私は天使なんかじゃない







禁断の書物





  それは迷信か、それとも真実か。





  「ふぅ」
  シャワーを終えて私はメイド(スワンプフォークの女性)に先導されてダイニングに移動する。
  シャワーがあるなんて文明的です。
  密林のど真ん中なのに。
  屋敷の内装も悪くない。歴史を感じる。
  内部に入り込んでる蔦とか破損とかを何とかしたらね。維持状態は最悪です。
  あれから。
  あれから3日経った。
  タートルダヴ収容所は結局無駄足。通信機器はおしゃかになってました。ソドム市長でペテン師バルトに連れられて私たちはオバディア・ブラックホールという爺さんのいる
  屋敷、ブラックホール邸に移動。着いたのはさっき。まだ爺さんは見ていない。メイドに入浴を進められたから入浴してた。入りたかったし。
  久々にすっきりしました。
  私は貰った真新しい白い衣服を着てる。サラは私の前に入りました。今から晩餐らしい。貰った服にホルスター巻いてます。当然だ、ここは敵の親玉の家なんだし。
  不意打ちは、まあ、来ないだろ。
  殺そうと思えば収容所で圧倒的な物量で攻撃できたわけだし。
  私たちを殺せるかは別にしても。
  ここは収容所から南西60キロ先にある建物。移動に疲れたけど障害はなかった。
  何故?
  大量のスワンプフォークが私たちを取り囲んで移動していたから。
  最初はバルトが飼い慣らしてる連中かと思ったけど、どうやらオバディア・ブラックホールという爺さんの手下らしい。あの無線機の声はその爺さんのもの。
  バルトを信じたわけではないけど、奴に状況説明されたグリン・フィスがいた、彼は信用できる。
  そのグリン・フィスが一時的に手を組むべきだと提案したのを私は了承した。
  ……。
  ……ポールソンやサラは不服そうだったけど。
  まあ、当然ですね。
  ついさっきまで追いかけっこしてたわけだし。
  追うよりも追われる方が面倒くさい。そのくせ都合次第でいきなり追ってた側が仲良くしようと言われれば腹も立つだろう。私もそうだ。
  だけど展開を前進させるには休戦は必要だった。
  さて。
  「さっぱりしたようね、ミスティ。入浴は至福の時間よね」
  ダイニングに到着。
  丸いテーブルを囲んで仲間たちが座ってた。食事はまだ並んでいない。テーブルの隣には別の女性スワンプフォークがエプロン姿で立っている。給仕係かな?
  ここの主もまだいないようだ。
  ただ、見た感じ私の椅子はあるけど主用の椅子がない。彼が座るであろう場所がぽっかりと空いているだけだ。
  私を先導してくれた女性がテーブルに近付き、椅子を後ろに引いた。
  座れってこと?
  「ÄãôÓÓÔËÌÏ? ……Æþÿ€ã®ÔÃÎ」
  「えっと、どうも」
  スワンプフォークのメイドはにこやかに何か言い、私を座らせてから頭を下げて退室した。
  言語が分からん(汗)
  収容所からこの屋敷に移動する間、私たちは移動に次ぐ移動、連戦に次ぐ連戦で疲労していたからあんまりバルトと喋らなかったけど、彼が言うには女性のスワンプフォークは
  基本的に奥地の村から出てこないらしい。何でもそういう風習だとか何とか。とはいえ少数なんだけど奥地から出てきているのもいるようだ。
  ここでメイドとして仕えるためにね。
  何でもブラックホール家はスワンプフォークを支配する名門(それが妥当な表現かは知らんけど)らしいです。
  基本的に排他的で攻撃的だけど、今回のように苛烈なまでに攻撃してきたのは命令されたからだけなんだとさ。ここの主に。
  何だ、つまりはただ巻き込まれただけか。
  それにしては死者が多数でまくりだし私たちとしても面白くない。
  「バルト」
  「何だい旅の人」
  「そろそろ事の真相を教えてほしいんだけど?」
  一同、彼に視線を集中させる。
  バルトは孤立無援。
  何しろいるのは私、グリン・フィス、サラ、ポールソン、オリン、マクグロウ、バルト側なのは誰もいない。
  誤魔化しは利かない。
  「グリン・フィス」
  「御意」
  彼は立ち上がるとショックソードの柄を掴み、身構える。
  市長はため息を吐いた。
  「何から聞きたい?」
  「あの発信機は何の為?」
  「収容所で言ったまんまさ。より良い管理の為だ。誤解しないでほしいんだよ、あくまで、観光客の為なんだ。この地は過酷なのさ、俺の箱庭から出たら死ぬしかない」
  「脅し?」
  「事実だ。それと……」
  ちらりと私とグリン・フィス以外を見る。
  「見てない顔もいる。正規の手続きで入ってない顔だ。税金が必要なのさ、素晴らしい環境を維持するためにもね。ソドムは俺の街だ、街の為にならないものはいらない」
  「だから襲わせたのかっ!」
  ぼこぼこが多少引いたマクグロウがテーブルを叩いた。
  アウトキャストは不法侵入した罪でトライバルに一掃された。バルトの命令で。しかし彼は涼しい顔をしていた。
  「街には街のルールがあるんだよ、旦那。勝手に侵入してきて自分勝手な理論を吐かれるのは心外だ」
  「トライバルは何に?」
  私が口を挟む。
  バルトのやり方は確かに面白くないけど街のルールは尊重する必要性はあるだろう。
  彼が作った街なわけだし。
  もちろん皆殺しが正しいかと言えば微妙なところだ。
  「トライバルか? 協定を結んだだけだ。プンガの取引だよ。向こうの言い値で買ってる。だからその代価として不法侵入者を殺せ、市民証をしてる奴は見逃せってね」
  「ふぅん」
  「より良い管理の為だ。あんたは理解してくれるだろ?」
  「さてね」
  気に食わないが流す。
  発信機の所為で追撃された。全部こいつの所為だ。
  「ここの主人との関連は?」
  「オバディア・ブラックホールか? 特に関係はないよ。奴はスワンプフォークの親玉で、そいつらから貢物されてる。食い物やら飲み物やらな。野生動物からも守ってもらってる。別段
  ソドムと取引しなくても死なない爺さんだ。トライバルも密林には入らないし、奴はこの密林の王として暮らしてた。二回、いや、三回会ったぐらいだよ」
  「街への襲撃は発信機絡み?」
  「そういうことだ。まさかこういうことになるとはな。奴は人探しの為に、俺の街を滅ぼしやがったっ!」
  「何だって従ってるわけ? 敵なんでしょ?」
  「おいおいこの状況を見てくれよ。奴の不細工な手下に囲まれた、奴の王国の中に囚われなんだぞ? 笑えることに俺の部下たちは奴に買収されててな、俺は引き渡されたのさ」
  「人望のないことで」
  「ふん」
  不愉快そうに彼は顔を歪めた。
  「で? ここの王様は何でも望み通りなんでしょ? 何だって私をここに連れ込む? 前に無線機越しで話したときも仲間にしたそうだったけど」
  「スワンプフォークどもは融通が利かないらしいよ。命令は聞くけど、細かいことは頭が回らんらしい」
  「ああ。だから私らが必要なわけね」
  「そういうことだ。文明化された奴が必要なんだろうよ。残念なことに、俺は戦力としては除外されているようでな、あんたが必要らしい」
  「何探してるの? 発信機で追いたい相手がいる、そういうこと?」
  「そうだ。名は知らん。俺は特徴だけを追跡システムに登録しただけだしな。グールだ。グールを探してるらしい」
  「グール」
  思い当たる奴がいる。
  会ったのが1人。そいつが言うにはもう1人いるらしいけど。
  「ピックマン?」
  「さっきも言ったろ。名は知らん。爺さんがもうすぐ来るだろ、その時に聞けよ。俺は追跡システムを使ったり保守したりしてるだけさ。その為に飼われてるってわけだ」
  「収容所には何しに?」
  「反応が消える前にその近辺にいたからさ。たぶん奴はリングの意味に気付いて壊したんだな。あんたの発信も収容所で消えたから焦ったよ。あんたを探してたのさ」
  「その爺さんの命令で?」
  「そういうこった」
  よしよし。
  これでピースは繋がってきた。
  「ミスティ、あの死体野郎、殺しておくべきだったな」
  「みたいね」

  「ずいぶんと賑やかな事じゃ。ワシに対しての噂話で盛り上がっていたのかな? 本人の家で、本人の噂話、感心はせんな」

  先ほどのスワンプフォークのメイドが車椅子を押して現われた。
  喋ったのは車椅子の老人。
  上品な身なり。
  こちらを完全に見下したお顔。
  密林の王様のお出ましのようです。
  私は微笑。
  旅の期間は短いけど、その期間はとてつもなく濃く凝縮された内容。なのでこういう相手の対処法も何となく分かる。グリン・フィスを横目で見る、彼は頷き、椅子に座った。
  ボルト101から、思えば遠くまで来たもんだなぁ。
  しみじみです。
  「建築様式に感心してただけよ。その話をしてたの」
  「ほう?」
  「南部の洗練された美しさよね」
  屋敷はともかく周囲の景観は最悪だけど。
  内装も蔦とか破損とか何とかしろよと言いたいけど。
  私の言葉に彼は満足そうに笑った。
  相変わらずこちらを見下してるけどね。
  「ブラックホールの屋敷は観光地ではないぞ。じゃがこの建物の素晴らしさが分かるとは見どころがある。本題に入る前に、少し話でもせんかね?」
  「ええ。喜んで」
  とっとと本題に入れ。
  帰りたいのよ。
  「うむ。それでよい。こんな時代だからこそ、人々はじっくり会話すべきなんじゃ。文明的な会話こそ、ワシらが失った最大の財産じゃて。そうは思わんか?」
  「全く同感よ」
  「そいつはよかった。会話は人間の美徳じゃて。スワンプフォークのような愚か者どもにはそれが欠けておる。盗まれた大切な家宝を取り戻すべく命令したが、奴ら、意味をまるで理解しておらん」
  「家宝?」
  話が前進した。
  バルトも心なしか身を乗り出している。ただの駒でいるのは奴も嫌なようだ。その点は共通してる。まあ、仲良くはしないけど。
  「報酬は弾むぞ?」
  「報酬?」
  「金じゃよ金。家宝を持ち帰ったら1人頭1000キャップ支払おうじゃないか。ただし余計な詮索はなしだ」
  金額的には悪くない。
  が、現状金額は問題じゃあない。
  ソドムは壊滅してる。
  どこで金を使えと?
  「グールを追っているとか」
  詮索はなしだ、と言われたのに私は臆せずに問う。彼は一瞬鼻白んだ。
  トークは私の方が得意のようだ。
  「ピックマンって奴?」
  「そいつは偽名だ。ジェイミという奴だ」
  「ジェイミ?」
  あいつ偽名を使ったのか。
  何故?
  私をこいつの仲間だと思ってたからか?
  ……。
  ……いやー。あいつ私をキャピタルの人間だと言った、訛りがあるとか。でも私の腰の44マグナムを見たからかもしれない。
  レギュレーターの刻印がある。
  読み過ぎかもしれないけどあいつ犯罪者なのかも。
  まあ、どっちでもいいけどさ。
  必要なら撃つ。
  それだけ。
  「受け取るのか、受けないのかっ!」
  「怒らないで。南部紳士は怒りっぽいの? ……受けるわ、それしか選択肢はないようだし」
  「よし。愚かな盗人どもは、あの本に力があると思っているから、接触したら攻撃してくるはずじゃ」
  「本?」
  「そうだ。……お前さん、話が上手いな。まあいい。そう、本だ。そいつを取り戻すのがあんたの仕事だ。この時を待っていたのさ、本がこの地に戻るこの時をっ!」
  「この地にってことは盗んだのは別の奴?」
  盗んでキャピタルに行ってた奴がまたルックアウトに戻ってくるのはおかしい。
  私は続きを促す。
  「盗んだのは別の奴だ。5年前になる。行方が分からなかったが、本を持った奴がこの地に舞い戻った」
  「どこでそれを知ったの?」
  爺さんはバルトを見て低く笑った。
  それを見て察する。
  なるほど。取り込んだバルトの手下から情報ゲットしていたのか。
  「ジェイミって何者?」
  「ある程度までの情報しかない。それにキャピタル・ウェイストランドは地理不案内でな。奴はダンウィッチビルという場所にあるカルト教団の親玉だ」
  「ダンウィッチだと?」
  反応したのはポールソン。
  有名な場所なのかな?
  私はサラを見る。
  「知ってる?」
  「知らないわ。あなたたちは?」
  マクグロウ、オリンも首を横に振る。
  「ポールソンは知ってるみたいね。どんな場所?」
  「ロナルド・レイレンが言うには屑どもの巣窟だ。……ロナルドはギルダー・シェイドの、脳ミソがポルノの奴の名前だ。くそ、あのグールはマーセラを殺った奴の仲間の可能性があったのか」
  「マーセラじゃと?」
  聞き返したのは私ではなく爺さん。
  知っている名前のようだ。
  ポールソンは女性を殺した奴を追ってここに来たらしいけど、その女性の名前はマーセラのようだ。でも殺したのはピックマン、いや、ジェイミではない。少なくともポールソンは犯人を見ている。
  彼曰く髪の毛がふさふさらしい。
  「おい、爺、マーセラを知っているのか?」
  「礼儀のない男じゃな。まあいい。知っている。その女もここに本を奪いに来た。どこかの教会に属してて、魔力の帯びた本で抹消するとか。程度の低い盗人のような女じゃったよ」
  なるほど。
  要はその女性、本を狙ってジェイミのいる建物に突撃して返り討ちにあって死んだ……いや、ポールソン自身は建物に入ったわぅなニュアンスで話してないから返り討ちにあって逃げてる
  最中に追撃されて殺されたのかな。それにしても魔力の帯びた本ねぇ。段々と胡散臭くなってくる。
  この爺さんも大概だとは思う。
  家宝とはいえここまでするか?
  しかも動員した兵隊は爺さんの意向を完全に無視しているようなものだ。あいつら建物を爆破してたぞ、本を抹消してたらどうするんだ?
  ずさんです。
  「あなたの兵隊、建物に爆弾投げ込んでたわよ? 本が吹き飛んだらどうしてたの?」
  「それが、あんたのような文明人に協力を求める理由じゃよ。あの連中、ワシの言葉に従順だが、馬鹿だ。ともかく盗人から奪い返し、盗人を八つ裂きにしてほしい」
  「随分と憎むのね」
  「盗人を嫌って何が悪いんじゃ?」
  「本の内容は?」
  「あの書物に魔力があると思ったんじゃな。もちろん、馬鹿げた迷信じゃ。書物の内容はワシにも分からん。異国の文字で翻訳がまだなんじゃよ。歴史的価値、そして家宝、その
  理由で取り戻したい。魔力だのと言った迷信や世迷いごとはどうでもよい。取り戻してきてほしい」
  「トライバルは絡んでる?」
  市長のバルトと繋がりがあるみたいだけど、バルトの手下がこの爺さん側に転んでるし、トライバルとの関わりあいもあるかもしれない。
  あっても別に構わないけど陣容は把握しておきたい。
  爺さんは首を横に振った。
  「連中とはないよ。連中の頭の中もスワンプフォーク同様に空っぽじゃが、少なくとも社会性はある。お近づきになれたらとは思うが、どうでもいいことじゃ」
  「スワンプフォークが嫌いなの? あなたの部下なのに?」
  「部下だって? よしてくれ。あいつらはワシの家に畏敬の念を持っている、そしてワシは奴らの言葉を喋れる、奴らは迷信深いのさ。だからワシの命令を聞く、それだけだ。しかし
  ワシが連中を好きでいる必要はあるまい? 奴らには信念もモラルもない。余所者を食い殺す、それだけだ。人間のなれの果てじゃよ」
  「ふぅん」
  そろそろ話を次のステップに進めるとしよう。
  飽きてきた。
  「具体的には何をすれば?」
  発信機はもう使えない。
  あいつは外してるし。
  「ここから東にある礼拝地に行き儀式用ナイフを手に入れるのだ」
  「儀式用ナイフ?」
  「そのナイフを使い、本の正当な持ち主を殺せば、古き神々が蘇るとか何とか。ただの馬鹿げた話だがそいつはそう信じている。だからこの地に本を持ち込んだのだよ」
  「古き神々ねぇ」
  オブリビオンか、これ?
  まあいいけど。
  「何故礼拝地にそれがあると?」
  「スワンプフォークがそれを崇めているからだ。ここから東にある。ソドムのすぐ近くだ。奥地に住むスワンプフォークが何故集落を街近辺に築いたのか、つまりは、そういうことじゃ」
  「集落は巡礼地への宿ってこと?」
  「そんなもんじゃ」
  「奴が既に入手して無駄足だったら?」
  「その時はワシの命を狙ってくるだろう。儀式用ナイフでワシを殺して神々を復活させる、というわけだ。だが問題ない、ここの防備も疎かにはせんよ」
  パンパン。
  爺さんが手を叩く。
  すると……。

  「やあ赤毛お嬢さんもここに? ビクトリア朝の美しい建物は僕の感性にぴったりなので滞在させてもらっているんですよ」
 
  「デリンジャーっ!」
  くそ、この殺し屋もここにいたのかっ!
  グリン・フィスは冷たい殺意を発しているけどデリンジャーは肩を竦めただけで受け流す。こいつも大概デタラメに強いよなぁ。
  ともかく防備は完璧のようだ。
  ジェイミがフェラルを動員して突撃してきてもデリンジャーがいれば問題ないだろ。
  私は爺さんに提案する。
  「いっそ全員でここで待てば? ジェイミはここに必ず来るんでしょう?」
  「可能な限りこの屋敷で戦いはしたくないのでな」
  「ふぅん」
  掃除が嫌いな性格らしい。
  古き神々の復活の阻止、ねぇ。
  完全にオカルトな話だ。
  キャピタル・ウェイストランドでエンクレイブの相手も疲れるけど、私的にはまだそっちの方が頭痛がしなくて済む。オカルトは信じてないし馬鹿馬鹿しい。その馬鹿馬鹿しい
  展開に全力で付き合わなければいけないと災難以外の何物でもない。とはいえ選択肢はなかったりもする。
  仕方ない。
  爺さんは言う、スワンプフォークを率いて礼拝地に向かえと。そしいそこでピックマン、いや、ジェイミを倒して本を奪い返せと。
  めんどいなぁ。
  そのままソドムで船を調達して離脱したい欲求に駆られるけど、シーとアンクル・レオの居場所がまだ分からないし無理か。少なくともこれが片付けばスワンプフォークは奥地に
  引っ込む可能性が高い。COS関連がどうなるかは知らないけどスワンプフォークが退場すれば危険度はぐんと下がる。
  引き受けるしかないか。
  「いいわ。任せて」
  「頼むぞ。家宝の本を、我が一族に伝わる書物クリプニーを奪い返してほしい」