりさんがいますよ……んー、駄目だぁー……。
  何も言わずに事の成り行きを見守るフィッツガルドさん。あたしに全てを任せる、そういう意味だろうか。
  彼女は後見役。
  彼女は保護者。
  叔父さんが同行させた真意は、あたしの独り立ちの為なんだろうと思ってる。
  期待に沿えるように頑張ろう。
  叔父さんや、おば様、フィッツガルドさんの為にも。
  それがあたしの義務だ。
  さて。
  「あの、不躾ですけどレイナルド・ジェメインという名をご存知でしょうか?」
  「レイ……」
  「顔立ちがそっくりなんです」
  「彼が……彼が生きてるのか……?」
  「……?」
  「母には双子の弟は幼い時に事故で死んだと聞かされていたんだっ! まさか生きているとはっ!」
  ……何この急展開……?
  ま、まあ喜ばしい事なんだろうけど……何なんだろ、なんか不条理というかご都合主義というか……まあ、いいか。
  「君は、一体……?」
  「あたしは戦士ギルドの者です。その、レイナルドさんに探すように依頼されました」
  「そ、それで弟は今何処に?」
  「コロールです」
  「コロールか。会いに行かなくてはっ!」
  「道中は危険です。あたし達もコロールに戻ります。よろしければ、護衛として同行いたしますが」
  「よろしくお願いします」
  深々と頭を下げた。
  生き別れの兄弟、になるのかな。
  それにしても人間、生活と環境の違いでまったく別の人間になるんだから面白い。
  弟さんは酒乱ですけど。
  「再会か。……人生最高の喜びだっ!」
  小躍りしながら彼はあたし達の前から去った。
  どっちにしてもコロールには帰るんだから、護衛しても差し支えはない。別に報酬を上乗せ要求するつもりもないし。
  ……。
  だけどこれ、任務としてはどうなのかな?
  当初の目的とはまったく違う方向なんだけど……まあ、人助けだからいいかな。
  あたしの目的は人助け。
  そう、馬鹿みたいに善人な英雄目指して邁進中。
  それがあたしの目指す英雄像だ。
  護衛の発想はどうだったか、あたしの決断は正しいのか、フィッツガルドさんに意見を求めようとするものの彼女は遠い目を
  してあらぬ方を見つめていた。何か別の考え事をしているのだろうか?
  ポツリと一言、こう言う。
  「ねぇアリス。ここで別れましょう」
  「……?」
  ここで別れる?
  別行動という事だろうか……いや、それ以外の何ものでもないか。
  何か用事でもあるのだろうか?
  「少しシェイディンハルに用があってね。私はそれを終わらせてからコロールに戻るわ。別の依頼を手伝うから、悪いけど先に
  帰っててもらえない?」
  「分かりました」
  あたしにはあたしの。
  フィッツガルドさんにはフィッツガルドさんのすべき事がある。それを問い質し、意見するのは見当違い。
  そう判断し、あたしは微笑した。 
  「ねぇ、剣見せて」
  「剣ですか?」
  「そう」
  「どうぞ」
  腰の剣を差し出す。
  炎上のロングソード。レヤウィンでダゲイルさんがくれた、炎の魔法剣だ。
  ……。
  深緑旅団戦争の際に貰ったものだ。
  なんか急に感傷的になる。あの時の仲間は今、シロディールの何処にいるんだろ?
  会いたいなぁ。
  すらり。
  剣を半分抜き、刀身を眺めながらフィッツガルドさんは何か考えている。
  「……あー、そういえば流浪の魔剣はゲットできた?」
  「あれは……無理ですよ、人外のものでしたし」
  「ふぅん」
  「あたしのその剣は、ダゲイルさんに貰った剣なんです。炎上のロングソードです」
  「ダゲイルねぇ」
  フィッツガルドさんは魔術師ギルド所属。
  ダゲイルさんの事を知っていてもおかしくない。むしろ、口調からして知っているのだろう。
  「私のと交換しない?」
  「フィッツガルドさんの剣と?」
  「そう。私のは雷を込めてあるわ。剣の名前は、特に付けてないけど……伝説級の剣を除いたら、大陸でもトップクラスの威力
  を秘めた魔力剣よ。ただまあ、強力過ぎるから加減間違えると相手簡単に死んじゃうけどさ」
  「……でも、いいんですか?」
  強力な剣。
  それは魔法の使えない、純戦士のあたしには喉から手が出るほど切実に求めているもの。
  さらに魔法剣なら言う事ない。
  身を護るのは唯一、腰の剣のみ。だから必然的に強力であればあるほど、嬉しい。
  だけど人間としての慎みが邪魔をする。
  強力な剣=多額の費用。
  その方程式は古今東西変わらない。特に魔法剣だから、あたしが想像する以上の額の値打ちのはず。
  好意とはいえ、すぐには頷けない。
  そんな心の中を見通したのか何気ない口調でフィッツガルドさんは言う。
  その何気なさが彼女の優しさだ。
  「気にしないで。私は新しいのを自分で作ればいいだけなんだから。まあ、大学まで足運ぶのは面倒だけどね。一緒にコロール
  帰れないから、まっ、お詫びというか保険というか。ともかく、この剣があれば大抵の連中は一太刀で仕留めれる」
  「……」
  「アリス」
  「でも、その」
  「いいのよ別に気にしなくても。……一生私に跪いてくれたらさー♪」
  「はぅぅぅぅぅぅっ」





  それから数日後。
  あたしとギルバートさんは、無事コロールに到着した。
  結局、魔法剣は好意に甘えて交換した。まだ使ってないけど、どんな切れ味なんだろう?
  ……。
  べ、別に辻斬りの趣味はないけど、やはり威力は気になる。
  道中、特に問題はなかった。
  敢えて言うならギルバートさんの血気盛んな行動だろうか。
  モンスターや賊を見つけると背負った両手斧を構えて突撃するのだ。柔和な微笑と紳士的な態度ではあるものの、意外に
  好戦的だったりする。
  それでも意外に強く(大半は不意打ち)あたしが駆けつけるより先に、相手を仕留めている。
  結構危ない人みたい。
  ……人は見かけによらないなぁ……。
  「おお、あんたかっ!」
  ここはコロールのグレイ・メア亭。
  相変わらずレイナルド・ジェメインさんは奥のテーブルで深酒の最中。眼はトロンとしてるし、呂律も怪しい。
  報告するとしよう。
  あたしの後ろではギルバートさんが、逸る気持ちを抑えて待っている。
  「ただいま戻りました」
  「ようやくボトルで持ってきたのか。で、スリリー産のワインは何処だ? ケチケチすんな、一本よこせよ」
  「……」
  酔っ払い、苦手。
  どうもこの人はこういうキャラらしい。いつも酔っ払い。
  一日の疲れを取る為に酒場に足を運ぶのではなくただ単純に純粋にお酒が好きなだけらしい。
  で、一日中飲んでるというわけね。
  「あー、あんたはあれか、俺の偽者探してる奴か。……だろ?」
  「はい」
  「よーしよし。俺の記憶力はさすがだぜ。それで偽者は、誰だ?」
  「貴方のお兄さんでした」
  「兄……兄? 待て待て俺に兄弟なんていない。……思い違いしてるのか俺? 飲めば何か思い出すかも……」
  「ギルバート・ジェメインさんです。ほら、この方」
  「お、俺の家族はもう誰もいないぞ? 親父にはそう聞かされてたんだ、殺されたって……」
  殺され……?
  何か複雑な過去のある家族なのかもしれない。
  「……マジで兄貴か?」
  「そのはずです。あたしは、何とも言えません」
  こんな展開になる事すらそもそも想像してなかったし。
  ギルバートさんは、明日また来て欲しいとあたしに言った。それがいいと思う。
  あたしはあくまで、他人だ。
  家族の事に口を出すべきじゃないし、介入すべきでもない。
  すべき事はした。
  後は2人が出す結論だ。
  目礼するギルハードさんに、あたしも目礼を返し、今日のところは家に戻った。



  翌日。
  グレイ・メア亭に行くと、そこにレイナルドさんの姿はなかった。
  女将さん曰く、あたしが来たら自宅に来るように伝えてくれと伝言されていたらしい。伝言の内容と自宅の場所を聞き、あたしは
  レイナルド・ジェメインさんの自宅に足を運んだ。
  近所付き合いしてなかったから知らなかったけど、レイナルドさんの自宅はあたしの自宅(正確には叔父さんの家)とすぐ
  近くだった。それも誰が住んでいるんだろう、と常々興味を抱いていた邸宅だ。
  あの人ってお金持ちだったんだ。
  ああ、だから働かないのにお酒に溺れれるんだ。
  なるほどなー。
  「あの、戦士ギルドのアリスですけど」
  コンコン。
  扉をノック。数秒後に、急いで扉が開けられた。あたしが来るのを心待ちにしていたらしい。
  迎えてくれたのは……。
  「……あのー……」
  どっちだろう?
  ギルバートさんもレイナルドさんも同じ顔だから、正直見分けが付かない。

  「おお我が友よっ! 兄貴を見つけてくれて……いや、助けてくれて……いや、あっちが俺を探してたんだっけ? ともかく感謝
  するよ。あんたと、俺達の兄弟に乾杯だぁ」
  「あっ、レイナルドさんですか」
  口調で分かる。
  口調、というか酔った息の臭いでも分かる。お酒くさぁい。
  話の内容、それにテンションの高さから兄弟の再会はうまく行ったらしい。もう1人、同じ顔が出てくる。
  ギルバートさんだ。
  「弟と再会出来るなんて君には感謝しきれないよ。……話は変わるけど君は戦士ギルドの人間だったよね?」
  「はい、そうです。今回の依頼は、レイナルドさんから受けたものです」
  「では依頼を新規で結びたいんだが……」
  「……?」
  「僕らの生まれた場所、ウェザーレアに関する事なんだ」