天使で悪魔





霊峰の指




  正直、目標がない。
  わたくし、アルラ=ギア=シャイアは再興の為に懸命に生きてきた。
  体たらくな女遊び大好きな親父が潰した家。
  女遊びの結果である、わたくしはそれでも懸命に家を潰すまいと努力した。
  愛人の娘である、遺児であるわたくしを引き取り大切にしてくれた養母の為に。
  ……。
  株がまずかった。
  親父の友人、というから信用したら大暴落。
  その穴埋めの為に親父はわたくしの身を売ろうとした、別の貴族の財産目当ての結婚。
  結果、それは潰れた。
  向こうの家も実は火の車、お互いに財産目当てだった。
  レノス。
  わたくしの婚約者ですけど……会った事もない。どんな方だったのかしら?

  シャイア家が潰れた後、養母と親父は他界。
  親父は死んで当然。ざまあみろ。
  養母に引き取られるまで、わたくしも実母も貧困生活してましたもの。生活費も養育費もくれなかった。
  実母は病気で他界。
  1人になったわたくしは、お金になる事なら何でもしましたわ。
  ……何でも。
  おそらく養母に引き取られなかったら餓死するか、監獄送りでしたわね、きっと。
  養母には恩がある。
  だから借金の抵当としてスキングラードに接収された実家のローズソーン邸を取り戻す。
  その為だけに必死にお金を集めてきたのに、既に人手に渡っていた。
  目的がない。
  ……これから、どうしましょう……。





  ……とは思うものの……。
  「ふむ、大衆食堂というのも悪くはありませんわね。美味でしたわ」
  人間、悲しみだけ引き摺っては生きていけない。
  また悲しみだけで持続できない。
  少なくとも、わたくしは悲観だけでは生きられない性質。
  満腹になったお腹をさすり、コロールの街並みを歩く。
  ……。
  元々は、ある意味で貧民階級のわたくしが大衆食堂に舌鼓を打つのはおかしいとお思いかしら?
  全然おかしくありませんわ。
  何故なら、シャイア家に引き取られるまでは食堂に行くなんてお金、なかったもの。
  ……ゆすりにかっぱらい、何でもしてましたもの。
  「んー、最近ナイーブですわねぇ」
  こんなに天気いいのに。
  暗い気持ちでいるのはもったいない。
  久し振りのコロール。
  そういえばレヤウィンに嫁いでいた伯爵夫人の娘は、深緑旅団関係の戦争で腰抜けで真っ先に逃げた
  マリアス・カロ伯爵と離縁したらしいですわね。
  深緑旅団の戦争はここにも聞えて来ている。
  戦争の相手がトロルの軍団ではあったものの、世情が不安定になりつつある。
  噂に名高い闇の一党も盗賊ギルドもそういう世情不安に煽られて動きが活発化するものだ。
  ……後述の組織はわたくしも属してますし。
  「くつろぐとしましょうか」
  部屋を取っている宿に戻ろうと思ったものの、良い場所があるのを思い出す。
  オークの大木だ。
  コロール市民の憩いの場所でもある、公園の中央にある大木の周りにはベンチがある。
  大木の葉や枝から差す、木漏れ日が気持ち良い。
  そこに向う。
  「座れるわね」
  ……。
  間違い。……座れますわね。
  元々が貴族じゃないから、言葉遣いがたまに元に戻る。
  「ふぅ」
  ベンチに座り、空を仰いだ。
  木漏れ日、それに風に静かに揺れる枝や葉が幻想的で、とても美しいと思った。
  結局大金掛けて買う絵画よりも、大金投じた貴族の遊びなんかよりも、瞳を閉じて自然に身を委ね感じる事の方
  がより雄大であり、美しく、そして心洗われ、心奪われる至高の趣なのだと改めて思う。
  瞳を閉じて心を安らかに。
  ……。
  ……ふぅ。安らぎますわ。
  今日は私は1人。
  いつものお供の、白いオークのグレイズは帝都の闘技場に修行に行ってるし、トカゲのジョニーはこの街の
  道具屋の娘に一目惚れしたらしく何時間も道具屋に入り浸ってるし。
  アルゴニアンの美的センスは分からない。そもそも女性と男性の見分けも難しいし。
  まあ、いいですわ。
  おそらくあの二人がいない事も、今日わたくしが少しナイーブな原因でしょうね。
  ……心安らかに。
  ……心安らかに。
  ……心安らかに。
  「おお、ガーディアン」
  「へっ?」
  威勢のいい男性の声と、間の抜けた女性の声が耳に飛び込む。
  ……無視無視。
  ……心安らかに……。
  「ああ、オレイン・モドリンさん」
  「逆だ逆。モドリン・オレインだ。……ところでお前、今暇か?」
  「私?」
  「今のところ名前だけだが、ガーディアンとしてお前は戦士ギルドに在籍してるし、その分の給料も払いたいしな」
  「給料……いや、でも働いてないし」
  「そうか、じゃあ少し働いてもらおうか。そこまで言うなら、仕事を用意しようか。がっはっはっはっ!」
  ……。
  ……。
  ……うがぁーっ!
  「何ですの、もうっ!」
  眼を開き、平安を得ようと夢想していたのを中断し、豪快な笑いの男を見る。
  すごいモヒカン親父の後姿が眼に入る。
  その親父と一緒に歩く……んー、ブレトンの女性。
  まったく、わたくしの邪魔しないで欲しいわね。
  「邪魔されましたわね」
  ベンチから立ち上がる。
  夢想の続きは、宿でしようかしら?
  普段は強気でいるものの、実際はそんなに強くないのも自分で分かってる。
  ただ養母の期待に応えようと強い振りでいただけであり、それを今も引き摺っているだけでしかないのも理解してる。
  貴族言葉?
  そもそも貴族、嫌いだし。
  でもそれを言い切ると、貴族捨てると養母に悪い気がする。だから誇りとして今も胸にあるけど……。
  ……。
  「やめですわ」
  胸の内の、自問自答の会話とはいえ、答えは出さない方がいい。
  さて。
  ふと目線に入る、魔術師ギルドのコロール支部。
  わたくしは魔術師ギルドではないものの、親父がハンニバル・トレイブンと旧友だった為、その関係でお遊び程度に
  魔法を師事していた。
  ローズソーン邸が人手にある以上、盗賊ギルドもそんなに興味ないし、どうでもいいけど……グレイフォックスの生き様
  はそれなりに興味がある。貴族がそれほど好きではないけど、昔気質な彼の貴族的生き方は好印象。
  貴族とは、無辜の民を護るもの。
  今時分、そんな貴族はいないだろうけど貧民を保護する彼の生き方は素晴しい。
  ……い、良い男でしたら結婚してもいいですわ♪
  ……。
  ともかく、盗賊ギルドという波乱万丈な生き方をするのには魔法の習得も必要だ。
  冒険者として気ままに生きるにしても同義。
  深緑旅団とレヤウィンの戦争騒動もあったぐらいだし、世情は不安定すぎる。生き抜くには力が必要だ。
  わたくしはトレイブンからお墨付きをもらえるぐらい魔法に長けているものの、レパートリーが少ない。
  精霊系召喚やオブリの下位悪魔召喚、中途半端な威力の魔法に、威力と消耗が高く使い勝手の悪い単体魔法。
  何か新しい魔法が必要ですわね。
  戦士ギルド&魔術師ギルドはこの公園のすぐ向かい。
  魔術師ギルドに向う。
  ギルドメンバーが創作した魔法を金貨さえ払えば誰でも買える。
  ……能力的な問題があるから、誰でも使えるとは言いませんけどね。
  自分で開発するのもいいですけど、既に開発済みの魔法購入する方が楽だし、早い。
  それにわたくしは破壊魔法と召喚魔法は指示しましたけど、錬金術や魔道理論とかには疎い。素質ないとか
  じゃなくてそもそもが冷やかし程度の師事だから、そこまでは腰を入れてなら習わなかったのが現状だ。
  「失礼」
  女性が声を掛けてきた。
  緑色の服装の、アルトマーの中年女性。少し目付きが悪い。
  誰だろう?
  「私、イラーナと言うんだけど……」
  「初めまして。ご機嫌よう」
  「ここの支部メンバーじゃないよね、見た事ないもの。……魔法を買いに来たお客さん?」
  「まあ、そうですわね。ただ一応は大学に立ち入れる許可は頂いていますわ」
  ……所属はしてないけど。
  イラーナ、値踏みするように見ている。
  「派閥とか関係あるの、貴女?」
  「いえ」
  「……報酬次第では、何でもする? その、私の手助けして欲しいんだけど……」
  「何でも、はしませんわ。生死に関わる事はご遠慮願いますわ」
  「……盗みは?」
  肩を竦めて答える。
  「リスクによりますわ」
  「リスクはないよ。それに永遠に欲しいわけじゃない、一日だけあるモノを借りたいんだ」







  再びベンチに逆戻り。
  イラーナはわたくしに盗みを依頼したいという。その報酬に魔法を教えるという。
  元魔術師ギルドのメンバーであり、アルケイン大学に所属していたらしい。今現在は追放処分中。
  声を潜めながら概要を言う。
  わたくしに声を掛けたのは、利用できると思ったからだそう。
  ……そんなに悪女みたいな顔してるのかしら……?
  ……少し傷付いたわ……。
  さて。
  「霊峰の指という書物よ」
  それはアイレイドの書物、らしい。
  正直実技はハンニバル・トイレブンに師事されたけど、理論は得意ではないしアイレイドの古代遺産とか
  はまるで知らない。わたくしが興味あったのは力だけであり、学問ではなかったからだ。
  話を促す。
  「その書物は……」
  本当にこの女は利用できるのか、そんな顔をイラーナはした。
  わたくしにそれを問われても困るわよ。
  別に立候補したわけじゃないし。
  意を決してイラーナは続ける。
  「アイレイドの書物でね、天候を操る実験の全てを記したモノなのよ。……魔法の匂いがするでしょう?」
  「そう?」
  「と、ともかくそれがこの近辺にあるのよ。コロールの北西にある、雲の頂と呼ばれる地名の廃墟にね」
  「そこまで取りに行くの?」
  「……そこが問題でね」
  「……?」
  「コロールの支部が探索の為に人数を繰り出してる。何とかうまい事やって、掠め取って欲しいんだよ」
  「はっ?」
  イラーナはバツの悪そうな顔で語る。
  彼女はコロール支部長ティーキーウスとの政争に負けて追放され、ティーキーウスは支部長の座を手に入れた。
  今回、ここに来た時彼女は因縁だと思ったそうな。
  コロールのすぐ近くにあるお宝に気付かないティーキーウスを内心で馬鹿にしつつ、昔馴染みの魔術師とお酒を
  飲んだ挙句に、ついポロっと全部喋ってしまったらしい。
  その魔術師は、昔馴染みを売った。
  ティーキーウスは調査団を雲の頂に送った。
  自分が直接動き先に入手にしようと思ったものの、ギルドメンバーに手を出せば完全に復帰出来なくなる。
  そこでわたくしを利用するつもりらしい。
  まあ、いいですけど。
  無料で魔法が手に入るなら、問題はありませんわ。
  ふと思い出す。
  「一日借りるだけと言いましたわね、そういえば。持って逃げないんですの?」
  「私が欲しいのは知識。ティーキーウスが欲しいのは、伝説級の文献。……根本が違うわ」
  「……ああ、なるほど」
  勝ち誇った顔をして、胸をそらす。
  「あのトカゲには読めないでしょうけど、私には本の内容が読めるし理解出来る。一日あれば翻訳出来るし、脳に
  記憶出来るわ。それに重大な事はノートにでも書き留めとけばいいだけ」
  「じゃあ本は?」
  「貴女に差し上げます。トカゲに売るなり、自分の物にするなり、お好きにどうぞ」
  「あら、助かりますわ。では御機嫌よう」
  ……おいしい仕事になりそうですわね。
  ……ふふふっ!







  「ぜぇぜぇ」
  険しい山道。
  高い標高。 
  「ぜぇぜぇ」
  空気が薄いっ!
  貴族たるもの、常にドレスではあるけど……考えものね、さすがにそろそろ。
  皮鎧とか着るべきかしら。
  鉄系とは違って、隠密……つまり、盗みには入っても音しないし。
  それとも丈夫で動きやすい衣服にすべき?
  「ぜぇぜぇ」
  あ、あのアルトマー、魔術師ギルドのメンバーに手を出したら永久追放になる二度と復帰出来なくなるだから
  貴女が行ってとか抜かしてたけど、山道歩くのが苦痛だから私に押し付けたんじゃないでしょうね?
  あ、ありえますわー。
  「ぜぇぜぇ」
  あれからすぐに、雲の頂と呼ばれる場所目指して歩いてますけど……そろそろ限界ですわ。
  さ、酸素が薄いーっ!
  かなり高い標高まで来てるから、眺めは最高なんですけど……既にそれ楽しむ余裕ないし。
  せめて馬でも借りるべきでしたわね。
  喧嘩に明け暮れてた頃もあったけど、山道踏破出来るほどの根性持った不良でもなかったし。
  ……服装ですわね。
  ……最大の問題は。
  ドレスにハイヒールの靴、山を舐めてると言ってもおかしくない。
  「ぜぇぜぇ。……あ、あれ……?」
  風に乗って漂ってくる。
  これは……。
  「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」
  山道を転がるように逃げてくる、魔術師二人。
  魔術師風、と表現しなかったのは魔術師ギルドの調査隊がこの山には入っているから。それを知っている以上、ローブ
  着てフード被ってるのは魔術師である、と断定してもおかしくない。
  魔術師達は後ろを見ずに下山していく。
  下山、と言うと聞えはいいけど、山道をあんな風に走ると危険でしょうに。
  どうやら間違いないらしい。
  ……血の匂い。
  小走りに、わたくしは走る。
  腰には短剣が護身用に差してある程度の武装ではあるものの、わたくしには魔法がある。
  どんな邪魔が入ったのだろう?
  少なくとも魔術師ギルドは霊峰の指を手にいれた風には思えない。
  邪魔が入ったと見るべきだ。
  仲間割れ?
  ……それはないと思うなぁ……。
  魔術師ギルドは一応は、インテリだ。
  まあ知識欲しさに利用されるのは、今のわたくしのようにありえるとは思いますけど……殺す殺されるも、ないとは言わな
  いですけど血の匂いが分からない。魔法で片をつけると思いますけどねぇ。
  盗賊風情に出くわしたとも考えられますけど。
  色々と考えながら、雲の頂に到着。
  遺跡なんてない。
  ただ遺跡の名残として柱や建物の枠組みだけあり、その中央にでっかい柱。
  それだけ。
  ……ああ、それと魔術師ギルドメンバーの死体。
  ……もちろんそれに手を下した者達。
  「おやおやまた新手かい?」
  漆黒の服の、集団。集団といっても三人だ。
  今口を開いたのはボズマーの老女、残り二人はオークだ。
  最近死霊術師が徒党を組んでいるらしい。その死霊術師達は黒いローブに真紅のドクロを刺繍として縫い込んでい
  るらしいものの、ここにいる黒衣はドクロはない。
  何者かしら?
  ダンマーの老女は、一冊の本を手にしている。あれが霊峰の指だろうか?
  「それ譲っていただけます?」
  「おやおやあんたもこれが目的かい。悪いねぇ、先に手に入れたのは我々なんだよ」
  「じゃあ私も彼らも後から来たんですの?」
  死体になってる魔術師ギルドのメンバーを指差す。
  にぃぃぃぃっと笑うダンマー。
  ……眼に殺意が宿ってる。どう受け答えしたところで、喧嘩になりますわね。
  「これは若がお望みの、アイレイドの天候を操る魔法が記された魔道書。若こそが唯一、これを手にするに相応しい。
  それ以外の者が手にしようなど不届き。我ら黒の派閥の姿を見た以上、消すまで」
  若?
  黒の派閥?
  ……死霊術師とは違う連中のようだ。
  「炎の精霊っ!」
  ごぅっ!
  わたくしの掛け声と共に、全身を炎に包まれた人型の精霊が現れる。
  「おやおや面白い。研究馬鹿の魔術師ではないか。……電撃っ!」
  『電撃っ!』
  バチバチバチィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィっ!
  三人が同時に放つ電撃。
  それは荒れ狂い、炎の精霊を消し飛ばし、無差別に雷は踊る。わたくしは中央の柱に身を隠した途端……。
  
バチバチバチィィィィィィィィィィっ!
  はっ?
  ものすごい電光と電撃が柱から迸り、まるで増幅して反射したように黒の派閥の三人に洗礼を浴びせる。
  思わず目を瞑った。
  ……。
  ……。
  ……。

  眼を開いた時、そこには何もなかった。
  3人のいた場所に、黒い影だけ残っていた。そして奇跡的に、一冊の書物がある。
  霊峰の指。
  ……この柱、何なの?
  「本は頂いておきますわ。御機嫌よう」








  コロールに帰還。
  魔術師ギルド会館は大騒ぎではあったものの、わたくしはそれを素通りして書物をイラーナに渡した。
  その翌日。
  翻訳作業を終え、脳にその知識を蓄えたイラーナはにこやかに本をわたくしに渡す。
  「お好きにどうぞ。自分の物にするなり、ティーキーウスに売るなりとね」
  「……これ、何ですの?」
  「アイレイドの天候魔法の書物」
  手渡した時、イラーナはハイになっててわたくしの話はまるで受け付けなかった。
  そこで昨日の事を話す。
  「黒の派閥? 何それ?」
  「わたくしも知りませんわ」
  「ただ柱の方は説明出来る。……詳しい説明欲しい?」
  「魔道知識は皆無ですから、簡潔に」
  「あの柱がね、天候魔法の根幹なのよ。あれは電撃を吸収、増幅して放つの」
  「……なるほど」
  確かに電撃は飛んだ。
  それを吸収して、あれだけ凄い電撃にしてあの三人に放出したわけか。
  「これもどうぞ」
  「これは……」
  ウェルキンド石だ。
  これぐらいは知ってる。魔力の結晶であり、アイレイドの遺産だ。
  「可愛い魔術師からもらったのよ」
  「はっ?」
  「死に別れた妹に似てた、可愛い魔術師からもらったものよ。……いい? 魔法を得る方法はあの柱に電撃魔法を
  放つ事。そして受ける事。そうすることで雷の魔法が習得出来るの。でも大抵は、黒の派閥? その末路になるわ」
  「……」
  か、簡単に言ってくれるわね。
  「その石があれば、おそらく耐えられるでしょう。耐えた時、強力な雷魔法を手に出来る。じゃあね」
  「……」
  あれを受ける?
  あれを……。
  ……。
  か、考えただけでも寒気がしますわ。でもあの威力の電撃が手に入るなら……でも消し炭になったら?
  悩みますわぁー。
  ただまあ、この書物は魔術師ギルドに高く売りつけて上げますわ。
  貴族たるもの、転んでもただではおきませんわー♪
  ほほほー♪