私は天使なんかじゃない







私は天使なんかじゃない





  足を止めても明日はやってくる。
  太陽も昇り、落ち、月は昇り、落ち、そして世界は止まることなく回ってく。
  命は巡る。

  そしていつか知るだろう。
  人の世の理を。





  キャピタル・ウェイストランド上空。
  サラが鹵獲したベルチバード。その内部。
  「これでエンクレイブもお終いね。キャピタルにいた連中は核でまとめて吹き飛んだし、アダムス空軍基地も移動要塞も存在しない。私たちの勝利だわ」
  操縦席で操縦桿を握ってベルチバードを操るサラが大声でまくし立てる。
  狭い。
  ベルチバード内は狭い。
  何しろ乗っているのは私、グリン・フィス、トンネルスネークの3人、デリンジャー、そして操縦席のサラ。
  私は膝を抱えて蹲っている。
  ホルスターを外し、強化型コンバットアーマーを脱いでいる。
  脱力感が半端ない。
  疲労感もだ。
  当分は能力は使いたくない。頭が痛い。
  ただ、この脱力感は戦闘の疲労感からくるわけではない。
  サラもそれを察しているのだろう。
  だから必要以上に陽気に振る舞っている。
  「ミスティ、しばらくは休めるわよ」
  「……」
  「ミスティ、何よ、大統領就任の挨拶でも考えてるの?」
  「サラ殿」
  「はあ、分かったわ」
  グリン・フィスが言わんとしていることが分かったのだろう、サラは黙る。
  沈黙が内部を覆う。
  戦勝ムードに水を差しているのは私、それは分かってる。
  だけど手放しでは喜べない。
  エンクレイブはまたやってくるだろう。
  エンクレイブはまた。
  今度は止められない。
  いや。
  戦えば何とかなるかもしれない。
  こちらにはガウスライフルがあるから大抵は何とかなる、ただ大編隊で爆撃された場合は……勝てる勝てないじゃないんだ、戦争になれば必ず人が死ぬ、大勢死ぬ。
  それが嫌だ。
  「私は、ただ皆を危険に巻き込んでしまっただけなのかもしれない」
  知事になってればよかった?
  エンクレイブに尻尾を振ればよかった?
  かもね。
  だけど、それをすれば今まで戦ってきた決意とか、想いとか、それらが全部なかったことになる気がした。
  戦ってきた皆を裏切る気がした。
  だから拒否した。
  「優等生、それお前本気で言ってんのか? あーあ、俺らを随分と低く見てくれちゃってんのな、お前」
  「どういうこと?」
  「あんなアホどもに下げる頭なんかねーよ。お前が戦わなくても俺らがケツ蹴り上げてたぜ。なあ?」
  「よく言った、ボス」
  「別にミスティが悲壮ぶる必要はないと思うけどね。向こうが勝手に攻めてきたんだ、それに頭を下げる道理なんかないでしょうよ。ボスの言うとおり、あなたがいなくても戦ってた」
  慰め?
  そうではないだろう。
  「だよね」
  私は笑った。
  1人脳内反省会はお終い。
  勝手に攻めてきた悪者軍団は向こうで、こっちは正義の味方だ。いきなり殴ってきて、従わないなら後悔しろと言われても、そんなもの気にする道理などない。
  私らは受けて立った。
  それだけ。
  それだけなんだ。
  別に気に病むことはないし、やるべきことをやったまでだ。
  「ミスティ、私はあなたに感謝してるわ」
  「サラ?」
  「私じゃキャピタル・ウェイスランドを一つにする度量はなかった、その実力も。あなたが一つにしたのよ、あなたがいなければ各個撃破されてお終いだった。BOS、レギュレーター、メトロ。それ
  だけじゃない。そもそもメガトン共同体なんて生まれなかった。皆あなたに感謝してる。そして今の在り方を必要としてる。それを壊そうとするエンクレイブとは戦うしかなかった。でしょ?」
  「あはは」
  思わず笑みがこぼれる。
  そうだ。
  私は1人で戦ってるわけではない。
  頼ればいいんだ。
  仲間に。
  「主がいなければむしろ蹂躙されていたと、自分は思いますよ。サラ殿は勝機はあったと思われますか?」
  「何度も言わせないでよ。BOS単体では勝てなかった。ううん、むしろその前にキャピタルの別の勢力と喧嘩してたんじゃないかしら。実際、グールは排斥する流れだったし」
  「マジで?」
  「マジよ、ミスティ。最善だったと思うわ、あなたの動き。あなたがいなければエンクレイブに今頃支配されてた、支配されてたら……まあ、これ以上は争う必要はなかったのかもしれないけど、あの
  連中が私たちに人権なんて与えると思う? 自由なんてあると? 労働力よ、ただのね。全部取り上げられてお終い。それに、それに今の流れはもうそれではない。IF考えても仕方ない」
  「そうね」
  エンクレイブとの対決に展開は動いた。
  そして勝った。
  戦わない場合の想定を今しても仕方ない。

  ピピピ。

  「ん?」
  PIPBOY3000が鳴る。
  何だろ?
  メールだ。
  開いてみる。

  <ミスティ。キャピタルよりも北になりますが戦前のホテルがあります。帰り次第そこの探索を願います。透明人間がいるとかいないとか。あなたに任せます>

  「……空気読めなさ過ぎ」
  ソノラからでした。
  任務っすね。
  嫌だなぁ。
  「主、どうされました?」
  「ソノラから。透明人間を捜せってさ」
  「……あの、それは彼女のユーモアなのでしょうか?」
  「さあ?」
  透明人間ねぇ。
  ああ、そういえば地雷原には幽霊がいるとか前にモイラが言ってたな、実際はスナイパーだったけど。それと同じ感じなのだろう、透明人間だと勝手に噂されている、誰かってことだ。
  それにしてもキャピタルよりも北、か。
  北部ってわけではないらしい。
  ふぅん。
  今まで旅してきたのがキャピタル・ウェイスランド、今回の任務はキャピタルから飛び出した別の地域ってわけだ。
  興味はある。
  まあ、スルーしますけど。
  今日から長期休暇です。
  「なあボス」
  「あん?」
  「そういえばレディ・スコルピオンはどう呼べばいいんだ? ティティスとかいう名前なんだろ?」
  「別に好きに呼べばいいんじゃねぇか? なあ?」
  「ええ。お好きにどうぞ」
  可愛い名前ですな。
  要はNCRに気取られたくないから偽名というか通称で名乗ってたってところなんだろうね。
  どう呼ぼうかなぁ。
  「僕の見解ではエンクレイブならしばらく動けませんから心配しなくてもいいと思いますよ」
  「どういうこと、デリンジャー」
  「裏切り者ですよ」
  「裏切り?」
  「NCRの諜報員がエンクレイブに入り込んでいます。今回の一連の流れも、ある意味でそれでしょうね。エンクレイブ同士を争わせて、潰す。その為に諜報部隊が入り込んでいました。今もまだ、ね」
  「なるほど、それで受け取ったのね」
  レディ・スコルピオン改めティティスが合点したように頷いた。
  どういうことだ?
  私には流れが分からない。
  「橘藤華に諜報員のデータを渡しました。帰ったら、裏切り者狩りでしょうね。今回の損失はかなり大きいはずです」
  「移動要塞なくなったもんね」
  そうか。
  移動要塞は失うわ連れてきた兵力の大半を失うわで損害が大きい。
  それだけじゃない。
  キャピタル侵攻の足掛かり的なアダムス空軍基地壊滅、オータム派の拠点だった衛星通信ステーションも壊滅、キャピタルにおける最大拠点であり当初はエンクレイブの本拠地でもあったレイブン
  ロックもボルト32も失われている。そしてここにきてNCRがエンクレイブ内に入り込んでいる。
  確かに。
  確かにこれは動けないぞ、エンクレイブ。
  全滅に近い。
  連中の全戦力は知らないけど、ジェファーソン決戦の時にオータムはキャピタルの住民全部殺して入植するだけの人数はいないとか言ってた。
  今回の損害を考えると、報復にすら動けないんじゃないか?
  それにエンクレイブ両軍は煽られ、私も掌の上的な感じなんだろうけど、全ての発端はNCRの内部工作。
  報復の矛先はこっちじゃない。
  NCRだ。
  何しろキャピタルはどっちに対しても報復には出ない、というか遠征なんてそもそもする力ないし、する気もない。
  対してNCRはわざわざこんな大きな動きにすら発展させたんだ、エンクレイブと一戦交える覚悟があるとみてもいいだろう。その覚悟なくしてここまでするか?
  ここまでされたらエンクレイブは黙ってない。
  「そういうことか」
  ようやく分かった。
  思わず苦笑いが漏れる。
  「主?」
  「大分、頭が冷めた」
  「そのようですねぇ。僕も心配してたんですよ、これでもね。随分と、冷静ではなかったので」
  「ご心配おかけしました、お優しい殺し屋さん」
  「そういえばミスティを狙ってた殺し屋だったわね、彼」
  サラが思い出したように言った。
  ルックアウトで狙ってましたね、彼。
  「どうするの? そいつ落とすなら早くして、ハッチ開くから」
  「さすがですサラ殿、話がお早い。是非お願いします。ブッチ、手伝え」
  「おうよっ!」
  何なんだその連帯感は。
  「あはは。嫌われ者ですねー」
  お前だよ、当事者は。
  やれやれだ。
  「皆、やめて。彼は殺し屋だけど良いところ……があるかは……うん、仕事に責任を持つ人だから心配しないで」
  「……優等生」
  「うん、分かってる。プロ意識持っちゃいけない仕事ですな」
  良いとこありませんでした。
  駄目じゃん。
  さて。
  「とりあえず冷静になりました。なので今後の対応を取りたいと思います。サラ、クリスの乗ったベルチバードに無線出来る?」
  「ミスティ、戻ったら父たちと一緒に対策を練ればいいわ。あなた一人で抱え込まなくても……」
  「大丈夫、私は冷静」
  「……」
  「クールビューティーだから大丈夫」
  「ビューティーって必要だった?」
  「何となく」
  「安心した、ミスティらしさが戻ったわね。ちょっと待って、ええっと、通信回線っと……」
  「優等生、ガツンとかますのか?」
  「それじゃ芸がない」
  クリスの心底が読めてきた。
  私を飼い慣らしたいんじゃないんだ、あの発言は。
  余裕のなさだ。
  エンクレイブは今回かなり消耗してる。
  連中の現在の本拠地の地理が分からないけど一強ではない可能性がある。近くにエンクレイブ級の戦力の奴らがいたら?
  そう。
  今回の敗戦でクリスはしばらく本拠地から動けない。
  不在を衝かれる形になる。
  内部にNCRもいたんだし、一掃してもしばらくは睨みを利かす形で動けない。優先すべきはNCRで、こっちに戦力を裂く余力もないだろう。少なくとももう一基の移動要塞を差し向ける余力はない。
  幾つもの州を仕切ってるみたいに言ってたけど、あれはハッタリだ。
  要は、私に求めたのもあのノリなわけだし。
  私を知事にして軍事費とか集ろうって魂胆なわけだ、それは純粋なエンクレイブ戦力とは言い難い。前にデズモンドがエンクレイブの旗なんて見たことないと言った、各地方を教授との追いかけっこで
  回った彼の言葉はここで生きてくる。州のトップはエンクレイブに貢いでいても、その配下連中はエンクレイブを知らないのだろう。だから旗など飾らないし、それはエンクレイブ戦力と言えるのか?
  言えませんね。
  ただのATMです。
  大体その州に一つしか街がなくても、それを間接的に支配してたら、一つの州を支配しているにイコールしてしまう。嘘ではないですね、ハッタリですけど。
  ともかくだ。
  エンクレイブ的に恐れているのはNCRであって、私らではない。
  私らは別にエンクレイブの領地を侵さないし。
  来たら殴り返すけど、来なければ知ったことではないのだ。
  「グリン・フィス」
  「はい」
  「クリスはどういうつもりで私を飼い慣らそうとしたと思う? 心底では、NCRとの決戦に重点を置きたがっている彼女の真意は何だと思う?」
  「補給の確保、でしょうか。キャピタルに貢げということでは?」
  「ブー。5003点減点」
  「おい、優等生、どういうことだ? というか中途半端な減点だな」
  「てへ☆」
  「主、つまり?」
  「簡単よ。クリスが求めていたのは戦争の終結、それだけだわ。ああなった以上、エンクレイブがここでの建て直しは出来ない。かと言って援軍呼ぶと長期化する。彼女にはそれが出来なかった」
  「ではクリスは何故あのような言い方を?」
  「それは私と同じ」
  ウインク。
  つまり……。





  クリスの乗るベルチバード。
  その内部。
  後部席に並んで座るクリスと橘藤華。
  「藤華、損害は?」
  「集結中なので何とも言えませんが3分の2以上は失われたと……」
  「壊滅だな」
  敗走だった。
  ここまでの敗走は西海岸でBOSに敗れて以来だった。
  ……。
  ……いや。
  先の敗走では虎の子の移動要塞は投入されず、失われてもいない。
  だが今回はそうではない。
  主要基地の壊滅、移動要塞の喪失、さらに攻撃衛星もその制御が失われ宇宙を彷徨う形となった。
  敗北は二度目だが、損害は前回と同じではない。
  大損害だ。
  「カロンたちの安否はどうなっている?」
  「拘束された以上のことは何も」
  「……」
  「肉欲のサンディ大尉と名乗って内偵していたリナリィ中尉を失う形となったので、それ以上の情報は入らないかと」
  「火傷どころではないな、大火傷だ」
  クリスにとって最大の反対勢力だったオータムを蹴落とすことが出来た。
  だがこの結果は吉報だろうか?
  得たモノよりも失ったモノの方が大きい。
  「本国より何か連絡は?」
  「国境線でメッカニアと小競り合いがあったそうですが、それ以上には発展せず、とガルライン中佐から通信がありました」
  「しばらく立て直しだな」
  「しかし立て直し後もキャピタルには手は出せません、それは徹底していただかなければ」
  「報復はするなと?」
  「するだけの余力が?」
  言い返す橘藤華。
  この臆さない性格ゆえにクリスは彼女を側に置いている。
  信頼に足る存在として。
  「NCRめ、余計な真似をしてくれた」
  「ですがそれで内部の統制は出来ました。これに対しての報復は止めませんし、西海岸への復権を望む者たちも多い。良い口実です。今回のことで数年は動けなくなりましたが」
  「良いと取るか悪いと取るか、微妙だな」
  「それは閣下の采配次第です」
  「気軽に言ってくれる」

  「大統領、ミスティと名乗るものから通信が入っております。我が軍のベルチバードからですが、この認識番号は先ほどBOSに奪われたものです」

  しばらくクリスは考える。
  「こっちに回せ」
  了解しましたと兵士は答えた。
  クリスの顔には何の感情も浮かんでいない。少なくとも表面的には。

  <ハイ、クリス。元気してる? 負けて泣いてるんじゃないかと思って連絡してあげたわ。ほら、友達じゃん?>

  「貴様っ!」
  「いい、藤華、言わせておけ。挑発はミスティの戦略の一つだからな」

  <分かってらっしゃる>

  「それで何の用だ? 降伏を申し出たいのか? 悪いようにはしないぞ? 私に跪くだけでいい。……あと、そうだな、一兵卒の体を好きにさせてくれたなら考えなくもない。優しく愛してやるぞ?」
  藤華を窘め、適当に答えつつ、何の魂胆かを考える。
  ただの軽口ではない。
  そう読んでいる。
  だが……。

  <クリスは正直じゃない。私もね。いやいや、人間だから当たり前かな。プライドってあるもんね、だから素直じゃないんでしょ。身内の前だったし、お互いに>

  「言いたいことが分からんな」
  過ごした日々は短い。
  だが短くとも濃い関係だ。ある程度の心底は読める。
  しかし。
  しかしクリスには何が言いたいのか分からなかった。その差は人脈の差、ミスティには自分を曝け出せる仲間がおり、助け合える。だがクリスはそうではない。階級上大統領であり、それ以前も
  大統領を狙う上級紙刊。親衛隊のように信頼を預ける者たちがいても、同等の立場がいない。それは生まれた時からそうだった。
  そこが、ミスティとの決定的な違い。
  「何が言いたい?」

  <また会いましょ>

  「また?」
  再戦ということだろうか?
  それとも?

  <数年は掛かるんでしょ、再建。こっちはこっちで数年頑張る、この国を素晴らしいものにするわ>

  「ああ、戦力を整えるということだな。本気でエンクレイブに勝てる……」
  最後まで彼女は言わさなかった。

  <数年あれば、国力が増すし、富む。別の問題とか出てくるだろうけど、それは仕方のないことだ。対処してく。数年あれば自尊心も生まれて来るし余裕も出てくる。憎しみも痛みも、和らいでく>

  「……何を、言って……?」
  分からない。
  分からない。
  分からない。
  思えばクリスは戦争の為に生み出された存在。
  助言も戦争のことだけ。
  「何を言っている、ミスティ?」

  <数年経てばあなたたちを受け入れる余裕も出来てくる。でも知事とかそうじゃない、従属とかじゃない。対等に、付き合えるんじゃないかな。私とクリスがそうであったように>

  「対等」
  考えてみたことがない発想だった。
  彼女に今までも止められてきたことは、いかにして相手を下に置くか、勝つか、それだけ。彼女のスタンスもそれだった。
  同等とか対等は考えたことはなかった。
  だが今すぐではない。
  数年後の先のことをミスティは見据え、発言している。
  「お前は神が遣わせた天使か何かか?」

  <私は天使なんかじゃない、知ってるでしょ? 数年後また会いましょう。その時は驚くと思うわよ、この国は、エンクレイブ以上になってるから。そっちも頑張らないと置き去りですぜ?>

  無線が切れる。
  言いたいことだけ言ってミスティは斬った、相変わらずだと思った。
  だが振り回せれるのは慣れてる。

  「ふふ」
  橘藤華の笑いが聞こえた。
  クリスはわざとらしく睨んでみせる。
  「何がおかしい、藤華」
  「いえ、別に」
  「これから忙しくなる。戦後処理。そして、エンクレイブ内部にいるNCRのキツネ狩り。やれやれ、休む暇がないな。……まっ、氷漬けよりは幾分かマシだがな」
  エンクレイブは敗北した。
  今回の戦争で投入した戦力は壊滅状態。
  だがクリスは思うのだ。
  彼女が画策したわけではないとはいえエンクレイブ内のクリス派以外が壊滅した。シュナイダー将軍もオータム大佐ももういない。
  改革が進む。邪魔者がいないのだから。
  ミスティにより別の視点を得るに至ったクリスにとっての新しい改革が始まろうとしている。
  この敗戦の日は、エンクレイブ再生の日。
  「軍事要塞ドーンに凱旋せよ」
  「はっ」
  ベルチバードは飛ぶ。
  シカゴにあるエンクレイブの総司令本部のある軍事要塞ドーンに凱旋するべく飛ぶ。
  クリスは静かな微笑を浮かべる。
  「また会おう、私の真なる友よ」


  この日、キャピタル・ウェイストランドとエンクレイブの戦争が終わった。