私は天使なんかじゃない






I am God







  彼は誰なのか。
  神とは何なのか。






  「手出しはさせない。案内しよう、中に入るがいい。この数に勝てると思ってるのか? 正気で? そこまで過信していないだろ? 付いてくるがいい、少なくとも挽回するチャンスにはなるだろう?」
  ……。
  ……だ、そうです。
  到底信じられないけど他に選択はない。
  ああ、いや。
  選択肢は他にもあるのだ。
  ただ、ここのスパミュどもや人間奴隷はカーティス大佐に操られてる可能性がある。潜入させてくれるのであれば、利用させて貰うとしよう。
  向こうが親玉を殺させるのを許してくれるとは思わないけど。
  まあいい。
  私とグリン・フィスはエンクレイブアイポッドに付いてアンテナ基地へと向かう。
  基地から出て来たスパミュ、前線から撤退してきたスパミュどもは攻撃してこない。
  躾の行き届いたことで。
  「主」
  「ん?」
  「どこまで、従がいますか? ろくなことにはならないと思いますが」
  「それは私もそう思う」
  歩きながら私は笑った。
  わざわざ私らの目的を叶える為に入れてくれるか?
  あり得ない。
  大佐には大佐の目的があるのだ、両断されて2人になったDr.アンナ・ホルトが言うには、私が必要らしい。ボルト101でもそれっぽいことを言ってた。もてる女はつらいものがありますなぁ。
  肩を竦めて私は笑う。
  「蹴散らして突破する手間を省いてくれたんだから、大佐にはお礼しないとね」
  「歓迎会もあるでしょうし存分に」
  「そうね」

  「待て」

  「あんたは……」
  スパミュよりもでかい、大男。
  中身は知らない。
  何故ならそいつは特注のパワーアーマーを着ているからだ。まず人間のでかさではないし特注で間違いないだろう。もっとも、ただアーマーを継ぎ足して作っただけの鎧なのか、動力部分も
  内蔵されてある代物なのかは知らないけどさ。いずれにしても厄介な奴というのは分かってる。
  「カーティス大佐」
  元は車のバンパーで作られたであろう、バンパーソードを軽々と肩に担いでいる。
  待て、とな?
  敵意剥き出しにして?
  私らを中に招き入れようとしてたのはこいつだ、なのに敵意剥き出しで、待てって……どういうことだ?

  ガンっ!

  軽々とバンパーソードを振るって、私たちを先導していたエンクレイブアイポッドを弾き飛ばした。
  はい?
  「妙だ」
  グリン・フィスが呟く。
  何が?
  「中身が変わった」
  どゆこと?
  「中身は同じなのに」
  えっ?
  クイズっすか?
  謎々は勘弁。
  カーティス大佐は吠える。
  「ここで貴様らはお終いだ、死んでもらうっ!」
  「グリン・フィス、参る」
  私は置いてけぼりっすか?
  勝手にやっておくれ。
  見物しながらティータイムするところがあればいいのになぁ。
  まあいいさ。
  今回の私はギャラリー、ホットドッグとビール持って観戦してればいいわけですな。楽と言えば楽です。売り子はどこだ、ホットドッグ欲しいですお腹空いた。
  「大佐のお手並み拝見」





  その頃。
  オータム派のエンクレイブが本拠地である衛星中継ステーションへと向かう、BOSの大部隊。
  全員がパワーアーマー兵士。
  その中でも異彩を放っているのは、精鋭部隊であるリオンズ・プライド。
  そして……。

  「我々はコミュニストには決して屈しないっ!」

  リバティ・プライム。
  戦前に製造された、巨大な人型ロボット。
  ジェファーソン決戦の際にはエンクレイブの前哨部隊を一機で壊滅させた、オーバーテクノロジー。声は要塞にいるDr.ピンカートンのもので、彼が要塞から遠隔操作している。
  博士の意味のない台詞に苦笑いするサラ・リオンズ。
  階級はセンチネル。
  名誉職であるスター・パラディンより下位となりキャピタルBOS軍のNO.3ではあるが実際に軍を動かし、指揮するのはセンチネルである為、実質的な権限は上となる。
  今回の作戦の最高司令官。
  「敵の動きは?」
  「依然として迎撃には出てきません」
  側近がそう答える。
  確かに今のところはエンクレイブ側からは何のアクションもない。BOS側はエンクレイブが分裂していること、そして衛星中継ステーションを本拠とするエンクレイブ軍はスーパーミュータトとの
  交戦箇所である北部戦乱に固執していることも知っている。だからこその強襲計画だった。迎撃に出てこないのもエンクレイブ側の手薄だと考えている。
  何より今回の作戦に赤毛の冒険者は参加していない。
  サラは敢えて彼女を外すように父であり、指導者であるエルダー・リオンズに進言し、それが受理された。
  彼女は有名だ。
  エンクレイブもその動向を監視していてもおかしくない。
  つまり、彼女が動いたことにより今回の作戦が事前にばれることも予測されていた。ミスティを参加させないことにより、相手を出し抜く、それが目的だった。
  最大の戦力を参加させないことで、相手に最大の油断を作る。
  それが目的だ。
  「このまま行くわよ。全軍、進めっ!」
  だが。
  だが彼女は気付かない。
  BOSも。
  エンクレイブ側の振る舞いは、全てが罠だということに。





  「ぬおっ!」
  激しい音と土煙を立ててバンパーソードは大地を砕く。
  警戒にグリン・フィスは後ろに飛んだ。
  「やれやれ」
  私は呟く。
  結局戦いかよ。
  ここはスーパーミュータントどもの本拠地であるアンテナ基地。3基あるアンテナ塔全てにスパミュが巣食っているのか、どれかなのかはしらないけど、北部戦線の大元になっている場所。
  アホなDr.アンナ・ホルトによってここまで拉致されたけど、まさかこんな大層な戦いになるとは。
  現在カーティス大佐VSグリン・フィスの真っ最中。
  私?
  私は見学。
  カーティス大佐はバンパーソードを振り回してグリン・フィスを攻撃、軽快に回避しているのでグリン・フィスには当たらないけど、グリン・フィスをその速い連続攻撃になかなか近付けない。
  こりゃ長引くなぁ。
  「死ねっ!」
  「拒否する」
  何なんだろ、この戦い。
  スパミュ兵士たちは一切攻撃せずに傍観しているし、塹壕掘りの人間奴隷たちは戦いに気にも取られずに塹壕を掘ってる。
  決定です。
  人間サイドは完全に操られてます。
  まあ、スパミュも統率的な関係で操作されてるんだろうけど。
  「うーん」
  たけど、これはどういうことだ?
  私らを招き入れたかったんじゃないのか?
  さっぱり分からん。
  「ぬおっ!」
  「何のっ!」
  暑い戦いっす。
  ……。
  ……ああ、間違えた、熱い戦いですね。
  暑苦しいのは正しいですけど。
  カーティスの思惑は知らないけど、基地の中に誘っておきながらここで戦いをする意図が分からないけど、グリン・フィス君は楽しんでいる模様。
  まあ、そりゃそうか。
  純然な接近戦なんて、キャピタルではそうないことだし。
  「死ね死ね死ね死ねっ!」
  連続攻撃の大佐。
  随分と余裕がないな、ここは奴の本拠地で、エンクレイブ戦で衰えているとはいえ自前の軍団がいて、こっちは2人だけだ。
  何かおかしい。
  何か。
  「中身が違う?」
  パワーアーマーの下の奴が前の奴と同じとは限らない。
  まさか別人か?
  いや、グリン・フィスは中身が同じだと言ったな。正確には、中身が同じで、中身が変わったと。じゃあ、やっぱり別人……あー、イライラするっ!
  考えるやめだっ!
  「Cronusっ!」

  どくん。
  どくん。
  どくん。

  脈打て鼓動、刻めよビートっ!
  ……。
  ……何言ってんだ、私?
  ともかくだっ!
  能力発動、時間は停止し、私は2丁のミスティックマグナムを引き抜いて照準を合わせる。
  全弾発射&能力解除っ!
  瞬間、全弾はカーティス大佐の体に全て吸い込まれて消えた。
  「……っ!」
  大きく仰け反り、強風にあおられる枯葉の様に後ろに吹っ飛んだ。
  ごろごろと地面を転がりながらも屈せずに立ち上がる。
  バンパーソードも離してない。
  さすがはスパミュ勢力のラスボス、タフなことで。
  だがその時疾風のようにグリン・フィスが間合いを詰め、大佐に肉薄。
  「くそぉっ!」

  ブン。

  横に薙がれたバンパーソードは空を切っただけ。
  見切っていたようにグリン・フィスは飛び、回避し、大きくショックソードを振りかぶったまま大佐の頭上へと落ちていく。
  チェックメイトだ。
  「マスター何故俺をお見捨てになったのですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
  それが。
  それがカーティス大佐の最後の言葉だった。
  後に残るのは頭を断ち割られた残骸と、彼の豹変の謎と、敗者を冷然と見下ろす勝者であるグリン・フィスだけ。
  レッドアーミー最高司令官カーティス大佐、撃破。
  さて、どう出る?
  「ふむ」
  スパミュ兵士は全く動かず。
  奴隷たちもだ。
  レッドアーミーがエンクレイブから鹵獲したであろうプロパガンダ用のアイポッドの言葉、手を出すな、は護られているわけだ。
  うんうん、躾が良いですなぁ。
  ……。
  ……あれ?
  これっておかしくね?
  ボルト101では大佐が私を支配しようとしていた、そういう能力だと言っていた。だから私はここの連中は大佐が支配しているんだと思ってた、能力で。
  奴は死んでる。
  頭を割られてそこで死んでる。
  なのに何で兵士どもの統率は崩れない?
  ボスを倒されて呆然としているってわけではないだろうし、教授時代のスパミュ軍団はジェネラルが倒されたら支配が解けて右往左往して統率が霧散したけど、今回のこの動きはそれでもない。
  人間たちの動きもおかしい。
  まるで動じない。
  何だこれ?
  「別の者がいるのでしょうか」
  「かもね」
  そう。
  これは不自然過ぎる。
  大佐が言っていた神って何だ?
  そいつが黒幕か?
  「主、この世界の神とはどのような存在なのですか?」
  「人間以上に人間臭い連中」
  ボルトの時に読んだ本にそう記されていた。
  まあ、神話ですけど。
  「神なんていないと思う。個人的な意見だけど」
  いたとしたらこの世界は何だ?
  悪いジョークか何かかもね。
  「人狩り師団長のことと関連あるのでしょうか」
  「あー」
  可能性はあるのか。
  同じキャピタルで、しかもつい最近の出来事で、神という単語が出て来てる。テンペニータワーと、ここで。タワーの一件は私は別口の敵と戦ってたから話でしか知らないけど、大佐の背後に
  人狩り師団を利用していた神とやらがいるのかもしれない。利用、そう、利用です。グリン・フィスの話を聞く限りでは人狩り師団長は人工心臓を乗っ取られたっぽいし。
  ともかく。
  ともかくだ。
  スパミュ兵士どもが襲ってこないのは大佐とは別の誰かの意志によるものだ。
  私らが回れ右して帰ろうとしたら?
  さすがに黙っているとは思えない。
  カーティスは見限られてあんな感じになったのかな、神とやらが私らへの攻撃を黙認したのは大佐を私らの手で処刑させる為か、私らの力量を試す為か。
  まあいい。
  「行きましょう、グリン・フィス。せっかくのご招待だし」
  「御意」





  その頃。
  北部戦線、オータム派のエンクレイブの陣営。
  現在大佐命令で部隊は停戦状態に移行、大規模な支援攻撃により優勢にも拘らず部隊を動かさずにレッドアーミーが戦線を後退を、追撃せずに見届けている。
  エンクレイブは動かない。
  ただ、ただ待機している。
  その思惑は……。





  アンテナ基地。内部。
  レッドアーミーの拠点内では内部抗争が続けられていた。ボルト87で作られたスーパーミュータントと西海岸からやって来たナイトキンたちの間で戦いが繰り広げられていた。
  指揮系統の変化によるものだ。
  外で戦死したカーティス大佐も、そんな指揮系統の変化による結果によるものだった。
  そして……。
  「リック少佐、システムが繋がれましたっ!」
  「よしっ!」
  何とか生き延びようとしている人間たち。
  タロン社の傭兵たちだ。
  元々はDr.アンナ・ホルトら雇われた傭兵たちで、雇い主である彼女が追放された後もここに居残っている。正確には、逃げそびれたのだが。
  ここに留まる理由などない。
  だが、それを露骨に示せば生きては出られないだろう。
  何故ならここはスーパーミュータントの拠点。
  構成されているメンツは当然全てスーパーミュータント、人ではないのだ。手を振って出て行けるわけがない。連中の気が変われば奴隷にされるか、スーパーミュータント化の人体実験に
  されるか、もしくは食料にされるのが落ちだ。選択肢はあるにはあるが、どれを選んでも破滅しかない。
  だから。
  だからエンクレイブからの接触は、無線という形ではあるが、彼らにとって唯一の脱出法だった。
  依頼は簡単だ。
  このアンテナ基地から攻撃衛星にアクセスするだけ。
  オータム派のエンクレイブが執拗にここを攻めているのも全てはその為だった。
  クリスティーナ派のエンクレイブが全面的に撃って出れないのは攻撃衛星という、衛星軌道上からの防ぎようのないカウンターを警戒してのことだったが、オータム派の本拠地である衛星中継
  ステーションはシステムエラーにより攻撃衛星とリンクしようがないという、名ばかりの拠点でしかなかった。
  別にオータム派の戦力があればごり押しでレッドアーミーを潰し、アンテナ基地を抑えれる。
  だが大規模な討伐軍を動かせばクリスティーナ派に見透かされて攻撃される可能性もある。BOSの注意も引くだろう。
  その為、今まで小規模な部隊しか動かせず、北部戦線は膠着状態だった。
  だがそれも終わりを告げた。
  攻撃衛星のコントロールを得る機会が到来したからだ。
  だからこそ大規模な軍事行動にエンクレイブは出た、それが先の増派だ。タロン社のリック少佐が内応したのもその為だが、だがエンクレイブはそれ以上は動かない。リックの決断を促すだけに
  近くまで迫ったかのように、それ以上は軍を動かさなかった。リックたちタロン社たちはそこに気付くべきだったが人間の勢力と合流するという気持ちに動かされ、考えに及ばない。
  そう。
  エンクレイブが一定の距離以上何故動かないかを考えるべきだったのだ。
  この時、この一帯の運命は決していた。
  つまり……。






  メガトンの酒場。
  「おや?」
  ウイスキーを飲み、つまみを食い、酔客と話したりゴブやノヴァと笑ったりしていた、既に常連の赤毛の女が不意に呟く。
  携帯していた無線機から声が響いたからだ。
  「誰? アタシを呼び出すのは?」

  <仕事の依頼がある>

  聞こえてくるのは男の声。
  彼女、レッド・フォックスは傭兵ではない。正確には何者でもない。賞金稼ぎをしているのも自身の首に賞金を賭けて賞金首をしているのも戦いが好きだから、それだけだ。
  戦いの衝動を発散する為だ。
  だから。
  だから仕事の喜寿は常に1つだけ。
  「アタシを知った上で依頼してくるのよね。つまりは、そういうこと?」
  彼女は西海岸出身。
  向こうでは有名ではあるが、ここでは完全に無名。であるにもかかわらず依頼をしてきたということは、レッド・フォックスのことと彼女の気風を知っている西海岸出身者、ということになる。しかも
  無線の周波数は今回東海岸行きを依頼してきたNCRしか知らないことだ。依頼人は彼女の周波数を割り出すほどに優秀なのか、それともこれはNCR関係者なのか。
  どちらでも彼女にとってはいいことだが、いずれにしても彼女は思った。
  これは楽しいことになる、と。
  西海岸最強の傭兵集団ストレンジャーは、依頼を拡大解釈して暴れるのが好きであり、有名だった。
  彼女もまた、賞金首を追う際に自分の楽しみを最大限に出来るように動く。
  ストレンジャーほど悪意はなく、悪人ではないが、本質は近いものがある。
  だから。
  だから新しい遊び場が出来ることに楽しさを感じていた。

  <当然だ。あなたは有名だからな>

  「ふぅん」
  そう言いつつ彼女は片手で勘定を清算して店を出た。店の中でする話ではないと判断したからだ。
  当然店の外も人通りはあるが、わざわざ足を止めて聞こうという者はいない。店の中では否応にも聞こえるので配慮したというわけだ。
  外に出て街を見下ろしながら何気ない口調で聞く。
  「何をすればいいわけ?」

  <簡単だ。指定する場所にいるエンクレイブを殺せばいい。無差別に。あと今回の依頼にはオマケもある、あなたが追っている女もそこに来る可能性が高い。どうだろうか?>

  「そりゃ結構。楽しみだ。話を詰めようか」
  展開は刻一刻と進んで行く。
  誰の為の戦争なのか、誰が介入してくるのか、依頼人が誰なのか。
  それら全てレッド・フォックスには興味がなかった。
  「エンクレイブ狩りか、楽しそうだ」
  赤い悪魔、介入。





  「何じゃこりゃ」
  「墓場、でしょうか」
  スパミュの本拠地のアンテナ基地内を歩く私たち探検隊……じゃなかった、私とグリン・フィス。
  案内はいない。
  アイポッドは大佐に撃墜されたし。
  別にそれはいい。
  別にそれはいいんだけど、通路中にスパミュの死体がごろごろしているのは歩き辛い。通路沿いにある部屋の中も見てみると死体の山。壁には無数の弾痕。
  同士討ちでもしたのだろうか?
  でも、何故に?
  「はぁ」
  歩きながら幻滅感が過る。
  意味不明すぎる。
  ここに来たのは、全くの偶然からだ。
  私らをここに拉致ったDr.アンナ・ホルトも別に計画的ってわけではないだろう。
  確かに私をここに拉致、自分をグールから人間に戻してもらおうと計画は立ててはいたであろうけど、ここに拉致されたのはあくまで偶然の産物に過ぎない。何故オールドオルニーにいたのかは
  不明だけど、役立たずとしてここを追放されて彷徨っている間にウィントに同胞として拾われたのかもしれない。
  まあ、そこはどうでもいい。
  問題はこの展開の謎さだ。
  レッドアーミーの親玉だと思っていたカーティス大佐はボルト101での余裕もスパミュ勢力のラスボス感も失って中ボスにランクダウンして襲い掛かって来るし、本拠地内は墓場同然の有様。
  何なんだ、この展開は?
  盛り上がりも何もない、いきなり壊滅状態じゃないか。
  ライリーレンジャーに前に聞いたけど、ベヒモス級は5体いるらしい。私らが倒したのは4体。レッドアーミーに1体いてもおかしくないけど、そんな風でもないし。
  「主」
  「ん?」
  「見られています」
  「見られてる」
  彼は立ち止まり、私も立ち止る。
  見られてる、か。
  ……。
  ……まさか……。
  「ボルト101みたいに?」
  あの時、妙だったな、グリン・フィス。
  考えてみたらあの時の謎はまだ解けてないな。電力が消失していたボルト101の扉も自動で閉じたし。
  つまり、大佐はあくまでカマセであり、側近だったってことか?
  グリン・フィスが警戒していた気配がラスボスなのか?
  神ってそういうことか?
  「来ますっ!」
  彼は抜き打ちに斬って捨てる。
  空間を。

  ブォン。

  具現化し、真っ二つになって転がる青いスパミュ。
  「ナイトキンか」
  かつてザ・マスターと呼ばれる存在に仕えていたスパミュの最上位タイプで、マスターズアーミーと呼ばれる軍団の近衛兵。ステルスボーイを使い透明化して襲ってくる暗殺型。
  気配ってこれか。
  考えてみたらグリン・フィス涼しい顔してるな、ボルト101見たく余裕がないわけではない。
  なるほど。
  ただ、敵の待ち伏せ&奇襲を察知していただけか。
  PIPBOY3000の索敵モード起動。

  ピピピ。

  多数反応。
  通路の前後挟まれている、捕捉しているだけで前から7、後ろから5。急速接近中っ!
  「グリン・フィス、後ろを頼むわっ!」
  「御意」
  私はミスティックマグナムを2丁引き抜く。
  ステルスアタックに持ち込もうとしてもこちらが察知した時点で私たちの勝利は確定だ。閉鎖的な空間で、しかも通路、察知さえしたら稀るわけがないっ!
  食らえーっ!
  「こんのぉーっ!」

  ドン。ドン。ドン。ドン。ドン。ドン。

  6連発。
  もう1丁は撃ってすらない。
  「楽勝」
  「お見事です」
  「あなたもね」
  瞬殺ですとも。
  最高の貫通力を持ちミスティックマグナム、通路での戦闘なら発射数以上の数でも複数貫通で撃破できる。何しろ相手はでかい、通路をせめぎ合っているんだ、負ける要素はない。
  「ふむ」
  弾倉交換。
  おかわりは、いないのかな。
  今私たちが作った死体たちを見下ろす。こいつらは西でも特殊な奴らで、ここでは完全な一点ものの連中だ、要するに大佐の親衛隊。あー、まだ見ぬラスボスの親衛隊と言ってもいい。
  ともかく珍しい連中のはずだ。
  何だってこいつらが本拠地突入の最初の兵隊なんだ?
  アイポッドの招聘は罠か?
  ありえない。
  外のあの数を考えたら私たちを物量で攻め潰せた筈だ。
  わざわざ外の兵隊スルー同然に招き入れて親衛隊とぶつける必要はない。
  何考えてんだろ。
  「主」
  「……」
  別の観点から考えてみよう。
  親衛隊はともかくとして本拠地内の一般スパミュ兵の死体は何を意味している?
  詳しくは調べてないけど、死体は、その、まだ生々しい状態。
  死んで間もない。
  この施設内で何か起きていると考えるべきか。
  壮絶な同士討ち?
  大佐は何故か落ちぶれていたから、大佐に付こうとして処分された?
  「主」
  「……」
  もしかしたら……。
  「主っ!」
  「ちょっ! 耳元でいきなり叫ばないでよっ!」
  「申し訳ありません。ただ、彼が仲間になりたそうにこちらを見ていたので」
  「はっ?」
  微笑するグリン・フィスが指差す方を見る。
  なるほど。
  確かにスパミュが通路の影から顔だけ出して仲間になりたそうにこちらを見ている。

  @仲間にする。
  Aとりあえず撃っとく。

  いやいや。
  ここは@の仲間にするべきでしょ。
  「何してるの、ここで」
  見分けが出来るのが何故かと聞かれれば微妙なんだけど、見分けが出来てしまうのです。
  仲間だからかな。
  「よお、ミスティ」
  「ハイ」
  そこにいたのはアンクル・レオ。
  気の良いスパミュ。
  レッドアーミーの様に体を斑に赤く塗装している。武装はアンクル・レオご愛用のミニガン。ここに何らかの理由で潜入していた、ということかな。
  こっちに駆け寄ってくる。
  ……。
  ……ははあん?
  つまり、アンクル・レオがレッドアーミーの仲間の振りしてゲリラ的に敵を殲滅してたのか。
  私の推理力は冴えてますなぁ。
  「アンクル・レオ殿、ここで何が?」
  「フィス、実はよく分からないんだ。青い奴らをいきなり襲い始めたんだ。ただ、戦闘力が段違いで返り討ちにあったみたいだけどな。……ん? どうしたんだ、ミスティ?」
  「……お気になさらず」
  正解が全然違うけど何か質問ある?
  私の推理力ダメじゃん。
  おおぅ。
  「それでー、ここで何してるの?」
  「ミスティはどうしてここにいるんだ?」
  「そこは、うん、聞かないで」
  「主の受難体質に導かれてここに来たのだ、アンクル・レオ殿」
  「ああ、ミスティは相変わらずか」
  「どーも」
  散々な言い様だ。
  まったく。
  「で? アンクル・レオはどうしてここに?」
  オアシスにいたはずだ。
  「ハロルドが怯えているんだ」
  「ハロルドが?」
  ああ。
  スパミュ勢力とエンクレイブが交戦状態の北部戦線、オアシスに確かに近い。
  彼を始めオアシスの住民が怯えててもおかしくない。
  それを何とかしたくてアンクル・レオはここに入り込んでいるのか?
  危ないことしてるなぁ。
  「ザ・マスターがいるって言うんだ」
  「はっ?」
  この間オアシスでハロルドに聞いたスパミュを最初に組織化した奴の名称だ。
  でも死んだはずだ。
  随分昔に。
  私は、彼にそう聞いた。
  どういうことだ?
  「何だってそう判断したわけ?」
  「ハロルドは外のことを感知して見ることが出来るんだ。ミスティも知っているだろ」
  「えっ?」
  そういえば。
  そういえば最初に私がオアシスに近付いた時、彼は見えてたみたいなことを言ってたな。
  なるほどな、今なら分かる。
  ハロルドは能力者なのか。
  何ていう能力名にすればいいのか分からないけど、千里眼的な能力があるのだろう、だから私が見えてたんだ。
  「それで?」
  「それで俺はここに来たんだ、何とかしたくて」
  「何とかって……」
  随分と危ないことしてるなぁ。
  「アンクル・レオ殿、そのマスターとかいう者は見たのか?」
  「いや。まだだ。大佐っていう奴は、見たぞ。それとヒューマン」
  「ヒューマン?」
  「そうだ」
  「Dr.ミカヅキ?」
  「そういう名前の奴もいたな」
  「そういう名前の奴もって、そんなにヒューマンがいるの?」
  外の奴隷たちではあるまい。
  わざわざ見たと明言する必要もない、外から入って来る時点で目に飛び込むからだ。
  「何とかって傭兵たちがいるぞ」
  「タロン社か」
  報告書にあったな、Dr.アンナ・ホルトが雇ってたって。
  ふぅん。
  彼女が首になった後もタロン社の傭兵たちは居残ってたのか。まあ、イベントから降りそびれたような感じもするけど。大佐はもう死んでるから何とも言えないけど、私がルックアウトに行っていない
  間にストレンジャーが暴れてた、そいつらを呼び寄せて暴れさせていたのは大佐だと記されてたな、報告書に。何がしたいんだ、西のスパミュどもは。
  ザ・マスター、か。
  実在するのかは謎だけど、実在しているとなると、大佐はただの飾りでそいつがボスか、そして神とやらなんだろう。
  「アンクル・レオ、Dr.ミカヅキについて何か知ってる?」
  「うん? いきなり来たとだけしか言えないぞ」
  「いきなり来た」
  「ああ」
  奴が来たことでDr.アンナ・ホルトは入れ違いで首になった、というわけだ。
  だけど解せないな。
  奴は死んだはずだ。
  心臓をミスティックマグナムで撃ち抜いたんだぞ、いや、正確には吹き飛ばしたんだ。なのに何で生きてられる?
  化け物か?
  まあ、こういうご時世だ、別に化け物でもおかしくないか。
  「案内して」
  「分かった。こっちだ。戦闘はほぼ終わっているが、一応は気を付けてくれ」
  「ええ。ありがとう」
  アンクル・レオの案内で施設内を進む。
  確かに。
  確かに言葉通り戦闘はほぼ終わっているようだ。
  目に飛び込むのは死体だけ。
  何が何だかさっぱり分からない。
  「アンクル・レオ、ザ・マスターは見てないっていう話だけど、何かここで変わったこととかなかった?」
  「どういう意味だ?」
  「特に意味はない。雑談的な感じ。情報が欲しいだけよ」
  「そうだな。頭の中で声がしたな」
  「頭の中で?」
  「ああ。従がえ、殺せって。頭振って追いだした。そうだ、その直後くらいだな。ナイトキンたちとスーミュータントたちが争いだしたのは。ナイトキンたちは違うとか叫んでたな」
  「へぇ?」
  何か意味があるのかもしれないし、ないのかもしれない。
  そんな話をしている間に鉄製の扉の前に到着。
  ここか。
  扉を開けて中に入る。
  「ここにDr.ミカヅキが……おや、いないな」
  「そうね」
  中には誰もいない。
  ただ、研究資材や何かの実験機材は置かれたままで、稼働している装置もある。ついさっきまでいたような感じではある。
  監視カメラが天井に付いているが死んでいるようだ。
  さてさて、どこに行ったんだ?
  施設内ではナイトキンとスパミュが戦闘している状態だ、どこにも逃げ場はないはずだ。まあ、ナイトキン優勢で展開が進んでいるようだから、ミカヅキがナイトキン側なら身の危険はないわけか。
  とりあえず鉄製の扉は閉じておく。
  部屋は1人用には広いが、研究室としては狭い。
  さすがに透明化した敵が潜むスペースはない。それでも一応PIPBOYで索敵、グリン・フィスも敵の気配はないと断言、とりあえずはこれで安心だ。
  それでも警戒は必要か。
  ここは敵地。
  というかスパミュ勢力の本拠地。
  「グリン・フィス、警戒」
  「御意」
  「アンクル・レオもよろしく」
  「おお。任せろ」
  出入り口は扉だけ。
  窓もない。
  なので攻撃するなら突入してくるしかない。私にはグリン・フィスがいるから一定の範囲内……どの程度かは私は知らないけど……グリン・フィスの気配を読める範囲内に入った敵はすぐさま
  グリン・フィスに勘付かれる。つまり私たちが陣取っている場所、気配を読むスキル、この2つにより敵による不意打ちは成り立たなくなる。まともにぶつかる分は私たちにも分がある。
  敵さんの本拠地ではあるけど、そうそうは負けません。
  さて。
  「パソコンは、生きてる」
  弄る。
  パスワードは設定されていない、キーボードを私は叩き、情報を引き出す。
  ごみ。
  ごみ。
  ごみ。
  何だこれ、何も大した情報がないぞ。
  データを抜き出した後?
  かもしれない。
  だとしたらこの内乱騒動に乗じて既に逃げた後なのか?
  可能性はある。
  だけど、そうしたら私たちをこの中に招き入れたあの声は誰なんだ?

  <ああ、来ると思っていたよ。あいにく私はそこにはいないがね>

  パソコンから声が聞こえる。
  内蔵されていた音声データってわけではなさそうだ。
  遠隔から操作しているのか、それが何処かは知らないけど。
  あらかじめ設定してあった音声データではないだろう、室内に設置されていた監視カメラが私たちを見ているからだ。
  「Dr.ミカヅキ」

  <私に何か用だったのかな?>

  「用?」
  まったくない。
  まったく。
  来たのはただの偶然であり、巡り合わせに過ぎない。私は別にこいつをストーカーする趣味はないけど、面倒臭い運命が私にストーカーしてくるのだ。困ったものですね。
  「何で生きてるの?」
  まずそこを聞こう。
  死んだはずだ。
  確実に。

  <この体は義体に過ぎない。私の体はとうに朽ちている。脳が、私なのだ>

  「ああ、教授と同じか」
  つまりはサイボーグか。
  だけど教授ほどの防御力はないようだ。まあ、あいつの場合は特注過ぎる骨格の強度だったんだろうけど。

  <教授?>

  「カルバート教授」
  キャピタルのスパミュ勢力の親玉だ。
  既に故人。
  ルックアウトの一件は彼の残存勢力である教授の手下の生き残りの行動であり、レッドアーミーの母体になっている軍隊は彼の作ったスパミュの残党。
  死してなお祟り続ける。
  嫌な奴です。

  <カルバート、ああ、彼か。彼といいエリヤといい、たまに境界を潜り抜けてやって来る者は思いのほか有能だ。覚えているよ彼のことは。Dr.クラインが目にかけ、技術を教えたからな>

  「Dr..クライン?」
  誰だそれ。
  また妙な奴の登場ですか?
  それにしても、エリヤ、か。
  ルックアウトにいた奴で、西にあるモハビ・ウェイストランドとかいう土地のBOSを取り仕切っていたエルダー、だったらしい。
  結局あいつはどうなったんだ?
  海岸にはCOS、まあ、BOSの造反組ってところか……ともかく、そいつらの死体がごろごろ転がってた。私らは教授の手下の生き残りとは直接ぶつかったけど、COSとは間接的に敵対したに
  過ぎない。なので誰が潰したのか、どういう展開だったのか、エリヤはどうなったのかは、知らないわけで。
  ともかく、だ。
  話を元に戻すとミカヅキはエリヤとカルバートに知識を与えていた?
  「あんたは何者なの」

  <シンクタンク、そう呼ばれていた>

  シンクタンク?
  頭脳集団ってことか?

  <今ではグリゴリの堕天使、そう名乗っている。ダラ……いや、ゼロか? ともかく、シンクタンクの誰かがそう名乗り始めた。グリゴリの堕天使は知っているか? 神話の時代、人間に知識を与えた
  天使の名称だ。とはいえ、本来与えなくてもいい知識も与えたが為に堕天したのだがね>

  「あんたもその口か」
  何となく見えて来たぞ。
  こいつキャピタルで実験してるのか。ブッチが関わったグレイディッチの報告書に、蟻事件に関わっていたDr.レスコが死ぬ前にグリゴリの堕天使と口走ったことが記述されていた。
  多分キャピタルで厄介なことやってる連中に知識与えて動かしてるんだ、こいつ。
  善意ではなく、こいつの実験の一環として。
  そう考えるとボルト108のクローンも、スパミュの拠点にいる理由も分かってくる。
  実験だ。
  実験の為にここにいるんだ。
  「仲間はどこ」

  <シンクタンクの仲間かね? ここにはいない。私だけだ。私も目的の物が手に入ったのでね、西海岸に帰っている最中だ。もう会うこともないだろう>

  「会いたくもないけどね」
  厄介払いとすべきか?
  だけど、目的の物とはなんだ?
  「目的の物って?」

  <ザ・マスターの欠片だ>

  あっさり白状したぞ、こいつ。
  この場にいないから余裕か?
  でしょうね。
  完全に行方を眩ませることが確定しているから、喋っているのだろう。

  <これほど面白いサンプルが手に入るとは思ってなかった。ああ、目的の物とは言ったが、それはあくまで研究に値する物が見つかった、という意味だ。まさか奴が生きていたとは想定してい
  なかった。オウム返しで失念されるのもいささか面倒になってきたので言うが、カーティスはただの入れ物に過ぎない。奴自身の意識もあるし、奴自身状況を把握していたがね>

  「ふぅん」
  そういうことか。
  ボルト101で感じた何かは、ザ・マスターの気配と考えるべきか。大佐が暴走したのはこいつに寄生生物を取り上げられたからか。
  ……。
  ……あれ?
  こいつに取り上げられた?
  だけどこいつは欠片と言った、そういう以上一部を手に入れたに過ぎないということだ。それに取り上げられただけなら大佐は自暴自棄になるか?
  私ならミカヅキを殺す。
  逃げてるようだから、追い掛けて、探し出すだろう。
  そうしないのは何故だ。
  つまり、これは……。
  「ここにザ・マスターがいるのね。奴本体だけなのか、別の寄生先と一緒にいるのね」

  <ふん。人間はゾウリムシ並の頭脳とはいえ、お前はいささか毛色が違うな。まあいい。そうだ、奴は寄生先を変更した。屋上にいる。思い上がり自身で神を名乗っている。後は、好きにしろ>

  「で? ザ・マスターって随分昔の、スパミュ軍団のラスボスでしょ。そんな奴の欠片で何をしたいの? まさかそいつの復活とか?」
  なさそうですけど、それは。
  こいつ自身は特にザ・マスターに敬意がある話しぶりではない。
  グリゴリの堕天使としての、勢力としての考え方は分からないけどさ。

  <ネフィリムさ>

  「ねふぃりむ?」
  何だそりゃ。

  <天使と人間の混血だ。神話の話だよ。ザ・マスターは間違ってはいなかったが、やり方は根本的に違ってた。スーパーミュータントはあくまで兵力であり労働力でしかない。それ以上の存在を作るのは
  我々の責務だ。がこれは君には関係ない話だ。君は一地方のことしか考えられない、それが限界だ。我々はそうじゃない、世界を見据えている>

  「最後に一つ」
  答えるかは微妙だし、今の状況にはさほど関係ないだろう。
  ミカヅキは去って行く。
  西に。
  私の目的はここにいる、エンクレイブを追い返してキャピタルを安定させることだ。とはいえ展開は無視できない。
  今はまだ重ならないにしても、いつか重なる時が来るだろう。
  運命が。
  「あんたは何がしたいわけ?」

  <知性という武器を持った悪魔の猿を一掃したいのだよ>

  それが。
  それが最後の言葉だった。
  「主」
  「ん?」
  「人狩り師団長が操られ際に同じことを言っていました。知性という武器を持った悪魔の猿め、と」
  「……」
  こりゃかなり嫌なバックがいるな。
  どこの組織だろ?
  エンクレイブとはまた別物の、強大な敵がいるように思えてならない。
  だが今は……。
  「アンクル・レオ、最後まで付き合ってくれる?」
  「屋上の奴を倒すんだな?」
  「うん」
  「水臭いこと言うな、俺も行くぞ」
  「ありがとう」
  さあて、神を名乗っているとかいう奴を倒すとしよう。
  人狩り師団は基盤を失った、今回はレッドアーミーに潰れて貰うとしよう。人狩り師団長を操っていたのはザ・マスターではないと思う、ミカヅキの言葉から察するに人狩り師団長に降りていた
  神とやらは屋上にいる神とはまた別物だろう。面倒と言えば面倒だけど1つずつ潰していくしかない。
  幸い内部は潰し合いで静かになっている。
  これも大佐の中身が別の体に移ったから起こったことなのかな。
  あり得る話だ。
  おそらくナイトキンたちは大佐に義理立てして、今のマスターの寄生先の命令は聞きたくないのだろう。スパミュの事情も色々だ。
  私たちは上へ上へと進む。
  邪魔する者なんていない。
  上へ。
  上へ。
  上へ。
  そして辿り着く。
  屋上に。
  そこにいたのは……。
  「ほほう。これはこれは珍しい客が来たものだ。どうやったらお前をここに招待できるかと、頭を悩ませていたんだがね」
  「あんたか」
  こいつが神かっ!